司法書士  橋本先生のブログ

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当事務所の無料法律相談会でおなじみ アイリス国際司法書士事務所 橋本 大輔 先生 のブログです。

令和6年4月1日から義務化される「相続登記」に関する話題を様々な角度からお話してくださっています。

  

(論点)エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書は、どちらも人生の終わりを迎える際に必要な事項を整理しておくための書類ですが、それぞれの目的や法的効力には大きな違いがあります。今回は、エンディングノートと遺言書の違いについて解説したいと思います。


目次


1.エンディングノートとは

2.遺言書とは

3.エンディングノートと遺言書の比較

4.遺言書に法的効力が及ばない付言事項とは

エンディングノートと遺言書の違い

1.エンディングノートとは


エンディングノートとは、自分の希望や思いを家族や友人に伝えるためのものです。


記載する内容として以下のものが主なものです。


 ①医療や介護についての希望

 ➁葬儀の方法や希望

 ③デジタル資産の管理方法

 ④親しい人へのメッセージ

 ➄遺産の分配についての希望(法的効力はありません)


 エンディングノートには法的効力はありません。そのため、遺産分割の際には遺言書の内容が優先されます。エンディングノートはあくまで家族や関係者が故人の希望を理解するための参考資料となります。

エンディングノートと遺言書の違い

2.遺言書とは


遺言書とは、法律に基づいて、遺産の分配や相続人の指定を明確にするためのものです。


 遺言書の内容として、民法上で以下の内容を定めることができます。


 ①遺産の分配方法の指定

 ➁相続人の指定

 ③遺言執行者の指名

 ④その他法律に基づく指示


 エンディングノートとは異なり、遺言書は法的に効力があり、適切に作成されている場合、遺産分割や相続において法的に拘束力があります。自筆証書遺言で法務局以外で保管されている遺言書は、相続発生後、家庭裁判所の検認を経ることで、法的効力が確定します。


 自筆証書遺言書でも、法務局に保管されている場合や、公正証書遺言は、家庭裁判所の検認を受けなくても、相続発生時に法的効力を生じます。


 遺言書には、遺言書には大きく分けて、自筆証書遺言・公正証書遺言の2種類があります。これらは法律に従って正しく作成される必要があり、特に公正証書遺言は公証人の関与及び、遺言者の意思確認時に証人2名の立会が求められます。遺言書の内容は、遺言者又はその代理人とのヒアリング等により、公証人が遺言書を作成します。


一方で、自筆証書遺言の場合、遺言者本人が自筆で作成するため、法的効力を生じるように専門家のサポートなどが必要になるばあがあります。せっかく遺言書を書いても、法的効力が生じなければ意味がありませんから。

エンディングノートと遺言書の違い

3.エンディングノートと遺言書の比較


(目的)エンディングノートは個人の希望を伝えるためのものであり、遺言書は法的に遺産分割を指示するためのものです。


(内容)エンディングノートは医療、葬儀、デジタル資産など幅広い希望を含むことができるのに対し、遺言書は主に遺産分割に関する事項に限定されます。


 法的効力 エンディングノートには法的効力がないのに対し、遺言書には法的効力があります。


 エンディングノートと遺言書を併用することで、故人の意向をより明確に伝え、法的に確実な形で遺産を分配することができます。また、最近はやりのデジタル資産についても、パスワードやアクセス方法なども、エンディングノートに記載しておくことで、遺産を見つけやすくすることも可能になります。

エンディングノートと遺言書の違い

4.遺言書に法的効力が及ばない付言事項とは


遺言書の付言事項とは、遺言書に法的拘束力のある事項とは別に、遺言者が相続人や遺族に対して伝えたいメッセージや希望を書き加える部分のことです。これには法的拘束力はありませんが、遺言者の意向や思いを伝えるための重要な役割を果たします。


 つまり、家族への想いなどについては、遺言書の中の「付言事項」に書きしたためることができます。付言事項には、法的効力が及ばないため、甲的効力を及ばしたい内容は、別項目で記載しなければなりません。


「付言事項」には以下のような内容を記載します。


 ①感謝の言葉

 ➁遺産分割の理由

 ③遺族へのメッセージや希望


などです。


 付言事項の重要性は、法的拘束力はないものの、遺言者の思いを直接遺族に伝える手段として非常に重要です。これにより、遺族は遺言者の真意を理解しやすくなり、遺産分割に関する争いを防ぐことにもつながります。遺言書に付言事項を加えることで、遺言者の意向がより明確に伝わり、遺族間の調和が保たれることが期待されます。

エンディングノートと遺言書の違い

5.まとめ


 このように、エンディングノートと遺言書は、別の働きがあります。エンディングノートを書いても、法的効力が生じないため、その中で「長男に全財産を相続させる」と記載しても、遺産分割協議をして遺産を分割しなければ、個々の財産の帰属先が明確にはなりません。使い分けをして、「安心」を手に入れましょう。


 もし、よくわからない場合には、専門家に相談することをお勧めいたします。

(論点)被相続人が海外で亡くなった場合の相続放棄

(論点)被相続人が海外で亡くなった場合の相続放棄

海外が関連すると、相続手続きは一気にハードルが上がります。被相続人が海外で亡くなった場合、相続放棄の手続きは、どのようにすればいいのでしょうか?管轄の家庭裁判所ってどこになるのか?少しお話をしたいと思います。


目次


1.管轄の家庭裁判所はどこ?


2.どの士業にお願いすればいいのか


3.まとめ

(論点)被相続人が海外で亡くなった場合の相続放棄

1.管轄の家庭裁判所はどこ?


 相続放棄の管轄の家庭裁判所は、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。その住所地が、海外であった場合、外国の裁判所への相続放棄というのが原則になるわけです。家事手続法では、日本の裁判所に相続放棄の管轄を認めていません。


 しかし、その国に相続放棄のような手続きがそもそもなかったり、仮に相続放棄に類似の手続きがあっても、制約があり相続放棄類似の手続きができないといったことが起こりえます。さらに、首尾よく外国の裁判所で相続放棄ができたとしても、その効力が日本国内でも有効とは限りません。日本国内の債権者に対抗できない相続放棄の手続きをしたとしても、意味がありません。


 このような場合、民事訴訟法で以下のように規定されています。


「(管轄裁判所の特例)


第十条の二 前節の規定により日本の裁判所が管轄権を有する訴えについて、この法律の他の規定又は他の法令の規定により管轄裁判所が定まらないときは、その訴えは、最高裁判所規則で定める地を管轄する裁判所の管轄に属する。


 相続放棄制度がないことや、日本での相続放棄の手続きが必要な理由を主張立証して、日本の家庭裁判所に相続放棄の緊急国際裁判管轄を認めてもらう必要があります


 そして、日本の裁判所に原則的に国際裁判管轄がない場合に、特別に日本の裁判所の緊急国際裁判管轄を認めてもらう場合の裁判所は必ず東京家庭裁判所になります

 海外に居住する被相続人が亡くなり、多額の借金がある場合、若しくは、すでに離婚した配偶者が海外で死亡し、債務がいくらあるのかわからないため、子に借金を負わせたくないなどの理由で、相続放棄の手続きを行う場合には、東京の家庭裁判所に問い合わせた方がいいです。ただし、事例的に取り扱った件数が多いようですとすんなり手続きに入れますが、緊急国際裁判管轄を認めてもらうためには、認めてもらう必要があることを立証しなければなりません。

(論点)被相続人が海外で亡くなった場合の相続放棄

2.どの士業にお願いすればいいのか


 以上のように、緊急国際裁判管轄を認めてもらうためには、必ず東京家庭裁判所で行うことになります。ここで、どの士業に頼めば、手続きがスムーズに進むのかについてお話をしたいと思います。


 司法書士は、読んで字のごとく「司法の書類作成をする者」となります。行政書士では無理です。しかし、今回のように書類作成のみならず、その前段階で「緊急国際裁判管轄」を認めてもらう必要がありますので、弁護士一択だと思います。


 認定司法書士には、簡易裁判所における訴額140万円以下の民事訴訟については、訴訟代理人となることができますが、家庭裁判所は地方裁判所扱いです。書類作成だけで、ご本人に知識がなく代理人を必要としている場合は、認定司法書士でも出る幕はありません。

(論点)被相続人が海外で亡くなった場合の相続放棄

3.まとめ


 他の相続手続きもそうなのですが、グローバル社会になっているのに、海外が関係すると、一気にそのハードルは高くなります。今回は、相続放棄ですので、相続発生後の対応になります。


 しかし、遺産分割協議も外国に相続人が済んでいるというだけで、やはりハードルは上がります。この場合は、生前に遺言書を作成し、遺産分割協議をしなくてもいい様にしておくことで、煩雑な手続きを避けることができます。この場合でも、債務は相続人に来ますので、相続放棄をするとなると、海外から相続放棄手続きを被相続人の死亡井の住所地を管轄する家庭裁判所に行わなければなりません。当然ですが、期限もあります。


 生前に、海外に居住割ている方は、事前に専門家に相談しておいた方がいいかもしれませんね。

(論点)戸籍の本人請求と職務上請求

(論点)戸籍の本人請求と職務上請求

戸籍や住民票について、士業には、「職務上請求」というものがあります。職務上請求については、なんでもかんでも士業なら取得できるといった誤った認識の依頼してくる方がいらっしゃいます。が、当然、なんでもかんでも取得できるというわけではありません。職務に関連していなければ、取得は士業と言えどもできません。詳しく解説いたします。


目次


1.本人請求ができる範囲


2.職務上請求で取得できる範囲


3.職務で密接に関係すると言っても・・・


4.まとめ

(論点)戸籍の本人請求と職務上請求

1.本人請求ができる範囲


 戸籍を本人が本人のものを取得するのは当然できますが、それ以外にどの範囲まで、取得できるのでしょうか?


 配偶者、祖父母、父母などの直系尊属、子、孫などの直系卑属の戸籍が範囲となります。自分で戸籍を取得する場合、本籍のある市区町村の役場で関係が確認できない場合には、関係が分かる戸籍で証明しなければなりません。証明できないと、請求している本人との配偶者・直系尊属・直系卑属といった関係を役場の窓口の担当者がわからないためです。


 まずは、請求者本人の戸籍や改正原戸籍などを取得して、そのあとに請求することになると思います。

(論点)戸籍の本人請求と職務上請求

2.職務上請求で取得できる範囲


 先にも書きましたが、「職務上請求」は、士業の職務に関連している場合をもって、取得が可能となります。例えば、相続登記をするために遺産分割協議書を作成しなければならないとき、法定相続人全員の参加が義務付けられていますので、この場合は、法定相続人に関連する戸籍を取得することができますが、遺言書作成となりますと、話は大きく変わってきます。遺言書(特に公正証書遺言)を作成する場合、士業に依頼したとしても、その範囲は、依頼者(遺言者)本人が、取得できる範囲と受遺者のものまでとなります。

(論点)戸籍の本人請求と職務上請求

3.職務で密接に関係すると言っても・・・


 相続登記をした配偶者の方が遺言書を作成するときに、戸籍の取得の依頼がありました。その時に、本人で取得できる範囲までであることを告げると、「先生、相続登記の時に、相続人全員の戸籍取得してくれたじゃないですか?」とおっしゃられましたが、職務内容が異なってしまいますので、上記範囲までの取得しか、職務上請求でも許されていません。職務で取得できる範囲があることを伝え、納得していただきました。


 行政書士として遺言書作成のご依頼を受任しても、行政書士の職務上請求書では、本人取得範囲までしか認められていません。依頼があれば制限なしに戸籍謄本や住民票を取得できるというわけではなく、依頼者が本人又は第三者として請求できるものを代わりに請求できるに過ぎません。依頼者の方が請求できないものは、いくら職務上請求でも取得することができません。職務上請求は、法令上万能ではありません。


 しかし、職務上請求を使うと、取得できてしまうケースがあります。ですので、権限外の取得や、興信所などに職務上請求を販売する事件が後を絶たないわけです。


※行政書士会では、職務上請求書購入の際、申請書類には「誓約書」「使用済みの職務上請求書」「研修(職務上請求に関する研修)の終了証」の添付を要求されます。

(論点)戸籍の本人請求と職務上請求

4.まとめ


 稀にですが、戸籍の取得のみの依頼があることがありますが、お断りするようにしています。戸籍の取得のみでは、根本となる職務ではないためです。それに、トラブルに巻き込まれることが、極めて高い確率で予想できるためでもあります。


 専門家である士業が、適切に職務上請求を使ってこそ意味があります。管理も当然必要なのですが、管理しやすくするために、職務上請求は、複数冊購入することもできますが、必ず1冊ずつ購入するようにしており、厳重に保管しております。


 以上のことからわかるように、独身の方で、ご兄弟の方に遺言書を作成される方の場合には、依頼者の方から、受遺者の方に戸籍等の取得のお願いをしていただいております。

(論点)成年後見人の遺産分割協議への参加

成年後見人の遺産分割協議への参加

相続人の中に成年後見人がついている場合、遺産分割協議について、当該相続人の法定代理人として、成年後見人が参加して行うことになります。成年後見人が遺産分割協議に参加するにあたり注意すべき点がいくつかありますので解説していきたいと思います。

目次

1.家庭裁判所の許可が必要か?

2.被後見人の利益を最優先

3.利益相反の回避

4.適切な専門家の助言

5.遺産分割協議書の作成と確認

6.透明性の確保

7.まとめ

成年後見人の遺産分割協議への参加

1.家庭裁判所の許可が必要か?


 成年後見人が判断能力を欠いている相続人(本人)に代わり、遺産分割協議に参加する場合は、家庭裁判所の許可は不要です。

 しかし、家庭裁判所と相談しながら本人の利益を守る観点から、協議内容に問題がないか判断した方が良いでしょう。判所の許可はいりませんが、事前に相談等をしておいた方が、後のトラブル回避にもつながります。

 なにより、後見人には善管注意義務があり、被後見人の権利を守ることが職務だからです。


 ただし、遺産分割を行った場合は、その結果を裁判所への定期報告の際に報告する必要があります。

成年後見人の遺産分割協議への参加

2.被後見人の利益を最優先


 先にも書いた通り、成年後見人には善管注意義務があります。

 そして、成年後見人の最も重要な役割は、被後見人の利益を保護することです。

 遺産分割協議においても、被後見人の権利や利益が最大限に保護されるようにする必要があります。適切な分割が行われるよう、注意深く協議内容を検討し、不利な条件を避けることが求められます。


 以上のために、「後見人は被後見人の法定相続分の財産を確保しなければいけない」ことになります。法定相続分は、成年被後見人の保証された権利ですので、その確保が求められるわけです。


 ですので、合理的な理由がない場合や、合理的な理由があっても裁判所が認めてくれない場合には、代理人として本人(被後見人)が法的に有する権利(法定相続分)を相続放棄したり、不当に少ない相続分で合意したりすることはできません。


3.利益相反の回避


 遺産分割協議には複数の相続人が関与するため、利益相反の問題が生じる可能性があります。成年後見人が他の相続人の利益と被後見人の利益との間で板挟みになることがないよう、利益相反を避けるための措置が必要です。必要に応じて、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てることも考慮すべきです。


 このような状況が生じるケースは、司法書士や弁護士が成年後見人ではなく、親族(相続人の一人)が、成年後見人になっている場合です。親族成年後見人の場合には、利益相反の注意が必要です。

成年後見人の遺産分割協議への参加

4.適切な専門家の助言


 専門家が成年後見になっている場合には、問題となることは少ないと思いますが、親族成年後見人の場合ですと、法律の知識が乏しいため、専門家のサポートを要することがあります。

 遺産分割の手続きは法的に複雑であるため、弁護士や司法書士などの専門家の助言を受けることが重要です。成年後見人が正確かつ適切に手続きを進めるためには、専門家のサポートが不可欠です。


5.遺産分割協議書の作成と確認


 遺産分割協議がまとまった場合、その内容を遺産分割協議書として文書化する必要があります。

 この文書には全相続人の署名と捺印が必要です。成年後見人は被後見人に代わって署名を行いますが、内容をしっかり確認し、被後見人に不利益がないようにすることが重要です。


6.透明性の確保


 遺産分割協議の過程および結果は、透明性を保つことが重要です。成年後見人は、被後見人や関係者に対して適切な説明を行い、協議内容が明確かつ公正であることを示す必要があります。


成年後見人の遺産分割協議への参加

7.まとめ


 成年後見人が遺産分割協議に参加する際には、被後見人の利益を最優先ることが不可欠です。また、利益相反の回避、専門家の助言の活用、協議書の適切な作成、透明性の確保が求められます。これらの注意点を踏まえ、慎重に手続きを進めることが重要です。


(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)

(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)

相続登記において、住所が異なるが、戸籍の附票で同一性を証明することが必要となります。生前贈与で持分を数回に分けて移転している方の相続登記にて、同一物件内で、住所表記が異なっている場合にはどのような影響が出るのか、解説したいと思います。


目次


1.不動産登記簿のシステム


2.相続登記の際の被相続人の登記簿との同一性


3.同一であることを確認できたとしても


4.まとめ

(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)

1.不動産登記簿のシステム


 法務省の不動産登記のシステムについて、「同一性(本人であることを判別)」を「氏名」と「住所」で見極めています。つまり、住所が異なるが、氏名は同じという場合、変更の登記をしておかなければ、同一人とはみなされないわけです。


 所有権を売買により第三者に移転する場合、その前提として住所・氏名を現状に合わせるために「変更登記」をしてから、売買による所有権移転登記がなされます。仮に、この変更登記を抜かした場合は、却下となってしまいます。決済の際には、特にこの点を調査し、変更登記が必要かどうかの判断をしなければなりません。

(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)

2.相続登記の際の被相続人の登記簿との同一性


 それでは、相続登記の場合にはどのように実務で行っているのかと言いますと、被相続人(登記簿の名義人で亡くなった方)の住所が現状と異なる場合には、前住所が登記簿上の住所ですと「住民票の除票」の添付で構いません。


しかし、登記簿上の住所が、前住所よりも前の住所である場合には、「戸籍の附票」を用いて、同一性の証明をすることになります。直近の相続については問題はないのですが、ずいぶん前に亡くなった方の相続登記をする場合、この「住民票の除票」も「戸籍の附票」も廃棄されてしまっている場合があります。


 この場合の対応として、「廃棄証明書」を取得し、同一性を証明する「住民票の除票」も「戸籍の附票」すでにないことを相続登記申請書に記載し、他の方法での同一性の証明をすることになります。


 ①住所と戸籍謄本に記載されている本籍の住所が同一である場合には、これだけで証明可能。


 ➁権利証の添付で、被相続人本人であることを証明可能。


 ③上申書を作成し、これに相続人全員が署名、実印による押印をして、全員の印鑑証明書を添付することで証明責任を免れます。


 上記の3つの手続きが必要となります。


 現住所が異なる場合で、住所のつながりを証明できない場合、被相続人の同一性を証明が、一つのポイントとなります。そして、この証明は、登記官の検査によりなされますので、書類がそろっていれば、相続登記は可能となるわけですが、住所を変更していない場合の問題点は、これ以外にもあります。

(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)

3.同一であることを確認できたとしても


 さて、相続登記の審査のために、被相続人の同一性を証する書面として「住民票の除票」または「戸籍の附票」が必要なことは、すでにお話しました。


 それでは、不動産登記システム上でも何も問題がないのかと言いますと、場合によっては弊害が出てきます。


 所有権全部の移転や同一の住所で登記されている持分を相続人に相続させる場合には問題とはなりませんが、例えば、1筆の土地を戦前の相続対策で、一部移転を複数回実施しており、その間に住所が変わったにもかかわらず、過去の住所の変更をしなかった場合に、問題が起こります。


 それは、「登記の目的」が、単純な「所有権移転」や「○〇持分全部移転」とはならず、「○〇持分全部移転(順位番号3番の持分)及び○〇持分全部移転(順位番号4番の持分)」という表記になってしまいます。


 これは、登記官の審査で同一性が証明できたとしても、システム上では、住所が変更されていなければ、別人と扱われてしまうためです。



4.まとめ


 以上、所有権などの登記名義人が、住所・氏名が変更になった場合には、変更登記をすることで、上記のような問題を防ぐことができます。登記簿を見た方が、「先生、何かミスったの?」と言われる場合がありますので、書類の返却の際には、必ず、ご説明をさせて頂いております。


 また、2026年4月までに、「住所や氏名の変更」があったときも、2年以内に変更登記をしなければ、「5万円以下の過料」を課せられます。


 アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)

 また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)
(論点)不動産登記(同一物件の登記簿中で住所が異なる同一人物の取り扱い)

(論点)相続対策としての「一時払い終身保険」活用

相続対策としての「一時払い終身保険」活用

一時払い終身保険(生命保険)(契約者は亡くなった被相続人とする)は法律上では、相続財産を生命保険に切り替え、相続人の一人に受取人指定すれば、相続財産から外すことができます。一方、税務の面では、生命保険は「みなし相続財産」として取り扱われるため、控除枠(法定相続人×500万円)を除いた残りが相続財産となります。

生命保険の活用は、比較的メジャーですので、注意点についてお話ししたいと思います。


目次


1.どんな生命保険が相続対策として活用できるのか

2.受取人は誰が一番いいのか

3.まとめ(体験談含む)

相続対策としての「一時払い終身保険」活用

1.どんな生命保険が相続対策として活用できるのか


 被相続人が保険金を支払っている契約者であり、保障の対象となる被保険者である場合、保険金の受取人が「妻」や「子」である(相続人)ときには、亡くなった場合にみなし相続財産の非課税枠を利用することができます。


 注意しないといけない点は、その生命保険の契約の内容です。若いころから入っている生命保険があると思われている方もいるかもしれませんが、多くの場合「定期付終身保険」の可能性があります。「定期付終身保険」とは、3000万円の保険金となっていても、100万円の終身保険(主契約)に2900万円の定期保険(特約)が組み合わされた保険で、一定の年齢を超えてから亡くなると主契約の100万円分しか受け取れない契約になっていて、非課税枠を十分に活用できない可能性があります。


 保険会社に現状の保険の契約内容を必ず確認しておくようにしましょう。


 これから契約をしようとしている方も、終身保険の金額と自身の推定相続人の数を把握して、税理士などの専門家と相談しながら進めるといいかもしれません。

相続対策としての「一時払い終身保険」活用

2.受取人は誰が一番いいのか


 前提として「契約者」と「被保険者」が被相続人(夫)である場合のケースで考えていきます。※被保険者が妻(配偶者)の場合などにつきましては、複雑化しますので、税理士に確認をするようにしてください。


 ①配偶者(妻)を受取人とした場合

  配偶者は、必ず相続人にカウントされるため生命保険の非課税枠は当然使うことができます。しかし、相続税申告をする際に配偶者控除枠1億6千万円を使うことができるため有効活用できるかというと微妙かもしれません。なぜなら、2次相続でこの保険金が、配偶者の遺産となるからです。


 ➁子供を受取人とした場合

  一番効果が出るケースです。


 ③孫を受取人とした場合

  子供が存命の場合、生命保険の非課税枠は利用できません。代襲相続や養子となっている場合では、非課税枠を利用できるケースもあります。


 厄介なのが、子供が存命で孫を受取人とした場合、相続税額2割が加えられて計算されるという仕組みが適用される場合があります。この辺につきましては、税理士にご相談ください。

相続対策としての「一時払い終身保険」活用

3.まとめ


 生命保険を活用した相続対策を考える場合には、まずは、生命保険の契約内容について確認をすること。契約内容が主契約の終身保険の額ではなく、特約の額が多い場合には、相続税対策には効果が薄い場合があります。


 次に、受取人を誰にするのかという点。保険に加入する際に、妻が受取人でないことで文句を言うケースもあるようですので、なぜ妻(配偶者)にしないのかについては、専門家の税理士などを交えて、しっかりと事前に話し合いをしておく必要があると思います。


 実際にあった話として、とある証券会社に相続手続きで解約した後、管理口座にまとまった金額の預金ができました。まだ、相続税の支払いも終わっていないのに、営業を配偶者にかけて生命保険契約を締結させようとしました。事前にご相談がありましたので、相続税の支払いで現金が足りない場合、生命保険を解約しないといけない状況となることが考えられ、この場合の解約返戻金は、元本割れを起こします。相続税を支払ったのちに考えても遅くはないことを説明し、専門家の立場ではなく、人として、その証券会社は、あなたのことなどどうでもいいと思っていることを伝えました。ひどい話ですよね。


 相続対策が必要な場合、税理士を含めた無料相談でじっくり説明し、一時払い終身保険の活用などの対策が必要な場合、知り合いに保険会社の方がいない場合には、こちらからご紹介しております。勿論、紹介料などの費用は掛かりません。単に保険会社の方を紹介するだけです。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。

こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

令和6年4月1日から、不動産登記で追加された項目

令和6年4月1日から、不動産登記で追加された項目

令和6年4月1日に施行されたのは、相続登記義務化だけではありません。不動産登記において、所有権の登記名義人について、任意・必須項目が追加されています。その内容について、解説したいと思います。


目次


1.旧姓の併記


2.会社法人等番号


3.外国人名のアルファベット表記


4.まとめ

令和6年4月1日から、不動産登記で追加された項目

1.旧姓の併記


 不動産登記規則等の一部を改正する省令(令和6年法務省令第7号)により、現在の所有権の登記名義人の氏名に旧氏を併記することができるようになりました。結婚等により、姓が変わった方が所有者の場合、旧姓の氏名もカッコで表記できるようになりました。


(表記)


 権利部(甲区)


 順位番号  登記の目的  受付年月日・受付番号 権利者その他の事項


  1    所有権移転  年月日第〇号     香川県高松市番町一丁目1番1号


                          香川 髙子


                         (讃岐 髙子)


 ただし、旧姓表記ができる所有者である登記名義人の要件があります。それは、


「旧氏は現在の所有権の登記名義人の氏名にのみ併記することができ、これ以外の者は、旧氏併記の対象とはなりません。


また、日本の国籍を有しない者については、旧氏を併記することはできません。」


 申出をすることができる場合として


「次の(1)及び(2)の登記を申請する場合に、それぞれに定める者が当該登記の申請人である場合には、登記官に対し、その一の旧氏を申請情報の内容として、当該旧氏を登記記録に記録するよう申し出ることができます(※)。(規則第158条の34第1項)


※併記したい旧氏が登記される氏と同一である申出をすることはできません。


 また、次の(1)及び(2)に定められた方以外の方が申し出ることはできません。


(1) 所有権の保存若しくは移転の登記、合体による登記等(不動産登記法(平成16年法律第123号)第49条第1項後段の規定により併せて申請をする所有権の登記があるときに限る。)又は所有権の更正の登記(その登記によって所有権の登記名義人となる者があるときに限る。) 所有権の登記名義人となる者


(2) 所有権の登記名義人の氏についての変更の登記又は更正の登記 所有権の登記名義人


  ※名前や住所のみの変更の登記の申請と併せて申出をすることはできません。」


(法務省HP引用)


 つまり、所有権を取得した者が、所有権保存・所有権移転登記等を行うときや、氏名の変更が生じたときのみにしかできません。例えば、すでに今の姓で登記がなされている場合に、住所変更のみ生じ、住所変更の登記を申請する場合は、同時に旧姓の登記をすることはダメということを言っています。


(登記申請例)


登記の目的 所有権移転


原 因 令和○年○月○日売買


権 利 者 ○○市○○町一丁目5番6号


法 務 太 郎( 登 記 太 郎


義 務 者 ○○郡○○町○○34番地


    甲 野 花 子


添付情報 登記識別情報(登記済証) 登記原因証明情報


代理権限証明情報 印鑑証明書 住所証明情報


旧氏を証する情報


登記識別情報(又は登記済証)を提供することができない理由 □不通知 □失効 □失念 □管理支障 □取引円滑障害 □その他( ) □登記識別情報の通知を希望しません。 令和○年○月○日申請 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)


(以下省略)

令和6年4月1日から、不動産登記で追加された項目

2.会社法人等番号


 令和6年4月1日から、所有権の登記名義人が法人であるときの所有権の登記の登記事項として法人識別事項が追加されました。この理由としては、法務省から以下の通り説明があります。


①所有権の登記名義人である法人の識別性が向上。


➁令和8年4月1日からは、所有権の登記名義人が会社法人等番号を有する法人であって、その会社法人等番号が所有権の登記に記録されているときは、会社法人等番号を検索キーとして、商業・法人登記システムの情報に基づき、登記官が職権で法人の名称又は住所の変更の登記をすることが想定されていため。


とされています。







(法人識別事項申出書の例)


申出の目的 ○番所有権変更


法人識別事項証明情報 会社法人等番号 1234-56-789012


申 出 人 ○○市○○町一丁目34番地 法務商事株式会社


    代表取締役 法 務 太 郎


添付情報 法人識別事項証明情報(会社法人等番号がある法人に関しては、なしとなります) 代理権限証明情報


令和○年○月○日申出 ○○ 法務局(又は地方法務局)○○支局(又は出張所)


(以下省略)


 ここで、「法人事項証明情報」とは何かといいますと、「民法等の一部を改正する法律により、令和6年4月1日から、所有権の登記名義人が法人であるときの所有権の登記の登記事項として、会社法人等番号その他の特定の法人を識別するために必要な事項(以下「法人識別事項」といいます。)が追加されました。」とあります。すでに閉鎖されている法人の場合には、会社法人等番号を確認することができる閉鎖事項証明書又は閉鎖登記簿謄本を提供する必要があります。

令和6年4月1日から、不動産登記で追加された項目

3.外国人名のアルファベット表記


 外国人を所有権の登記名義人とする登記の申請の際(※1)には、ローマ字氏名(氏名の表音をアルファベット表記したもの)を申請情報として提供する必要があります。また、添付情報として、ローマ字氏名を証する情報(※2)を提供する必要があります。ただし、代位により登記を申請する場合その他の登記名義人となる者等以外の者が登記を申請する場合において、登記名義人となる者等が住民基本台帳に記録されていない外国人であるためローマ字氏名を証する情報の提出が困難であるときは、例外的にローマ字氏名を申請情報として提供しないこととして差し支えありません。


(法務省HP引用)


例外の代位登記によりアルファベットが住民基本台帳に乗っていないなどの理由がある場合のみ、アルファベット表記のみでもよいというもので、原則、カタカナ表記(アルファベット表記)という形で申請するようになります。


(登記申請書の例)


登記の目的 所有権移転


原 因 令和○年○月○日売買


権 利 者 ○○市○○町一丁目5番6号


ジョン・スミス(JOHN SMITH) 義 務 者 ○○郡○○町○○34番地


義 務 者  甲 野 花 子


添付情報 登記識別情報(登記済証) 登記原因証明情報 代理権限証明情報 印鑑証明書 住所証明情報 ローマ字氏名証明情報


※ローマ字氏名証明情報について、具体的には、「住民票の写し(ローマ字氏名が記載されているものに限ります。)」


4.まとめ


 今回ご紹介した不動産登記についての変更点について、1.旧姓の併記は「任意」ですが、2.会社法人等番号と3.外国人のアルファベット表記については、「必須」事項となります。


 今後、不動産登記で所有権が法人もしくは外国人に移転する場合には、注意が必要となります。

(論点)外国在住者の相続放棄

(論点)外国在住者の相続放棄

最近、外国在住者の方からの相談も増えてきました。その中で、「相続放棄」の手続きを外国からでもできるのかといった質問がありました。手続き自体はできるのですが、相続放棄には期間制限があります。被相続人の所在地の家庭裁判所に申述することになるのですが、提出する書類を集めるのも一苦労します。今回は、外国在住の日本人の相続放棄について、解説したいと思います。


目次


1.相続放棄とは


2.相続放棄に必要な書類


3.どの士業にお願いするのが良いのか?


4.まとめ

(論点)外国在住者の相続放棄

1.相続放棄とは


 相続放棄は、相続人が被相続人(亡くなった人)の財産を受け取らない決定をする法的手続きです。これにより、相続人は財産だけでなく、負債やその他の義務も放棄します。相続放棄を選択する理由として、被相続人の負債が多いために相続することが不利と考えられる場合や、特定の家庭内事情がある場合などが挙げられます。


①相続放棄の手続き


 ㋐家庭裁判所への申述:


  相続放棄をするためには、被相続人が亡くなったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。


 ㋑必要書類:次項で記載します。


 ㋒相続放棄の申述に関する照会書の送付:


  照会書とは、今回の申述について、申述者の相続放棄の意思の確認と背景状況などを確認するために送付されます。内容が不明瞭や裁判所が確認したい事項がある場合、出頭を求められる場合がありますので、返答に関しましては専門家と相談したほうがいいです。


※原則、相続放棄は書面のやり取りで完結する手続きですが、家庭裁判所へ出頭を求められる場合もあります。


 ㋓申述の結果通知:


  申述書が受理されると、家庭裁判所から相続放棄が認められた旨の通知が送られてきます。


➁相続放棄の効果


 ㋐全面的な放棄:


  相続放棄をすると、その相続人は被相続人の財産や負債を一切引き継がなくなります。


 ㋑後順位相続人への影響:


  相続放棄が認められると、次順位の相続人に相続権が移行します。例えば、配偶者が相続放棄をすると、子供に相続権が移ります。


③注意点


 ㋐相続放棄の取消:


  原則として、一度認められた相続放棄は撤回できません。ただし、詐欺や脅迫による相続放棄は例外として認められる場合があります。


 ㋑限定承認との違い:


  相続放棄は財産も負債も一切引き継がないのに対し、限定承認は相続した財産の範囲内で負債を返済することを条件に相続を承認する手続きです。

(論点)外国在住者の相続放棄

2.相続放棄に必要な書類


(配偶者・第1順位の相続人の場合)

 ①申述人の戸籍謄本


 ➁被相続人の戸籍謄本 (申述人と同一の戸籍の場合 不要)


 ③被相続人の住民票除票又は戸籍附票


 ④第1順位の相続人が孫の場合は,孫の親(被相続人の子)の死亡がわかる戸籍謄本も必要


 ➄収入印紙 800円分 切手 84円×2枚(本人の持参による提出の場合は, 84円×1枚)


 ※切手の必要額と枚数については、事前に管轄の家庭裁判所に確認を取ってください。


 ⑥海外在住者の場合、在留証明書及びサイン証明(署名証明)も必要

※上記ケース以外の必要書類につきましては、裁判所HPを参照してください。

(論点)外国在住者の相続放棄

3.どの士業にお願いするのが良いのか?


 相続放棄は、特に負債が多い場合や家庭内での複雑な事情がある場合に有効な手段です。しかし、手続きには法律的な知識が必要となるため、弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。


 戸籍等の取得に関しましては、司法書士も弁護士も「職務上請求」により取得が可能です。


 今回の前提である、海外在住の日本人の相続放棄の手続きについて考えますと、時間的な余裕があり、ある程度ご自身で行える知識があれば、費用面で見れば司法書士でも構わないと思いますが、司法書士には、裁判所とのやり取りの「代理権」がありませんので、申述書提出後の照会書の受け取り等につきましては、行うことができません。申述書を提出した後、照会書の受領や結果の受領の代理までお願いしたい場合には、費用は掛かりますが、弁護士にやってもらった方がいいと思います。


4.まとめ


 外国在住の日本人の方が相続放棄をする場合、戸籍等の取得については、司法書士・弁護士でも問題ありませんが、家庭裁判所とのやり取りを代理してもらう場合には、弁護士の方がいいです。ただし、費用は司法書士にお願いする場合よりもかかります。司法書士にお願いする場合、家庭裁判所とのやり取りは、ご本人で外国からのやり取りとなります。相続放棄は、相続を知ってから3ケ月です。時間的なゆとりがない場合には、弁護士に代理していただくのがいいと思います。

(論点)遺産分割協議書の実印押印と印鑑証明書

(論点)遺産分割協議書の実印押印と印鑑証明書

先日、遺産分割協議書を作成し署名と実印による押印を実施したのですが、印鑑証明書と照合すると、明らかに印影がかけた状態のものがありました。

他の書類も確認したのですが、すべて印影の丸枠のほとんどが出ていない状態でしたので、実印の現物を確認すると、完全に欠けている状態でした。

このような場合、どのような対応をすればいいのか、実体験をもとにお話をいたします。


目次


1.登録する印鑑の印影の制限(香川県高松市役所)

2.印鑑がかけている場合の対応

3.まとめ

(論点)遺産分割協議書の実印押印と印鑑証明書

1.登録する印鑑の印影の制限(香川県高松市役所)


これは、私が香川県の高松市役所HPの内容と、今回の事案の問い合わせについての話をしたいと思います。


香川県高松市役所での取り扱い


  まずは印鑑を登録できるのは、高松市に住民登録がある15歳以上の方

   ※意思能力のない方は、印鑑登録をすることができません。

  ※成年被後見人の方は、本人が窓口にお越しになり、法定代理人(成年後見人)が同行している場合に限り、申請することができます。

  そして、登録できる印鑑は一人1つです。

  住民票に旧姓(旧氏)併記を申請し、記載された方は、旧姓(旧氏)でも印鑑登録ができます。


  一方で、登録できない印鑑については、

①住民登録している氏名と異なるもの

➁職業、資格など、氏名以外の事項を表しているもの

③自己流のくずし文字、極端な図案化などで、本人の氏名を表してないもの

④印影の大きさが、一辺の長さ8ミリメートルの正方形に収まる小さなもの

➄印影の大きさが、一辺の長さ25ミリメートルの正方形に収まらない大きなもの

⑥ゴム印など変形しやすいもの

輪郭がないもの又は30%以上欠損しているもの

⑧竜紋や唐草模様等を外郭としたもの

⑨押印すると文字が白くなるもの(逆さ彫り印)

⑩同一世帯内の方が既に登録しているもの

 ※⑦輪郭が仮に20%あれば登録できるのかと言いますと、高松市役所では、登録を控えていただくように話をしているようです。(問い合わせで確認)

(論点)遺産分割協議書の実印押印と印鑑証明書

2.印鑑がかけている場合の対応


高松市への問い合わせで、輪郭部分がかなりかけた印鑑でしたので、かけた状態での登録はできないと言われました。

そこで、印鑑屋に同行し、新たに印鑑を購入いただき、その足で市役所窓口に行き、買った印鑑を登録し印鑑証明書を取得しました。


 本人が行った場合、数十分で印鑑証明書まで発行されますが、本人以外の代理人の場合、

「登録者ご本人宛に郵送による照会をしますので、登録までに1週間程度かかります。窓口には、申請時と回答書持参時の2回、お越しいただくことになります。」

とのことで、すぐに印鑑証明書を取得することはできません。注意が必要です。

(論点)遺産分割協議書の実印押印と印鑑証明書

3.まとめ


 相続で必要となる添付書類である遺産分割協議書には、実印で押印の上、印鑑証明書を添付します。もちろん、印影と実印が異なる場合には、相続登記はできません。


 ご高齢になられ、「もう必要ないだろう」と、実印がかけたままにされている方もいらっしゃるようですが、相続は、いつ発生するかわかりません。

 かけた実印を所有されている方は、お元気なうちに印鑑登録のやり直しをすることをお勧めいたします。高松市では、ご本人以外の方が印鑑の登録をやり直す場合、1回の来訪ではできなくなっております。

(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

令和6年4月1日に施行された「相続登記義務化」ですが、猶予期間3年以内に相続登記を正当な理由なく放置した場合、最大10万円以下の過料を科されます。それでは、その「正当な理由」とは何なのか、また、正当な理由に該当しない場合の回避方法を解説いたします。もちろん、相続登記を早期に済ませておけば、過料の対象とはなりませんが。


目次


1.相続登記義務化とは


2.相続登記義務化の過料が科される場合


3.相続登記義務化の過料を免れる場合


4.3の場合に該当しない場合に過料を回避する方法


5.まとめ

(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

1.相続登記義務化とは


 相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行) 相続により(遺言による場合を含みます。) 不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。


 また、遺産分割協議の成立により、不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならないこととされました。(法務省HP引用)


2.相続登記義務化の過料が科される場合


 正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。

(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

3.相続登記義務化の過料を免れる正当事由とは


 ※正当な理由の例


 (1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース


 (2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース


 (3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース


 (4)経済的に困窮している場合


 などが挙げられています。

4.3の場合に該当しない場合に過料を回避する方法


「相続人申告登記」を法務局に申請することで過料は回避することができます。


 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。


 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。


(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

 この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。


 この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、当該不動産を売買で処分することはできませんので、注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。

(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

5.まとめ


 最近の法律相談で相続登記義務化についてのご質問が増加してきておりますので、今回、過去の記事からの抜粋で「過料の回避方法」にスポットを当てて解説いたしました。


 また、相続登記を受任して調査すると、複数世代にわたって相続登記をしていない建物のケースが10件に3件ほどありました。未登記の建物は、役所に届出をすればいいのですが、そもそも建物を新築する場合には、1か月以内に表題登記をしなければならないと規定されているため、厳密にいえば違法状態だといえます。表題登記のみの建物も散見されるのですが、相続人の調査が膨大になり、そのままになっているケースもありました。


 今後、おそらくこのような建物も対象になってくる可能性があるかもしれませんね。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。

こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)
(論点)相続登記義務化(過料を免れる「正当な理由」とは)

(論点)兄弟姉妹が相続人の場合

(論点)兄弟姉妹が相続人の場合

被相続人に配偶者・子が無く、すでに両親も他界しているため、兄弟姉妹に相続が発生してしまっている場合、遺産はどのように分ければいいのでしょうか。

相談者の方が、積極的に亡くなった方の身の回りの世話をしていて、他の相続人が何もしていなかった場合、世話をしていた相続人は多く遺産をもらえるのか?遺留分は考慮しないといけないのか?

解説していきたいと思います。


目次


1.兄弟姉妹への相続

2.寄与分制度

3.遺産分割協議をするにあたり

4.まとめ

(論点)兄弟姉妹が相続人の場合

1.兄弟姉妹への相続


まずは、相続人の順位を見ていきたいと思います。

配偶者がいる場合、この方は常に相続人となります。

そして、血族相続人とその順位は、第1順位(子又はその代襲相続人)、第2順位(直系尊属)、第3順位(兄弟姉妹又はその代襲相続人)。

ここで注意したいのは、血族第1順位の子の代襲相続人と、第3順位の兄弟姉妹の代襲相続人の範囲が異なる点です。


 ①子の代襲相続人 被代襲者の子であること。被相続人の直系卑属であること。

 ➁兄弟姉妹の代襲相続人 被相続人の子であること。

つまり、子の代襲は再代襲があり、兄弟姉妹の代襲相続人には再代襲はありません


 また、法定相続分も変化します。

 ①配偶者・子 各2分の1

 ➁配偶者・直系尊属 配偶者3分の2 直系尊属3分の1

 ③配偶者・兄弟姉妹 配偶者4分の3 兄弟姉妹4分の1


上記は配偶者がいた場合ですが、いない場合、各順位ごとの相続人間で人数分の按分となります。

ただし、代襲相続人が複数人いる場合は、被代襲相続人の法定相続分を代襲相続人の人数で除した数でさらに按分します。


今回の相談では、亡くなった方の兄弟が4名おり、今回の相談者以外の方たちはすでに亡くなっていて、甥姪が複数人いるとのことでした。

この時点で、相談者が受け取れる法定相続分が4分の1であることを説明しました。


その時に、「私は、〇〇さんを亡くなるまで世話してきたが、他の兄弟は全く寄り付かなかった。亡くなった本人も全部私にくれると言っていた。だから、私が多く遺産をもらうということはできないか?」との質問を受けました。

(論点)兄弟姉妹が相続人の場合

2.寄与分制度


寄与分制度は、被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人が、その貢献に応じて相続分を増やすことができる制度です。以下に寄与分制度の主要なポイントを説明します。


①寄与分の要件


(1)特別の寄与:

寄与分を主張するためには、相続人が被相続人の財産の維持や増加に特別な寄与をしたことが必要です。一般的な扶養や介護の範囲を超えた貢献が求められます。


(2)寄与の種類:

寄与の具体的な例としては、以下のようなものがあります。


㋐被相続人の事業に対する労務提供

㋑被相続人の事業に対する財産提供

㋒被相続人の療養看護

㋓その他、被相続人の財産の維持・増加に特別な寄与をした行為


➁寄与分の算定方法

寄与分は、被相続人の財産全体の中で寄与の程度に応じて算定されます。具体的な額や割合は、相続人間で協議して決定しますが、協議が成立しない場合は家庭裁判所が決定します。


③寄与分の効果

寄与分が認められると、その分だけ他の相続人の相続分が減少します。寄与分は被相続人の遺産全体に対して加算されるため、寄与者の取り分が増加します。


④寄与分を主張する手続き

協議:まず、相続人間で寄与分について協議を行います。協議が成立すれば、その合意に基づいて遺産分割を行います。

家庭裁判所への申し立て:協議が成立しない場合、家庭裁判所に寄与分の申し立てを行うことができます。家庭裁判所は、寄与の程度や具体的な事実を基に寄与分を判断します。


⑤注意点

寄与分の請求期間:相続開始後に一定の期間内に寄与分を主張しないと、その権利が消滅する場合があります。具体的な期間は法律で定められていますので、早めの対応が必要です。

証拠の収集:寄与分を認めてもらうためには、特別の寄与を立証する証拠が必要です。例えば、被相続人の事業への貢献を示す書類や証言などを準備することが重要です。

※証拠があっても、具体的な金額として寄与していなければ認められるのは困難です。


寄与分制度は、相続人が被相続人に対して特別な貢献をした場合、その貢献を公正に評価するための制度です。

通常の寄与では足りません。なぜなら、法定相続分で報われていると判断されるためです。


3.遺産分割協議をするにあたり


寄与分の話をした時に、相談者の方は、かなり落胆されていました。

しかし、相続の権利者は、法定相続人すべてにありますので、この点については納得していただきました。そして、現在凍結されている被相続人の預金の解除をするためには、「遺産分割協議書」が必要であることを説明しました。

先ほどの寄与分の話から、遺産分割協議は相続全員でするものであり、協議が成立しなければ預金も凍結されたままになってしまうことを説明し、他の相続人たちの様子を見て、今までの事情をはなしをして、自身の相続分について意見をもらうようにしてみてくださいとアドバイスをいたしました。


(論点)兄弟姉妹が相続人の場合

4.まとめ


今回のケースでは、「遺言書」があれば、全額今回の相談者の方が遺産を取得できたケースです

「遺留分」があるから、全部は無理なのでは?とお思いになる方もいるかもしれませんが、「遺留分」を主張できるのは、配偶者・子・直系尊属のみで、兄弟姉妹には主張することができません。

遺産を全部上げるという言葉だけではなく、「遺言書」という形で残しておかなければ、法的な効力は生まれません。


生前の相続相談を専門家にしておく意味は、十分に感じられるケースでした。



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身元保証サポートサービスを家族がいる方が利用した場合

身元保証サポートサービスを家族がいる方が利用した場合

相談の中に、「身元保証サポート」を家族の一人が利用したばかりに、おかしなことになっているというものがありました。以前、身元保証サポートの問題点として、「亡くなった後の遺産がサービス提供者へ渡っている」点を指摘していましたが、今回は、ご家族がいるのに、何らかの原因で身元保証サポートを利用するとどのようなことが起こるのか、お話したいと思います。


目次


1.法定代理人とは


2.身元保証サポートのサービス内容


3.今回の相談で問題となったこと

身元保証サポートサービスを家族がいる方が利用した場合

1.法定代理人とは


 法定代理人(ほうていだいりにん)とは、法律によって特定の人(被代理人)のために代理権を付与され、その人の法律行為を代行する権限を持つ者のことを指します。これは、未成年者や成年被後見人など、自己の意思で法律行為を行うことが難しい人々を保護するための制度です。


(法定代理人の役割と権限)


法定代理人は、被代理人に代わって契約を結ぶなどの法律行為を行います。これにより、被代理人の権利や利益を保護し、適切な意思決定が行われるようにします。具体的な役割や権限は、代理人の種類や被代理人の状況によって異なります。


(法定代理人の種類)


①親権者


未成年者の法定代理人として、親権者(通常は両親)がその役割を担います。親権者は、子供の財産管理や法律行為を行う権限を持ちます。


➁未成年後見人


親が亡くなった場合や親権を失った場合、裁判所によって選任される未成年後見人が法定代理人となります。未成年後見人は、未成年者の生活や財産の管理を行います。


③成年後見人


成年後見制度に基づき、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な成人のために選任される法定代理人です。成年後見人は、被後見人の財産管理や日常生活の支援を行います。


(法定代理人の選任方法)


法定代理人は、法律や裁判所の決定に基づいて選任されます。親権者は通常は自動的に法定代理人となりますが、未成年後見人や成年後見人は、家庭裁判所によって選任されます。


(法定代理人の責任)


法定代理人は、被代理人の利益を最優先に考えて行動する義務があります。これには、被代理人の財産を適切に管理し、不利益を避けるよう努める責任が含まれます。法定代理人がこの義務を怠った場合、被代理人やその関係者から責任を追及されることがあります。


まとめると、法定代理人は、法律によって代理権を付与され、自己の意思で法律行為を行うことが難しい人々を保護するために、重要な役割を果たします。親権者、未成年後見人、成年後見人などの法定代理人は、それぞれの状況に応じて被代理人の利益を守り、適切な意思決定を行う責任を負っています。

身元保証サポートサービスを家族がいる方が利用した場合

2.身元保証サポートのサービス内容


身元保証サポートサービスは、主に高齢者や身寄りのない人、障害者などが安心して生活できるように、様々なサポートを提供するサービスです。このサービスは特に、日本において高齢化社会が進む中で重要性が高まっています。以下は、一般的な身元保証サポートサービスの内容です。


① 住居の保証


賃貸契約の保証: 賃貸住宅を借りる際に、保証人がいない場合に身元保証サービスが代わりに保証人となります。


施設入居の保証: 老人ホームや介護施設に入居する際の保証も提供されます。


➁医療機関での保証


入院時の保証: 病院に入院する際に必要な保証人となります。これにより、家族が遠方にいる場合や身寄りがない場合でも安心して医療を受けることができます。


医療費の支払い保証: 入院中の医療費や治療費の支払いを保証します。


③生活サポート


日常生活の支援: 買い物の代行や通院の付き添い、日常的な手続きのサポートなど、生活の質を向上させるための支援を提供します。


緊急時対応: 緊急事態が発生した際の連絡先となり、迅速に対応します。


④財産管理


財産の管理: 高齢者や障害者の財産を適切に管理し、不正利用を防止します。


遺言執行: 被サービス者が亡くなった後の遺言の執行や財産の整理を行います。


➄介護サポート


介護サービスの手配: 必要に応じて、介護サービスの手配や調整を行います。


介護計画の作成: 個々のニーズに応じた介護計画を作成し、適切な介護を受けられるよう支援します。


⑥法的手続きのサポート


契約書の作成と確認: 賃貸契約やサービス契約の作成と確認を行います。


法的代理: 必要に応じて、法的代理人として各種手続きを代行します。


⑦見守りサービス


定期的な連絡: 定期的に電話や訪問を行い、被サービス者の安否を確認します。


緊急通報システム: 緊急時に迅速に対応できるよう、通報システムを設置します。


 以上のように、身元保証サポートサービスは、特に高齢者や身寄りがない人々にとって、安心して生活するための強力なサポートを提供します。住居の保証や医療機関での保証、日常生活の支援、財産管理、介護サポート、法的手続きのサポート、見守りサービスなど、多岐にわたる支援を通じて、被サービス者が安全で快適な生活を送れるようにします。

身元保証サポートサービスを家族がいる方が利用した場合

3.今回の相談で問題となったこと


 身元保証サポートのサービス内容として、生前の財産管理・身上監護、死後の事務委任・遺言執行などが挙げられます。生前のサポートを実現するために「任意後見契約」を締結します。つまり、サービス提供する業者が「法定代理人」となって、財産管理・身上監護を行うことになります。


 そのために、ご家族がいる被後見人の場合、被後見人の病状などの意思の説明義務は、状況にもよると思うのですが、ご家族ではなく法定代理人となり、財産管理のため通帳等は業者が管理することになります。当然、これらの管理の監督は、最終的に家庭裁判所が関係することになりますので、定期的な報告を法定代理人は求められることになります。


 詳しい内容は言えませんが、ご家族に起こった不測の事態で家族が混乱している時に、(この部分は、私の推測)本人が不安になって、あることは話を盛って、ない話も付け加え悪い推測の上で、介護施設関係者等 に話をしたために、介護施設関係者等 が事実確認をご家族にしたが、連絡も取れず、結果、話だけが進み、家族の問題が解決したときは、医師からの話も聞けず、ご本人の通帳等も返却してもらえない状況になっているという話でした。


※契約段階で、本人とご家族での話し合いがあれば、このような事態は起こらないのですが、「虐待」等の危険性を施設側が判断した場合には、このような事態になることもあります。


 ここで言えることは、関係者皆に非がありますが、誰も責めることはできない点です。


 司法書士では、これらのトラブルについて介入することはできません。弁護士を通じて、業者と話し合い、契約の解除をするしか方法はない旨お話をさせて頂きました。


 高齢者の方は、普段と状況が異なると不安になり、一人の場合特に、悪方向に物事を考えてしまう傾向があります。以前施設介護の施設長をしている時も、この類の話はよくありました。定期的に行っている訪問や、連絡については、できる限り、続けるようにすることが、誤解を招かない方法だと考えます。コミュニケーションが不安定になったとき、同じようなことが起こるかもしれませんからね。

相続登記をしないと起こること

相続登記をしないと起こること

令和6年4月1日から相続登記義務化が施行されました。

それまでは任意だった相続登記なのですが、相続登記をしないとどうなるのでしょうか。

事例を交えながら、わかりやすく解説していきます。


目次


1.相続登記義務化とは

2.相続登記をしないとどうなる

3.相続登記義務化の過料だけじゃない

4.まとめ

相続登記をしないと起こること

1.相続登記義務化とは


2024年4月1日より、「相続登記義務化」が始まりました。

いままで、相続登記は義務化されていませんでした。それにより、東日本大震災後の復興の際、所有者が不明の土地があるため、復興作業が難航したということがあり、法改正も含め、「相続登記義務化」の検討が始まりました。義務化という言葉通り、罰則が存在します。


「(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。


(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。


(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。」法務省HP引用

相続登記をしないと起こること

2.相続登記をしないとどうなる


今回の相続登記義務化における法律の改正では、相続登記義務化に対する罰則は、10万円以下の過料となっています。


「なんだ、10万円払えばいいんじゃないの。」と思われるかもしれませんが、そういうわけにはいきません。


また、「相続人申告制度」という制度があり、こちらをすることで過料を免れることはできますが、「相続登記をしないこと」の問題点は、過料だけではありません。

相続登記をしないと起こること


3.相続登記の問題は義務化の過料だけじゃない


相続登記をしないということは、当該不動産の名義人が亡くなった方のまま放置されるということを意味します。放置している間に相続が数次的に発生した場合、現行の民法では、相続人と数次相続が発生した方たちの相続人も権利関係者となります。東京近郊の空き家の相続関係者が100人にも上るという記事を見かけたことがあります。この100人の権利者間で、法定相続分で相続登記を行うか、遺産分割協議をして相続人の一人に不動産を帰属させて、相続登記はできません。


それでは、相続登記をしないとどうなるのかと言いますと、その朽ち果てた建物を処分できません。共有の問題で、処分行為をする場合には、共有者全員の同意を要するからです。


これらのことが面倒だからと言って、放置していた場合、さらに深刻な問題が発生いたします。それが「所有者責任」です。

不動産に限らず、ものを所有するということは、その管理責任は所有者にあります。しかも「無過失責任(過失があろうとなかろうと責任を負うことになる)」です。不動産を相続登記せずに放置した場合、老朽化や管理不全のために放置された状態であったために、第三者が不利益を被った場合、と書くと難しくなりますので、例えば、管理ができていなかった家の外壁が崩れて、誰かが死傷した場合、その責任を所有者が負うということです。名義人が既に死亡していた場合も、その相続人が責任を負うことになります。相続というのは、亡くなったからの権利義務をすべて引き継ぐからです。


こういった問題が常に付きまとう状況となりますので、やはり相続登記は早めに行い、使わない不動産は、早期の処分を行うことをお勧めいたします。


4.まとめ


相続登記義務化に関して「しないとどうなる」という観点からお話をさせて頂きました。相談者の方も、罰則である「過料」についてよくご存じなのですが、「所有者責任」を知っている方は、ほとんどいません。相続登記を放置して、自身がまだ済んでいる状態なら管理もできると思いますが、すでに相続人と別居していて、戻ってくる予定もないような場合ですと、相続登記が未了の場合、処分ができませんので、早急に相続登記をして、家族で話し合いの場を持ち、その処分について話し合ってみてはいかがでしょうか。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


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「チャチャっとできる相続登記でお願い」?

「チャチャっとできる相続登記でお願い」?

相続登記が義務化されたことで罰則である「過料」が設定されました。一定の要件を充たすことで、過料を免れることとはなるのですが、その後、相続登記の義務まで免れるわけではありません。他にどのような手段があるのでしょうか。相続登記義務化の罰則である過料を免れる方法として、簡素化した手続きの「相続人申告登記」があります。過料は免れますが、他に問題はないのでしょうか?


目次


1.「チャチャっとできる相続登記でお願い」?


2.過料を免れるための「相続人申告登記」


3.相続人申告登記で相続登記は免れるが・・・


4.まとめ

「チャチャっとできる相続登記でお願い」?

1.「チャチャっとできる相続登記でお願い」? 


 「チャチャっとできる相続登記でお願い」。この言葉は、最近の相談で、相談者の方から聞いた言葉です。相続登記後に、土地と家を売却して、介護施設入所の費用の足しにしたいから、長男の名義にして、ゆくゆくは売却の方向で考えたいと相談を受けました。そこで、相続登記について必要書類や、ご家族に行っていただく手続きについてお話をしたところ、この言葉を言われました。


 はじめ、何のことを言っているのかわかりませんでしたので、相続登記については、説明した 通りの手順が必要で、登記を申請しないと、後の不動産の処分はできない旨説明しました。そうすると「そんなことはない。近所の方が、相続登記をチャチャっとやったって聞いた。先生、それでやってください。チャチャっとできる相続登記でお願いします。」と言われました。相続登記で、そのような簡単な手続きはなく、遺言書があっても戸籍と住民票などは必要になることを説明したのですが、「近所の方」のやった方法をやってほしいと譲ろうとはしませんでした。そこで、その手続きがおそらく「相続人申告登記」で、将来、不動産を処分する場合には、これだけでは不十分で、結局は相続登記をしなければならなくなる旨説明しました。将来処分することが分かっているのに、相続人申告登記だけ済ませることはできないことも話しましたが、とても不服そうな感じで、「先生、チャチャっとやる相続登記を知らないんですか?」と言いました。


 「ご近所の方は、司法書士とか法律関係の仕事をしているんですか?」と尋ねると、年金暮らしのお年寄りであり専門家でないことがわかりました。そのあと少し話したのですが、平行線をたどっていましたので、うちではできない旨を伝えてお引き取り頂きました。

2.過料を免れるための「相続人申告登記」


「相続人申告登記」を法務局に申請することで過料は回避することができます。


 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権(登記官が登記をすること)で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。


 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。


(画像)相続人申告登記の登記簿のイメージ


「チャチャっとできる相続登記でお願い」?

 この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。


「チャチャっとできる相続登記でお願い」?

3.相続人申告登記で相続登記は免れるが・・・


  この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、相続登記義務化の過料を免れることはできますが、当該不動産を売買で処分することはできませんので注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。

「チャチャっとできる相続登記でお願い」?

4.まとめ


 「相続人申告登記」は、相続登記義務化の過料を免れるためには、有効な手段となりますが、相続登記自体を免れるわけではないので、注意が必要です。


 相続登記自体を免れないとは、例えば、相続した不動産が、すでに誰も住まなくなってしまっているような場合、「売却」を考えている方もいらっしゃると思いますが、こういった不動産の処分をするためには、相続登記を経て行わなければならなくなるためです。


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(論点)相続登記を急ぐ意味

(論点)相続登記を急ぐ意味

相続登記義務化を控えて、相談件数、ご依頼の件数が増加しております。

そんな中で、相続登記を急ぐ意味がよく分からないという方がいらっしゃいました。被相続人の方や相続人の状況によっては一刻を争う事態であることも少なからずありますので、解説していきたいと思います。


目次


1.民法177条の意味

2.遺言・遺産分割協議と債権者の関係

3.まとめ

(論点)相続登記を急ぐ意味

1.民法177条の意味


 民法177条では


「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と規定されています。


 つまり、正当な所有者であることを明示したいのであれば、不動産登記をしなければ第三者に対抗することはできないということです。商業登記(会社法人の登記)は、登記をすることは義務ですが、不動産登記については、現状では義務ではありません。その代わり、所有権を争う第三者が先に登記を具備してしまった場合、もう対抗する手段はないというわけですので、自己の権利主張のために登記を入れなさいというのが建前です。


 その結果、第三者をあまり意識する必要のない相続登記について放置しているケースが横行し、結果、東日本大震災の復興において、大きな妨げになったため、今回の相続登記義務化の流れができたと言われています。義務化になっても相続を知ってから3年以内に登記をすれば、罰則である過料はかかりません。それでは、3年間放置しておいても問題ないのかと言われると、実はそうではないケースも多く存在します。

(論点)相続登記を急ぐ意味

2.遺言と債権者の関係


 相続人の債権者(相続人の一人が借金をしている先)がおり、借金も相当額ある場合、債権者には債務を取り立てる正当な権利があります。その場合、代位登記で法定相続分にて相続登記を代位で行い、さらに債務者である相続人の持分を差し押さえることができてしまいます。


 特定財産承継遺言(民法1014条2項)、民法改正前に「相続させる旨の遺言」と呼ばれていた遺言です。従前はこの遺言をした場合、第三者が登記を入れた場合でも、遺言で指定されている相続人が所有権の全部を主張できていましたが、現在では変わっております。上記のような状況になった場合、仮に当該不動産全部の遺言指定がなされていたとしても、債権者の登記が先の場合、指定された相続人は債権者に対して、法定相続分の権利しか主張できません。つまり、取り戻すために債権者と交渉し、債務者である相続人の持分を取り戻すしか方法が亡くなります。先に指定相続人が相続登記をしておけば、債権者は代位で相続登記ができません。


 相続登記を急ぐ意味は、十分あります。

(論点)相続登記を急ぐ意味

3.まとめ


 このように、状況次第とはなりますが、相続登記を遅らせたために、正当な権利を持つ第三者により登記されてしまいますと、自身の法定相続分の持分の権利しか主張できなくなってしまいます。特定財産承継遺言がある場合には、司法書士に早めの相談をした方がいいと思います。


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相続に対する生前対策のまとめ

相続に対する生前対策のまとめ

相続対策をしているのとしていないのでは、大きな差が出てくる場合があります。特に、相続対策をしていなかったばかりに、相続発生後に遺産分割協議がまとまらないであるとか、相続税が思った以上にかかって大変といったことがあるかもしれません。今回は、一般的な相続対策についてご紹介いたします。相続税対策にも通じる部分もありますが、法律と税法は、似て非なる部分がありますので、法律面について解説いたします。


目次


1.相続対策の必要性といつまでにすればいいのか


2.相続対策①生前贈与


3.相続対策➁生命保険


4.相続対策③公正証書遺言


5.相続対策④養子縁組


6.まとめ

相続に対する生前対策のまとめ

1.相続対策の必要性といつまでにすればいいのか


 相続対策をする必要性は、周りで起こっている相続の問題をみればよくわかると思います。やったらいいのはわかっているけど、まだ早いよと思いの方も多いのではないでしょうか。この後、解説する相続対策について、自身が動けるうちにしておいた方が良いものもあります。今元気でも、相続対策を思いったった時も元気であるとは限りませんからね。


 客観的な指標で言いますと、「平均寿命」と「健康寿命」があります。

「平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。 一方、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。」(厚生労働省e-ヘルスネット記事引用)


 どうでしょうか?意外と健康寿命の年齢が若いことに気づかれるかもしれません。


 そうなんです。相続対策については、元気なうちに仕込んでおかないと、それ以上になりますと、気力的に持たないことが多いです。


 無料相談会に参加された方たちの中にも、高齢になってから対策を考えて相談に来られる方も少なくないのですが、対策の手続きの話をすると「そんなに大変なら、やっぱりいいです。」となる方もいらっしゃいます。元気で、自身が動ける間に対策を始めることが大事です。

相続に対する生前対策のまとめ

2.相続対策①生前贈与


 生前贈与の効果は、亡くなった時点での個人財産を目減りさせておくことが目的です。資産として現金が多い方は、現金での贈与でも構わないのですが、現金が少ない場合には、土地や建物、動産なども有効な手段です。名義が記録としてきっちり残るものとして、土地、建物の不動産で、実際に生前贈与されている方もいらっしゃいます。暦年贈与の110万円の控除額を念頭に入れ、税理士と相談をしながら「持分」形式で少しずつ所有権を子供又は孫に移転していく方法です。


 今回は、対象ではありませんが、相続税対策として一般的だった「暦年贈与制度」は、組み戻し期間が、3年から7年へ、大幅に延長され、対策が遅れてしまいますと、せっかくした生前贈与が無駄になってしまうかもしれません。早めの対策が必要になってきます。


 相続時精算課税制度の110万円の控除を使った手法もありますが、こちらは税務署への届出が必要となります。専門家と相談しながら、進めてください。






3.相続対策➁生命保険


 こちらも、現預金が多い方向けの相続対策となります。生命保険に加入することで、その額を相続財産から減少させることができます。ただし、保険に加入すればいいだけではなく、ここで重要となるのは「受取人を本人以外にしておくこと」です。受取人を「子供」にしておいた場合、法律上、その支払われる保険金は、「子供の財産」となります。


 税法上では、保険金は「みなし相続財産」となり、500万円×法定相続人の数を超える者についてのみ、相続財産とみなされます。


 それでは、資産が全て現預金だけで、全額生命保険にしておけば、相続財産0じゃないの?と考える方もいるかもしれませんが、裁判所の判例では、半分を超える金額については、認められないものもありますし、30%しか認めていないものもあります。その額と、状況によると思うのですが、あまりにもたくさんの財産を保険に切り替えるのはお勧めできません。

相続に対する生前対策のまとめ

4.相続対策③公正証書遺言


 遺言でもめた場合、争点は遺言者の意思能力に及びます。自筆証書遺言(仏壇から出てきた手書きの遺言書など)は、作成された年月日によっては、認知症が疑われた時期などに重なっている場合には、問題となるケースが多いです。


 そこで、アイリスでも、できる限りおすすめ割いているのが「公正証書遺言」の活用です。


 自筆証書遺言と異なり、遺言者は(予約を取って)公証役場に出向くか、公証人に来訪していただくかの形になり、どの場合でも、公証人が読み聞かせ、「2人の証人」がいることは要件となっています。この場合、本人の意思能力について、全くないとは言えませんが、争点になることは少ないです。


 アイリスで行う公正証書遺言サポートでは、専門家の司法書士が承認の一人となりますので、仮に裁判になった場合でも、証人として証言することも可能です。


 また、元気な間に第1回目の遺言書を作成しておくことで、後にやっぱり変えたいと思ったときにも、変更することは可能です。


5.相続対策④養子縁組


 これは、法律上では「遺留分対策」、そして、税務上では「相続税対策」として有名です。


 法定相続人を増やすことで、各法定相続人に割り当てる相続分を少なくする方法です。


ここでも、法律上と税法上の違いがあります。


 法律上では、養子にした場合でも、法定相続人の数え方は、全員「子供」としてカウントされますが、税法上では、①被相続人に実の子供がいる場合「1人まで認められます」、➁被相続人に実の子供がいない場合「2人まで認められます」となります。


 法定相続人の人数の影響は、以下の場合に影響します。


 ①相続税の基礎控除額


 ➁生命保険金の非課税限度額


 ③死亡退職金の非課税限度額


 ④相続税の総額の計算


税法上は、5人養子にして基礎控除額を増やそうとしても、実子がいる場合は1人のみ、いない場合は2人までしか認められませんので注意が必要です。

相続に対する生前対策のまとめ

6.まとめ


 まとめると、相続対策は健康寿命を考え、元気なうちから対策を始めること、そして、大部分の対策が、相続財産の目減り効果を利用したものですので、専門家に相談の上、きっちり対策を講じていくことが重要となります。


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(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

相続登記を放置することによるリスクについて、相続人の状況は次第に変化するために、その調査が膨大になったり、新たな手続きをしなければ先に進めないといった事案を引き起こす可能性が出てきます。それでは、お話をしていきたいと思います。


目次


1.放置している間のリスク


2.長期放置していなくても


3.解決策はないのか?


4.まとめ

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

1.放置している間のリスク


 相続を長期放置していることで発生する可能性のあるリスクは、「相続人の状況が変わること」で引き起こされる、手続きなどの増加です。具体的な事案に対する手続きをお話しますと、


 ①放置している間に相続人が亡くなり、相続の範囲が広がってしまう


  相続人の調査対象範囲が広がります。当然、相続登記に必要な戸籍の取得数は増加します。


 ➁放置している間に相続人が認知症になってしまう


  成年後見人の申し立てを家庭裁判所に行い選任してもらい、その成年後見人と遺産分割協議をすることになります。


 ③放置している間に相続人が海外で居住し始める


  海外に居住すると「印鑑証明書」が日本国内で取得できなくなります。印鑑の制度のない外国の場合、領事館で「サイン証明」の手続きが必要になります。


 ④放置している間に相続人が行方不明になる


  7年経過していた場合、「失踪宣告」の手続きにより、家庭裁判所に当該相続人の「死亡みなし」をしてもらうことになります。7年を経過していない場合には、「不在者財産管理人」の選任を家庭裁判所に申立で、その不在者財産管理人も含めて遺産分割協議をすることになるのですが、当該相続人の法定相続分の確保が必要となります。

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

2.長期放置していなくても


 長期間放置していなくても、相続発生時に相続人の中に「認知症の方がいる」「海外居住者がいる」「行方不明者がいる」「前妻との間に子供がいる」などの状況があるケースがあります。被相続人が生前からこういった状況が発生している場合、相続が発生すると「遺産分割協議」は、難航すると思います。


 それでは、すでにこのような状況が発生している、もしくは近い将来、このような状況が発生する可能性が非常に高い場合、何らかの対策をとることはできないのでしょうか?

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

3.解決策はないのか?


 生前の相続対策として、「遺言書」で解決を図ることは可能です。遺言書を書いたからと言ってすべて万事解決、というわけではないのですが、少なくとも相続発生時に、残されたご家族に「遺産分割協議の呪縛」からは、少なからず解放されます。遺言書で遺産の帰属先を予め指定しておくことで、相続発生時に遺産が指定先に帰属します。自筆証書遺言の場合で法務局に保管していない場合には、検認の手続きが必要となります。また、その内容が法的に有効かどうかは、解りません。作成時に専門家の指導を受けて作成した場合には、有効となる可能性は高いのですが、そうでない場合は微妙です。ですので、公正証書遺言をお勧めいたします。公正証書遺言の場合、文面や内容は、遺言者とヒアリングをして公証人が作成してくれますので、検認も不要で、登記の際、公正証書遺言と相続の時とは比較できないほど少ない戸籍ですることができます。遺言書があれば、遺産分割協議で相続人全員でその内容を変更できる場合もあるのですが、そもそも遺産分割協議ができないまたは困難な状況なので利用する価値は十分にあると考えます。そして、遺言書の内容は、遺産分割協議の内容に優先します。

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか3

4.まとめ


 相続相談の内容で、問題となるのが遺産分割協議ができないなどのお話が多数を占めます。当該相続では、しんどい思いをされた方には、年齢に関係なく、今後ご自身の相続の対策として「公正証書遺言の作成」を強く薦めております。現状仲がいいこと度間の関係も、あなたという存在があって保たれている可能性があり、あなたが亡くなった場合、どうなるかは、誰にも予想が付きません。また、遺言は一度作成されても、その後、異なる内容の遺言書を作成することも可能です。残されたご家族のためにも、遺言書の作成をぜひご検討ください。


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(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか2

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか2

相続登記を放置することによるリスクについて、具体的に見ていきたいと思います。

相続登記をするためには、「遺産の確認」と「相続人の確認」が必要ですが、長期放置している間に遺産は変化ありませんが、相続人の状況は次第に変化してきます。それでは、お話をしていきたいと思います。


目次


1.放置している間に相続人が亡くなると

2.放置している間に相続人が音信不通

3.放置している間に相続人が認知症に

4.まとめ

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか2

1.放置している間に相続人が亡くなると

 

 相続人の中に亡くなった方がいますと、被相続人の方同様に、その方の生まれてから亡くなるまでの戸籍と除籍謄本が必要であることは先にも述べました。


 そしてさらに、その方の子供の中に亡くなった方がいる場合、同じような状況となります。つまり、相続人の範囲が際限なく広がっていきます。

 その中には、あまり面識のない方もいるかもしれませんし、亡くなった相続人との関係は良くても、その子供との間で親族間のトラブルにより、険悪な状況となっているかもしれません。


 放置するということは、不確定要素が一気に拡大します。

 相続の取りまとめをしている相続人から、戸籍の附票の最後の住所地宛に手紙を送った場合、返事が来れば、話し合いもできますが、受け取っていても返事がない場合が発生するかもしれませんね。この場合は、遺産分割調停を家庭裁判所に申し出て、解決を図る必要があります。

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか2

2.放置している間に相続人が行方不明


 それでは、手紙を出したが、そのままあて先不明でその手紙が戻ってきた場合は、どうすればいいのでしょうか。

 この場合、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立て、この不在者財産管理人と遺産分割協議をすることになります。この時、不在者の法定相続分の確保が必須要件となりますので、仮に長男名義にしたいが次男が失踪している状態での、不在者財産管理人との遺産分割協議では、長男2分の1、次男2分の1となってしまいます。

 勿論、代償分割(不動産をもらう相続人が、不在者となっている相続人の持分相当額を支払うことで、自身の名義とする分割方法)はすることができますが、支払う現金を用意できなければ、持分による登記をすることとなります。

 そして、不在者財産管理人をも推立てる場合、家庭裁判所にその報酬として、数十万円から100万円の予納金を納めることになります。


 失踪期間が7年を超えている場合には、「失踪宣告」の申し立てを家庭裁判所に行い、死亡みなしとすることができます。

 


(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか2

3.放置している間に相続人が認知症に


 相続登記を放置している間に、相続人の一人が認知症になってしまった場合、もはや認知症になった相続人は、遺産分割協議を行うことはできません。

 そこで、4親等以内の親族の方が、成年後見人を家庭裁判所に申し立てて、成年後見人を就任させることになり、その成年後見人と遺産分割協議をすることになります。

 遺産分割協議が終わったのち、この成年後見人を解任することはできず、亡くなるまで財産管理をすることになります。

 当然、報酬は亡くなるまでの期間必要となります。


4.まとめ


 現状、相続人全員と意思疎通できる状況にある方は、迷わず相続手続きを進めてください。放置は何の解決策にもならず、後世へ大きな負担を残す結果となってしまいます。

もしご自身で、何から始めればいいのかわからないようでしたら、専門家に相談してください。

無料相談ですと、法務局や市役所、司法書士会などで定期的に開催されています。


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(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか1

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか1

相続登記を放置することによるリスクは、令和6年4月1日に施行された相続登記義務化の罰則である、最大10万円以下の過料だけではありません。最近の相談内容でも、長期間放置したことによる手続きの停滞など、余儀なくされている事例をよく見ます。それでは、お話をしていきたいと思います。


目次


1.相続登記をするために必要な手続き


2.放置している間に相続人が亡くなると


3.相続人が海外居住している場合


4.まとめ

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか1

1.相続登記をするために必要な手続き


 相続が発生した場合、「遺産の確定」と「相続人の確定」が必要となります。


(遺産の確定)


 遺産は、現預金、有価証券、生命保険などについては、通帳や定期的に郵送される郵便物などから、判明します。一方で、不動産の場合には、同一市区町村内であれば、市役所や役場で「固定資産評価証明書」を取得することにより、不動産を探し出すことができます。


(相続人の確定)


 こちらは、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍・除籍謄本を取得し、その方の配偶者、子供を確認することができます。そして、相続人の現在戸籍と当該不動産を引き継ぐ相続人の住民票が必要となります。


 法定相続分で引き継ぐ場合には、法定相続分の持分で不動産の名義の変更を実施することになりますが、相続人の一人に引き継がせる場合には、生前に遺言書がある場合か遺産分割協議を経なければ、することができません。将来、当該不動産の売却を考えている場合には、地元に残っている相続人の方名義にしておき、その方と買主との間で売買契約を締結することになります。亡くなった方(不動産の名義)の遺言書がなければ、「相続人全員」で遺産分割協議をし、その内容を遺産分割協議書に取りまとめて、各相続人が署名、実印での押印と相続人全員の印鑑証明書を添付することにより、相続登記に必要な遺産分割協議書が完成します。

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか1

2.放置している間に相続人が亡くなると


 相続人の確認に必要な書類の概要について、上記で述べていますが、実際、相続人の中にすでに亡くなっている方がいた場合、どのようになるのでしょうか?


 その場合、相続人だった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍、除籍謄本が必要となります。例えば、父親で発生した父親の遺産を受け取る権利は、子である相続人が取得することになります。そして、その子である相続人が亡くなってしまった場合、その子の相続人全員に承継されることになります。(数次相続の場合)


 こういった事情が一人二人ならさほど負担にはならないと思いますが、その方に離婚歴があり、前の妻との間に子供がいた場合どのようになるのかと言いますと、その方も今回遺産分割をするために必要な相続人となります。遺産分割協議の大前提は、相続人全員で行うことです。少し雲行きが怪しくなってきたことがわかると思います。

(論点)相続登記を放置すると、なぜ大変になるのか1

3.相続人が海外居住している場合


 また、すでに外国に居住されている方が相続人の中にいた場合、国によっては「印鑑証明書」のないケースが存在します。印鑑証明書が取得できないケースでは、外国の日本領事館等でサイン証明を受ける必要があります。


 日本領事館が近くにあったり、交通の便がいい場合には、その相続人の方の負担は軽減されますが、行くまでに命がけといった場合もあります。


4.まとめ


 今回は、一般的な相続登記に必要な書類等について、お話をしてきました。


 必要書類の説明をすると、「なーんだ、それだけ?」と言われる方もいますが、相続人の状況や長年放置することにより、次第に相続登記で名義の変更をするというゴールへのハードルが一気に高くなってきます。

遺言書による不動産の相続登記

遺言書による不動産の相続登記

生前対策として、アイリスでは相談者の方に、積極的に遺言書の作成のアドバイスをしております。

遺言書を作成することにより、どのようなメリットがあるのか、いまいちピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。

遺言書があった場合と、なかった場合の比較も含めて解説したいと思います。


目次


1.遺言書の種類

2.遺言書があった場合の相続登記の書類

3.遺言書がなかった場合の相続登記の書類

4.まとめ

遺言書による不動産の相続登記

1.遺言書の種類


遺言は、方式、種類、作成方法が民法で定められており、この定めに従っていない遺言は無効となります。

一般的な方式の遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、特別証書遺言の3種類の遺言があります。それぞれ作成手続きが異なります。


①自筆証書遺言

自筆証書遺言は、遺言者が全文、日付及び氏名を自筆し、押印する必要があります。(民法968条1項)

ただし、財産目録については、パソコン等で作成することが可能となっています。


➁公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言者が口述した遺言内容を公証人が筆記する方式の遺言です。(民法969条)

実務上では、事前に遺言者にヒアリングし、遺言の内容を決めたのち、公証人が文書にまとめ、面談当日に公証人から遺言者に読み聞かせ、その内容で問題なければ、署名、実印による押印をするものです。その面談の際に証人2人以上が同席することとなります。

遺言書は公証人が作成し、公証人と証人2名以上の下で面談が行われるため、意思能力等の面で覆しにくくなります。また、文字が書けない、目が見えないといった障害がある方でも、この方式での遺言書の作成は可能です。


③秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言者が自分で作って封印した遺言書を公証役場に持参し、公証人に、その遺言書が間違えなく遺言者本人のものであることを公証しもらう方式の遺言です。  

公証人が遺言内容を作成するわけではありませんので、自筆証書遺言同様遺言者がある程度、知識を持っている必要があると思います。

ただし、どうしても中身を誰にも知られたくないときに使う方式です。

遺言者は、証人2人以上と共に公証役場に行き、持参した封書を公証人と証人の前に提出して、自己の遺言書である旨とその筆者の住所、氏名を申述します。

これを受けて公証人は、提出の日付及び遺言者の申述を封紙に記載します。この秘密証書遺言は、遺言者本人が保管することになります。


一般的なのは①と➁です。また、①の自筆証書遺言書を作成した場合、法務局で保管できる制度があります。この場合、相続が発生した場合の検認の手続きが不要となります。

遺言書による不動産の相続登記

2.遺言書があった場合の相続登記の書類


①遺言書(検認手続きを経た自筆証書遺言書であっても、中身の有効性まで証明するものではありませんので、自筆・日付、氏名の記載・押印・加除の方式が規定に従っているかについて、確認が必要です。自筆証書遺言書の場合、検認した場合の検認済証明書の添付も必要です。(法務局に保管されている場合は、検認済証明書は不要)


➁被相続人の死亡の事実がわかる除籍謄本


③被相続人の住民票の除票(登記簿上の住所と一致するもの)


④不動産を取得する相続人の現在戸籍(被相続人死亡日後に取得されたもの)


➄不動産を取得する相続人の住民票


 ⑥固定資産評価証明書


 ⑦司法書士に依頼する場合の委任状


以上となります。それでは、遺言書がなかった場合どのようになるのでしょうか

遺言書による不動産の相続登記

3.遺言書がなかった場合の相続登記の書類


※遺産分割協議により、特定の相続人に不動産の名義を変更するケース


 ①被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍(除籍、改正原戸籍)

 ※数次相続により、すでに亡くなっている方も生まれてから亡くなるまでの戸籍が必要


 ➁被相続人の住民票の除票(登記簿上の住所と一致すること)

 ③相続人全員の現在戸籍(被相続人死亡日後に取得されたもの)

 ④遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印による押印)

 ➄印鑑証明書(相続人全員分 申請人分は除けます)

 ⑥相続関係説明図

 ⑦不動産を取得する相続人の住民票

 ⑧固定資産評価証明書

 ⑨司法書士に依頼する場合の委任状


 以上となります。

被相続人の戸籍は、生まれてから亡くなるまで、そして、相続人の戸籍は全員分となります。

そして、その相続関係を表した、相続関係説明図を作成して添付することになります。


4.まとめ


遺言書があった場合とない場合の相続登記の申請書に添付する書類の違いを解説してきました。

確かに、遺言書がなかったら書類が増えるのはわかるがそれだけでしょう、という方もいらっしゃいますが、それは、「遺産分割協議が争いなくできる状況にある」という前提があるからそう思われるのかもしれません。

しかし、いくつかのケースで、圧倒的に遺言書があった場合、相続登記がスムーズにいくケースがあります。例えば


 ①前婚の配偶者との間に子供がおり、現在の配偶者と婚姻後は、全く連絡を取っていない場合

その子供も「相続人」です。

残された配偶者と今の子供たちは、前婚の際の子供とは全く面識がありません。

前婚社との子供の心情として、すんなり遺産分割協議に協力していただけるか疑問です。


 ➁外国に相続人がいる場合で、外国居住者が相続登記の手続きについて手間を取りたくない場合

外国に居住していても、相続人であることには変わりません。外国に住居を移すことで、印鑑証明書や住民票は取得できなくなります。

これに代わって、「サイン証明」を日本領事館等で手続きをすることになるのですが、領事館に行くまで命がけという方もいらっしゃいました。


上記のような状況に当てはまる方は、遺言書を作成しておくことで、残された家族にかかる負担を軽減することが可能になります。


ぜひ、生前対策としての遺言書の作成を検討してみてください。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。

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相続放棄(自分にとって都合のいい放棄はできません)

相続放棄(自分にとって都合のいい放棄はできません)

随分前になるのですが、相続放棄をしたいという相談がありました。話の中で、負動産は取得したくないが、現金預金だけもらうことはできないのかと質問されました。このようなことはできるのでしょうか?


目次


1.相続放棄とは


2.負動産はいらないが現金預金は欲しいとき


3.結局、相続放棄という制度を使うと

相続放棄(自分にとって都合のいい放棄はできません)

1.相続放棄とは


 相続放棄とは、民法で以下のように規定されています。


「(相続の放棄の方式)


第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。


(相続の放棄の効力)


第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす


(相続の放棄をした者による管理)


第940条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。


2 第六百四十五条、第六百四十六条並びに第六百五十条第一項及び第二項の規定は、前項の場合について準用する。」


 つまり、相続放棄とは、民法に書かれている手続き(家庭裁判所への申述)をすることで、認められれば、当該相続において、初めから相続人ではなかったとみなされるということです。はじめから相続人ではなくなりますので、財産にせよ借金にせよ、受け取る権利、引き受ける義務、双方ともに無くなるということになります。

相続放棄(自分にとって都合のいい放棄はできません)

2.負動産はいらないが現金預金は欲しいとき


 上記の通り「相続放棄」という制度を利用した場合、相続人ではなくなるため、その相続で発生した権利義務共に負わなくてもよくなります。「借金が多い」という場合であれば、相続財産と比較して、「相続放棄」又は「限定承認」という手続きを選択することができますが、「負動産」の場合、価格がついていなくても、財産と扱われます。同じ財産で金は欲しいが不動産はいらないというわけにはいかないんですよね。相談者の中の多くは、ネットなんかで調べていて「できない」ことを知ったうえで相談してくるケースがすごく多いです。


結局、負動産を抱えて相続する場合には、周りにもらってくれる方がいた場合には贈与を検討する。しかし、周りも同じように過疎化が進んでいて、高齢化している状態では、「空き家」化してしまうこととなり、そうなってくると「相続土地国庫帰属制度」を検討するしかなくなってきます。勿論「相続土地国庫帰属制度」の対象は土地となりますので、建物を取り壊したり、引き取ってくれるような状態にできるのか考える必要があります。当然ですが、その分のコストも発生します。だって、国に管理してもらうのに「タダで」というわけにはいきませんからね。

相続放棄(自分にとって都合のいい放棄はできません)

3.結局、相続放棄という制度を使うと


 相続放棄という制度を利用すると、当該相続において、初めから相続人ではないとみなされますので、相続で発生した財産も受け取る権利は無くなってしまいます。いくら現預金をたくさん持っていても、相続放棄をしてしまいますと、それを受け取る権利は、無くなります。


 結局、現金預金だけもらって負動産を無視することはできません。そして相続放棄という選択肢も使えなくなります。現金預金を使った段階で、相続財産を処分したということで、相続放棄をすることはできなくなります。また、一度、相続放棄を認められていても、相続財産の処分により「法定単純承認(相続人であることを認めた)」したことになり、承認された相続放棄は取り消されることになります。


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遺産分割協議書(遺産分割前に凍結された預金を下ろすには)

遺産分割協議書(遺産分割前に凍結された預金を下ろすには)

遺産分割前に、預貯金の口座が凍結されてしまい、相続人の調査が難航し相続発生後の生活に困ってしまうといった事態が、実際に起こっていました。子供がいれば、サポートも受けられると思うのですが、子供がおらず、自分以外の相続人が誰かわからない状態で、預金が凍結されますと日々の生活を続けられなくなる方もいます。そこで、2019年7月1日の民法改正により、「遺産の分割前における預貯金債権の行使」についての規定が盛り込まれています。どのような内容になっているのか確認していきましょう。


目次


1.そもそも何が問題なのか


2.民法改正により遺産分割前の預貯金の取り扱いの変更点


3.事例で考える


4.まとめ

遺産分割協議書(遺産分割前に凍結された預金を下ろすには)

1.そもそも何が問題なのか


前のブログでも書きましたが、相続発生を金融機関が確認した場合、被相続人の口座は凍結されます。これは、金銭(現金・預金)について、当然には分割されません。遺産分割前にその金銭を保管する相続人に他の共同相続人が自己の相続分に相当する金銭の支払いを求めることはできません。これが、2019年7月1日より前の民法の取り扱いでした。


 私がまだ司法書士資格の受験生だった時に、予備校の講師(司法書士)が言っていたのですが、子供のいない夫婦の夫が亡くなり、すべて夫名義の預金しかなく、夫の入院費用や葬儀代を支出してしまったのち、手持ちの現金が底を尽き、預貯金も凍結されている状態で日々の生活にも困る状態で相談に来られた方がいたそうです。いろいろ手を尽くしたのですが、結局ダメで、相続人との遺産分割協議をするにも、夫の兄弟姉妹は遠方に住んでいて、すぐにできる状態ではなかったそうで、とても大変な思いをしたということでした。


 こういったことを踏まえて、民法が改正されています。

遺産分割協議書(遺産分割前に凍結された預金を下ろすには)

2.民法改正により遺産分割前の預貯金の取り扱いの変更点


「(民法909条の2)


 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の3分の1に第900条及び第901条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。


 前段の部分が重要で、遺産分割が成立する前であっても一定額の預貯金については、各共同相続人が単独でその権利を行使できる旨が規定されています。その一定額とは、「法定相続分の3分の1」です。


 それでは、夫の預貯金が90億円あるので「法定相続分の3分の1」なら、億単位のお金の引き出しができるのかというとそうではなく、上限が定められています。


「民法第909条の2に規定する法務省令で定める額を定める省令


 民法第909条の2に規定する法務省令で定める額は、150万円とする。」


つまり、150万円が上限として定められています。これは、各金融機関ごとに150万円が限度となり、一つの金融機関内に複数の口座があっても、その合計額は150万円が限度となります。


3.事例で考える


 例えば、夫婦と子供一人がいましたが、子供は行方不明で連絡がつかない状態です。預貯金の口座はすべて夫名義で900万円の残高があったとします。この時妻は、自分の法定相続分2分の1の3分の1、つまり150万円までなら、遺産の一部分割みなしとして金融機関からの引き出しが可能となります。ただし、各金融機関の手続きが必要となりますので窓口にお問い合わせください。

遺産分割協議書(遺産分割前に凍結された預金を下ろすには)

4.まとめ


 今回は、相続発生後、遺産分割までの間の預貯金の「いわゆる仮払い制度」の取り扱いについて解説いたしました。


 相続が発生して、手持ちの現金がない場合の手段として有効かと思います。遺産分割に時間がかかりそうな場合にはぜひ活用してみてください。


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遺産分割協議書(相続開始前後の使途不明金の取り決め)

遺産分割協議書(相続開始前後の使途不明金の取り決め)

相続発生前に、被相続人(亡くなった方)が自ら出金し消費していた事実が分かっている場合には、特に問題とはなりませんが、被相続人の預金の管理を相続人お一人が管理していた場合、多額の使途不明金が生じていた場合、どのようにすればいいのでしょうか。


目次


1.相続発生前の使途不明金の取り扱い

2.相続発生後の使途不明金の取り扱い

3.まとめ

遺産分割協議書(相続開始前後の使途不明金の取り決め)

1.相続発生前の使途不明金の取り扱い


被相続人A、相続人B・Cで、BがAの講座の管理をしており、使途不明金500万円が生じている場合


「第〇条 相続人B及び相続人Cは、次の財産が被相続人A(年月日死亡)の遺産であることを確認し、これをBが取得するものとする。

X銀行Y支店普通預金(口座番号123456)の使途不明金500万円に係る被相続人AのBに対する返還請求権」とします。


Bが生前Aの預金を管理していた場合には、AとBとの間に「預金の管理に関する委任契約が成立」していたと考えられるため、使途不明となったAの預金について、被相続人Aは、管理の受任者である相続人Bに対して、返還請求権(民法646条1項)又は損害賠償請求権(民法709条)という「相続財産」が発生することになるためです。

当然、Aの債権はB・Cに相続されます。Bは自分が負うこれらの債務との相殺をすることになり、Cは、相続で受けた権利をBに対して返還請求することとなります。

遺産分割協議書(相続開始前後の使途不明金の取り決め)

2.相続発生後の使途不明金の取り扱い


遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分した財産を遺産分割の対象に含めることができます。(民法906条の2 1項)


また、共同相続人の一人または数人により財産が処分されたときは、当該共同相続人以外の共同総ぞ属人全員の同意によって、遺産分割の対象とすることができます。(民法906条の2 2項)


この条項は、民法改正により追加されたものです。

当初は、共同相続人全員の同意がないと、処分された財産について、遺産に含めることはできませんでした。そうすると、処分した相続人が、仮に反対した場合、処分された財産は遺産に含めることができなくなるため、勝手に処分した相続人の同意は不要とされています。


(事例)

被相続人Aが死亡し、相続人の子供B・Cがいたとします。財産は、被相続人Aが居住していた家と土地、そして現金200万円があったはずなのですが、200万円がいつの間にかなくなっていることに気づきました。


 ①BはCが盗んだと疑っており、Cは否定しています。しかし、お互い消えた200万円を遺産に含めることに争いがない場合、200万円は遺産分割の対象とすることができます。

 ➁現金200万円をCが勝手に使ったことが判明しました。BはCの同意がなくても、現金200万円が遺産分割の対象とすることができます。


つまり、民法906条の2で言っているのは、共同相続人に消えた財産を遺産分割の対象にすることに争いがなければ、対象とすることができるし、勝手に処分した方が判明している場合、その方の同意がなくても、他の共同訴z九人全員の同意で、遺産分割の対象とすることができると言っています。


3.まとめ


財産の使い込みなどの処分について、相続発生前後において、法律上生じる根拠が異なることが分かります。相続開始前だと、委任契約における受任者の責任として、そして、相続発生後において、共同相続人全員の同意で、亡くなった財産を遺産分割の対象にすることができますし、使い込んだ相続人が判明している場合には、その財産を遺産分割の対象とすることに、当該相続人の同意は不要とされています。


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遺産分割協議書(判明していない財産の取り決め)

遺産分割協議書(判明していない財産の取り決め)

遺産分割協議書を作成しても、その後の調査で、その時に判明していなかった遺産が発見される場合があります。このような場合に、当初の遺産分割協議書に「条項」を盛り込むことで、遺産の引継ぎ方法を取り決めておくことができます。


目次


1.法定相続分通りに取得させる場合


2.法定相続分とは異なる配分で取得させる場合


3.一人の相続人に取得させる場合


4.判明したときに別途協議する場合


5.まとめ

遺産分割協議書(判明していない財産の取り決め)

1.法定相続分通りに取得させる場合


「第〇条 本協議に記載のない新たな遺産が発見されたときは、当該遺産につき、相続人A及びBは、2分の1ずつそれぞれ取得する。」


※事例は、子A・Bのみが相続人であった場合を想定しています。


 のちに遺産が発見されるなど、最初の遺産分割において遺産の一部を脱漏した一部分割の可否についての法律上の規定はありません。しかし、このような取り決めは有効とされています。ただし、初めの一部分割時に脱漏した遺産が判明していれば、最初の遺産分割のような分割は行わなかったと主張する相続人の方がいる場合には、民法95条1項により、錯誤取消になる場合があります。


2.法定相続分とは異なる配分で取得させる場合


「第〇条 後日、本協議書に記載のない遺産が発見された場合には、当該遺産につき、相続人Aが4分の3、相続人Bが4分の1を取得するものとする。」


 「1.法定相続分通りに取得させる場合」と同様に、予め新たに遺産があることが判明した場合の条項を取り決めておくことも可能です。勿論、錯誤取消になる場合もあります。


遺産分割協議書(判明していない財産の取り決め)

3.一人の相続人に取得させる場合


「第〇条 本協議世に記載のない新たな遺産が発見された場合には、当該遺産については相続人Aがすべて取得する。(これについて、Bは意義がないことを確認する。)」


 「1.法定相続分通りに取得させる場合」と同様に、予め新たに遺産があることが判明した場合の条項を取り決めておくことも可能です。勿論、錯誤取消になる場合もあります。


 例えば、相続人Aは、被相続人である父親と同居しており、相続人Bは遠方に住んでおり、実家に関連する遺産は、基本相続人Aにすべて帰属させたいといった要望がある場合、このような条項を盛り込みます。今まで、実務上で最もよく使う項目です。


4.判明したときに別途協議する場合


「第〇条 後日、本協議書記載のない新たな遺産が発見された場合には、当該遺産の分割について別途協議をする。」


 一部分割後の残余財産の分割方法としては規定がありません。残余財産のみの分割で足り角か、はたまた、再度、当該遺産を含めた遺産すべてについて協議を行うのか?悩ましいところです。


 一部分割の際の当事者の意思表示の解釈に関する裁判例があります。


「遺産の公平な総合的分配のために、すでに一部分割された遺産も分割時において存在するものとして、遺産の総額を評価し、それに各当事者の法定相続分を乗じて具体的相続分を算定し、さらに一部分割により各当事者の取得した遺産の評価額を算定して、具体的相続分と一部分割による取得分との可不足分を算出しなければならない。」(東京家審昭47.11.15家月25.9.107)


 しかし、現実問題として、仮に遺産分割審判までもつれた状態で、新たに発見された遺産について別途協議するというのは、無理があると思います。実際、遺産分割審判書にこの条項が盛り込まれており、また遺産分割調停を申し立てた事例を見たことがあります。家族関係がさらに悪化してしまいますよね。


遺産分割協議書(判明していない財産の取り決め)

5.まとめ


 民法の相続法改正により、遺産分割協議によって一部分割が可能であることが明文化されています。(民法907条1項)しかし、新たに発見された遺産について、その財産のみの分割協議でいいのか、再度、全体として遺産分割協議をやり直すのかについては、状況観て判断するようにしております。勿論、司法書士として、その内容にまで介入することはありませんが、家族関係の状況によっても変わってきます。


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(論点)亡くなった方の遺産の調べ方

(論点)亡くなった方の遺産の調べ方

相続が発生したときに、相続人全員で遺産分割協議をしようにも、亡くなった方の遺産を特定できないと、分割協議の対象である遺産を確定しないと、協議ができません。

どのように遺産を調べればいいのか、お話をしたいと思います。


目次


1.預貯金について

2.不動産について

3.(番外編)生命保険

4.まとめ

(論点)亡くなった方の遺産の調べ方

1.預貯金について


亡くなった方の通帳や郵送物などから、預金している金融機関を特定します。

ここで重要なのが、「パソコン」「スマホ」の中身を確認することです。

最近、金融機関によっては、預金通帳を発行しない、スマホやパソコンで残高確認や送金ができるアプリなどで完結している場合もあります。また、スマホの場合、仮想通貨などのデジタル資産のアクセスツールになっている場合もあります。

ですので、スマホを亡くなってすぐに解約するのではなく、良く調査してみてください。


調査の結果、亡くなった方が保有する口座の金融機関を割り出します。そして、その金融機関の窓口に行き、亡くなった方の口座があるか調べてもらいます。(この段階で、金融機関は口座名義人が亡くなったことを知るため、口座が凍結されてしまいます。)


おそらく、口座凍結解除のために、金融機関から、亡くなった方の戸籍と、自分が亡くなった方の相続人であることがわかる戸籍を準備するように指示があると思います。基本的には、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍、相続人の現在戸籍が必要になります。(相続人特定のため)

そして、金融機関によっては、相続人全員から同意書(実印押印のもの)と印鑑証明書を求められる場合があります。

これに代わるものとして、遺言書やすでに遺産分割協議を終えている場合は、そちらを要求されます。


 すでにお分かりになると思うのですが、全金融機関に網羅的に紹介する仕組みは現在ありません。

通帳などから、各金融機関を調べていくことになります。

(論点)亡くなった方の遺産の調べ方

2.不動産について


不動産が存在している各管轄する自治体の「名寄帳」を取得することで、亡くなった方の詳細な不動産の特定が可能です。ただし、不動産があるその自治体(市役所や町役場)ごとになりますので、そこを外れた不動産は、見つけることができません。


2026年2月2日から、法務局で全国の不動産を一括名寄せができるようになります。が、現状はできません。


法務局によっては、相続登記で名義変更をする際の登録免許税の計算の基礎となる「固定資産税評価額」の証明書として利用できない場合もありますので、名寄帳ではなく固定資産税評価証明書を取得していただくようにお願いしております。

固定資産税納税通知書と一緒に送付される「固定資産税明細」についても使えるのですが、この明細に記載されているのは、固定資産税が課税される不動産のみ記載されています。

公衆用道路など、評価のない土地については、この通知書では把握できませんので、固定資産税評価証明書を取得してください。


(論点)亡くなった方の遺産の調べ方

3.(番外編)生命保険


契約者が亡くなった方で、受取人を相続人とした生命保険の保険金は、法律上は相続財産ではなく、受取人の財産となりますので番外編とさせていただきました。


こちらも、亡くなった方の戸籍と自分が相続人と分かる戸籍を集めます。

そして、「生命保険契約紹介制度」を利用します。インターネット経由で照会を行いますので、集めた戸籍類をPDFにし、ホームページからアップロードします。

この紹介制度を利用するには、利用料3000円がかかりますので、クレジットカードで決済します。


4.まとめ


相続の手続きに必要な戸籍類については、事前に法務局にて、「法定相続情報証明制度」を利用して、「法定相続情報一覧図」を入手しておくと、手続きが楽になります。

費用は掛かりませんし、戸籍の束を持ち歩く必要もありませんので、お勧めです。


また、令和6年4月1日から、法定相続情報に割り振られます「法定相続情報番号」を相続登記の申請書に記載することで、法定相続情報一覧図の添付を省略できるようになっております。


このように、財産の種類によって、手続きが異なります。詳しくは専門家に相談しましょう。


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「相続人申告登記」のみで、不動産を処分できるのか?

「相続人申告登記」のみで、不動産を処分できるのか?

令和6年4月1日に施行された「相続登記義務化」ですが、この制度の中に「相続人申告登記」というものがあります。相続した不動産は、3年以内に相続登記をしないと、最大10万円の科料に処せられますが、相続人申告登記をすれば、個の過料を免れることができます。それでは、当該不動産を処分できるのでしょうか?


目次


1.相続人申告登記とは


2.相続人申告登記をしたから不動産を処分できる?


3.まとめ

1.相続人申告登記とは


 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。こちらも、令和6年4月1日より施行されます。


 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。(相続人申告登記をした時の登記簿の内容)

「相続人申告登記」のみで、不動産を処分できるのか?

 この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。※司法書士に代行してもらうには、司法書士報酬がかかります。


 この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、当該不動産を売買で処分することはできませんので、注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。

「相続人申告登記」のみで、不動産を処分できるのか?

2.相続人申告登記をしたから不動産を処分できる?


 「相続人申告登記」をすると、確かに相続登記義務化の罰則である「最大10万円以下の過料」の適用を免れることができますが、この状態で当該不動産を処分することができるのでしょうか?


 答えは、「できません」。


(法務省HP引用)


「相続登記を申請しようとする場合、被相続人の出生から死亡に至るまでの戸除籍謄本などの書類を収集して、法定相続人の範囲や法定相続分の割合を確定する必要があります。


 そこで、期限内(3年以内)に相続登記の申請をすることが難しい場合に簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする仕組みとして、「相続人申告登記」が新たに設けられました。


 なお、相続人申告登記は、簡易に義務を履行することができる一方で、以下のような留意点があるため、直ちに遺産分割や相続登記の申請をすることが難しい場合などに、義務を果たすために利用いただくことが想定されます。


 〇 遺産分割に基づく相続登記の申請義務を履行することはできない


 〇 不動産についての権利関係を公示するものではないため、相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には、別途、相続登記の申請をする必要がある」


(引用終わり)


 「相続人申告登記」は、一般的な不動産登記のような権利関係を公示する目的のものではないため、当該不動産の処分まではできないとされています。

「相続人申告登記」のみで、不動産を処分できるのか?

3.まとめ


 先日の相談会で、「相続登記をしたから、不動産の処分をしたいので不動産屋を紹介してほしい。」と言われたので、相続登記がなされているのか確認するために登記簿を確認すると、相談者のみの「相続人申告登記」が入っていました。他に相続人がいるのかを確認すると、その方と亡くなった方の間に子供がおらず、亡くなった方の両親も既に他界されているとのことで、その兄弟姉妹に相続権がある旨を説明し、その方たちと「遺産分割協議」をしたのちに、「相続登記」をしないと、不動産の処分ができない旨を伝えました。よくよく話を聞くと、すでに不動産屋に行ったのですが、このままではできないから、司法書士の先生の所に行ってくれと言われたために相談に来たそうです。戸籍を集めて、相続人を特定し、遺産分割協議をして、相続登記ができることを伝え、その手続きを受任いたしました。


 相続人申告登記は、義務化の過料は免れますが、権利関係の公示の効力はありませんので、将来的に不動産の処分を検討されている方は、ご注意ください。

自筆証書遺言の検認手続き、しないとどうなる?

自筆証書遺言の検認手続き、しないとどうなる?

遺言書で検認手続きを要するのは、自筆証書遺言です。

公正証書遺言では、検認の手続きは必要ありません。

そして、検認の手続きについて、家庭裁判所に申し立て、その後手続きをすることになるのですが、見なかったことにしたり、この検認手続きをしないとどうなるのか?お話をしたいと思います。


目次


1.自筆証書遺言の検認手続き

2.自筆証書遺言でも検認の手続きを要しない場合とは

3.見なかったことにしたり、検認手続きを怠ると

4.まとめ


自筆証書遺言の検認手続き、しないとどうなる?

1.自筆証書遺言の検認手続き


検認とは、相続人に対し遺言の存在とその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません


遺言書の検認手続きは、次のような流れで行われます。


①遺言書を見つけ、種類を特定する

➁相続人を明確にする(戸籍等をそろえる)

③家庭裁判所の管轄を確認する

(被相続人(遺言作成者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。)

④家庭裁判所に提出する書類を作成する

➄家庭裁判所に検認を申し立てる

⑥家庭裁判所から検認期日について通知が届く

⑦当日、家庭裁判所での検認に出席する


 ※相続人全員に通知されるので、相続人全員の立会が必要なのかという疑問について

「Q1. 相続人には,検認手続が行われることをだれが連絡するのですか。また,相続人のなかには,高齢で出頭できない人がいるのですが,問題ありませんか。

A. 相続人には,申立後,裁判所から検認期日(検認を行う日)の通知をします。申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは,各人の判断に任されており,全員がそろわなくても検認手続は行われます。」(裁判所パンフレット引用)


⑧遺言書の返還を受け、検認済証明書を申請する

自筆証書遺言の検認手続き、しないとどうなる?

2.自筆証書遺言でも検認の手続きを要しない場合とは


自筆証書遺言でも、検認の手続きを省略することができます。

それは、法務局の「自筆証書遺言保管制度」を利用した場合です。

すでに、法務局担当官が、自筆証書遺言の形式の確認をして、本人確認後、原本とそのデータを保管するため、偽造変造の恐れがないためです。


(法務局パンフレット引用)

「相続をめぐる紛争を防止する観点から,本制度では,


①自筆証書遺言に係る遺言書を法務局(遺言書保管所)でお預かりし,その原本及びデータを長期間適正に管理します(原本:遺言者死亡後 50 年間/画像データ:遺言者死亡後 150 年間)。


②保管の際は,法務局職員(遺言書保管官)が民法の定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認(全文, 日付及び氏名の自書,押印の有無等)を行います。※遺言の内容について,法務局職員(遺言書保管官)が相談に応じることはできません。※本制度は,保管された遺言書の有効性を保証するものではありません。


③相続開始後は,相続人等に遺言書の内容が確実に伝わるよう,証明書の交付や遺言書の閲覧等に対応します。


④本制度で保管されている遺言書は,家庭裁判所の検認が不要となります。


⑤相続人等が遺言書情報証明書の交付を受けたり,遺言書の閲覧をした場合には,その他の全ての相続人等へ遺言書が保管されている旨の通知をします。」

(引用終わり)

自筆証書遺言の検認手続き、しないとどうなる?

3.見なかったことにしたり、検認手続きを怠ると


遺言書を検認しないと、次のような問題が生じる可能性があります。


①5万円以下の過料が科せられる

➁相続人の欠格事由になる

③相続放棄や限定承認の期限が過ぎてしまう可能性がある

④相続手続きが遅れてしまう

➄相続人同士のトラブル

⑥相続財産の名義変更ができなくなる


この中で、特に重要なのが、遺言書を見つけて、他の相続人には黙って、遺産分割協議をした場合、➁の相続人の欠格事由となるケースがあります。

欠格事由に該当すると、相続人としての権利をはく奪されますし、場合によっては刑事罰を受けることにもなりかねません。

必ず、ご自身だけで判断せずに、相続人全員に相談して対応を検討してください。


遺言書がある場合でも、遺産分割協議で、相続人全員が合意をした場合には、遺産分割協議が有効に成立する場合もあります。

詳しいことは専門家にご相談ください。



4.まとめ


自筆証書遺言の検認手続きについて解説をしてまいりました。一般的な手続きは、上記のような内容となっております。

遺言書がない場合、相続人の中で、海外在住の方がいる場合や音信不通の方がいる場合など、現実的に遺産分割強をすることが困難になることがありますので、生前に遺言書を作成しておくことは重要だと考えております。

また、セミナーや相談会で、必ず出てくる質問で「遺産分割協議をしたのに、何年もたってから仏壇から遺言書が出てきたけど、どうしたらいいですか?」というものがあります。

見なかったことにして放置したり、検認手続きを怠った場合のリスクも存在しますので、このような事案が発生した場合、専門家に相談することをお勧めいたします。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


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(論点)あなたの遺言書は、万全ですか?(予備的遺言)

(論点)あなたの遺言書は、万全ですか?(予備的遺言)

先日、相談者の方から、「うちの両親はお互いに遺言書を書いているから、大丈夫。」というお話がありました。

その内容を聞くと、一見、確かに両親間でうまく遺産を承継させることができるように見えるのですが、「2次相続を想定していない。」遺言書の内容となっていました。

2次相続にも対応した遺言書は、どのように作成すればいいのでしょうか?


目次


1.遺言書の効力

2.1次相続・2次相続とは

3.予備的遺言を使った2次相続対策

4.まとめ

(論点)あなたの遺言書は、万全ですか?(予備的遺言)

1.遺言書の効力


遺言書の効力とは、遺言者が死後に財産や遺産の処分を定めるために書かれた文書が、法律においてどのような法的な効果を持つかを指します。

一般的に、遺言書は遺言者の最後の意思を表すものとして尊重され、その内容に基づいて財産の分割や処分が行われます。

ただし、効力を発揮するためには、特定の法的要件を満たす必要があります。


公正証書遺言では、公証人が遺言内容の法的効力が有効になるように、条項を作成してくれますが、自筆証書遺言の場合、自分で自筆しなければなりません。

ここで、自筆証書遺言において法的効力を有効にするために必要な項目をご紹介したいと思います。


①遺言書の全文,遺言の作成日付及び遺言者氏名を,必ず遺言者が自書し,押印します。

遺言の作成日付は,日付が特定できるよう正確に記載します。

例)「令和3年3月吉日」は不可(具体的な日付が特定できないため)。


②財産目録は,自書でなく,パソコンを利用したり,不動産(土地・建物)の登記事項証明書や通帳のコピー等の資料を添付する方法で作成することができますが,その場合は,その目録の全てのページに署名押印が必要です。


③書き間違った場合の訂正や,内容を書き足したいときの追加は,その場所が分かるように示した上で,訂正又は追加した旨を付記して署名し,訂正又は追加した箇所に押印します。


以上は、全体の要件で、各種条項についても要件を充たいしていないと、有効にならない場合がありますので、専門家に相談することをお勧めいたします。


(論点)あなたの遺言書は、万全ですか?(予備的遺言)

2.1次相続・2次相続とは


最初の相続(1次相続)で配偶者と子供が相続した後、その配偶者が亡くなったことで発生する二度目の相続のことを2次相続と呼びます。

 相続は一般的には両親の死亡に伴って発生します。 父と母、それぞれが死亡したときに相続が発生しますが、このうち一度目を1次相続、二度目を2次相続といいます。


例えば、AB夫婦に子XYがいたとします。

AB間で、相互にAの遺言書には「全財産をBに相続させる。」とし、Bの遺言書には「全財産をAに相続させる。」といていた場合、どちらかが亡くなったときは、遺言書の内容で、相互に補完することができます。

しかし、この状況は、1次相続の範囲を対象としています。

2次相続(A死亡後、Bが死亡したケース)では、この遺言書の内容では、対応ができません。

遺言書についてのご相談で、この2次相続を想定していない内容の場合が、散見されます。


(論点)あなたの遺言書は、万全ですか?(予備的遺言)

3.予備的遺言を使った2次相続対策


それでは、具体的に2次相続にも対応した遺言書の条項はどのようにすればいいのでしょうか。

その答えは、「予備的遺言(補充遺言)」を追加しておくことです。


予備的遺言とは、相続人又は受遺者が、遺言者の死亡以前に死亡(遺言者の死亡より先に又は遺言者の死亡と同時に)する場合、相続人が相続を放棄する場合、受遺者が遺贈を放棄する場合等に備えて、遺言者があらかじめ、財産を相続させる者又は受遺者を、予備的に定めておく遺言です。


2の事例で言いますと、仮に1次相続でAが亡くなった場合、Bの遺言書に「第〇条 遺言者は、Aが遺言者の死亡以前に死亡したときは、第□条に相続させるとした財産を長男のX(生年月日、住所)に相続させる。」という項目を追加することで、1つの遺言書で2次相続対応も可能になります。

勿論、A又はBどちらが先に亡くなるかなんてわかりませんから、お互いの遺言書に、個の予備的遺言を入れておくことにより、2次相続対策も万全になります。

さらに、長男Xも病気で余命宣告されている場合などでも、その孫についても追加することが可能です。


4.まとめ


遺言作成の際に注意すべき、「2次相続も想定した内容」の遺言書作成について「予備的遺言」をご紹介いたしました。

相談等で、話を聞いている際、必ず遺言書の条項に予備的遺言があるかどうかを確認するようにしております。

相談者の中には、専門書を読み込んで「これで安心だが、もしかしたらと思い相談に来た。」という方もいらっしゃり、内容を確認すると2次相続を想定していないこともよくありました。


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相続放棄件数(司法統計)が過去最多。そして空き家問題。

相続放棄件数(司法統計)が過去最多。そして空き家問題。

負の財産が多い場合、そもそも相続人としての立場を放棄する「相続放棄」ですが、令和4年度の件数が、過去最多の26万件を突破したとの記事を見ました。記事の中に「借金」や「不動産」を相続したくないので相続放棄をしたといった内容で書かれていましたが、実務ではよく聞く話です。少しお話をしたいと思います。


目次


1.相続放棄とは

2.「相続放棄、過去最多26万件 空き家増え、対策課題」(共同通信記事引用)

3.空き家の対策

4.まとめ

相続放棄件数(司法統計)が過去最多。そして空き家問題。

1.相続放棄とは


相続放棄は、被相続人のすべての相続財産(プラスの財産もマイナスの財産も)を相続することなく、最初から相続人ではなかったとみなされることです。


多額の借金をしている方が亡くなられた場合、相続人がその借金を引き継いで支払わなくていいように、相続人には相続放棄という権利が与えられています。

相続放棄の申述を家庭裁判所に対し手続きを行う必要がありますが、この手続きには、相続を知ったときから3ケ月という制限があります。

3か月を超えてからの相続放棄の申述は、原則認められません。


また、最初から相続人ではなかったとみなされるため、代襲相続も起こりません。

そのため、当該相続人として次順位の相続人となるため注意が必要です。

相続相談等では、字順位の相続人に、相続人となったことを伝えてあげた方がいいとアドバイスをしております。

なぜなら、レアケースにはなるのですが、字樹陰の相続人が独身の兄弟姉妹で、両親がすでにいない場合、その方が亡くなった場合、再度、自信が相続人となってしまうことがあり得ます。連絡は密にしておいた方が親切でもあり、安全です。

相続放棄件数(司法統計)が過去最多。そして空き家問題。

2.「相続放棄、過去最多26万件 空き家増え、対策課題」(共同通信記事引用)


「相続放棄、過去最多26万件 空き家増え、対策課題(共同通信記事引用)


不動産や借金などプラス、マイナスどちらの遺産も受け継がない「相続放棄」が年々増え、2022年は全国の家庭裁判所で過去最多の26万497件が受理されたことが9日、司法統計で分かった。

人口減少や過疎化が進む中、専門家は空き家となった実家を手放したり、縁遠い親族の財産を受け取らなかったりする例が目立つと指摘。

放置された家屋や土地への対策が課題で、行政が適切に管理できるよう制度設計を求める声もある。


民法は、人(被相続人)が死亡した場合、配偶者や子らが一切の遺産を相続すると定めており、マイナスの遺産も相続しなければならない。

これを避けるため、相続放棄を家裁に申し立てることができる。全国の家裁で受理件数が増加。司法統計で19年は22万5416件、20年が23万4732件、21年が25万1994件だった。


相続に関する手続きを多く扱う弁護士法人「心」(本部・名古屋市)によると、親が亡くなり、子どもが地元を離れている場合、維持費や固定資産税の負担を嫌って実家の相続を放棄することが多い。孤独死した人と疎遠な親族が遺産を放棄する例もある。」(引用終わり)


3.空き家の対策


空き家の対策として、行政も「空き家バンク」などの取り組みをしております。

しかし、空き家がここまで急速に増加してくるとなると、何らかの手段をとらないとだめになるかもしれません。

昨年のニュースでは、京都市が「空き家税」なる課税を検討しているというものもありました。

しかし、空き家といえども、元は個人資産なわけで、義務化された相続登記で所有者を特定しなければ、処分することもできません。

相続関連の相談を受けている時も、空き家になるかもしれない、田舎の実家が問題となることはよくあります。


相続放棄件数(司法統計)が過去最多。そして空き家問題。

4.まとめ


司法統計で、相続放棄が過去最多となっている記事をご紹介しました。

記事の中で気になったのが、借金と(価値のない)不動産が同列で語られている点でした。確かに、子供からすれば、田舎の実家は、負担以外の何物でもないかもしれません。処分できる不動産ならまだしも、田舎の集落的な場所の不動産は、処分もままならないと思います。


実際、相続登記後、業者にリフォームして売却の方向で相談者が話を進めていたのですが、ぎょすやから連絡があり、「周りの建物のほとんどが空き家になっているので、リフォームしても意味がない」と言われたことがありました。


ご自身が使っていない実家については、早めに処分の方向で検討しておいた方がいいかもしれません。


認知症対策1(任意後見制度)

認知症対策1(任意後見制度)

任意後見制度は、委任者が自分の判断能力が十分なうちに、あらかじめ後見人となってくれる人(「任意後見受任者」といいます。) と任意後見契約を締結し、そこで選任しておいた任意後見人に、将来、自分が認知症や精神障害等で判断能力が不十分になったときに支援を受ける制度です。


目次


1.法定後見制度と任意後見制度

2.認知症になるとできなくなること

3.成年後見制度の種類

4.任意後見契約

5.任意後見のメリット・デメリット

6.まとめ

認知症対策1(任意後見制度)

1.法定後見制度と任意後見制度


事前に準備しておかなかった場合、認知症と判断されると「成年(法定)後見制度」の利用一択になってしまします。

法定後見では、家庭裁判所に申し立てをしたのちに、お子様を後見人にしたいとの希望を提出していた場合でも、家庭裁判所では、「他の家族が反対している」「財産が多い」「後見人になった後に複雑な法律行為を予定している」などの状況を踏まえるため家庭裁判所の判断で「司法書士・弁護士」が後見人になるかもしれません。司法書士や弁護士が選ばれた場合、継続的に報酬(月額2~6万円)が発生し、亡くなるまで発生します。

また、後見人は裁判所に報告義務があり、家族には報告義務はないため、ご家族が財産の状況把握ができない可能性があります。

あらかじめ後見人になってもらいたい家族と任意後見契約を結ぶことで、ご家族を後見人として財産の管理ができるようになります。

認知症対策1(任意後見制度)

2.認知症になるとできなくなること


認知症と診断され他場合、以下のことができなくなります。


 ①預金の処分

 ➁不動産の処分

 ③福祉関係の契約・手続き

 ④相続が発生したときの遺産分割協議 等


上記が発生した場合、法定後見を利用するしか方法はありません。

認知症対策1(任意後見制度)

3.成年後見制度の種類


法定後見になると、誰が後見人になるのかわかりません。

「父の財産を管理したい」長男様が、自身で家庭裁判所に後見の申し立てをした際、長男様のお名前を推薦人として書いていたので安心していたところ、弁護士が選任され、慌てて即時抗告しましたが、覆ることはありませんでした。

そもそも家庭裁判所の決定に、抗告をすることはできません。(体験談)


法定後見制度を利用したくない場合には、判断能力喪失前に任意後見契約を締結しておく必要があります。

認知症対策1(任意後見制度)

4.任意後見契約


任意後見契約は、ご本人と任意後見人になる予定の方(任意後見受任者)との間で締結する契約です。しかし、この任意後見契約だけでは、実際にご本人が認知症になったとき、効力は発生しません。


この任意後見契約につきましては、公証役場において公正証書で作成しなければなりません。


契約を締結してすぐに後見人として活動できるかというとそうではなく、ご本人が認知症等で判断能力が低下したときに、任意後見受任者が家庭裁判所に「任意後見監督人の選任の申し立て」をします。

家庭裁判所が選任した任意後見監督人が就任したときに、任意後見受任者は任意後見、財産管理や身上監護といったことができるようになります。


公証役場で任意後見契約を締結する内容として、判断能力低下時に代理してもらいたいことを定めておきます。


 (代理目録サンプルとして)

 ①不動産、動産等全ての財産の保存、管理及び処分に関する事項

 ➁金融機関、証券会社との全ての取引に関する事項

 ③保険契約(類似の共済契約を含む。)に関する事項

 ④定期的な収入の受領、定期的な支出を要する費用の支払いに関する事項

 ➄生活費の送金、生活に必要な財産の取得に関する事項及び支払いに関する事項

 ⑥医療契約、入院契約、介護契約その他の福祉サービス利用契約、福祉関係施設入所契約に関する事項

 ⑦要介護認定の申請及び認定に関する承認または審査請求並びに福祉関係の措置(施設入所措置を含む。)の申請及び決定に対する審査請求に関する事項

 ⑧登記済権利証・登記識別情報、印鑑、印鑑カード、住民票基本台帳カード、個人番号(マイナンバー)カード、マイナンバー通知カード、預貯金通帳、各種キャッシュカード、有価証券・その預り証、年金関係書類、健康保険証、土地・建物賃貸借契約書等の重要な契約書類その他重要書類の保管および各事項の事務処理に必要な範囲内の使用に関する事項

 ⑨居住用不動産の購入及賃貸借契約並びに住居の新築・増改築に関する請負契約に関する事項

 ⑩登記及び供託の申請、税務申告、各種証明書の請求に関する事項

 ⑪遺産分割の協議、遺留分侵害額請求、相続放棄、限定承認に関する事項


 などを取り決めて任意後見契約を公証役場にて公正証書で作成します。


5.任意後見のメリット・デメリット


(メリット)


①ご家族をほぼ確実に任意後見人にできる

 ※任意後見人を付けることが本人のためにならないといった特別の事情がない限り認められます。

 「成人であれば、誰でも、あなたの信頼できる人を、任意後見人にすることができます。身内の者でも、友人でも全然問題ありません。ただし、法律がふさわしくないと定めている事由のある者(破産者、本人と訴訟をした者、不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由のある者(例えば金銭にルーズな人)など)はダメです。」日本公証人連合会HP引用


➁身上監護(福祉サービス利用契約、要介護認定の申請)なども任せられる

 ※家族信託の場合、できない。


③年金の入金される口座も管理できる

 ※家族信託の場合、できない。


④不動産に抵当権が付いていても金融機関の承諾は不要

 ※家族信託の場合、金融機関の承諾が必要。


(デメリット)


①任意後見監督人の報酬が必要となる


  管理財産5000万円以下 月1万円~2万円

  管理財産5000万円超  月2万5千円~3万円

 ※法定後見の場合でも次の場合、後見監督人が付く可能性が大(報酬面は同じとなる)


預金1000万円以上ある場合(地域によって額が異なります)

  ※後見制度支援信託を利用して、後見人の手元には200万円程度の預金を残し、残りを信託銀行などに信託し、家庭さん板書の書類がないと引き下ろしできないような仕組みをとる場合があります。しかし、ご本人が遺言書を作成している場合、この後見制度支援信託を利用することはできなくなるため、その場合に後見監督人が付く可能性が高くなります。


  このような状況ですと、後見監督人への継続報酬が必要になります。

6.まとめ


法定後見で家族が後見人に選任され後見監督人が付かなければ一番コストがかからないということになりますが、法定後見では第三者が後見人に選任されてしまう可能性があるという点。

また、預貯金1000万円以上で遺言書を作っているなら監督人が付く可能性が高くなるという点。

これらを踏まえると、監督人への継続報酬が同じなら、家族をほぼ確実に後見人にできる(後見人報酬が発生しない)任意後見契約を締結しておいた方が良いのでは、ということになります。


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生前の相続対策3(生命保険の活用)

生前の相続対策3(生命保険の活用)

生命保険(契約者は亡くなった被相続人とする)は法律上では、相続財産を生命保険に切り替え、相続人の一人に受取人指定すれば、相続財産から外すことができます。一方、税務の面では、生命保険は「みなし相続財産」として取り扱われるため、控除枠(法定相続人×500万円)を除いた残りが相続財産となります。生命保険の活用は、比較的メジャーですので、注意点についてお話ししたいと思います。


目次


1.どんな生命保険が相続対策として活用できるのか


2.受取人は誰が一番いいのか


3.まとめ

生前の相続対策3(生命保険の活用)

1.どんな生命保険が相続対策として活用できるのか


 被相続人が保険金を支払っている契約者であり、保障の対象となる被保険者である場合、保険金の受取人が「妻」や「子」である(相続人)ときには、亡くなった場合にみなし相続財産の非課税枠を利用することができます。


 注意しないといけない点は、その生命保険の契約の内容です。若いころから入っている生命保険があると思われている方もいるかもしれませんが、多くの場合「定期付終身保険」の可能性があります。「定期付終身保険」とは、3000万円の保険金となっていても、100万円の終身保険(主契約)に2900万円の定期保険(特約)が組み合わされた保険で、一定の年齢を超えてから亡くなると主契約の100万円分しか受け取れない契約になっていて、非課税枠を十分に活用できない可能性があります。


 保険会社に現状の保険の契約内容を必ず確認しておくようにしましょう。


 これから契約をしようとしている方も、終身保険の金額と自身の推定相続人の数を把握して、税理士などの専門家と相談しながら進めるといいかもしれません。

生前の相続対策3(生命保険の活用)

2.受取人は誰が一番いいのか


 前提として「契約者」と「被保険者」が被相続人(夫)である場合のケースで考えていきます。※被保険者が妻(配偶者)の場合などにつきましては、複雑化しますので、税理士に確認をするようにしてください。


 ①配偶者(妻)を受取人とした場合


  配偶者は、必ず相続人にカウントされるため生命保険の非課税枠は当然使うことができます。しかし、相続税申告をする際に配偶者控除枠1億6千万円を使うことができるため有効活用できるかというと微妙かもしれません。


 ➁子供を受取人とした場合


  一番効果が出るケースです。


 ③孫を受取人とした場合


  子供が存命の場合、生命保険の非課税枠は利用できません。代襲相続や養子となっている場合では、非課税枠を利用できるケースもあります。


 厄介なのが、子供が存命で孫を受取人とした場合、相続税額2割が加えられて計算されるという仕組みが適用される場合があります。この辺につきましては、税理士にご相談ください。

生前の相続対策3(生命保険の活用)

3.まとめ


 生命保険を活用した相続対策を考える場合には、まずは、生命保険の契約内容について確認をすること。契約内容が主契約の終身保険の額ではなく、特約の額が多い場合には、相続税対策には効果が薄い場合があります。


 次に、受取人を誰にするのかという点。保険に加入する際に、妻が受取人でないことで文句を言うケースもあるようですので、なぜ妻(配偶者)にしないのかについては、専門家の税理士などを交えて、しっかりと事前に話し合いをしておく必要があると思います。


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生前の相続対策2(遺言書作成)

生前の相続対策2(遺言書作成)

生前の相続対策として「遺言書作成」があります。遺言書を作成しておくことで、ご自身の意思を残された家族に伝えることと、不要なトラブルを避けることもできるかもしれません。ただし、遺言書作成が有効と判断されるためには、法律の要件をクリアしておく必要があります。


目次

1.遺言書作成のタイミング

2.自筆証書遺言と公正証書遺言

3.遺言書がある場合とない場合の手続きの差

4.遺言書の未来

5.まとめ


生前の相続対策2(遺言書作成)

1.遺言書作成のタイミング


遺言書は、健康な状態で作成することが望ましいです。

一度病気になってしまうと、判断力が低下したり、医療処置によって精神状態が変化する可能性があります。

早めに遺言書を作成することで、自分の望む財産分配方法を明確にし、遺言執行者の指名や葬儀の方法なども記載することができます。


ご高齢の相談者様の中には、遺言書の手続きについて説明すると「そんなに大変なら、考えます。」と言って、相談を打ち切られる場合がよくありますが、健康で元気である間に、遺言書を作成することが重要になってきます。

生前の相続対策2(遺言書作成)

2.自筆証書遺言と公正証書遺言


①自筆証書遺言(しひつしょうしょゆいごん)

遺言者自身が手書きで書いた遺言書のことです。

遺言者が自らの意思を文書に記し、日付や署名を行います。

法的効力を持つためには、遺言者が死亡する前に遺言書に自筆で署名し、日付を入れる必要があります。

法律上の要件を満たすために、自筆で書かれ、遺言者の署名があることが重要です。また、内容が明確であることも求められます。


➁公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)

公証人が立会いし、遺言者の意思を確認した上で作成される遺言書のことです。

公証人は遺言者に対し、遺言書の内容や意味を確認し、遺言者の意思を理解したうえで遺言書を作成します。

遺言者は公証人の前で署名します。公証人も署名し、証人も立ち会います。

自筆証書遺言と比べて、法的な証拠力や信頼性が高いとされています。遺言書の内容や遺言者の意思が明確に公証されるためです。


要するに、自筆証書遺言は遺言者自身が書いたものであり、公正証書遺言は公証人が立会いし作成されたものです。

どちらも法的な効力を持ちますが、相続人間で争いが生じた場合、公正証書遺言の方が通常、法的な証拠力が高いとされています。


3.遺言書がある場合とない場合の手続きの差


それでは、遺産が相続人に帰属するタイミングについてお話をいたします。


(1)遺言書がある場合

遺言者(亡くなった方)の遺志に従って、財産の帰属先が決定します。


(2)遺言書がない場合

相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を取りまとめることで、相続財産の帰属先が決まります。

つまり、遺産分割協議がまとまるまでは、法定相続分での状態になってしまうということです。

その間に、相続人の中には法定相続分の持分を買い取り業者などに売却したりする方などが発生してしまいますと、遺産分割協議がうまくまとまらなくなってしまう可能性も出てきます。


遺産分割に関するトラブルは、遺言書がない場合、法律上の相続人の割合に従って分割されますが、これが家族や親族間での紛争を引き起こすことがあります。

早めに遺言書を作成することで、財産の帰属先が宙に浮くことを未然に防ぐことができます。

相続人間の争いについては、遺言書があってもなくても、起こるときは起こりますし、起こらないときは起こりません。

家族間のコミュニケーションや、相続発生後の手続きの煩雑さなどから見ても、遺言書があるおかげで、ずいぶん軽く済んだケースを多く見てきました。

ここで言えることは、相続関連の手続きで戸籍類など亡くなった方と相続人の関係を証明するための書類は圧縮され、遺言者と遺産を受け取る方の戸籍で関係性を証明すれば、手続きを始めることができる点です。

なぜなら、遺産の帰属先は既に決まっているためです。

生前の相続対策2(遺言書作成)

4.遺言書の未来


これまで紙でしか認められなかった遺言が、ついにパソコンやスマホからでも作成が可能になるというニュースがでましたね。

(令和5年5月5日 日本経済新聞)


今までだと、自筆証書遺言ですと財産目録以外は、原則紙に直筆で書き込み、自署・押印が成立の要件となっていました。公正証書遺言も、公証人及び証人2名と自身で、書面上で書かれた内容について確認する作業が必要で、保管も書面での保管となっています。

※公証役場での公正証書遺言の保管は、デジタル化されています。


5.まとめ


遺言書について解説してまいりました。

遺言書は、健康年連を考慮すると「70歳を超えたとき」に検討し始めた方がいいと思います。

中には、「うちは財産が少ないから、遺言書なんて必要ない」と思われている方もいるかもしれませんが、実は、家庭裁判所の統計データを見ますと、遺産分割調停・審判の件数で財産額が5000万円以下で全体の78%を占め、1000万円以下では35%にも及びます。

勿論、揉めた場合、家族関係はぎくしゃくしてしまうでしょう。

このような事態を防止する意味でも、遺言書は有効な手段だと考えます。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


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生前の相続対策1(生前贈与)

生前の相続対策1(生前贈与)

生前の相続対策として、生きている間にどなたかに財産を贈与するという方法があります。以前はよく使われていた「暦年贈与制度」ですが、令和6年1月1日よりルールが変更になり、贈与税110万円の非課税枠は利用できても、相続時に相続人に贈与していた財産について、相続財産に持ち戻しされる範囲が、従前の3年から7年に延長されました。これ以外にも注意すべき点がありますので、解説していきたいと思います。


目次


1.生前贈与の留意点

2.こんなはずじゃなかった生前贈与

3.暦年贈与制度と相続時精算課税制度

4.まとめ


生前の相続対策1(生前贈与)

1.生前贈与の留意点


財産を生きている間に、誰かに贈与することを生前贈与と言います。

生前贈与は、一般の贈与と同じく贈与税の対象となります。基礎控除額は110万円ですが、これを超えると贈与税がかかります。

相続税と比較すると、控除額については、相続税の場合、「3000万円+600万円×法定相続人の人数」となりますので、贈与税の控除額110万円とは比較にならないほど大きく控除額が設定されています。

また、不動産の名義変更のための税金である「登録免許税」は、贈与の場合1000分の20ですが、相続で登記をする場合1000分の4と5分の1となります。急いで、生前贈与すべきかどうかの判断はやはり必要だと思います。


贈与税も相続税も、税務署への申告が必要です。

贈与税の場合、確定申告の際に届け出ることとなり、相続税の場合は、相続発生から10ケ月以内に申告をすることになります。忘れると税務署から呼び出しが来ますので、解らない場合には、税理士に相談してください。


生前の相続対策1(生前贈与)

2.こんなはずじゃなかった生前贈与


以前、「もう使わない宅地があるから、孫に贈与したい。」と相談がありましたので、固定資産税評価証明書を確認すると合計額が1000万円を超えていました。

贈与税がかかる旨話をすると、「孫に迷惑はかけれないから、私が贈与税を払う。」と言っていました。

税理士に相談していただきますと、贈与税に加え、贈与税を肩代わりすると、そこにも贈与税がかかってくると言われ、少し考えさせてほしいと言い、その後、それでも贈与したいということでしたので手続きをしました。

業際の関係で、司法書士だけで相談してしまいますと、税務について概略程度はお話しできるのですが、細かい内容まで相談に応じることはできません。税理士法に違反してしまうためです。

アイリスでは、提携先の税理士をご紹介しております。


3.暦年贈与制度と相続時精算課税制度


暦年贈与制度の相続人への贈与について、持ち戻しの期間が3年から7年に伸びたことは既にお話をしましたが、他にも相続時精算課税制度と異なる点があります。

それは、相続時精算課税制度を利用する場合には、税務署へ届出が必要となり、届け出後は暦年贈与制度を利用することはできなくなります。

令和6年1月1日の変更点は相続時精算課税制度にもあり、年間控除額110万円を利用できるようになりました。こちらは、控除した場合、暦年贈与制度のように相続財産への持ち戻しがありません。

詳細につきましては、比較表を以下に示します。

生前の相続対策1(生前贈与)

4.まとめ


生前贈与を検討する場合、やはりコスト面についての検討が必要です。

相続で実施したほうが安くなる場合があります。

また、どの制度を使えば、ご自身が考えている生前贈与として活用できるのかの判断も必要です。

税金関係の相談は、司法書士は受けることができませんので、必ず税理士に相談し、手続きが発生するようなら、専門家である税理士に依頼してください。

司法書士は、不動産の名義の変更の手続きはできますが、税務署への届出や申告はできません。


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相続登記義務化について、「なぜ」義務化なのか?わかりやすく解説

相続登記義務化について、「なぜ」義務化なのか?わかりやすく解説

既に始まっている相続登記義務化ですが、なぜ相続登記が義務化されたのか?そして、相続登記をしないことによる弊害は、罰則である過料だけなのか?そして、不動産を所有するということについて今一度考えていただきたく、詳しく解説していきます。北海道新聞の記事によくまとまったものがありましたので、こちらを引用しながらお話をしていきます。


目次


1.相続登記とは何?

2.相続登記をしないことによる支障

3.空き家問題と直結。放置すると何が良くない?

4.所有することによる責任問題について

5.まとめ

相続登記義務化について、「なぜ」義務化なのか?わかりやすく解説

1.相続登記とは何?


「登記は土地の場所や広さ、建物の構造など不動産の状態と、その権利関係を記したものです。現在の所有者がだれで、抵当権が付いているかどうかなどをだれでも確認することができ、不動産取引を安全に行うための制度です。そして、相続登記は、家や土地など不動産の所有者が亡くなった後、不動産の所有名義を相続人に変更する手続きのことをいいます。」(北海道新聞記事引用終わり)


つまり、亡くなった方名義のままでは、公示された登記簿からは、亡くなった方の氏名住所しかわかりません。もし、処分(売買等)しようと思っても、死者は契約当事者にはなることはできません。

現在生きている当事者でなければなりません。そのためには相続登記をしておかなければ、処分すらできないという状態になるわけです。


それでは、なぜ相続登記を放置する方が今まで多かったのかと言いますと、通常不動産取引をした場合の権利関係を明確にするために「登記(名義の変更)」をして、第三者に対抗する要件を備えるわけです。

登記をしないと、前の所有者から買ったとする第三者に対抗できないという事態が生じるわけです。

つまり、自己の権利を主張するために登記が必要なんです。不動産の登記は任意というのはここからきています。

それが今まで相続登記にも及んでいたために、令和6年4月1日までは、任意で行うものとされていました。任意ですので、罰則もありませんから、「やらない」という選択肢があったわけです。


しかし、東日本大震災の時、復興のため被災した土地を再開発しようとしたとき、この相続登記の放置による所有者不明となっている土地がネックになり、再開発が遅れたそうです。

そこで、政府が所有者不明土地の調査をしたところ、九州の面積に匹敵する土地が該当したため、相続登記義務化の方向に方針を転換したと言われています。


2.相続登記をしないことによる支障


先ほどは、相続登記をしないことについて、社会的な支障についてお話をしてきました。それでは、相続登記をしなかった方たちにとってどのような支障が出てくるのかを見ていきたいと思います。


まずは、今回の義務化の罰則である過料です。最大10万円以下の過料となります。

それでは、10万円払えばそれで終わりなのか?または、相続人申告登記をして、過料だけは免れておけばいいのか?という点について、考えていかなければならないと思います。次で述べたいと思います。


3.空き家問題と直結。放置すると何が良くない?


建物放置は空き家問題に直結しますし、損壊の危険や治安悪化も懸念されるところです。

季節の変わり目になりますと、放火事件などが増加しますが、空き家が狙われるケースも少なくありません。


「空き家はさまざまな問題を生じさせます。人が管理しない状態が続くと、台風などの自然災害で損壊したり、雨水が入って朽ちたりして周囲に危険を及ぼします。動物が入り込んで繁殖すれば、衛生面でも問題になります。悪い人がたむろして治安の悪化を招く可能性もあります。その他にも景観面や地価の低下も問題となります。そこで、一つの対策として不動産登記法などが改正され、相続登記を義務化することになりました。」(北海道新聞記事引用)


こちらもどちらかと言えば、社会的な問題に起因するものですが、地域の問題になってきますね。例えば、倒壊しそうな空家が倒壊し、近隣住民に被害が出た場合に、相続人の方たちは「関係ない」といえるのでしょうか?次で解説していきます。

相続登記義務化について、「なぜ」義務化なのか?わかりやすく解説

4.所有することによる責任問題について


「民法(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)

第717条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない


2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。


3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。」


上記民法の規定は、土地の工作物(建物、橋、電柱、エスカレーター等)について、責任の所在を指しています。


例えば、空き家を放置していたために、倒壊し、近隣住民に損害が発生した場合、空き家に占有者はいませんので、その責任は所有者に行くことになります。

つまり、相続人です。よく条文を見ていただければわかると思うのですが、占有者(賃借人など)には、ちゃんと管理していることが証明されれば責任を免れますが、所有者にはその文言はありません。

つまり、損害が発生した場合、所有者に係る責任は、免責事由がなく無過失責任となります

相続人にいかなる事情があったとしても、とりあえずは責任がかかります。そして損害を賠償した後、「損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。」とされるわけです。

使わない不動産(特に老朽化した建物)について、処分方法の検討を促しているのには、このような事情がある訳です。


5.まとめ


このように、相続登記を放置することで相続人が負う責任は、義務化の過料だけではないことがお分かりいただけたと思います。

所有者の責任というのは無過失責任です。使わない実家などがある場合、アイリスでは相談を受けつけております。このような物件を専門に買い取りをされている業者がおりますので、そちらにお繋ぎしております。

漠然とした不安が現実のものになる前に、是非検討してみてください。


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(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

相続登記をご自身でされる場合もあると思いますが、申請書の記載が間違っていたり、法定の要件を欠く場合に法務局側で行う手続きに「補正」「却下」があります。また、申請人が行う手続きとして「取下げ」があります。それぞれ、内容が異なりますので解説したいと思います。


目次


1.「補正」とは


2.「取下げ」とは


3.「却下」とは


4.「却下」・「取下げ」による書類の還付


5.まとめ


(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

1.「補正」とは


補正とは、登記の申請に不備がある場合において、申請人がその補正をすることをいいます。


 補正の方法としましては、「電子申請」と「書面申請」で取り扱いが異なります。


 ①電子申請の補正(不動産登記規則60条2項1号)


  法務大臣の定めるところにより、電子情報処理組織を使用して申請の補正をする。


 ➁書面申請の補正(不動産登記規則60条2項2号)


  登記所に提出した書面を補正し、又は補正にかかる書面を登記所に提出する。


※申請書田添付情報の補正は、「登記官の面前」でさせなければならないとあります。(不動産登記法準則36条3項前段)この場合、当該書面が資格者代理人(司法書士)の作成によるものである時、当該資格者代理人本人に補正させなければならない。(不動産登記法準則36条3項後段)


 個人の意見として、この時は、非常に恥ずかしいと感じます。


 ここで、「登録免許税の追加納付のみ」の補正の場合は、電子申請による場合でも、領収書または収入印紙を窓口に提出又は送付する方法で行います。

(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

2.「取下げ」とは


 取下げとは、申請人の意思により、登記申請を撤回することです。取下げには、登記の申請を補正するための取り下げと、申請を完全にやめるための取り下げの2種類があります。


 注意点として、取下げできる期間があり、「登記の完了後又は却下後」にはすることができません。(不動産登記規則39条2項)


 取下げの方法として、


 ①電子申請(特例方式含む)※特例方式とは、添付書類だけ書類で申請する方式。


  法務大臣の定めるところに従い、電子情報処理組織を使用して申請を取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法による。(不動産登記規則39条1項1号)


 ➁書面申請


  申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法による。(不動産登記規則39条1項2号)


 ここで重要になってくるのが、司法書士などの代理人に依頼している場合の「委任状」に記載されている事項です。補正のための取り下げの場合には、取下げのための特別の授権を要しません(昭29.12.25民甲2637号)が、申請を完全に撤回するための取り下げの場合、取下げのための特別の授権をようします。(昭29.12.25民甲2637号)


 また、取下げの際の塘路億免許税の還付についてですが、書面・特例方式の場合、領収書または収入印紙を台紙に貼った書面を取下げの日から1年以内に再使用することができる旨の証明を求めたときは、「再使用証明」がなされます。台紙等に再使用の印が押されますので、再度申請する際に利用できます。しかし、電子納付の場合は、還付の手続きをすることになります。


 ※登録免許税額がそれなりに大きい場合で、申請書類に自信がない場合には、還付するにも時間がかかりますので、「再使用証明」で行った方がいいと思います。

(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

3.「却下」とは


 登記官は、登記申請が25条列挙事由に該当する場合には、理由を付した決定をもってその申請を却下しなければならない。(不動産登記法25条)


 ただし、その申請の不備が補正可能なものであって、申請人が登記官が定めた相当の期間内に補正した場合には、却下されない。(不動産登記法25条但し書き)


※25条列挙事由とは、却下事由になり、これに該当する場合には却下されるという取り扱いになっています。詳細内容については、今回は割愛いたします。


 申請却下時には、登記官から、却下決定書が交付されます。代理人により申請した場合には、当該代理人に交付されます。(不動産登記規則38条1項、2項)


 この時、添付書面は還付されますが、登録免許税のために収入印紙を貼った申請書は返却されません。ですので、取下げの場合と異なり、再使用証明ができませんので注が必要です。


(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

4.「却下」・「取下げ」による書類の還付


 却下と取下げについて、比較した表を以下に示します。


(論点)相続登記(登記申請の補正・取下げ・却下)

5.まとめ


 「補正」「取下げ」「却下」の手続きの違いについて解説をしてきました。


 例えば、最近よく見かけるのですが、本人申請の際に窓口で修正を促している様子を見かけます。こちらは、「補正」に当たると思います。そして、受理前に書類の不足などを指摘して、追加で持ち込んでいただくのも、一種の補正だと思います。また、法務局では、事前に登記相談なども行われたり、司法書士による相談を予約制で受け付けています。司法書士による相談で、詳細まで聞くことはかなり難しいと思いますが、法務局職員による登記相談はいろいろと教えていただけると思います。


 登記の申請は、まずは提出することから始まります。そこで、何か問題があればアドバイスをいただけると思います。法務局に足を運ぶ回数を減らしたい、時間を書けれないというのであれば、やはり司法書士に相談して、申請をお願いするのが良いと考えます。

令和6年4月1日施行の登記事項証明書等における代替措置関係について

令和6年4月1日施行の登記事項証明書等における代替措置関係について

日本語だけで解釈しようとするとおそらく解らない方が多いと思います。

今回、4月1日に、不動産登記関連の登記事項証明書(登記簿)の公示される実際の住所の代わりにその者から申出のあった場所(公示用住所提供法務局等)とする申出を申請時に行い、DVなどの被害を未然に防ぐことを目的とする制度です。

くわしく解説いたします。


目次

1.登記事項証明書等における代替措置とは

2.代替措置を受けられる要件

3.代替措置を申請するときの「承諾書」(何を承諾するのか)

4.まとめ


令和6年4月1日施行の登記事項証明書等における代替措置関係について

1.登記事項証明書等における代替措置とは


今まで、一般的な不動産の登記事項証明書については、売買などの不動産取引の安全を重視し、登記簿上に本人の住所を記録するようにしています。

改正前まで特例的に、登記実務上、例えば、登記名義人等がDV被害者等の被支援措置者である場合には、被支援措置者の保護の観点から現住所を秘匿する必要性が高いことに配慮して、一定の場合に、現住所への住所の変更の登記を不要とする取扱いや、前住所又は前々住所を登記権利者の住所として申請することを許容したり、登記申請書等に記載されている被支援措置者の住所の閲覧制限の取扱いを行っていたりしていました。


 しかし、昨今の義務化された相続登記や住所等の変更登記など、不動産登記簿の情報を最新のものにするための方策を実施するにあたり、DV被害者等を保護する観点からその住所を非公開とする取り扱いの必要性も一層高まっているため、これらの措置に法的根拠が設け、今回の改正により、住所を表示する代替措置等をするようになりました。


不動産登記関連の登記事項証明書(登記簿)の公示される実際の住所の代わりにその者から申出のあった場所(公示用住所提供法務局等)とする申出を申請時に行うことで、DVなどの被害を未然に防ぐことが目的となります。

令和6年4月1日施行の登記事項証明書等における代替措置関係について

2.代替措置を受けられる要件


「(1) 登記記録に記録されている者(自然人であるものに限る。)は、その住所が明らかにされることにより、次のア又はイに掲げる場合(以下「措置要件」という。)に該当するときは、代替措置申出(法第119条第6項に規定する申出をいう。以下同じ。)をすることができるとされた。


ア 人の生命若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合(法第119条第6項)


イ 当該登記記録に記録されている者その他の者(自然人であるものに限る。)について次に掲げる事由がある場合(規則第202条の3)


(ア) ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第6条に規定するストーカー行為等に係る被害を受けた者であって更に反復して同法第2条第1項に規定するつきまとい等又は同条第3項に規定する位置情報無承諾取得等をされるおそれがあること。


(イ) 児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待(同条第1号に掲げるものを除く。以下この(イ)において同じ。)を受けた児童であって更なる児童虐待を受けるおそれがあること。


(ウ) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第2項に規定する被害者であって更なる暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの(後記(エ)において「身体に対する暴力」という。)を除く。)を受けるおそれがあること。


(エ) 前記(ア)から(ウ)までに掲げるもののほか、心身に有害な影響を及ぼす言動(身体に対する暴力に準ずるものに限る。以下同じ。)を受けた者であって、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがあること。


(2) 前記(1)の「登記記録に記録されている者」には自然人であること以外に特段の限定は付されていないことから、登記名義人であった者、信託目録に記録されている者、閉鎖された登記記録に記録されている者等もこれに該当する。また、登記記録に記録されている者の住所が明らかにされることにより、当該者以外の者(例えば、登記記録に記録されている者と同居する者等)に前記(1)ア又はイに掲げるおそれがある場合も、措置要件に該当する。ただし、この場合においても代替措置申出をすることができるのは登記記録に記録されている者に限られる。


(3) 次に掲げる者が更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがある場合には、前記(1)イ(エ)の事由があるものとして取り扱うものとする。


ア 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的以外の目的により前記(1)イ(ア)のストーカー行為等と同様の態様による行為に係る被害を受けた者


イ 前記(1)イ(イ)の児童虐待と同様の態様による行為に係る被害を受けた満18歳以上の者(例えば、高齢者など)


ウ 保護者でない者から前記(1)イ(イ)の児童虐待と同様の態様による行為に係る被害を受けた児童


エ 配偶者以外の者から前記(1)イ(ウ)の暴力と同様の態様による行為に係る被害を受けた者


オ 名誉又は財産等に対する脅迫を受けた者


カ 正当な理由なくインターネット上で生活状況を含めたプライバシー情報がさらされている深刻な状況にある者


これらに該当しない者であっても、個別の事案における具体的な事情に応じ、前記(1)イ(ア)から(ウ)までに掲げる言動と同程度の心身に有害な影響を及ぼす言動を受け、更なる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがある場合には、同(エ)の事由があると認められる。」(通達要件部分引用終わり)


 つまり、自然人(法人ではない個人)であり、DVだけでなくストーカーや脅迫などを受けている場合で、有害な影響を受ける恐れがある場合に、代替え措置の提供を受けることができるとなっています。


令和6年4月1日施行の登記事項証明書等における代替措置関係について

3.代替措置を申請するときの「承諾書」(何を承諾するのか)


法務局の住所を公示するにあたり、代替措置の申出書に加え「承諾書」を要求されます。その内容は以下の通りです。


「☑ 前記2の内容に変更が生じた場合には、速やかに前記1に記載した公示用住所提供者(規則第202条の10に規定する公示用住所提供者をいう。以下同じ。)である法務局又は地方法務局(以下「公示用住所提供法務局等」という。)に変更後の事項を申し出ます。


☑ 公示用住所提供法務局等が受領するのは、申出人に宛てて公示用住所提供法務局等に送付された文書に限り、文書以外の物は受領しないことを承諾します。


☑ 裁判所による特別送達、本人限定受取郵便その他の公示用住所提供法務局等において受領することが性質上予定されていない方法によりに公示用住所提供法務局等に送付された文書は、公示用住所提供法務局等において受領しないことを承諾します。


☑ 公示用住所提供法務局等が受領した文書は、当該受領の日から1か月間に限り公示用住所提供法務局等で保管するものとし、申出人本人又はその代理人がその期間内に当該文書を受領しないときは、公示用住所提供法務局等において当該文書を廃棄することを承諾します。


☑ 申出人に宛てて公示用住所提供法務局等に送付された物が文書であることを確認するため必要があるときは、申出人の承諾なく、公示用住所提供法務局等において開封その他の必要な処分をすることを承諾します。


☑ 規則第202条の11第2項第4号及び第202条の16第3項第3号に規定する取扱い(以下「本取扱い」という。)は、次に掲げる日のうち最も早い日に終了し、当該日以後に申出人に宛てて公示用住所提供法務局等に送付された文書その他の物は、公示用住所提供法務局等において受領しないことを承諾します。


⑴ 公示用住所提供法務局等を公示用住所提供者とする代替措置等申出(規則第202条の4第1項に規定する代替措置等申出をいう。以下同じ。)があった日から10年を経過した日(この法務大臣の定める事項と同様の事項を記載した書面を提出して公示用住所提供法務局等に対して本取扱いの延長を申し出た場合を除く。)


⑵ 規則第202条の15第1項の規定による代替措置申出の撤回があった日


⑶ 申出人の死亡の日


☑ 不動産登記法(平成16年法律第123号)第119条第6項の申出に関する情報を保有する法務局又は地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所が、本取扱いに必要な限度で、公示用住所提供法務局等に対して当該情報を提供することについて承諾します。


☑ 公示用住所提供法務局等の所在地に変更があった場合であっても、規則第202条の16第1項の規定による公示用住所の変更申出がない限り、登記事項証明書又は登記事項要約書に記載される公示用住所(規則第202条の10に規定する公示用住所をいう。)は変更されないことを理解しました。


☑ 公示用住所提供法務局等の故意又は重過失による場合を除き、本取扱いに関して発生した損害について、国は賠償責任を負わないことについて承諾します。」(承諾書引用終わり)

令和6年4月1日施行の登記事項証明書等における代替措置関係について

4.まとめ


今回の法改正により、一定の要件を充たす必要はありますが、公示される登記事項証明書に「住所」を仮の住所(法務局等)することができ、「文書(荷物はNG)」の保管を1か月間行っていただけるという点。


運用によっては、また変更がされるかもしれませんが、良い方向に進んでいると思います。


私が、相談を受けた方の中には、このような被害にあわれていている方にお会いして話を聞くこともありましたので、少しずつ前進していると思います。

(論点)相続問題(混ぜるなキケン!「相続放棄」と「財産放棄」の違い)

(論点)相続問題(混ぜるなキケン!「相続放棄」と「財産放棄」の違い)

相続登記を実施する際に、添付書類として法定相続人を特定するために戸籍謄本等から確認します。そして、当然、遺産の分配について、原則法定相続分となるわけですが、そこからさまざまな事情を踏まえて、相続人間で遺産分割協議をして遺産を分割します。一方で、相続放棄の申述は、家庭裁判所の手続きを要します。先日の相談で「相続分のないことの証明書」を作成し、署名押印したので、私は相続放棄をしたことになるのかとの相談を受けました。果たして相続放棄なのでしょうか?


目次

1.相続放棄とは

2.「相続分のないことの証明書」とは何を証明しているのか

3.被相続人の借金を負わないために

4.まとめ


(論点)相続問題(混ぜるなキケン!「相続放棄」と「財産放棄」の違い)

1.相続放棄とは

 

民法では相続放棄について、以下のように規定されています。


「(相続の承認又は放棄をすべき期間)


第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。


2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる


(相続の放棄の方式)


第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。


(相続の放棄の効力)


第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。」


 つまり、手続きとして家庭裁判所に申述しなければならず、その期間は熟慮期間と呼ばれ「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」以内にしなければなりません。3か月と言いますと、あっという間です。また、相続放棄は、被相続人が生きている間にはできません。相続発生後にできる手続きとなりますので、3か月経過直前に相談に来られる方もいますが、相続放棄ができなくなる可能性も出てきます。


 そして、相続放棄の効果は、「相続人とならなかったものとみなす」、よって、被相続人が有する債権債務のすべてを受けられなくなります。


(論点)相続問題(混ぜるなキケン!「相続放棄」と「財産放棄」の違い)

2.「相続分のないことの証明書」とは何を証明しているのか


 ここで、過去に相続登記をされた方の中で、「相続分のないことの証明書(特別受益証明書・寄与分を取り決めた遺産分割協議書など)」を作成したという方がいらっしゃるかもしれません。これは、相続登記を申請する際に添付する登記原因証明情報の一つとして、証明された方は財産をもらわなかったという証明書になります。この手続きは「財産放棄」といいます。あくまでも、相続人間で財産の分配の方法を決めるために行う手続きです。


(論点)相続問題(混ぜるなキケン!「相続放棄」と「財産放棄」の違い)

3.被相続人の借金を負わないために


 さて、「相続放棄」と「財産放棄」について解説してきましたが、実際のところ被相続人(亡くなった方)の負債を負わなくていいのは、どちらなのでしょうか?皆さんはわかりますか?


 初めから相続人ではなかったとみなしてくれる「相続放棄」と、相続人間のみで取り決める「財産放棄」。被相続人の債権者が影響を受けるのは「相続放棄」です。


 「初めから相続人ではないとみなす=この相続で受ける債権債務を引き継がない」ということになるからです。


 それでは遺産分割協議で財産をもらわなかった場合、相続負債を負わなくてもいいのでしょうか?


「(遺産の分割の効力)


第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。


 遺産分割協議を相続人間ですることは自由なのですが、但書で「第三者の権利を害することはできない。」とあります。つまり、相続債権者の権利は害せないわけです。結果、負債を相続人として受けることになります。


 今までも、相談に来られる方の中に、「相続放棄」と「財産放棄」を混同されている方が多くいらっしゃいました。相続放棄は、必ず家庭裁判所の手続きが必要です。もし、家庭裁判所の手続きをしていなければ、それは相続放棄ではないかもしれません。


(論点)相続問題(混ぜるなキケン!「相続放棄」と「財産放棄」の違い)

4.まとめ


 「相続放棄」「財産放棄」について、手続きとその効力について解説してきました。「財産放棄」であるのに、相続放棄をしたと勘違いしてしまいますと、後に、被相続人の債権者から多額の請求を受けることになります。また、相続放棄は家庭裁判所の申述により行われます。ご自身ですることも可能です。一般的には書面のみの手続きとなりますが、申述する内容によっては、家庭裁判所に出頭を命じれられる可能性もあります。ですので、熟慮期間の残りの期間と相続放棄手続きについて、専門家に相談されることをお勧めいたします。


 アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)

また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください

不動産取引の注意点(利益相反取引)

不動産取引の注意点(利益相反取引)

会社の役員(取締役等)の所有する土地を自身が役員を務める法人に売却する場合、「利益相反取引となります。他にも、担保権(抵当権など)の設定などにおいても、この「利益相反取引」となり売る場合があります。それでは、利益相反取引の状態で売却は可能なのか?解説していきたいと思います。今回は、法人と個人の取引についてお話をします。


目次


1.不動産登記における利益相反取引

2.利益相反取引かどうか見極めるポイント

3.利益相反取引の場合の添付書類

4.まとめ


不動産取引の注意点(利益相反取引)

1.不動産登記における利益相反取引


不動産取引における利益相反取引ですが、一番わかりやすいのは、個人の不動産をその方が代表を務める会社に売却するケースです。売買契約自体は問題なくできるでしょうが、問題点は、どちらも立場が異なるだけで、「同一視」できる点です。ですので、不当に安い値段で売却したり、不当に高く売却することが可能になってしまいます。要は、契約内容は自由ですので、第三者に売却する場合と比べると、不当に高く売却する場合、法人から合法的に資金を個人に移転できてしまうわけです。法人の資金が外部に流出して損害を被るのは、「株主」です。ですので、原則、株主総会決議を要するわけです。

2.利益相反取引かどうか見極めるポイント

 不動産登記関連での利益相反取引については、様々な事例があります。まずは、権利の種類から見ていきます。

 ①不動産の所有権の場合

 所有権が移転する場合、それが買主・売主の立場であっても双方ともに考慮が必要です。なぜなら、「会社の資産を安く売る行為」(売主側)、「会社が高く買う行為」(買主側)で、利益相反の可能性が出てくるわけです。それでは、個人・法人間の取引では、どのように見ていけばいいのでしょうか?その個人が、取締役に含まれているかどうかで判断します。

 それでは、法人・法人間取引では、どのようにみるのかと言いますと、自身が代表を務める法人に対し、相手方の法人にその代表者が取締役としている場合が該当します。

 ➁担保権(抵当権)の場合

 担保権の場合、担保権を設定している不動産の所有権者が「法人」の場合注意が必要です。なぜなら、個人所有不動産に法人の担保権を設定するのは自由ですし、法人の債務を個人資産で担保してくれるので、株主に損害を及ぼすこともありません。

  ㋐抵当権を設定する場合

   法人所有の不動産に、個人債務を担保するために抵当権を設定する場合、利益相反取引となります。

  ㋑抵当権の債務者を変更する場合

   個人所有の土地に、個人債務者の抵当権が設定されている状態で、この債務者を法人に変更をする場合、利益相反行為となります。会社が個人の債務を肩代わりするわけですからね。株主総会決議は必要とはなりますが、登記の際、承諾証明情報として、株主総会議事録の添付は不要です。なぜなら、個人所有の不動産のため、最終的に抵当権が実行されると、不動産を失うのは個人ですから。

不動産取引の注意点(利益相反取引)

3.利益相反取引の場合の添付書類


 不動産登記の申請書に添付する書類として、「株主総会議事録(取締役会設置会社においては、取締役会議事録)」が必要です。通常、商業登記の申請において、株主総会議事録を添付する場合、併せて「株主リスト」の添付を要求されますが、不動産登記の商大証明情報として「株主総会議事録」を添付する場合、この「株主リスト」の添付は要求されていません。(不動産登記令9条、規則36条4項)


 先の、抵当権の債務者の変更について、故人の債務を肩代わりしているのに、なぜ株主総会議事録が要らないのかという点については、法務局ではあくまで「形から入る」、つまり、外形が利益相反に見えるかどうかで判断します。これは利益相反の登記に限らず、どのような事情でも外形上の判断になります。


 しかし、登記に必要ないからと言って、決議を省略してはいけません。実質上は利益相反取引ですからね。


不動産取引の注意点(利益相反取引)

4.まとめ


 先の、抵当権の債務者の変更について、故人の債務を肩代わりしているのに、なぜ株主総会議事録が要らないのかという点については、法務局ではあくまで「形から入る」、つまり、外形が利益相反に見えるかどうかで判断します。これは利益相反の登記に限らず、どのような事情でも外形上の判断になります。


 しかし、登記に必要ないからと言って、決議を省略してはいけません。実質上は利益相反取引ですからね。


 利益相反取引については、「相続人の遺産分割協議で未成年の代理人が自分も相続人である場合」なども含まれてきます。


 このように、利益相反かどうかの判断は、専門家に相談して手続きを進めていくべきだと考えます。


 アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)

(論点)相続問題(譲渡したはずなのに登記未了だった)

(論点)相続問題(譲渡したはずなのに登記未了だった)

過去に不動産を譲渡(売買・贈与)したが、その後、当事者が亡くなり相続人が調査すると、その登記が未了であることが発覚。しかも、契約書などの書類は見つからず途方に暮れているという相談です。

契約書類がなく、しかもその当事者が双方とも死亡している場合、登記はできるのでしょうか?


目次


1.民法上の譲渡契約について

2.具体的にどうすればいいのか

3.相続を証する書面とは

4.まとめ

(論点)相続問題(譲渡したはずなのに登記未了だった)

1.民法上の譲渡契約について


それでは、譲渡(売買・贈与)契約をした場合、どのような時点で契約が成立するのでしょうか。

「民法(売買)

第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」


「民法(贈与)

第549条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」


つまり、双方の意思表示が合致したときにその契約は成立するとなっています。

ただし、法律上書面等での契約を規定しているものもあります。


「民法(保証人の責任等)

第446条 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。

2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。

3 保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その保証契約は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。」


(論点)相続問題(譲渡したはずなのに登記未了だった)

2.具体的にどうすればいいのか


それでは、具体的に登記をする場合にはどのようにしたらいいのか、そもそも亡くなった方の意思表示はどうするのかについて、解説していきます。

今回の事例は、売主・買主双方ともに亡くなっているケースでお話をいたします。


申請書に添付する「登記原因証明情報」がありますが、契約書がなければ契約書を添付することはできません。そこで、司法書士が報告形式の登記原因証明情報を作成し、相続人の皆様に署名押印をしていただくことになります。




所有権の名義変更について、申請書には以下のように記載をします。


A→Xの贈与の後、双方死亡し、Aの相続人がB・C、Xの相続人がY・Zとします。


(申請書)


登記の目的 所有権移転

登記の原因 年月日贈与


権利者   亡X

      上記相続人 Y

      上記相続人 Z

義務者   亡A相続人 B

      亡A相続人 C


※権利者側のY又はZが申請人となり登記をすることができます。権利者側は、保存行為として、その1人から登記ができるためです。

※義務者側のAの相続人については、相続人全員が申請人になることを要します。(昭27.8.23民甲74号)

しかし、上記の相続人としてどのように証明すればいいのでしょうか。それは、申請書に添付する書面として「相続証明情報」が必要になります。(不動産登記令7条1項5号イ)


3.相続証明情報とは


被相続人(亡くなった方)の生まれてから亡くなるまでの戸籍、相続人の現戸籍です。

売主・買主双方に相続が発生している場合には、双方の書面が必要となります。加えて、被相続人の住民票の除票も必要になります。(譲渡側:登記簿の住所と氏名で本人を特定するため、受取側:亡くなった方の最後の住所の証明として)

また、これらの書類の原本還付ができるかどうかについては、法務局HPを参照すると


(法務局HPより引用)


「「原本還付」される情報原本還付される主な情報(書面)は,以下のとおりです。

① 登記原因証明情報のうち売買契約書,抵当権設定契約書及び弁済証書,解除証書の原本など いわゆる報告的な登記原因証明情報は 原本還付されません

② 住所証明情報(住民票など)

③ 資格証明情報(会社・法人の代表者事項証明書など)

相続を証する情報(遺産分割協議書,被相続人の住民票の除票など)※ 相続の登記に添付する「相続を証する情報」のうち戸籍全部(個人)事項証明書(戸籍謄抄本 ,閉鎖戸籍全部(個人)事項証明書(除籍謄抄本 )))は,相続関係説明図を提出すれば,原本還付を請求することができます。なお,原本還付の請求が可能かどうか不明な場合は,最寄りの法務局又は地方法務局に御相談ください。」とあります。


4.まとめ


このように、契約当事者がすでに死亡しており、契約書も無い登記未了の物件について、現状で登記をすることは可能です。

また、時効取得として要件を充たす場合には、そちらで現利用者に名義を移転することも可能です。

詳しくは、司法書士まで相談してください。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)


また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。

こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

静岡市「身元保証」全国初の事業者の認証制度を導入

静岡市「身元保証」全国初の事業者の認証制度を導入

前回お話した身元保証サービスの闇ですが、令和6年2月2日に全国初となる身元保証サービス提供事業者の認証制度を静岡市が導入した記事を見つけました。業界内外で、サービスの正常運用化に向けた取り組みはしているものの、まだまだやりたい放題の業者もいるわけで、今回は「業界の正常化に向けた第1歩」だと思います。



目次

1.身元保証サービスの問題点のおさらい

2.静岡市「身元保証」 全国初の事業者の認証制度を導入

  (静岡News Web)

3.まとめ


静岡市「身元保証」全国初の事業者の認証制度を導入

1.身元保証サービスの問題点のおさらい

 

第一に、身元保証サポートのサービスについて、法律上の整備がなされていません。それゆえに、各社サービス内容もまちまちです。金額が安いからということで契約しても、実際のサービス内容が、契約者にとって満足いくものとは限りません。

 第二に、預託金を信託口口座など、安全な場所に保管管理できていないケースもある点です。自社の口座で管理していた場合、破産した場合、そのお金は債権者に差し押さえられてしまい、回収することはできないでしょう。

 第三に、サービス提供会社の中には、「公正証書遺言」の内容に、「団体(法人)への寄付」を義務付けている場合があります。過去の判例で、とあるNPO法人がこれをしていたため、甥・姪から相続の侵害として訴えられ、最高裁で「無効」との判決が出ました。しかし、このケースでは、権利を侵害された相続人がいたために発覚したことであり、身寄りのない「おひとりさま」の場合、未だにこのようなことをしている団体(法人)があるそうです。


※今回は、この点で争いになっています。


 「お世話になった団体に寄付して何が悪いんだ」との反論も聞こえてきそうですが、考えてみてください。あなたが重病を患い多額の医療費がかかるとき、医者と身元保証人との間で、あなたは治療してもらいたくても、あらかじめ決めておいた医療の方針を実施するとの話し合いがあった場合、どうすることもできません。悪い言い方をすれば「多額の治療費を使って治療すること=将来、団体が受ける実入りが減る」の関係になってしまっているため、果たして寄付前提の契約をした身元保証人が、あなたのご意見を聞いてくれるか疑問です。


2.静岡市「身元保証」 全国初の事業者の認証制度を導入(静岡News Web)


 前回お話した身元保証サービスの闇ですが、令和6年2月2日に全国初となる身元保証サービス提供事業者の認証制度を静岡市が導入した記事を見つけました。ここまで社会問題となっていて、裁判で争っている方もいらっしゃる身元保証サービスですが、私は国の怠慢だと考えます。おひとり様が亡くなった場合、ものをいう方がいない場合が圧倒的に多いので、表面化しないだけです。ですので現状目に見えているのは氷山の一角です。業界内でも、身元保証サービスを正常化する動きもありますが、業者には監督権限なんてありませんから、強制力がないんですよね。このまま放置はできないということで、静岡市がついに動きました。


(令和6年2月2日 静岡News Web記事引用)


「身寄りのない高齢者の入院時などの「身元保証」を行う民間のサポート事業の需要が高まる一方、契約をめぐるトラブルが問題となる中、全国で初めてとなる事業者の認証制度を静岡市が導入することになりました。


民間の「身元保証等高齢者サポート事業」は、家族などに代わって保証人の役割を担ったり、日常生活の支援、死後の葬儀などを行うもので、単身高齢者の増加で需要が高まる一方、所管する省庁や法律がなく、契約に関するトラブルも報告されています。


こうした中、事業者の質の保証に行政も関わる必要があるとして、静岡市は事業者の認証制度を導入を決め、1日の説明会には、事業を行うNPOや社会福祉法人など7社が集まりました。


静岡市では、契約ルールや解約時の返金の手続き、死後の寄付などの基準を新たに定め、条件を満たす場合に限り、3年間「優良事業者」の認証が与えられます。


その後は更新制で、市は申請のあった事業者からサービス内容や料金体系、財務状況などを審査した上、認証した場合はホームページなどで公表することにしています。


総務省によりますと、自治体が身元保証事業者の認証制度を創設するのは全国で初めてだということです。


参加した事業者は「独身の人が増え、生前や死後事務を代行するニーズが高まっているので行政が関わる認証は大事だと思います」と話していました。


静岡市地域包括ケア・誰もが活躍推進本部の酒井真本部次長は「前例のない基準づくりに苦労したが、皆さんが安心して利用できるよう事業者と一緒に体制を整備していきたい」と話していました。」(記事引用終わり)


 静岡市が、身元保証サービスを提供している事業者を対象に「認証制度」を全国初で導入したという内容です。特筆すべきは、認証したらそれで終わりではなく、3年間「優良事業者」の認証としている点です。やっと動き始めましたね。


静岡市「身元保証」全国初の事業者の認証制度を導入

3.まとめ


 身元保証サービスを提供する事業者に対し、静岡市が全国初で3年間の認証制度を導入した記事をご紹介しました。


 実際のパンフレットなどを見たときに、生前のサービスの料金が他の事業者と比較して異常に安い場合は、死後の財産を法人に移転することを要件としている場合もあります。勿論、安くてもそのような要件はない場合もありますが、サービス提供を受け始めてから、遺言書と死因贈与契約書を作成するケースもあります。事前にどの事業者が問題があるのかがわからないというところに、最大の闇が存在します。


 この認証制度が全国に広がることを期待しております。


身元保証サービスの闇

身元保証サービスの闇

随分前からある身元保証サービスを提供する法人が、利用者に「法人に全財産を相続させる」という遺言書と死因贈与契約書を作成し、親族がこれを無効とする裁判の判決が名古屋地裁で出ました。過去のブログでも、身元保証を提供する法人すべてが問題なのではなく、亡くなった後の財産を法人が総取りする仕組みを利用してる業者が問題であることは、お話をしてきました。内容を見ていきましょう。


目次

1.「全財産相続させる」本人の筆跡と違う契約無効の判決 高齢者の身元保証NPO敗訴(中日新聞記事より)

2.これまでも問題となっている身元保証サービス

3.何が問題なのか

4.まとめ

1.「全財産相続させる」本人の筆跡と違う契約無効の判決 高齢者の身元保証NPO敗訴(中日新聞記事より)

身寄りのない高齢者らの身元保証を請け負う名古屋市内のNPO法人が、同市内の90歳と74歳の姉弟と交わした死亡後の贈与契約について、親族が「(姉弟の)署名は自筆でない」として契約無効の確認を求めた訴訟の判決が28日、名古屋地裁であり、棚井啓裁判官は「契約は無効」と親族の訴えを認めた。


 判決によると、2022年8月、「私は全財産をNPO法人に相続させる」と記載され、姉弟がそれぞれ本人名義で署名、押印した遺言書が作成された。死亡と同時に全財産の所有権がNPO法人に移る死因贈与契約書も、本人名義の署名でそれぞれ作成された。」(記事引用終わり)


今回は、おひとり様ではなく、親族の方がいたので争いになっています。本当におひとり様の場合、争う相続人がいませんので、財産は遺言書や死因贈与契約先の法人のものになっていたのでしょう。また、身元保証サービスを提供しているのは、NPO法人だけとは限りません。


2.これまでも問題となっている身元保証サービス

 (2021年1月30日 東京新聞)


 「身寄りのない高齢者の身元保証代行を請け負う愛知県内のNPO法人が、死亡した高齢者との贈与契約に基づき金融機関に預金の返還を求めた訴訟の判決が名古屋地裁岡崎支部であり、近田正晴裁判官は「公序良俗に反する契約で無効」として請求を棄却した。高齢者と身元保証代行団体との間で交わされた、死亡時の財産の贈与契約(死因贈与契約)を無効とする司法判断は極めて珍しい。」(記事引用終わり)


 こちらは、おひとり様の死亡後、契約に基づいて預金の支払いをしようとしたところ、金融機関が拒んだことで裁判となった事例です。


※以前、金融機関から後合わせで、「死因贈与契約書(公正証書ではない)」を持ってきた預金の承継屋を名乗る方に、預金の払い戻しができるかという問い合わせがありましたが、預金には譲渡禁止特約が付いています。知らないというのは通りません。なぜなら預金が自由に取引でき、詐欺の温床になってしまうためです。そのため、相続人全員の同意書がなければ、契約で譲渡をしようとしても譲渡禁止特約を主張できる旨アドバイスをしたことがあります。しかし、おひとり様の場合ですとこの判例から、「公序良俗に反する契約で無効」が言えそうですね。ただし、地裁の判断ではありますが。


3.何が問題なのか

 第一に、身元保証サポートのサービスについて、法律上の整備がなされていません。それゆえに、各社サービス内容もまちまちです。金額が安いからということで契約しても、実際のサービス内容が、契約者にとって満足いくものとは限りません。


 第二に、預託金を信託口口座など、安全な場所に保管管理できていないケースもある点です。自社の口座で管理していた場合、破産した場合、そのお金は債権者に差し押さえられてしまい、回収することはできないでしょう。


 第三に、サービス提供会社の中には、「公正証書遺言」の内容に、「団体(法人)への寄付」を義務付けている場合があります。過去の判例で、とあるNPO法人がこれをしていたため、甥・姪から相続の侵害として訴えられ、最高裁で「無効」との判決が出ました。しかし、このケースでは、権利を侵害された相続人がいたために発覚したことであり、身寄りのない「おひとりさま」の場合、未だにこのようなことをしている団体(法人)があるそうです。


※今回は、この点で争いになっています。


 「お世話になった団体に寄付して何が悪いんだ」との反論も聞こえてきそうですが、考えてみてください。あなたが重病を患い多額の医療費がかかるとき、医者と身元保証人との間で、あなたは治療してもらいたくても、あらかじめ決めておいた医療の方針を実施するとの話し合いがあった場合、どうすることもできません。悪い言い方をすれば「多額の治療費を使って治療すること=将来、団体が受ける実入りが減る」の関係になってしまっているため、果たして寄付前提の契約をした身元保証人が、あなたのご意見を聞いてくれるか疑問です。もちろん、寄付の義務を要求する団体・法人ばかりではありませんし、適切に身元保証サポートサービスを運用されている団体・法人もあります。


4.まとめ

 今回の判決を受けて、過去の判例を調べていきますと、判例を見ていくと、昭和のものもありました。随分前から問題になっているわけですがなぜこのようなことがいまだに続いているのでしょうか?


 それは、身元保証代行は監督官庁がなく、契約の不透明さがしばしば指摘されているにもかかわらず、何ら法整備ができていないためです。2016年には日本ライフ協会(東京)が高齢者からの預託金を流用していたことが発覚して破産し、社会問題になったという事件もありました。


 監督官庁がなく、法律も整備されていない状態では、この手の事件は減らないと思います。


そんな中・・・・(次号に続く)

「10年後に遺言発見」最高裁は何を初判断したのか(令和6年3月19日)

「10年後に遺言発見」最高裁は何を初判断したのか(令和6年3月19日)

法定相続人が不動産を相続して10年以上たった後、他にも相続人がいるとする遺言が見つかった場合、誰が不動産を所有できるのか?

セミナーなどでよく質問がある論点です。

これについて、先日、最高裁が初めて判断を示したみたいです。


目次


1.事件の概要(令和6年3月19日 日経新聞記事引用)

2.相続回復請求権とは

3.まとめ

「10年後に遺言発見」最高裁は何を初判断したのか(令和6年3月19日)

1.事件の概要(令和6年3月19日 日経新聞記事引用)


法定相続人が不動産を相続して10年以上たった後、他にも相続人がいるとする遺言が見つかった場合、誰が不動産を所有できるのか――。こうした点が争われた訴訟の上告審判決が19日、最高裁第3小法廷(渡辺恵理子裁判長)であった。同小法廷は法定相続人による相続財産の取得は遺言によって妨げられないとする初判断を示した。

民法は、所有する意思を持ち善意・無過失で10年間、不動産などを占有した場合はその所有権を取得できるとする「時効取得」を定める。下級審では最近も「時効取得は成立しない」とする判断が出ていた。

最高裁が時効取得の成立を認め、遺言に基づく相続権の主張では既にある登記を覆すことはできないとしたことで、同種の事案は今回の結論に沿って判断されるとみられる。


判決などによると、原告の女性は2004年、養子縁組をしたおばの不動産を唯一の法定相続人として相続、登記した。


ところが、10年以上過ぎた18年に遺言の存在が判明。裁判官が立ち会って開封する「検認」が行われたところ、女性や女性のいとこを含む3人に「遺産を等分する」と書かれていた。

女性は既に時効取得が成立しており、いとこらに遺産の返還を求める権利はないとして19年に提訴した。


裁判でいとこ側が主張したのは、民法が規定する「相続回復請求権」と呼ばれる権利だ。

本来、相続人でない人に相続権を侵害された場合、侵害を知ってから5年以内なら財産を取り戻すことができるとする。

いとこ側は、侵害の事実を知ったのは検認を経て遺言の内容を把握した時点で、まだ5年が経過していないと強調

家督相続に関する訴訟を巡り、相続回復請求権を行使できる状態では時効取得は成立しないとした1932年の大審院(現在の最高裁)の判例などを根拠に、女性に対して不動産を返すよう求められると反論した。

第3小法廷は、回復請求権に5年間などの期限が設けられた目的は「相続権の帰属や法律関係を早期、終局的に確定させること」にあると確認。

行使できなくなるまで時効取得を認めないのは「趣旨に整合しない」とした。


相続回復請求権が残っている状態でも時効取得は成立すると結論付け、女性側の請求を認めた二審・東京高裁判決を支持。

いとこ側の上告を棄却した。


いとこ側が言及した大審院の判例については「家督相続制度を前提とするものだ」として、今回の判断は「抵触しない」と述べた。


相続回復請求権が主張されるのは、遺言などによって自身に相続権があることを後から知るケースに限られる。ベテラン裁判官は「こうした場面はあまり想定されず、判決の影響は限定的だろう」とみている。」(記事引用終わり)


(原告 法定相続人の主張)

時効取得が成立しており、いとこらに遺産の返還を求める権利はない。


(被告 いとこ側の主張)

相続回復請求権を行使できる状態では時効取得は成立しないとした1932年の大審院(現在の最高裁)の判例などを根拠に、女性に対して不動産を返せ。


(最高裁の判断)

いとこ側の上告を棄却。原告の主張を支持した。


※却下という のは「要件を備えていない不適法な訴えなどと して内容が審理(検討)される前に退けられるこ と」をいいます。これに対して内容が審理されたうえで訴えが 退けられることを「棄却(ききゃく)」といいます。


2.相続回復請求権とは


「民法(相続回復請求権)

第八百八十四条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。」


「10年後に遺言発見」最高裁は何を初判断したのか(令和6年3月19日)

3.まとめ

今回は、法定相続した後に、遺言書が発見されたものですが、期間が取得時効の善意取得の期間である10年を超えていたため、原告が時効取得を主張し、それが最高裁判所に認められたという内容でした。

それでは、取得時効の善意取得できる期間である10年を下回った場合、どうなるのか?現状では、まだ判断は出ていませんので何とも言えません。


しかし、今回取り上げた内容は、完全に争いが生じておりました。

裁判では、途中、和解を勧められますが、最高裁まで争ったところを見ると相当揉めていたことがうかがえます。


遺言書を作成された方は、ご家族に内容は伝えないまでも、その「想い」を確実に伝達できるように、その保管場所を伝えておきましょう。


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根抵当権における債務者の相続について

根抵当権における債務者の相続について

根抵当権とは、特定の債務を担保する抵当権と異なり、契約・登記の「極度額」まで去っていされた取引から生じる債務を担保します。しかし、「元本確定事由」が発生しますと、それまでの債務と利息、遅延損害金を担保する抵当権のようになります。

この根抵当権で、債務者に相続が発生した場合、どのような手続きが発生するのでしょうか。


目次


1.根抵当権と抵当権の違い

2.相続発生後6ケ月以内にできる対応

3.相続発生後6か月経過後にできる対応

4.債務者が法人で、その代表者に相続が発生した場合

根抵当権における債務者の相続について

1.根抵当権と抵当権の違い


(抵当権)

抵当権とは、住宅ローンで融資を行う金融機関が、借入を受ける人が購入する不動産などをローンの担保として設定する権利のことです。

担保となる不動産などは債務者が利用できますが、もしローンを返済できなくなった場合は、代わりに担保に設定された不動産を金融機関に差し押さえられます。

つまり、「借入金=抵当権で担保する債権」ということになります。

抵当権の債務者に相続が発生した場合には、相続による債務者の変更の登記が必要になります。


(根抵当権)

根抵当権とは抵当権の一種であり、複数回の貸付・借入を行う契約において利用されます。

根抵当権では、担保となる目的物から貸付の限度額を定め、その範囲内で貸付・借入を行います。

抵当権は、一度の貸付・借入ごとに設定する必要があり、同じ債務者・債権者同士で契約を行う場合でも、その都度、抵当権を設定しなければなりません。

しかし、根抵当権であれば、貸付限度額の範囲で何度でも貸付・借入を行えます。カードローンの借り入れに似ています。

要は、借入金も担保されますが、それ以外に借りた借入金も担保でき、発生消滅を繰り返しても、根抵当権の効力は継続します。


抵当権の場合、借入金を全額返済した場合、抵当権はその担保権としての効力が無くなり抵当権を抹消することができます。

一方で、根抵当権の場合には、元本確定事由が発生しない限り、債務を全額返済しても根抵当権の効力は無くなりません。

この点が一番抵当権と異なる部分です。

勿論、債務者が債権者である金融機関等と話をして、根抵当権がもう必要なければ、「解除」により抹消することは可能です。


2.相続発生後6ケ月以内にできる対応


(元本を確定させないための登記)

元本確定前の根抵当権の債務者が亡くなったときは、相続開始後6カ月以内に指定債務者の合意の登記をしないと担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。

金融機関と相談した上、指定債務者を選び登記するように指定があった場合、指定債務者の合意の登記をするためには、その前提として被相続人の相続人全員を債務者とする債務者の変更登記をしなければなりません。

つまり、①相続人全員の債務者変更登記、➁指定債務者の合意の登記、の2回の登記が必要となります。債務者の変更の登記となりますので、登録免許税は、共同根抵当権が設定されている物件の数×2回分×1000円となります。

また、相続発生から合意までの間の各相続人が承継した債務を担保するためには、さらに③債権の範囲の変更登記も必要になります。


(事例)

根抵当権者X銀行、債務者Yの根抵当権があり、Y所有の不動産があったとします。

Yの相続人はA,Bで、Aが不動産を遺産分割協議で相続登記をしているものとします。


 ①相続人全員の債務者変更登記

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  変更後の事項 債務者(被相続人 甲) A B」


 ➁指定債務者の合意の登記

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  指定債務者 A」


 ③債務者及び債権の範囲の変更登記


 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  変更後の事項

  債務者 A

  債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権

       ○年○月○日債務引受(旧債務者B)にかかる債権

       ○年○月○日相続によるAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権


※AがYの相続により承継した債務及びBが相続した債務を免責的に引き受けたものにかかる債務は根抵当権によって担保されませんので、特定債権として追加する必要があります。債務者をAとする変更登記は交替的変更となりますので、変更前に生じたXのAに対する債権の範囲に属するものにかかる債権も根抵当権によって担保されることになります。

元本確定前の根抵当権において、債務者が変更した場合、新たな債務者の債権は担保するものの、今までの債権は外れてしまいますので、このような特定債権として、根抵当権の債権の範囲を変更することで、根抵当権の担保範囲に加えることができます。


3.相続発生後6か月経過後にできる対応


先にも書いた通り、元本確定前の根抵当権の債務者が亡くなったときは、相続開始後6カ月以内に指定債務者の合意の登記をしないと担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。

元本が確定すると、その後は通常の抵当権のように相続時の債権を担保する抵当権と同じになりますが、極度額まで「利息」「遅延損害金」を担保することができます。

当然、相続後に発生した債権については、当該根抵当権では担保できなくなってしまいます。

そして、確定後の債務を全額返済すれば、根抵当権は効力を失います。

それでは、具体的にどうなるのかと言いますと、以前のブログの抵当権の債務者の相続と同じ手順で行うことになります。金融機関から指定があると思うのですが、①遺産分割協議による相続登記を行う方法と、➁相続登記後に免責的債務引受による債務を承継する相続人の債務引受けの登記の2種類となります。


 これらの登記は、元本が確定していないとできませんので、相続発生から6か月経過後に行うことができます


 ①相続人全員の債務者変更登記

 「年月日相続」を原因として

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  変更後の事項 債務者A B」(法定相続人全員を登記)


 ➁免責的債務引受けにおける債務者の変更

  「年月日Bの債務引受」を原因として

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  変更後の事項 債務者 A」(債務を引き受ける相続人を登記)


※➁の登記原因証明情報として「根抵当権変更契約書(債務者相続による免責的債務引受)」の契約書を作成します。

※すべての根抵当権変更登記において、登記権利者(根抵当権者)、登記義務者(所有権の名義人)となります。

根抵当権における債務者の相続について

4.債務者が法人で、その代表者に相続が発生した場合


法人の代表者が死亡した場合、債務者が法人の根抵当権はどうなるのでしょうか?

確かに代表者の方は亡くなっていますが、法人そのものは存続していますし、法人の代表者は別の方が鳴っていたとしても、法人と金融機関が交わした契約そのものが無効になるわけではありません。

先にも書いた通り根抵当は、継続取引を想定した担保権です。

ですので、故人が債務者の根抵当権とは異なり、代表者に相続が発生しても登記は発生しません。


しかし、法人と金融機関との間の債務を代表者が個人として、連帯保証人になっているようなケースでは、連帯保証人の脱退加入の契約が必要となります。

このような場合には、取引先の金融機関にお問い合わせください。


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相続対策(生前、妻に自宅を贈与)

相続対策(生前、妻に自宅を贈与)

先日、ニュース記事で「妻に自宅を贈与する」記事が出ていました。

贈与税を念頭に贈与を検討していました。

婚姻期間20年超の夫婦間の配偶者へ住宅又は住宅を取得するための資金を贈与した場合の特別控除があります。

果たして、これだけで問題がないのでしょうか?

また、生前贈与した自宅を相続発生時に「みなし相続財産として持ち戻し」の対象になるのかについて、お話をしたいと思います。


目次


1.夫婦間で20年以上の期間の贈与税の控除額

2.記事「「結婚後20年経てば贈与税がかからない」は本当か?」(健美家記事引用)

3.司法書士の答え(健美家記事引用)

4.生前自宅が贈与されていた場合、みなし相続財産として持ち戻しされないのか?

5.まとめ


相続対策(生前、妻に自宅を贈与)

1.夫婦間で20年以上の期間の贈与税の控除額


戸籍上、夫婦としての婚姻期間が20年以上経過していれば、配偶者へ住宅又は住宅を取得するための資金を贈与した場合、2000万円まで(基礎控除110万円と合わせれば2110万円まで)贈与税がかからないことになっています。 

同じ配偶者から一生に1回だけ認められる非課税特典です。

つまり、贈与税という観点から見れば、自宅が2110万円以内であれば、贈与税は発生しませんが、要件があります。


①夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

➁配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること

③贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること


要件クリアしても、贈与する金額が2110万以下だった場合は、贈与税は0円となりますが、必ず申告期限(贈与を受けた翌年3月15日)までに贈与税の申告書を税務署に提出する必要があります。

相続対策(生前、妻に自宅を贈与)

2.記事「「結婚後20年経てば贈与税がかからない」は本当か?」(健美家記事引用)


それでは、記事に書かれていた内容を見ていきましょう。(健美家記事引用)

「(略)令和4年末に住宅ローンを完済しました。

そして、住宅ローンを完済したタイミングで自宅を妻に贈与しようと考えました。

自宅を贈与する目的は、私の不動産投資に何かあっても妻と家族に自宅を残すためです。不動産投資が上手くいかなくなった時に、自宅が任売や競売になるのは、妻や家族には大変申し訳ない事になります。

私は、毎月税理士事務所に打ち合わせに行っていますが、以前、税理士さんが、「結婚して20年過ぎると、配偶者に自宅を贈与しても税金がかからない」と言っていたのを覚えていたことも、後押しになりました。」(引用終わり)


おそらく、この方の物件も要件を充たしていたため贈与税はかからなかったのでしょう。


しかし、不安なようで司法書士にも相談してみたいですね。


3.司法書士の答え(健美家記事引用)


「(略)とりあえず司法書士さんに相談することにしました。

25年以上前に自宅の登記でお世話になり、現在は収益物件の登記でお世話になっている司法書士さんです。

司法書士さんから最初に出てきた言葉は、「本当にやるんですか?」と、いうものでした。

司法書士さんは、明らかにこの贈与の話を思い留まらせようとしていました。


詳しく説明を聞くと、無税なのは贈与税だけで、不動産取得税と登録免許税は、普通にかかるという事です。

さらに司法書士費用も必要で、妻への自宅の贈与にかかる費用は、総額で40万円くらいという話でした。

不動産取得税、登録免許税、司法書士費用という言葉は、収益物件の購入ではよく聞く言葉ですが、自宅となると全く頭から抜けていました。

司法書士さんは、再確認するように、「本当に贈与税の免除のためだけに40万円もかけるんですか?普通はやりませんよ」と、真顔で聞いてきました。」(引用終わり)


総額40万円というのは、物件価格(固定資産税評価額)によって変わってきます。

まずは、所有権の名義を変更するために必要な「登録免許税」があります。贈与ですと1000分の20ですが、相続で行う場合、1000分の4となります。

贈与の時の5分の1ですよね。

また、これだけではありません。相続の場合、配偶者控除として1億6千万円の枠があります。


生前に贈与する場合、自身の相続後の二次相続対策のケースが圧倒的に多いです。

なぜなら、もらった配偶者に相続が発生した(二次相続)では、相続の配偶者控除1億6千万円が使えなくなってしまうためです。

同じ相続で不動産の名義変更を予め子供にしておくことで、配偶者の相続発生時に相続税がさらに発生してしまうことを嫌う方が多いためです。

※相続税のご相談は税理士に確認してください。


4.生前自宅が贈与されていた場合、みなし相続財産として持ち戻しされないのか?


それでは、生前に配偶者へご自宅を贈与してしまったのちに相続が発生し、みなし相続財産の適用で持ち戻しが発生するのかどうかについて解説します。


「民法第903条第4項

婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。」


とあります。

つまり今回のケースのように、生前、配偶者に自宅を贈与していても、相続財産の持ち戻し(贈与でもらった住宅を相続財産とすること)は、発生しないことになります。


相続対策(生前、妻に自宅を贈与)

5.まとめ


今回は、配偶者に自宅を生前贈与した場合について、事例を交えてお話をいたしました。


仮にアイリスに同様のご相談があった場合、情報はすべて開示して、最終判断は、相談者の方に決めていただいております。今まで同じような相談が何件かありましたが、半数の方は費用の面でやめられる方がいました。

一方で、そのまま進められる方もいらっしゃいました。

どちらの方も、その後の相続対策について、熱心に相談されていました。


相続対策は、きっかけがないとなかなか進められないものです。

このように何か一つでも、きっかけがあれば、対策をすることができます。


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セミナー資料公開(遺留分の生前対策③)

セミナー資料公開(遺留分の生前対策③)

遺言書を作成するにあたり、ある相続人に集中して遺産を相続させようとしたときに遺留分の問題が発生する可能性があります。

この場合、ご依頼者から具体的に対策をしたいと相談された場合、どのように対策をするのかについて解説していきたいと思います。


目次

1.遺留分対策のアプローチ

2.遺留分対策①早期の生前贈与

3.遺留分対策➁生前贈与と相続放棄

4.遺留分対策③遺留分の生前放棄

5.遺留分対策④生命保険の活用

6.遺留分対策➄養子縁組制度の活用

7.まとめ

セミナー資料公開(遺留分の生前対策③)

1.遺留分対策のアプローチ


まずは、各相続人に遺留分侵害額がどのくらいになるのかを予め試算します。

その時に取るべき対策のアプローチとして以下の5点が考えられます。


㋐遺留分権利者の特別受益・遺贈する額を増加させることで、遺留分侵害額を減少・消滅させる

※遺留分侵害額の算定で、減産の額を増加させることにより「パターン➁」の状況に持ち込む方法です。

㋑遺留分権利者の権利を相続前又は相続後に遺留分を放棄してもらう

㋒相続人である受遺者の特別受益を対象外にする

㋓遺産そのものを減らし遺留分侵害額を減少・消滅させる

㋔法定相続分を減少させることで遺留分侵害額を減少させる


具体的な対策についてみていきたいと思います。


2.遺留分対策①早期の生前贈与


遺留分侵害額請求の対象となるのは遺贈と贈与になります。

贈与とは遺言書で財産を引き継がせることであり、遺贈は必ず遺留分を計算するうえで対象財産となります。

一方、生前贈与は一定の期間制限があります。この期間制限外での贈与については、遺留分侵害額請求の対象財産とはなりません。


つまり、「一定期間内に行われた贈与が遺留分の対象となる=期間外の贈与は遺留分侵害額請求の対象から除かれる」となります。

この「一定期間」については、相続人と相続人以外で異なってきます。(民法第1044条)


 (遺留分算定のための財産の価額に算入される贈与)

※特別受益:自宅購入資金、事業資金、不動産をもらう等の扶養の範囲を超えた資金的援助を受けることを言います。

例えば、12年前に長男が自宅購入資金として2千万円、父親から援助を受けその後相続が発生した場合、この2千万円は、特別受益に該当する贈与とはなりません。


また、遺留分権利者を害すると知ってなされた贈与については、期間制限はなくなりますので注意が必要です。これに該当するかどうかの要件は、


①その贈与が、個人の財産が増加しないという予見があること

➁将来、個人の財産が増加しないという予見があること

 →「全く収入が立つ予定がないのに贈与する行為=損害を与えることを知っていた」

と、判断される可能性があります。


ご高齢で定職がない状態での贈与は、該当する可能性があります。

相続はいつ発生するかわかりませんので、できるだけ早期の対策が必要となります。


3.遺留分対策➁生前贈与と相続放棄


遺留分権利者とは、「配偶者」「子供」「直系の親」が該当します。つまり、相続人が対象になります。

そこで、「相続放棄」を検討していきます。

相続放棄した相続人は、初めから相続人ではなかったと扱われます。そうなると、相続人以外の贈与の対象となりますので、相続発生前1年以内のものでなければ遺留分侵害額請求の対象財産ではなくなります。

ただし、この場合も遺留分権利者に損害を与えることを知ってした贈与である場合には、この1年という期間制限はなくなってしまいますので注意が必要です。

遺留分権利者により裁判となった場合、この「遺留分権利者に損害を与えることを知ってした贈与である」ことの立証責任は遺留分権利者側になりますので、相当困難にはなると思われますので、権利行使されないことが多くあると思われます。


4.遺留分対策③遺留分の生前放棄


相続放棄は、被相続人の生前にはすることができません。

相続を相続人が知ったのち3か月以内にすることができます。しかし、遺留分の放棄は、被相続人の生前であってもすることは可能です。


遺留分対策として、「最も確実な方法」として、生前に相続人となる方と話し合い遺留分を放棄していただく方法があります。


遺言書の相談で最も多い内容が、「どうやって、対象の相続人の方に遺留分を放棄してもらうか」です。

「念書」を書いてもらっていたら大丈夫なのかというお話をされる方もいらっしゃいますが、生前の遺留分放棄の手続きとしては、民法1049条にある通り、「家庭裁判所の許可」がなければ、当該念書に法的な効力はありません。

家庭裁判所の許可を要する理由としては、被相続人による不当な圧力によって、不本意に遺留分の放棄が行われてしまう可能性があるためです。


遺留分権利者が不当に権利を奪われることがないようにとのことで、家庭裁判所で許可を得る要件として次の事項が挙げられます。


  ①遺留分権利者の自由な意思によること(強制的な遺留分の放棄は不可)

  ➁遺留分放棄の必要性や合理性が認められること

  ③遺留分権利者へ十分な代償が行われていること(遺留分に相当する程度の贈与を行うこと)


なお、遺留分を放棄した相続人は、相続人として遺産を相続することができます。この点が相続放棄と大きく異なる点です。

ですので、遺言書を書いて当該相続人への遺産の相続をしないように意思表示しておかなければ、遺留分放棄者は法定相続人として相続財産を相続することとなってしまいます。


5.遺留分対策④生命保険の活用


あらかじめ相続財産に現金・預金が多くある場合には、「生命保険」の活用が考えられます。

生命保険の活用は、相続税対策においても有効ですが、遺留分対策においても有効です。


相続対策に活用する保険は、終身型の死亡保険となります。

被保険者が亡くなったときには、「受取人」に死亡保険金が支払われることになります。

相続対策の生命保険活用する場合の保険料は、一時払いで現金・預金を保険金に変えることができます。


この死亡保険金の大きな特徴は、相続財産として取り扱われないという点があります。


 ①相続税法上は相続財産とされるので、相続税の課税対象となりますが、「相続人の人数×500万円」の控除の枠があります。

 ➁相続する上では相続財産から除外されています。つまり、相続財産ではありません。


つまり、死亡保険金は、受取人である相続人固有の財産ということになり、遺産分割協議などなくても、保険証書をもって死亡保険金の受け取りができます。

相続財産ともされていないため、遺留分の対象ともなりません。

生命保険の活用も、過度の利用(遺産総額に対して50%程度)となりますと、相続財産と扱われて、遺留分の対象となる可能性が高いため、利用する割合については注意が必要です。

セミナー資料公開(遺留分の生前対策③)

6.遺留分対策➄養子縁組


養子縁組は、相続税対策にも活用されていますが、遺留分対策にも有効です。養子縁組によって各相続人の遺留分も減少します。


事例で、父親が何もしていない場合、相続分は長男、次男それぞれ2分の1ずつとなり遺留分はそれぞれ4分の1となります。

父親が、長男の配偶者と孫を養子とした場合、各相続分は4分の1となり、それぞれの遺留人は8分の1となります。

相続税の側面でも、相続税の基礎控除(3000万円+法定相続人の数×600万円)で相続人の数が4人としたいところですが、

 ①実子がいる場合は、養子は1人まで

 ➁実子がいない場合は、養子は2人まで

この基礎控除の相続人の人数に加えることができます。


一方で、遺産を相続する側面では、人数制限はありません。

相続税の考え方と相続の考え方では、違いがありますので詳しくは各専門家に相談してください。


7.まとめ


遺留分対策のアプローチとして挙げた5つについて、


 ㋐遺留分権利者の特別受益・遺贈する額を増加させることで、遺留分侵害額を減少・消滅させる

 ㋑遺留分権利者の権利を相続前又は相続後に遺留分を放棄してもらう

  ③遺留分の生前放棄(家庭裁判所の許可が必要)、相続発生後は家庭裁判所の許可は不要。

 ㋒相続人である受遺者の特別受益を対象外にする

  ①早期の生前贈与、➁生前贈与と相続放棄

 ㋓遺産そのものを減らし遺留分侵害額を減少・消滅させる

  ④生命保険の活用

 ㋔法定相続分を減少させることで遺留分侵害額を減少させる

  ➄養子縁組活用


位置づけることができます。

㋐については、遺言書内又は、遺産分割協議書内で遺留分額と同等額の財産を分与することで達成することができます。

テクニカルなことは以上ですが、各検討されている方たちの個別の状況に応じて、手段は選ぶべきだと考えております。

テクニカル面ばかり重視しすぎると、家族関係がその後おかしくなったりすることがあります。

「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、各専門家への相談をお勧めいたします。


※内容でも少し触れましたが、「相続」と「相続税」についての考え方が異なる個所があります。

 専門家に相談しながら、対策を進めていくことをお勧めいたします。


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セミナー資料公開(遺留分の生前対策➁)

「遺留分の生前対策➁」で、遺留分の算定から遺留分侵害額の算定まで解説しております。遺留分侵害額が算定出来ましたら、遺留分権利者による遺留分侵害額請求権の請求ができることになります。その効力範囲などを解説していきます。


目次

1.遺留分侵害額請求権とは

2.遺留分侵害額の請求順

3.遺留分侵害額請求権の効力の範囲

4.遺留分侵害額請求権行使方法と消滅時効

5.まとめ

1.遺留分侵害額請求権とは

被相続人が財産を遺留分権利者以外に贈与又は遺贈し,遺留分に相当する財産を受け取ることができなかった場合,遺留分権利者は,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分を侵害されたとして,その侵害額に相当する金銭の支払を請求することできます。 これを遺留分侵害額の請求といいます。(民法1046条)


 遺留分侵害額請求権の法的性質は形成権であることから、受遺者又は受贈者に対する具体的な金銭請求権は、遺留分侵害額請求権を行使して初めて発生することになります。


※形成権:権利者の一方的な意思表示によって現存の権利関係に一定の変更を生じさせる権利のことです。

2.遺留分侵害額の請求順

①受遺者と受贈者がある場合


 (受遺者:遺言で遺産を受けた場合、受贈者:生前に贈与を受けた場合)


  先に受遺者が負担することとなります。(民法1047条第1項第1号)


 ➁受遺者が複数ある場合又は、贈与者が複数あるときで贈与が同時に行われた場合


  原則:受遺者。受贈者は遺贈・贈与の目的の価額の割合に応じて負担


  例外:遺言者がその遺言に別段の意思表示をした時は、その意思に従う


  (民法1047条第1項第2号)


 ③受贈者が複数あるとき(上記➁を除く)


  後の受贈者から順次前の受贈者が負担(民法1047条第1項第3号)


※贈与を先にした場合、明確にならない場合があるので、遺贈が先の順位となります。


 遺贈は遺言者の死亡により効力を発生するので同時になり、贈与も同時なら価額の割合になります。贈与の場合は、前後関係があるので新しい後の贈与から順番に負担することがルールとして定められています。


※受遺者又は受贈者が無資力(請求時に財産がない状態)で遺留分権利者が満足を得ることができない(金銭債権を回収できない)場合の損失の負担は、遺留分権利者が負担することになります。(民法1047条第4項)つまり、請求しても請求先が無資力なら、次の順位の受遺者、受贈者が負担するのではなく、遺留分権利者自身が負担することになるということです。


3.遺留分侵害額請求権の効力の範囲

 ①金銭債権の発生(民法1046条第1項)


  ※金銭債権が発生するものの、いきなり受遺者に支払えと請求しても、遺贈されたものが不動産などすぐに金銭に変換できないもので、受遺者に資力が乏しかった場合には、裁判所は、受遺者又は受贈者の請求により、金銭支払債務の支払いに係る期限の許与をすることができます。(民法1047条第5項)


 ➁受遺者又は受贈者が、第三者弁済等により遺留分権利者が負担すべき相続債務を消滅させた場合、遺留分権利者に対する意思表示により、消滅した債務の額の限度において、遺留分侵害額請求権によって負担する債務の消滅を請求することができます。(民法1047条第3項)


 ※受遺者、受贈者が、遺留分権利者が負うはずだった債務を消滅させたのだから、その分減額してと言える権利です。これも遺留分権利者に受遺者又は受贈者が減額又は消滅させてと意思表示しなければ効力は生じません。

4.遺留分侵害額請求権行使方法と消滅時効

遺留分侵害額請求は、遺留分権利者から相手方に対する意思表示によって行います。そして、この意思表示は、「裁判上」でも「裁判外」でも構いません。


 つまり、単純に相手方に請求すれば、遺留分侵害額請求をしたことになりますので、請求時に金銭債権が発生することになります。


 ここで、いつまでも侵害額請求することができるとすると、受遺者や受贈者にとって、いつ請求されるかわからないという不安がずっと続くことになりますので、民法上遺留分侵害額請求権の消滅時効が設けられています。


 ①遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年(民法1048条前段)


  ※単に相続開始・贈与・遺贈があったことを知るのみでなく、それが遺留分を侵害し、遺留分侵害額請求を市うべきものであることを知ったときである。(最判昭57.11.12参照)


 ➁相続開始の時から10年(民法1048条後段)(除斥期間-多数説)


  ※つまり、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときが相続開始から10年経過していた場合には、もはや請求することはできません。


5.まとめ

 遺留分侵害額請求権を行使した場合のルールについて解説してきました。遺留分侵害額請求権は、各相続人に残された最終的に行使できる権利です。他の相続人たちから妨害されないような仕組みになっていますが、権利ですのでいつまでも行使しないと時効にかかってします仕組みもあります。


 また、遺留分侵害額請求権の行使につきましては、裁判上、裁判外共に行使することができます。


 よくわからない場合には、専門家にご相談ください。


セミナー資料公開(遺留分の生前対策①)

遺言書の相談内容、遺産分割協議でしばしば出てくる「遺留分」。いったい誰が主張でき、どのように具体的な遺留分の価額を算出するのかを解説していきます。


目次

1.遺留分とは

2.遺留分を主張できる相続人とは

3.遺留分の割合

4.遺留分の算定

5.遺留分侵害額の算定

6.まとめ

1.遺留分とは

遺留分(いりゅうぶん)とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。


 遺言書を作成すれば、法定相続人以外の人に全財産を遺贈することもできます。しかし、それでは残された家族が住む家を失い、生活もできなくなるという事態も起こり得ます。


 こうした、あまりにも相続人に不利益な事態を防ぐため、民法では、遺産の一定割合の取得を相続人に保証する「遺留分(いりゅうぶん)」という制度が規定されています。


2.遺留分を主張できる相続人とは

 兄弟姉妹以外の相続人、すなわち、①子(代襲相続を含む)、➁直系尊属(両親又は祖父母など)、③配偶者です。(民法1042条第1項)


 包括受遺者及び、相続欠格・排除・相続放棄により相続権を失った者は、相続人ではないので、遺留分の主張はできません。


3.遺留分の割合

 ①総体的遺留分として


  (1)直系尊属のみが相続人の場合、被相続人の財産の3分の1(民法1042条第1項第1号)


  (2)その他の場合、被相続人の財産の2分の1(民法1042条第1項第2号)


 ➁個別的遺留分とは


  遺留分権利者が2人以上いる場合、各人の遺留分を個別的遺留分と呼び、その算定方法は民法1042条第2項が準用する民法900条及び901条の法定相続分になります。


 小難しく書いておりますが、①は全体に適用する遺留分割合で、➁が実際、各相続人が主張できる遺留分の割合(法定相続分×総体的遺留分割合)になります。つまり、実務で必要なのは➁になります。


 (事例)もし、配偶者と子供2人のうち長男が遺留分を主張する場合、①総体的遺留分は2分の1となります。そして長男の法定相続分は4分の1となるので2分の1×4分の1で8分の1が長男の遺留分になります。


4.遺留分の算定

 被相続人が相続開始時に有していた積極財産(不動産、預貯金、動産など)の価格を確定します。


 次に加算をすべき項目があります。いわゆる「特別受益」と呼ばれる財産で


 (1)相続人以外の者が被相続人から相続開始前1年以内に贈与で受け取った財産


 (2)相続人が被相続人から相続開始前10年以内に贈与で受け取った財産


 ※もし、贈与者・受贈者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた場合には、期間制限がなくなることに注意が必要です。


  具体的に「贈与者・受贈者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってなされた場合」とは、贈与者に収入がないにもかかわらず多額の財産を贈与する行為などが挙げられます。遺留分対策をする場合には注意が必要です。


 ※遺留分対策として、相続放棄を利用するケースがあるのも、この特別受益の期間を相続人ではなくなることで、特別受益の算入の期間を10年から1年に短縮できる点にあります。当然こちらも、遺留分権利者を害する行為としてなされたと判断された場合、期間制限はなくなりますので、注意が必要です。

5.遺留分侵害額の算定

 遺留分の侵害額の計算


 遺留分額から


 ①減算対象項目


   ㋐遺留分権利者が受けた特別受益の価額


   ㋑遺留分権利者が取得すべき遺産の価額


 ➁加算対象項目


   遺留分権利者が承継する債務の額


 を調整することで、遺留分侵害額の算定ができ、これが遺留分侵害額請求権の額となります。


 ※遺留分権利者が実際に受けた特別受益と遺産については減算し、引き受けた債務については加算とします。


 債務を加算すると言われると、遺留分額の算定と逆になっており、なにかこう抵抗感がありますが、遺留分権利者の立場で見ると、自信がもらったものは減算して、負担したものは加算すると考えれば、納得がいくと思います。

6.まとめ

 今回は、遺留分について、遺留分を主張できる者と、遺留分の算定方法について解説をいたしました。


 相続開始前では、相続後相続人間で争いが起こらないようにするために「遺留分を侵害しない額」までの生前贈与や、この額を想定した遺産分割を記した遺言書の作成などの手法が考えられます。


 相続開始後では、遺産分割協議の際に「遺留分侵害額請求」がなされる場合があります。民法改正により、不動産などの分割など行わなくても、金銭によりその額を支払うことになります。


 遺留分は相続人に残された最後の権利であるので、侵害した場合には「遺留分侵害額請求権」の行使が認められています。


 専門家に相談をして、対策をしましょう。次回は、遺留分の侵害額の計算方法の解説をいたします。

相続登記義務化の対象範囲

相続登記義務化の対象範囲

相続登記義務化が施行されましたが、問い合わせ内容に「相続登記義務化の対象は土地だけでしょう」という話をする方がいらっしゃいました。

相続義務化の対象範囲について、再度、お話をしたいと思います。


目次


1.相続登記義務化の発端

2.相続登記義務化の対象範囲

3.まとめ

相続登記義務化の対象範囲

1.相続登記義務化の発端


Q1.知りませんでした!不動産(土地・建物)の相続登記が義務化されるのはなぜですか?


「相続登記がされないため、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境悪化や公共工事の訴外など、社会問題になっています。この問題解決のため、令和3年に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることになりました。」(法務省パンフレット引用)


東日本大震災後の復興作業の際、土地の所有者を特定するために大変苦労したということがあったみたいです。

実際に、仙台などで各地の司法書士を臨時の公務員として雇い、相続人の調査を行い所有者を特定していったという話を聞きました。そのため、復興作業が大幅に遅れたそうです。

この時問題になったのが、任意である相続登記の放置です。現在、所有者不明土地の面積は、九州と同じ面積だそうです。これが原因となり、今回の相続登記義務化の流れになっています。


2.相続登記義務化の対象範囲


Q2.相続登記の義務化とは、どういう内容ですか?


「相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得できたことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。


正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

遺産分割の話し合いで不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、登記をする必要があります。」(法務省パンフレット引用)


Q3.義務化が始まるのはいつからですか?始まった後に、対応すれば大丈夫でしょうか?


「「相続登記の義務化」は、令和6年4月1日から始まります。ただ、今から備えておくことが重要です。

また、令和6年4月1日より以前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります(3年間の猶予期間があります。)ので、要注意です。」(法務省パンフレット引用)


これらの質問で、不動産の対象範囲が土地だけだと勘違いされている方が、意外に多いです。おそらく、相続登記義務化の発端となったのが「所有者不明土地問題」だからだと思いますが、相続登記義務化の対象範囲は、不動産(土地・建物)です。


質問内容にもあったのですが、義務化が始まってからやればいいというお話がありましたが、今元気な方でも、時間の経過により状況は変わってきます。

亡くなった場合には、さらに相続人が増えるケースや、認知症などになってしまい、遺産分割協議の際に成年後見人の申請が必要になったりする場合があります。

相続人の調査や成年後見人を就けるにも、それなりのコストが発生してしまいます。早めの対処が、「安心」をもたらしてくれます。

早めに相続の対応をするように心がけてください。

相続登記義務化の対象範囲

3.まとめ


「相続登記義務化」のキーワードを知っていても、その中身まで詳しく知っている方はなかなか見たことがありません。

アイリスでも、相続無料相談や相続法律・税務無料相談会、無料セミナーなどを通じて、啓蒙活動を実施しております。


アイリスでは、相続関連(相続登記だけでなくその生前対策も)の無料相談を随時受け付けております。

いろいろとお話を聞くために、あえて時間設定は設けておりません。

ただし、予約優先となりますので、必ず事前にお電話で予約をしてください。

手続きが発生するまでは、相談の費用は掛かりません。(登記の方法を教えてほしい等、ノウハウを相談事項とする方は、ご遠慮ください)

相続登記義務化の対象範囲

また、別事務所で「相続法律・税務無料相談会」を月1で実施しております。

こちらは完全予約制になっておりますので、必ず事前に電話で予約状況を確認の上、予約を確定してください。

相続登記義務化(在外日本人の方が相続人にいるケース)

相続登記が義務化されました。相続登記をする際に問題となるのが「遺産分割協議」です。日本国内に、すべての相続人がいる場合でも、その関係性が良くない場合にはトラブルとなるケースはありますが、手続き自体は通常の相続登記と変わりません。しかし、相続人お方が、外国に居住し、なかなか帰国できない場合もあるかと思います。このような場合の相続手続きについて解説いたします。


目次

0.外国で帰化した元日本国籍の方の相続について

1.在外日本人の相続手続について

2.外国に帰化した相続人がいる場合の手続について

3.生前の対策の重要性

4.まとめ

0.外国で帰化した元日本国籍の方の相続について

ここで、前提条件として、亡くなった方(被相続人)は、日本に居住されていた日本人とさせていただきます。被相続人が、外国に行きその国で帰化しているような場合、「法の適用に関する通則法」に、以下のとおり定められています。


「第六節 相続


(相続)


第三十六条 相続は、被相続人の本国法による。


(遺言)


第三十七条 遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による。


2 遺言の取消しは、その当時における遺言者の本国法による。」

つまり、相続・遺言に関しては、帰化した外国の法律に従うことになります。


1.在外日本人の相続手続について


 日本国籍はそのままで、外国に居住されている方が、相続人の方の中にいる場合についてお話をします。無料相談などで、意外とこの手の相談が多いように感じます。


 遺言書がない場合、相続発生後に遺産分割協議をして遺産の分割を行うわけですが、外国に居住する相続人を外して遺産分割協議をすることはできません。法律上、「相続人全員」で協議することになっているためです。


(1)遺産分割協議についての問題点


 当然、当該相続人は海外にいるので、対面の協議をする場合、帰国しないとだめになります。しかし、ZOOMなどを利用した、テレビ電話を用いた遺産分割協議も検討する価値はあると思います。アイリスでも、別室(事務所以外の部屋)を利用し、インターネット経由で遺産分割協議ができるようにしています。このように遺産分割協議自体は、帰国しないでも問題なくできますが、さらに問題点は続きます。

(2)相続登記を含む手続きに必要な印鑑証明書と住民票


 遺産分割協議書が整えば、これに実印で押印し「印鑑証明書」を添付します。また、当該相続人が日本の不動産を相続により取得する場合、「住民票」が必要となります。


 しかし、外国に居住されている日本の方は、「印鑑証明書」・「住民票」共に取得することができません。それでは、通常必要となる書類(印鑑証明書や住民票など)に代わる証明書はどういったものが該当するのでしょうか。


 ①印鑑証明書に代わる「サイン証明書」


  台湾や韓国を除いて、日本以外の国では印鑑証明書や住民票の制度が存在しません。この場合、海外では、実印の代わって署名(サイン)で行いますので、海外にいる相続人は、遺産分割協議書に署名(サイン)を行うことで代替え手段を使います。そして、印鑑証明書の代わり、日本領事館等の在外公館に出向いて遺産分割協議書に相続人が署名した旨の証明(サイン証明)をもらってきて、このサイン証明を遺産分割協議書に添付することで対応します。この場合、遺産分割協議書は、日本にいる相続人も含めた全員分(1通)のものではなく、内容が同じ、サインをする相続人のみの署名欄がある遺産分割協議書にしておきましょう。


 ➁住民票に代わる「在留証明書」


  当該相続人が日本にある不動産を相続する場合、住民票が必要となりますが、先にも書いた通り、住民票は取得できません。ですので、代替え手段である「在留証明書」を取得する必要があります、手続きは、現地の日本領事館にパスポートや運転免許証といった現住所にいつから居住しているのかを証明できる書類を提示することによって申請・取得することができます。


2.外国に帰化した相続人がいる場合の手続について

 他国に帰化した人でも、相続人であることを証明する必要があります。日本人であれば、当然のように相続人であることを戸籍で証明することができますが、外国人には戸籍がありません(海外では戸籍制度がない国の方が多い)。


そこで、戸籍に代わって相続人であることを証明する「相続証明書」が必要となります。


 この「相続証明書」という証明書が存在するわけではなく、被相続人と当該相続人との関係性を証明する書類になります。例えば「出生証明書」「婚姻証明書」「死亡証明書」等が該当します。

3.生前の対策の重要性

海外にお子様などが居住しており、自分に相続が発生した場合、家族に迷惑がかかるのではないかと不安に感じておられる方も少なくはないと思います。


 このような場合、「遺言書」の作成をお勧めします。特に、預貯金や有価証券、不動産の手続きには、遺言書がない場合には、遺産分割協議書が必要となるために、遺産をもらわない海外居住の相続人についても、相続手続きに協力してもらう必要があります。


 しかし、遺言書があれば、亡くなった方の死亡を証する除籍謄本と財産をもらう方の戸籍謄本及び住民票(不動産の場合)、があれば、手続きが可能です。


 ただし、海外居住する相続人に遺産を渡したい場合には、上記書類が必要となります。


4.まとめ

 今回は、海外に居住または帰化した相続人がいるケースについて解説をいたしました。遺言書がない場合、取得しなければならない書類がたくさんあり、その書類を取得するために「日本領事等」に出向かなければなりません。場合によっては、半日かけて日本領事まで出向かなければならないこともあります。


 このように、海外とのやり取りや、書類取得の負担を考え、是非「遺言書」を検討されてはどうかと思います。

相続発生。何から手を付ければいい?

相続発生。何から手を付ければいい?

無料法律相談で内容を精査しますと、一番多いのは、「相続が発生してから、いったい何をしていいのかわからない。」という内容です。相続に必要な手続きを一通りご説明すると、そこから手続きが必要になる場合には、こちらからどのくらいの費用が掛かるのかをお話しするのですが、不動産がなく、相続税の基礎控除内の相談の場合、相談だけで済みケースも多くありませんので、今回まとめてみました。


目次

1.2週間以内にすべきこと

2.3か月以内にできること

3.90日以内にすべきこと

4.4か月以内にすべきこと

5.10か月以内にすべきこと

6.まとめ

1.2週間以内にすべきこと


 ①死亡診断書の受け取り


  医師が「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡した」と認められる場合には「死亡診断書」


  上記以外の場合には、「死体検案書」


 ➁死亡届・火葬許可申請書の提出(7日以内)


  ※葬儀社によっては、書類一式を用意・代行していただける場合もあります。


  死亡届(死亡診断書と一緒の用紙についている)については、記入したものを数枚コピーを何枚かとっておくことをお勧めいたします。死亡保険の請求に使用する場合があるためです。


 ③世帯主変更届(14日以内) 市町村役場


 ④健康保険・介護保険の手続き(14日以内)


  (国民健康保険の場合)


 国民健康保険に加入していた方の場合、亡くなった方の住所地の市町村役場に「資格喪失届」を提出。


 亡くなられた方が75歳以上の場合、「後期高齢者医療資格喪失届」を提出します。


 返却物として「国民健康保険被保険者証」「国民健康保険高齢受給者証(対象者)」「後期高齢者医療被保険者証(対象者)」


 葬祭費の申請をする場合、葬儀の領収書や喪主の通帳などが必要となります。


   ※通常葬祭費の申請は、窓口で説明があります。3万円から5万円の支給がありますので忘れないようにしましょう。


  (健康保険の場合)


   会社員や公務員の場合、5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出しますが、会社側で手続きをしていただける場合が多いので会社に相談してみてください。


   亡くなった方の健康保険の扶養に入っていた場合、ご自身が国民健康保険に入るか、会社員である他の家族の扶養にはいる必要があります。


  (介護保険について)


   14日以内に「介護保険資格喪失届」を市町村役場に提出し、介護保険被保険者証を返却します。


 ➄年金受給停止の手続き(厚生年金の場合10日以内、国民年金の場合には14日以内)


手続の際には、本人確認や押印を求められることがありますので、運転免許証又はマイナンバーカード、認印を所持しておいてください。


   未支給年金の請求


   亡くなった月の分までの年金を受け取っていないものがある場合、生計を同じくしていた遺族が受け取れます。この請求権の時効は、5年です。


   また、「遺族年金の受取」について、年金事務所に相談しましょう。こちらの債権も時効期間は5年となります。


2.3か月以内にできること


 相続放棄・限定承認などの手続きの期間となります。


 「民法第915条


  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。 ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」


 ※限定承認の場合、民法第924条で第915条を準用していますので同じ期間になります。


3.90日以内にすべきこと


 もし、相続財産の不動産に地目が「森林」となっているものがある場合、森林法に基づく「森林の土地の所有者届出書」を当該不動産の所在地である市町村役場に届出書を提出する義務がある可能性があります。指定の森林が対象となるので、事前に市町村役場に、当該不動産の森林が対象であるがどうかの確認をしてください。相続の場合、財産分割がされていない場合でも、相続開始の日から90日以内に、法定相続人の共有物として届出をする必要があります。届出をしない、又は虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料が課されることがあります。


 ※アイリスでは、行政書士として本届出を代理することができます。


4.4か月以内にすべきこと


 所得税の「準確定申告」をすることになります。「準確定申告」とは、被相続人の所得にかかる「所得税」についての手続きで、被相続人が死亡した年の1月1日から死亡した日までの期間に所得が生じた場合において、そ族の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に相続人が行う確定申告のことです。


  ※詳しくは、税理士の方に相談してください。アイリスでは、税理士のご紹介も可能です。


5.10か月以内にすべきこと


 ①農地法第3条の3第1項の規定による届出書


  相続財産の不動産の地目が「田」・「畑」等の農地である場合、届出が必要になります。


  「第六十九条


   第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。」となりますので、忘れないように届出をしましょう。


  ※アイリスでは、行政書士として本届出を代理することができます。


 ➁相続税の申告・納付


  相続税申告の要否について、「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」の基礎控除額を相続財産の合計額が超える場合には、相続税の申告が必要となります。


  詳しくは、税理士に相談していただきます。香川県高松市の税理士であれば、取引先である税理士の紹介も可能です。


6.まとめ


 なかなか、期間別でまとまっている資料が少なかったので、まとめてみました。


 相続が発生して、死亡届出等は葬儀社がサポートや代行してくれますが、それ以外の手続きについては、ご自身で行えない場合には、費用なども考慮しながら専門家への相談をしてください。

相続登記をしたいが、亡くなった方の住民票除票・戸籍の附票が取得できない場合

相続登記をしたいが、亡くなった方の住民票除票・戸籍の附票が取得できない場合

長年相続登記を放置していた場合に多く見られますが、相続登記に必要な書類の一つである、亡くなった不動産名義人の「住民票の除票の写し」又は「戸籍の附票」が取得できない場合があります。これは、令和元年6月19日までは、「住民票の除票」の保存期間が、消除された日から5年間とされていたため、長年相続登記を放置した場合、取得できないケースも発生することがあります。この場合の対処法として、どのようにすればいいのでしょうか。解説していきます。


目次

1.法定相続情報証明制度を申請する場合

2.相続登記に必要な場合の代替手段

3.まとめ

1.2週間以内にすべきこと

 ①死亡診断書の受け取り


  医師が「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡した」と認められる場合には「死亡診断書」


  上記以外の場合には、「死体検案書」


 ➁死亡届・火葬許可申請書の提出(7日以内)


  ※葬儀社によっては、書類一式を用意・代行していただける場合もあります。


  死亡届(死亡診断書と一緒の用紙についている)については、記入したものを数枚コピーを何枚かとっておくことをお勧めいたします。死亡保険の請求に使用する場合があるためです。


 ③世帯主変更届(14日以内) 市町村役場


 ④健康保険・介護保険の手続き(14日以内)


  (国民健康保険の場合)


 国民健康保険に加入していた方の場合、亡くなった方の住所地の市町村役場に「資格喪失届」を提出。


 亡くなられた方が75歳以上の場合、「後期高齢者医療資格喪失届」を提出します。


 返却物として「国民健康保険被保険者証」「国民健康保険高齢受給者証(対象者)」「後期高齢者医療被保険者証(対象者)」


 葬祭費の申請をする場合、葬儀の領収書や喪主の通帳などが必要となります。


   ※通常葬祭費の申請は、窓口で説明があります。3万円から5万円の支給がありますので忘れないようにしましょう。


  (健康保険の場合)


   会社員や公務員の場合、5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出しますが、会社側で手続きをしていただける場合が多いので会社に相談してみてください。


   亡くなった方の健康保険の扶養に入っていた場合、ご自身が国民健康保険に入るか、会社員である他の家族の扶養にはいる必要があります。


  (介護保険について)


   14日以内に「介護保険資格喪失届」を市町村役場に提出し、介護保険被保険者証を返却します。


 ➄年金受給停止の手続き(厚生年金の場合10日以内、国民年金の場合には14日以内)


手続の際には、本人確認や押印を求められることがありますので、運転免許証又はマイナンバーカード、認印を所持しておいてください。


   未支給年金の請求


   亡くなった月の分までの年金を受け取っていないものがある場合、生計を同じくしていた遺族が受け取れます。この請求権の時効は、5年です。


   また、「遺族年金の受取」について、年金事務所に相談しましょう。こちらの債権も時効期間は5年となります。


2.3か月以内にできること

 相続放棄・限定承認などの手続きの期間となります。


 「民法第915条


  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。 ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。」


 ※限定承認の場合、民法第924条で第915条を準用していますので同じ期間になります。


3.90日以内にすべきこと

 もし、相続財産の不動産に地目が「森林」となっているものがある場合、森林法に基づく「森林の土地の所有者届出書」を当該不動産の所在地である市町村役場に届出書を提出する義務がある可能性があります。指定の森林が対象となるので、事前に市町村役場に、当該不動産の森林が対象であるがどうかの確認をしてください。相続の場合、財産分割がされていない場合でも、相続開始の日から90日以内に、法定相続人の共有物として届出をする必要があります。届出をしない、又は虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料が課されることがあります。


 ※アイリスでは、行政書士として本届出を代理することができます。


4.4か月以内にすべきこと

 所得税の「準確定申告」をすることになります。「準確定申告」とは、被相続人の所得にかかる「所得税」についての手続きで、被相続人が死亡した年の1月1日から死亡した日までの期間に所得が生じた場合において、そ族の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に相続人が行う確定申告のことです。


  ※詳しくは、税理士の方に相談してください。アイリスでは、税理士のご紹介も可能です。


5.10か月以内にすべきこと

 ①農地法第3条の3第1項の規定による届出書


  相続財産の不動産の地目が「田」・「畑」等の農地である場合、届出が必要になります。


  「第六十九条


   第三条の三の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、十万円以下の過料に処する。」となりますので、忘れないように届出をしましょう。


  ※アイリスでは、行政書士として本届出を代理することができます。


 ➁相続税の申告・納付


  相続税申告の要否について、「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」の基礎控除額を相続財産の合計額が超える場合には、相続税の申告が必要となります。


  詳しくは、税理士に相談していただきます。香川県高松市の税理士であれば、取引先である税理士の紹介も可能です。


6.まとめ

 なかなか、期間別でまとまっている資料が少なかったので、まとめてみました。


 相続が発生して、死亡届出等は葬儀社がサポートや代行してくれますが、それ以外の手続きについては、ご自身で行えない場合には、費用なども考慮しながら専門家への相談をしてください。

1.法定相続情報証明制度を申請する場合


法定相続情報証明制度を利用する場合、戸籍全部事項証明書、除籍謄本、改正原戸籍謄本などを取得する必要があります。多いときで10通を有に超える場合もあります。この戸籍の束をもって、各金融機関に名義変更や解約の手続きに持参するのは、非常に手間であるため、法定相続情報証明制度が、平成29年5月29日に実施されました。


 この法定相続情報証明制度で証明されるのは、原則「戸籍類」の法定相続関係の証明です。住所は任意での申請になりますが、申請人の本人確認として、住民票の写しが必要になってきますので、少なくとも申請人に関しては住民票が必要になります。


 任意で住所も法定相続情報証明に記載してもらうためには、それぞれ相続人の住民票、被相続人の除票が必要となります。ここで注意しなければならないのは、申請人の本人確認のために提出する住民票を原本でかねてしまいますと、法務局に申請人の住民票を取得されてしまいますので、コピーに原本に相違ない旨を記載し署名押印したものも併せて提出する点です。


 先ほども書きましたように、法定相続情報証明制度で証明できる内容は、戸籍に記載されている法定相続情報がメインとなりますので、被相続人の除票や戸籍の附票がない場合、「最後の本籍」の項目で事足ります。

2.相続登記に必要な場合の代替手段

それでは、相続登記の必要書類としての住民票の除票や戸籍の附票が取得できない場合どのようにすればいいのでしょうか?


 登記官が不動産の所有者の名義の同一性を確認するために「氏名」「住所」で特定します。つまり、被相続人の最後の住所と不動産名義の住所が一致しており、氏名も同じであれば同一人物との判断をしてもらえます。しかし、住所が異なる場合には注意が必要です。最後の住所の一つ前の住所であれば、住民票の除票に「前住所の表記」で確認をすることができます。しかし、それより前の住所が登記簿に記録されている場合、住民票の除票が使えません。その場合は、戸籍の附票を使って特定していきます。


 しかし、令和元年6月20日以前に廃棄された場合、「除票」も「戸籍の附票」も取得はできません。この場合、以下の方法で登記官に同一性を認めていただく必要があります。


 ①権利証(登記済証)


  権利証は、不動産に権利があることを証明する書類だからです。通常、相続登記では権利証を提出する必要はありません。相続は、相続の発生という事実の発生によって登記申請をします。不動産の持ち主は死亡した被相続人なので意思確認をしたくてもできません。


ですので、不動産の持ち主の意思を確認する必要がなく、権利証を用意する必要がないのです。権利証を提出不要にする代わりに、事実の発生を証明する戸籍謄本等を提出する必要があります。被相続人の住所の移り変わりを証明することができない場合、権利証を提出して登記簿に書いてある人であると証明することができます。被相続人の権利証を提出した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明していませんが、権利者であると証明したことになります。


 ➁上申書


  権利証は紛失しても再発行されません。通常は大切に保管して簡単に人目にさらしたりしないものですが、相続など大切な場面で見つけることができなくなることは多々あります。被相続人が保管していた場合、保管場所を共有していない家族が見つけられなくなるのです。権利証が見つけられない場合、権利証を提出して権利者であることを証明することはできません。権利証を提出することができない場合、相続人全員からの印鑑証明書付き上申書を提出します。上申書は「不動産の所有者は被相続人に間違いありません」という法務局宛てのお願いです。相続人全員とは、遺産分割協議に参加するべき人全員です。その財産を相続する人だけではありませんので、注意が必要です。その財産を受け取らないけど他の財産を相続する人など遺産分割協議に参加するべき人全員から上申書を提出します。遺産分割協議に参加するべき人全員が、実印で押印し印鑑証明書を添付します。印鑑証明書について期間制限はないので、古いものでも差し支えありません。


 法務局によっては、上申書の他に不在住証明書や不在籍証明書が必要になります。固定資産税の納税証明書の提出が求められる場合があります。固定資産税は、一般的に所有者が負担するものだからです。固定資産税を負担していた場合、所有者であったと認めてもらいやすくなります。住所がつながらない場合などイレギュラーな場合の取り扱いは、管轄の法務局によって異なる場合があります。必ず、管轄法務局に確認をするようにしてください。


③被相続人の本籍と登記上の住所が一致する場合は住民票の除票は不要


 本籍地と登記上の住所が一致する場合、法務局は同一人物と認めてくれます。あらためて、住民票の除票を提出する必要はありません。


3.まとめ

 このように、相続登記を長年放置した場合、相続登記に必要な書類がすでに廃棄されているケースが少なくありません。早めの相続登記を心掛けるようにしてください。

相続登記義務化に関係なく、相続登記を急ぐ理由

相続登記義務化に関係なく、相続登記を急ぐ理由

相続登記義務化が始まり、相談件数、ご依頼の件数が増加しております。相談者の中に、「義務化はわかるのだが、相続登記を急ぐ意味がよく分からない」という方がいらっしゃいました。被相続人の方や相続人の状況によっては一刻を争う事態であることも少なからずありますので、解説していきたいと思います。


目次

1.民法177条の意味

2.遺言・遺産分割協議と債権者の関係

3.まとめ

1.民法177条の意味

民法177条では


「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と規定されています。


 つまり、正当な所有者であることを明示したいのであれば、不動産登記をしなければ第三者に対抗することはできないということです。商業登記(会社法人の登記)は、登記をすることは義務ですが、不動産登記については、現状では義務ではありません。その代わり、所有権を争う第三者が先に登記を具備してしまった場合、もう対抗する手段はないというわけですので、自己の権利主張のために登記を入れなさいというのが建前です。


 その結果、第三者をあまり意識する必要のない相続登記について放置しているケースが横行し、結果、東日本大震災の復興において、大きな妨げになったため、今回の相続登記義務化の流れができたと言われています。義務化になっても相続を知ってから3年以内に登記をすれば、罰則である過料はかかりません。それでは、3年間放置しておいても問題ないのかと言われると、実はそうではないケースも多く存在します。


2.遺言と債権者の関係

相続人の債権者(相続人の一人が借金をしている先)がおり、借金も相当額ある場合、債権者には債務を取り立てる正当な権利があります。その場合、代位登記で法定相続分にて相続登記を代位で行い、さらに債務者である相続人の持分を差し押さえることができてしまいます。


 特定財産承継遺言(民法1014条2項)、民法改正前に「相続させる旨の遺言」と呼ばれていた遺言です。従前はこの遺言をした場合、第三者が登記を入れた場合でも、遺言で指定されている相続人が所有権の全部を主張できていましたが、現在では変わっております。上記のような状況になった場合、仮に当該不動産全部の遺言指定がなされていたとしても、債権者の登記が先の場合、指定された相続人は債権者に対して、法定相続分の権利しか主張できません。つまり、取り戻すために債権者と交渉し、債務者である相続人の持分を取り戻すしか方法がなくなります。先に指定相続人が相続登記をしておけば、債権者は代位で相続登記ができません。


 また、持分を対象に買い取りをする業者も存在ます。持分だけでは、その全体の不動産を利用することは困難ですので、不動産価値の持分分の価格より買いたたいて仕入れます。その後、「共有物分割請求」をして持分分の価格を回収しようとします。

このように、状況次第とはなりますが、相続登記を遅らせたために、正当な権利を持つ第三者により登記されてしまいますと、自身の法定相続分の持分の権利しか主張できなくなってしまいます。特定財産承継遺言がある場合には、司法書士に早めの相談をした方がいいと思います。


 相続登記義務化に注目が集まっていますが、本来相続登記はしておかないと、様々な場面で不利益が発生する恐れが潜在化します。

相続手続きに便利、「法定相続証明情報一覧図」の取得

「法定相続情報証明制度」とは、相続登記に必要な戸籍や住民票を法務局に申請し、取得できる書類になります。「法定相続証明情報」を活用し、預金の名義変更・解約、相続登記に添付する戸籍の代わりに提出することができます。すでに制度が始まり数年が経過していますが、改めて、取得方法についてまとめてみたいと思います。


目次

1.法定相続情報証明制度とは

2.法定相続情報証明一覧図の申請書

3.申請書に添付する書類について

4.申請窓口

5.注意する点

1.法定相続情報証明制度とは

法定相続情報証明制度(ほうていそうぞくじょうほうしょうめいせいど)は、日本の相続手続きにおいて、相続人が相続財産についての情報を証明するための制度です。この制度は、相続人が法務局に提出する「法定相続情報証明書」に基づいています。


法定相続情報証明書は、相続人が相続財産の内容や詳細な情報を記載した文書であり、これによって相続手続きが円滑に進むことが期待されています。


2.法定相続情報証明一覧図の申請書

 ①被相続人の表示(氏名、最後の住所、生年月日、死亡年月日)


 ➁申出人の表示(住所、氏名、連絡先、被相続人との続柄)


 ③代理人の表示(住所(事務所)、氏名、連絡先、申出人との関係)


 ④利用目的(不動産登記、預貯金の払い戻し、相続税の申告、年金等手続、その他 から選択)


 ➄必要な写しの通数・交付方法


 ⑥被相続人名義の不動産の有無(有・無、有の場合には不動産の所在又は不動産番号)


  ※不動産は、申請書を提出する法務局の管轄内にある不動産であることが必要です。記載する不動産は、複数ある場合は、そのうちの一つの未記載で大丈夫です。


 ⑦申し出先登記所の種別(被相続人の本籍地、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地 のいずれかを選択)


3.申請書に添付する書類について

(必ず用意する書類)


 ①被相続人(亡くなられた方)の出生から死亡までの戸除籍謄本


 ➁被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票


 ③相続人の戸籍謄抄本


 ④申出人の氏名。住所を確認することができる公的書類


  (運転免許証の表裏面のコピー、マイナンバーカードの表面のコピー、住民票の写し)


  ※これらのコピーには、「原本と相違ない旨」を記載し、申出人の記名をしなければなりません。


  (必要となる場合がある書類)


 ➄法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合(任意です)各相続人の住民票の写し


 ⑥委任による代理人が申し出の手続きをする場合


  ㋐委任状


  ㋑(親族が代理をする場合)申出人と代理人が親族関係にあることがわかる戸籍謄本


  ㋒(資格者代理人が代理する場合)資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等


 ⑦➁の住民票の除票を取得することができない場合の戸籍の附票

4.申請窓口

申請窓口は、被相続人の本籍地、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかに該当する管轄法務局に提出をします。


 申請後、法定相続情報一覧図の再発行を申請する場合、利用しやすい申出人の住所地の法務局に申請することをお勧めいたします。


5.注意する点

 注意する点として2点あります。


 まず一点目は、提出する相続情報一覧図(申請人もしくは代理人が作成するもの)で、相続人が縦に記載されている場合、一番下の相続人の下部に「以下余白」の文字を記載することが必要です。私が使っている作成ソフトでは、この「以下余白」の記載が出力されませんので、ワード出力後に編集をしています。


 次に、相続人の情報に住所を記載するために「住民票の写し」を添付することになるのですが、申出人の氏名・住所を確認しることができる公的書類にも「住民票の写し」が含まれており、兼用することも可能なのですが、兼用した場合、申出人の住民票の写しが証明情報として法務局に取得されてしまい還付されません。この場合、申出人の住民票の写しのコピーを作成し、「原本と相違がない旨」を記載し、氏名、押印をして添付することで、原本の申出人の住民票の写しが還付されることになります。返却されなかった場合、せっかく取得した申出人の住民票の写しを再度市役所等で取得しなければならなくなりますので、注意が必要です。

令和6年4月1日、相続登記が義務化されました。

令和6年4月1日(ブログアップ日)、相続登記が義務化されました。もう一度相続登記義務化について、アナウンスしたいと思います。今後の法改正等により、今回の相続登記義務化だけでなく、相続登記を放置することによる罰則が強化する可能性もあります。早めの対策をすることで、「安心」して不動産を後世に繋ぐことができます。


目次

1.相続登記義務化の内容

2.相続登記をしないことによるデメリット

3.相続人申告登記

4.まとめ

1.相続登記義務化の内容

2024年(令和6年)4月1日に、相続登記が義務化されます。不動産を相続したことを知ったときから、3年以内に相続登記をしなければ、「10万円以下の過料」が科せられます。


 また、2026年4月までに、「住所や氏名の変更」があったときも、2年以内に変更登記をしなければ、「5万円以下の過料」を課せられます。(法務局2022年12月27日発表では、施行日は今後決定されます。)


というのが概要です。


 改正前だと相続登記は義務ではありませんでした。このため、相続登記が放置され何世代にもわたり相続が発生した場合、相続人の人数が増え特定するために相当の時間を費やす、もしくは特定できないといった状態が発生しています。この状態になりますと、不動産を処分や管理しようと思っても、それができないといったことが発生してしまうことになります。


 相続登記が実施できていない不動産について相続登記を推進するために今回の改正となりました。


 「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記」となっています。


  相続人に対する遺贈・相続させる旨の遺言がある場合でも同様に3年以内に相続登記をしなければ過料の対象となります。

2.相続登記をしないことによるデメリット

相続登記義務化により、「正当な理由」なく相続登記を怠った場合の法律上の罰則は、「最大10万円以下の過料」です。しかし、相続登記をしないことによるデメリットは、過料以外にもあります。


 ①処分できない


  処分するためには、当該不動産の名義人を明示する必要があります。最終的に売却することになっても、亡くなった方相手に売買契約はできません。権利関係が明確にできない状態で、処分することはできないということです。そのためにはどうしても、相続登記をして、現存する名義人に変更しておかなければなりません。


 ➁権利関係が複雑になる


  戦後民法は、遺言書がない場合、相続人全員に相続の権利があるとしています。ですので、数代にわたり相続登記を放置していた場合、権利関係が複雑になり、相続人の調査だけで、相当な費用が発生してしまいます。また、名義人となる方に名義変更を行うには、相続人全員と遺産分割協議をする必要があります。仮に、法定相続人全員の持分ごとの相続登記をしたとしても、処分する場合には、その全員と相手方で手続きをすることになります。いずれにしても、相続人全員を特定する必要があります。


 ③共同相続人の中にお金に困っている方がいた場合


  先ほども話をしましたが、遺産分割協議で特定の相続人に名義を変更するそ族登記と、法定相続人の持ち分に応じた相続登記、どちらもすることもできます。しかし、㋐借金に窮している相続人の債権者が「代位による登記」にて、法定相続登記を行い、その持分に抵当権を設定したり、㋑当該相続人が不動産の持分を持分買い取り業者に売却してしまうこともあり得ます。


 もし、㋑が発生した場合、他の相続人にできる相続分の取戻権があります。


「(相続分の取戻権)


民法 第九百五条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。


2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。」


とあり、1ケ月を過ぎますと、権利行使できなくなってしまいます。その後、共有持分を得た業者は、「共有物分割請求」をしてくる可能性があります。


 共有持分の買取価格は、仮に3000万円の3分の1の持分を売却しても、1000万円にはなりません。相当低い価格になってしまいます。業者は、共有物分割請求をすることで、1000万円を回収しようとするでしょう。そうやって、業者が儲けているわけです。


3.相続人申告登記

 過料を免れる制度として「相続人申告登記」があります。

4.まとめ

 施行されました相続登記義務化について、その制度と罰則の過料、過料の免れる方法をお話してきました。そして、相続登記をしないことによるデメリットについても触れました。


 今後、ニュースなどによりますと、国や行政の対策に所有者が協力する努力義務が課され用としています。つまり、不動産の所有者に対する責任を増やしていく施策が検討されています。そうなってきますと、使わない家族の不動産を早く手放したいと思う方もいるかもしれませんが、このような処分をするにも、「相続登記」をしておかなければ、何もできない状態になってしまいます。早めの相続登記をしておくことが、何をするにしても重要になります。

相続人の中に行方不明者がいる場合の手続

今までに何度か相続人が音信不通となっているケースがありました。音信不通と言っても、住所や居住場所が特定されている場合には、何とか連絡をする方法はあるのですが、中には戸籍などからは追えず、他の相続人も今まで何の連絡もないと話している場合には、どのように遺産分割協議を進めていけばよいのでしょうか。


目次

1.遺産分割協議を成立する要件

2.住所・連絡先が分からない場合

3.連絡をしても何も返信がない場合(拒否している場合を含む)

4.完全に行方不明の場合

5.まとめ

1.遺産分割協議を成立する要件

相続財産の分配方法を決めるためには遺産分割協議が必要です。この遺産分割協議は法定相続人全員で行わなければならず、誰か一人でも欠けた状態で行われた協議は無効となります。相続登記においても法定相続人全員が記名し実印にて捺印した遺産分割協議書と印鑑証明書の添付が必要となります。


 つまり「相続人全員」でなければ、遺産分割協議は無効となります。ですが、行方不明など連絡がつかなかったり所在がわからない場合にはどうすればいいのでしょうか。


2.住所・連絡先が分からない場合

 疎遠になった相続人の住所を調べる方法として、戸籍の附票を確認することで確認できる場合があります。ただし、本籍地で取得ができますので、調査が必要となるかもしれません。相続人の調査として、弁護士、司法書士、行政書士にお願いすると、「職務上請求」をすることにより調査が可能です。勿論、調査を要する他の相続人の方でも窓口で取得することができます。


 所在が明らかとなっても、その方が応じてくれるかどうかはわかりません。

3.連絡をしても何も返信がない場合(拒否している場合を含む)

何かしらの理由で連絡しても応答してもらえない、または話し合いを拒否されてしまう場合には家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるという手段があります。調停を申し立てると家庭裁判所から呼び出し状が送達されるので、家庭裁判所で話し合いを行い、遺産分割を成立させることになります。


 しかし、いきなり家庭裁判所に調停を申し立てると、「なぜ返信しないのか」「なぜ拒否するのか」といったことが、法廷での話し合いの場で明らかになるので、話し合いがこじれるかもしれません。このケースではトラブルに発展する場合が多いので、自身でもしくは代理人として依頼した弁護士に内容証明郵便で、調停の手続きに入る前に解決できるかどうか探ってみた方がいいと思います。


4.住居すらわからない行方不明の場合

 戸籍の附票などに記載された住所には存在せず、どこで暮らしているかも分からず、連絡手段もない状態になってしまっている場合、遺産分割協議は法定相続人全員で行う必要があるので、相続人の中に不在者がいる場合にはこれを行うことができません。


 この場合には、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てることで、その管理人を含めて遺産分割協議をすることができます。不在者財産管理人の申立ては、利害関係人または検察官が家庭裁判所に対して行いますが、相続人の一部が不在者の場合には他の相続人が利害関係人に該当するのでこの申立てを行うことができます。


 家庭裁判所が介在するので、仮に行方不明者をないがしろにしたような遺産分割協議の場合、家庭裁判所が許可を出さない可能性もありますので、注意が必要です。


 また、失踪宣告を活用する場合もあります。失踪宣告とは、不在者についてその生死が7年間明らかでないときに、家庭裁判所の審判によって法律上死亡したものとみなす制度です。


※戦時中の死亡宣告の制度もあり、こちらは戸籍を確認すると記載されています。


5.まとめ

 このように、行方不明でもその状況次第で対応する手法が変わってきます。


 連絡が着く状態であれば、できる限り穏便に話を進めることを心掛けてください。


 また、どの状況にあるのかわからない場合には、専門家に相談をすることをお勧めいたします。どのような資料を取得して調査するのか、相続専門の専門家なら答えを持っているはずです。そしてその後の対応についてもアドバイスをしていただけると思います。


会社経営者が亡くなり相続が発生

会社経営者が亡くなり相続が発生

複数の会社経営をしていたAさんが亡くなり、配偶者と子供2人いました。さて、どのように相続すればいいのか、という問題になってきます。一般の方であれば、遺産分配を遺産分割協議を経て決めていただく必要があるのですが、経営者が保有する「株式の評価」によっては、様々な問題が発生してきます。また、不動産が経営者の個人名義であった場合にも、事業継続そのものに問題が発生するケースもあります。


目次

1.会社経営者Aさんの相続発生

2.会社継続に留意しなければならない理由(株式の分散防止)

3.建物は法人所有だが土地が経営者個人名義の場合の問題点

4.まとめ

1.会社経営者Aさんの相続発生


まずは、遺言書の有無の確認が必要です。遺言書があれば、その内容に従って遺産を分割することになります。しかし、遺言書がなかった場合、遺産の範囲を見ていかなければなりません。


遺言書の有無にかかわらず、遺産の範囲とその額の確定作業は、専門家に任せた方がいい場面です。総合的に課税される相続税を想定しながら、遺産をどのように配分すればいいのかを相続専門の税理士先生に確認し、Aさん名義の預金、有価証券、保険、保有株式、不動産、動産の額を確定していきます。特に時間を要するのが、経営者Aさんの保有する自社の株式の1株当たりの純資産の評価のために、3期分の決算書などが必要となってきます。


 そして、遺言書の内容又は遺産分割協議の内容に従って、遺産を分配することになるのですが、不動産の名義の変更や法人の代表者の変更は、司法書士が対応することになります。

2.会社継続に留意しなければならない理由(株式の分散防止)

 法人の役員変更の内容については相続人の方に決めていただく必要があります。法人の事業を引き継ぐ意思の確認やその素養なんかも踏まえて決めていただく必要があります。


 事業を引き継ぐ意思があっても素養がなければ、事業を承継しても経営ができない可能性があるからです。ここはじっくり話し合って決めていただくようにしています。


 そして一番の問題は、経営者が保有していた株式を誰に引き継がせるかという点。特に株式会社では、「所有」と「経営」が分離しています。「経営」の面は、先ほど話した事業を引き継ぐ相続人の意思と素養なのですが、株式は株式会社の「所有」を意味しています。


例えば、定款の目的の内容を変えて、新規事業を始めたいと思った場合、「株主総会の特別決議」が必要となりますが、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成が要件となります。経営者が保有していた株式を分散させてしまいますと、意見の対立が起こった場合、この要件を充たすことができず、定款変更すらできない状態に陥るリスクがあります。


3.建物は法人所有だが土地が経営者個人名義の場合の問題点

 以前、県外の方で、酒造会社の経営者が亡くなり、工場は法人名義でしたが、土地が経営者の個人名義でした。会社を弟が引き継ぐことになったことに対して相続人間(子供である兄弟)で争いになり、結局、法定相続分(各2分の1)で土地名義を変更することになりました。その後、兄の方から「共有物分割請求」をされてしまい、土地の価額の半分を支弁できなかった弟は、工場を撤去して土地を現物分割することになってしまいました。つまり、事業継続できなかったということになります。


※知り合いの税理士の先生に確認すると、実は、土地を個人名義、建物を法人名義にして、土地を法人に貸し出す形にすることにより、税金対策として良く用いられる手法であることを聞きました。  


4.まとめ

 経営者の相続に関してお話をしてきました。ポイントは「自社の保有株式の分散防止」と会社の工場などに関連する不動産で、「個人名義の不動産を生前に法人名義に変えておく」などの対処法を考える必要があるかと思います。


収益物件の相続の注意点

収益物件の相続の注意点

生前、相続税対策として、個人名義で賃貸マンションを購入し、金融機関から融資を受けているケースについての相続を考えてみます。物件価格が高額で融資額が大きいと「相続税対策」として、事前に税理士などのアドバイスを受けて購入している場合が多いです。このような収益物件がある場合について、お話をしていきたいと思います。


目次

1.個人名義で賃貸不動産を購入すると相続税対策になる?

2.収益物件の相続手続き

3.収益物件が相続発生年内に新築されている場合の注意点

4.ローンが残っている時の注意点

5.まとめ

1.個人名義で賃貸不動産を購入すると相続税対策になる?

アパートのような収益物件は、相続税評価額がかなり低くなる点が大きなメリットです。アパート等の不動産の相続税評価額は一定のルールに基づいて計算され、時価(実際の価値)の30~50%程度になるので、節税になります。


 新築の場合でも、金融機関からの融資を受けた場合、新築の収益物件とローンが残りますので、その差額で相続税対策をしているケースもあります。


2.収益物件の相続手続き

 まずは大きく以下の手順が必要です。


①相続登記する。

 名義を亡くなった方から、相続人のどなたかに名義を変更する必要があります。


➁管理会社に連絡し、入居者に通知する。

 管理契約の当事者が亡くなっていますので、基本的に物件を引き継いだ相続人と管理契約を取り交わす必要があるためです。また、アパートの所有者が変わったことを入居者に通知し、賃料の支払先を変更する必要がある場合があります。


③アパートローンがある場合は金融機関に相談する。

 アパートローンに「団体信用生命保険」が付いている場合には、借りた人が亡くなると保険金でローンが返済されます。


相続税の節税目的で建てられたアパートの場合には、借入金があれば相続税評価額を圧縮できるので、団体信用生命保険は付けていないことが多いです。団体信用生命保険なしのアパートローンで、ローン残高が残る場合には、今後の支払いについて金融機関と相談し、契約を引き継ぐ手続きを行います。


④準確定申告を4ヶ月以内に行う

 亡くなった人の不動産収入について、相続人が代わりに申告・納税を行う必要があります。これを準確定申告といいます。通常の確定申告は、1年分を翌年の2月16日から3月15日までに手続きしますが、準確定申告は特別に、相続を知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があるのでご注意ください。


➄相続税を10ヶ月以内に申告する

 相続税がかかる場合には、亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納税します。


3.収益物件が相続発生年内に新築されている場合の注意点

 2①の相続登記をする場合、亡くなった年の新築物件は、固定資産税評価証明書には記載されません。固定資産税の評価額は、その年の1月1日時点の物件について評価額が記載されるためです。それでは、どのように新築物件の評価額を出せばいいのかと言いますと、「○〇法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表」を参照します。建物を新築した場合も、所有権保存登記の登録免許税の計算に使用される価格基準になります。物件の登記簿の「種類」「構造」から、1㎡あたりの単価を見つけて、登記簿の床面積を乗じた数値を評価額として計算します。


4.ローンが残っている時の注意点

 アパートのローンを残したまま親が亡くなってしまった場合、遺産分割協議の前に連帯保証人が誰か確認します。連帯保証人の銀行の審査基準は、法定相続人であること、または事業継承ができる見込みのある人である場合が多いです。やはり、資力のない方への変更は、金融機関側が拒否する可能性があります。


また、連帯保証人が相続人であった場合、ローンが残っているアパートの相続放棄ができません。当該相続人の方は、亡くなった主債務者と同等の責任をもって、ローンを返済する必要があるためです。どうしても、アパートの経営やローンの返済をやめたい場合は、該当のアパートを売却するしかないでしょう。


5.まとめ

 このように、収益物件を相続する際には、様々な手続きや注意点が存在します。

相続登記義務化。しないとどうなる相続登記?

相続登記義務化。しないとどうなる相続登記?

令和6年4月1日から相続登記義務化が始まります。それまでは任意だった相続登記なのですが、相続登記をしないとどうなるのでしょうか。事例を交えながら、わかりやすく解説していきます。


目次


1.相続登記義務化とは

2.相続登記をしないとどうなる

3.相続登記義務化の過料だけじゃない

4.まとめ

1.相続登記義務化とは

2024年4月1日より、「相続登記義務化」が始まります。いままで、相続登記は義務化されていませんでした。それにより、東日本大震災後の復興の際、所有者が不明の土地があるため、復興作業が難航したということがあり、法改正も含め、「相続登記義務化」の検討が始まりました。義務化という言葉通り、罰則が存在します。


「(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。


(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。


(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。」法務省HP引用


2.相続登記をしないとどうなる

今回の相続登記義務化における法律の改正では、相続登記義務化に対する罰則は、10万円以下の過料となっています。


 「なんだ、10万円払えばいいんじゃないの。」と思われるかもしれませんが、そういうわけにはいきません。


 また、「相続人申告制度」という制度があり、こちらをすることで過料を免れることはできますが、「相続登記をしないこと」の問題点は、過料だけではありません。


3.相続登記の問題は義務化の過料だけじゃない

 相続登記をしないということは、当該不動産の名義人が亡くなった方のまま放置されるということを意味します。放置している間に相続が数次的に発生した場合、現行の民法では、相続人と数次相続が発生した方たちの相続人も権利関係者となります。東京近郊の空き家の相続関係者が100人にも上るという記事を見かけたことがあります。この100人の権利者間で、法定相続分で相続登記を行うか、遺産分割協議をして相続人の一人に不動産を帰属させて、相続登記はできません。


 それでは、相続登記をしないとどうなるのかと言いますと、その朽ち果てた建物を処分できません。共有の問題で、処分行為をする場合には、共有者全員の同意を要するからです。


 これらのことが面倒だからと言って、放置していた場合、さらに深刻な問題が発生いたします。それが「所有者責任」です。不動産に限らず、ものを所有するということは、その管理責任は所有者にあります。しかも「無過失責任(過失があろうとなかろうと責任を負うことになる)」です。不動産を相続登記せずに放置した場合、老朽化や管理不全のために放置された状態であったために、第三者が不利益を被った場合、と書くと難しくなりますので、例えば、管理ができていなかった家の外壁が崩れて、誰かが死傷した場合、その責任を所有者が負うということです。名義人が既に死亡していた場合も、その相続人が責任を負うことになります。相続というのは、亡くなったからの権利義務をすべて引き継ぐからです。


 こういった問題が常に付きまとう状況となりますので、やはり相続登記は早めに行い、使わない不動産は、早期の処分を行うことをお勧めいたします。

4.まとめ

 相続登記義務化に関して「しないとどうなる」という観点からお話をさせて頂きました。相談者の方も、罰則である「過料」についてよくご存じなのですが、「所有者責任」を知っている方は、ほとんどいません。相続登記を放置して、自身がまだ済んでいる状態なら管理もできると思いますが、すでに相続人と別居していて、戻ってくる予定もないような場合ですと、相続登記が未了の場合、処分ができませんので、早急に相続登記をして、家族で話し合いの場を持ち、その処分について話し合ってみてはいかがでしょうか。

相続登記義務化の過料を免れる「相続人申告登記」

相続登記義務化は、所有者不明土地問題から議論され出てきたものです。義務化されたことで罰則である「過料」が設定されました。一定の要件を充たすことで、過料を免れることとはなるのですが、その後、相続登記の義務まで免れるわけではありません。他にどのような手段があるのでしょうか。相続登記義務化の罰則である過料を免れる方法として、簡素化した手続きの「相続人申告登記」があります。過料は免れますが、他に問題はないのでしょうか?


目次

1.相続登記義務化

2.過料を免れるための「相続人申告登記」

3.相続人申告登記で相続登記は免れるが・・・

4.まとめ

1.相続登記義務化2024年4月1日より、「相続登記義務化」が始まります。いままで、相続登記は義務化されていませんでした。それにより、東日本大震災後の復興の際、所有者が不明の土地があるため、復興作業が難航したということがあり、法改正も含め、「相続登記義務化」の検討が始まりました。義務化という言葉通り、罰則が存在します。


 「(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。


(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。


(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。」法務省HP引用


2.過料を免れるための「相続人申告登記」

「相続人申告登記」を法務局に申請することで過料は回避することができます。


 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権(登記官が登記をすること)で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。


 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。





この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。


3.相続人申告登記で相続登記は免れるが・・・

  この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、相続登記義務化の過料を免れることはできますが、当該不動産を売買で処分することはできませんので注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。


4.まとめ

 「相続人申告登記」は、相続登記義務化の過料を免れるためには、有効な手段となりますが、相続登記自体を免れるわけではないので、注意が必要です。


 相続登記自体を免れないとは、例えば、相続した不動産が、すでに誰もすまなくなってしまっているような場合、「売却」を考えている方もいらっしゃると思いますが、こういった不動産の処分をするためには、相続登記を経て行わなければならなくなるためです。


 早めの対策・対応をとることが相続を円滑に進めるコツだと考えます。

相続登記義務化の過料を回避するには

令和6年4月1日に始まる「相続登記義務化」の罰則である最大10万円以下の過料。この過料を免れる要件と、この要件に該当しない場合の回避方法を解説いたします。もちろん、相続登記を早期に済ませておけば、過料の対象とはなりません。また、相続登記そのものをせずに過料を回避しても問題点が残ってしまいますので、そちらも併せて解説いたします。


目次

1.相続登記義務化とは

2.相続登記義務化の過料が科される場合

3.相続登記義務化の過料を免れる場合

4.3の場合に該当しない場合に過料を回避する方法

5.まとめ

1.相続登記義務化とは

相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行) 相続により(遺言による場合を含みます。) 不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。


 また、遺産分割協議の成立により、不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならないこととされました。(法務省HP引用)


2.相続登記義務化の過料が科される場合

 正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。


3.相続登記義務化の過料を免れる正当事由とは

 ※正当な理由の例


 (1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース


 (2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース


 (3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース


 (4)経済的に困窮している場合


 などが挙げられています。

4.3の場合に該当しない場合に過料を回避する方法

 「相続人申告登記」を法務局に申請することで過料は回避することができます。


 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。


 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。

この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。


 この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、当該不動産を売買で処分することはできませんので、注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。


5.まとめ

 最近の法律相談で相続登記義務化についてのご質問が増加してきておりますので、今回、過去の記事からの抜粋で「過料の回避方法」にスポットを当てて解説いたしました。


相続登記義務化の罰則である過料を免れる方法として、


①相続発生後、3年以内に相続登記を実施する


➁相続人申告登記を実施する


がありますが、①の遺産分割をしない法定相続分での登記は共有関係となるためお勧めできません。➁の相続人申告登記も相続登記義務化は免れますが、この後売買する場合には相続登記が必要となります。


 司法書士が、相続登記を受任して調査すると、複数世代にわたって相続登記をしていない建物のケースが10件に3件ほどありました。未登記の建物は、役所に届出をすればいいのですが、そもそも建物を新築する場合には、1か月以内に表題登記をしなければならないと規定されているため、厳密にいえば違法状態だといえます。表題登記のみの建物も散見されるのですが、相続人の調査が膨大になり、そのままになっているケースもありました。


 今後、おそらくこのような建物も対象になってくる可能性があるかもしれませんね。

相続登記義務化の罰則(過料の要件)

令和6年4月1日より始まる相続登記義務化について、罰則である過料。すでに法務省よりその過料の運用方針が示されています。相続登記義務に違反した場合の過料の運用方法や、免れるための「正当な事由」とは何かについて解説します。


目次

1.はじめに

2.相続登記義務化による過料の要件

3.相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン

4.①過料通知およびこれに先立つ催告

5.➁登記官による相続登記の義務化に違反したものの把握方法

6.③「正当な理由」があると認められる場合

7.まとめ

1.はじめに

 2024年4月1日より相続登記義務化がスタートします。不動産を取得した相続人に、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を義務化するものであり、正当な理由がないのに申請を怠ると10万円以下の過料の可能性があります。今回の解説は、2023年3月23日、法務省が過料の運用方針を発表しましたので、その内容となります。


2.相続登記義務化による過料の要件

 相続登記義務化により、以下の2つの要件を満たす必要があります。


 ①「相続等により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならない。」


 ➁「遺産分割により不動産を取得した相続人についても、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない。」


 ※①で法定相続分で登記を入れた共有状態で、その後遺産分割により当該相続人の一人に相続させ、移転登記をする場合でも、遺産分割から3年間以内にその登記をしなければならないということになります。


 正当な理由がないのに、①又は➁の申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用多少になります。


3.相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン

 2023年3月23日、法務省が、相続登記義務化に際して、予定している運用上の取扱い等を「相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン」として発表されました。


 相続登記の申請義務化の運用方針の決定したものであり、以下の内容があります。


 ①過料通知およびこれに先立つ催告


 ➁登記官による相続登記の義務化に違反したものの把握方法


 ③「正当な理由」があると認められる場合


が定められています。

4.①過料通知およびこれに先立つ催告

 相続登記を怠っている者を登記官が把握し、まず、法務局から当該相続人に対し催告が(相続登記を促す手紙)なされます。これに応じて相続登記をした場合は、「過料事件」の裁判所への通知はされません。


 しかし、催告があっても相続登記をしなかった場合、法務局から裁判所へ過料事件の通知がなされます。そして、裁判所で要件に該当するか否かを判断して、過料を科する旨の裁判することになります。


5.➁登記官による相続登記の義務化に違反したものの把握方法

 登記官が登記審査の過程等で把握した情報により行うこととなります。


 ➁―1相続人が遺言書を添付して遺言内容に基づき特定の不動産の所有権の移転の登記を申請した場合において、当該遺言書に他の不動産の所有権に浮いても当該相続人に遺贈し、又は承継させる旨が記載されていたとき


 ➁―2相続人が遺産分割協議書を添付して協議の内容に基づき特定の不動産を所有権の移転の登記を申請した場合において、当該遺産分割協議書に他の不動産の所有権についても当該相続人が取得する旨の記載がされていたとき


 ※つまり、相続登記申請時に添付する「遺言書」「遺産分割協議書」に他の不動産の帰属先が記載されていた場合に、それを参考にして判断するということを言っています。


6.③「正当な理由」があると認められる場合


 ③―1数次相続が発生して相続人が極めて多数に上がり、かつ、戸籍関係書類の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合


 ③―2遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているために不動産の帰属主体が明らかにならない場合


 ③―3相続登記の申請義務を負う者自身に重病等の事情がある場合


 ③―4相続登記の申請義務を負う者がDV被害者等であり、その生命・身体に危害が及ぶ恐れがある状態にあって避難を余儀なくされている場合


 ③―5相続登記の申請義務を負う者が経済的に困窮しているために登記に要する費用を負担する能力がない場合


 ※正当な理由の判断について、これらの場合に限定されないということです。


7.まとめ

 相続登記等により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。また、遺産分割により不動産を取得した相続人についても、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。


 これらの義務を怠った場合には、10万円以下の過料の適用対象になります。


 登記官の催告に応じて相続登記を申請すれば過料事件とはなりません。


 相続登記の申請義務化は、2024年4月1日から施行されますので、正当な理由がない場合、早めの相続登記の申請をお願いいたします。



相続登記に関する注意点(夫婦共有の不動産について)

相続登記に関する注意点(夫婦共有の不動産について)

不動産購入時に、夫婦で購入代金を別々で支払う場合も少なくありません。この場合、不動産を夫婦共有での登記をしています。なぜなら、代金をそれぞれ払っているのにもかかわらず、共有名義にせず単独名義にした場合、名義人以外の者から名義人に対する「贈与税」を負わされてしまうためです。

新築の家屋の場合、出した金額に応じて共有持分を決めて保存登記をするケースが多いです。その後、夫婦どちらかに相続が発生した場合、もう一方に持分の権利が自動的に移転するわけではありません。

詳しく解説していきます。


目次


1.共有者と法定相続人の関係

2.共有名義の片方に持分を移転するには、どのような手続きが必要なのか

3.まとめ


相続登記に関する注意点(夫婦共有の不動産について)

1.共有者と法定相続人の関係


共有者と法定相続人の関係が、ここでは問題になってくると思います。亡くなった共有者の財産(遺産)の権利は、いったい誰のものになるのでしょうか。

まず一番初めにしなければならないのは、亡くなった共有者が「遺言書」を作成していたかどうかです。

遺言書は、遺言者が亡くなることで効力を生じ、その内容が有効になります。つまり、夫婦で購入し、夫が亡くなった際に、遺言書で「不動産の持分を妻に相続させる」旨の記載があれば、妻が夫の持分を取得することになります。

当然、他の相続人の遺留分を侵害していた場合には、遺留分侵害額請求権を行使されることはあるかもしれませんが、ここでは想定しないことにいたします。

遺言書がなかった場合、亡くなった共有者の持分の権利は、亡くなった方の法定相続人が民法規定の法定相続分で共有している状態になります。

仮に、亡くなった以外の共有者が、法定相続人ではない第三者(内縁の妻等)の場合には、そもそも相続権はありませんので、取得することは困難でしょう。

また、内縁の妻の場合、相続人が不存在である場合に特別縁故者として家庭裁判所が認定してもらえれば、その持分を取得する可能性はあります。認めてもらえるかどうかは、家庭裁判所の判断次第ということになります。

相続登記に関する注意点(夫婦共有の不動産について)

2.共有名義の片方に持分を移転するには、どのような手続きが必要なのか


①他の共有者のみが相続人であった場合

問題なく、その亡くなった共有者の持分の権利は、他の共有者に移転します。


➁他共有者が相続人の1人であった場合

他の相続人全員と「遺産分割協議」により、帰属先を協議しなければなりません。協議を経なければ、法定相続人の法定相続分の割合で持分権利をさらに共有している状態になります。協議がこじれた場合には、「遺産分割調停・審判」の手続きを要します。協議等を経て帰属先が他の共有者だとなれば、その持分の権利は、他の共有者のものになります。


③他共有者が全くの第三者であった場合

相続人ではないので、遺産分割協議への参加はできません。ですので、相続人の中からどなたかが持分を取得し、共有状態は解消されないことになります。もっとも、相続人間で持分の売却等の提示もしくは、こちらからの意思表示を受け入れてくれれば、持分を取得することは可能です。

相続登記に関する注意点(夫婦共有の不動産について)

3.まとめ


まとめると、共有者だからと言って、相続発生時に必ず持分を取得できるとは限らないということが言えます。

夫婦である場合でも、他に相続人がいる場合、「遺産分割協議」を経て持分の帰属先を他の共有者にしないと持分の取得はできません。

内縁の妻の場合、そもそも相続人ではないので、相続人の遺産分割協議への参加する権利はありません。


対処法としては、共有者から生前に持分を生前贈与(不動産評価額が大きい場合、何回かに分けて贈与)することが挙げられます。


また、共有者の生前に「遺言書」を作ってもらうことも有効な手段です。遺言書の場合、持分の権利は、他の共有者に必ず移転します。ただし、第三者の場合には、税金がかかってくるかもしれませんが、相続人から「共有物分割請求」をされて、住む場所を失ってしまうリスクも否定はできないからです。


今回は、わかりやすくするためにできるだけ簡単な事例で紹介いたしました。詳しい内容に関しましては、専門家に相談することをお勧めいたします。


アイリスでは、相続対策・相続手続きにつきまして、随時予約制で無料相談会を実施しております。

予約をいただければ、土曜日、日曜日、祭日も対応しております。ぜひご活用ください。

相続登記に関する注意点(夫婦共有の不動産について)


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相続専門家が対応しております。

認知症対策として(任意後見と家族信託)

認知症対策として(任意後見と家族信託)

認知症対策として、「任意後見契約」と「家族信託契約」があります。

家族信託万能論を唱えている専門家の方もいらっしゃるみたいですが、同じ「財産管理」であっても、その内容は大きく異なります。

実際にいずれかの対策をした後に、こんな筈ではなかったとならないために、比較解説していきます。


目次


1.はじめに

2.「任意後見制度」と「家族信託」の違い

3.結局どちらの制度がいいのか?

4.まとめ

1.はじめに


認知症対策として「任意後見制度」と「家族信託」という2つの制度があります。

「どちらの制度がいいの?」、認知症対策相談の時、相談者様からよく質問を受けます。どちらの制度も一長一短があります。制度の内容を要理解せずに、表面的なメリットのみとらえて選択してしまうと、「こんなはずではなかった。」ということにもなりかねません。

内容をよく理解した上で選択することが重要になります。なぜなら、この2つの制度は、性質が異なるものだからです。ご家族の置かれた状況からどちらの制度を選択すればよいか見えてくると思います。

それでは解説してまいります。

認知症対策として(任意後見と家族信託)

2.「任意後見制度」と「家族信託」の違い


(事例)母は既に亡くなっており、父親が最近少し物忘れが多くなってきており、長男夫婦と次男夫婦がいる事例で見ていきます。


このような事例で、長男が「財産管理」をしていきたい場合を考えていきます。


※父親に判断能力がまだあることが前提条件となります。すでに判断能力を失われている場合には、法定の成年後見制度を利用することになります。

※2つの制度共に詐欺被害などにあった場合の「取消権」がないので対応はできません。法定の成年後見制度にはありますので、ここでも選択の判断が分かれます。


認知症対策として(任意後見と家族信託)

3.結局どちらの制度がいいのか?


事例から見ますと、父親に「身上監護まで必要」であるなら任意後見制度を利用し、必要なければ「家族信託」という選択になります。

しかし、家族信託のみで対応していたがために、父親の認知症が進み、要介護認定の申請手続きや、介護施設への入所契約など発生した場合、「法定の成年後見制度」を利用しなければならなくなります。

そこで、大きな財産については「家族信託」で財産管理をして、それ以外の財産と身上監護を「任意後見制度」を併用する方法もあります。

また、併用だとコスト面で大きくなるのであれば、どちらがいいのかの選択が必要となってきます。

この場合は、ご家族でよく話し合ったうえで決めていただきます。


4.まとめ


 ①積極的な財産管理を行いたいのであれば「家族信託」

 ➁身上監護が必要なら「任意後見」

 ③裁判所の関与を避けたいのであれば、「家族信託」

 ④どちらの制度もご要望になじむのであれば、費用で比較する


「任意後見制度」も「家族信託」もどちらかを選択すれば完ぺきといった制度ではありません。それぞれの制度の趣旨が異なるためです。

どちらもご要望に馴染まない場合がありますので、制度をよく理解して決めなければなりません。専門家と相談しながら進めていくのがいいと思います。


アイリスでは、随時、予約制にて認知症対策の無料相談を受け付けております。何らかの手続きをするまでは、費用は発生いたしません。


法律・税務双方の無料相談会も別会場にて、月一で実施しております。

法律面での相続対策に加えて税金の面も不安という方は、是非ご活用ください。

生前の相続対策として(遺言)

生前の相続対策として(遺言)

最近の相談者の方の年齢と希望するサービスの内容について、いろいろと考えることがあります。ライフステージごとに、できることをまとめてみました。健康年齢が75歳ということを考えますと、生前の対策は元気なうちにしておくことが重要かと考えます。また、生前対策そして、遺言書を積極的に考える理由についても解説しています。


目次

1.早めの遺言書作成(健康年齢と認知症)

2.遺言書を作成する意味

3.相続財産が相続人に帰属するタイミング

 3-1.遺言書がある場合

 3-2.遺言書がない場合

4.遺産分割協議でもめてしまうことも

5.まとめ

1.早めの遺言書作成(健康年齢と認知症)

 早めに遺言書を作成することのメリット

遺言書は、健康な状態で作成することが望ましいです。一度病気になってしまうと、判断力が低下したり、医療処置によって精神状態が変化する可能性があります。早めに遺言書を作成することで、自分の望む財産分配方法を明確にし、遺言執行者の指名や葬儀の方法なども記載することができます。


 ご高齢の相談者様の中には、遺言書の手続きについて説明すると「そんなに大変なら、考えます。」と言って、相談を打ち切られる場合がよくありますが、健康で元気である間に、遺言書を作成することが重要になってきます。

また、遺産分割に関するトラブルは、遺言書がない場合、法律上の相続人の割合に従って分割されますが、これが家族や親族間での紛争を引き起こすことがあります。早めに遺言書を作成することで、財産の帰属先が宙に浮くことを未然に防ぐことができます。相続人間の争いについては、遺言書があってもなくても、起こるときは起こりますし、起こらないときは起こりません。家族間のコミュニケーションや、相続発生後の手続きの煩雑さなどから見ても、遺言書があるおかげで、ずいぶん軽く済んだケースを多く見てきました。


※ご本人の状態により、使える法律行為や制度が異なる点にもご注意ください。特に認知症発症後は、法定後見制度一択になります。

3.相続財産が相続人に帰属するタイミング

 3-1.遺言書がある場合


  遺言者(亡くなった方)の遺志に従って、財産の帰属先が決定します。


 3-2.遺言書がない場合


  相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を取りまとめることで、相続財産の帰属先が決まります。つまり、遺産分割協議がまとまるまでは、法定相続分での状態になってしまうということです。

※遺留分の問題があるから遺言書は進めないという方もいらっしゃるようですが、相続発生時の相続財産の帰属先は一端は決まる点がメリットだと考えますので、アイリスでは遺言書の作成についてお勧めをしております。


4.遺産分割協議でもめてしまうことも

 遺言書がなく亡くなられた被相続人の相続人全員で遺産分割協議をする場合、もめるケースがあります。一旦もめてしまうとなかなか遺産分割協議がまとまらなくなります。


 こうなった場合には、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることになります。それでもまとまらない場合には、家庭裁判所による審判で遺産分割を決定することとなります。


 ここまで行ってしまいますと、家族関係は完全に悪くなってしまいます。一度悪くなった家族関係は、もう元には戻らないでしょう。このようなことからも、遺言書作成の意義は、とても大きいと考えます。


5.まとめ

 最後に、遺言書は遺言者の意志を尊重するものであるため、遺言者自身が最も納得できる内容を記載することが大切です。しかし、遺言書が法律に反する内容を含んでいる場合などは、遺言書は無効となることがあります。遺言書を作成する際には、法律に基づいた内容であるかどうか専門家に相談し、確認するようにしましょう。

相続税対策としての死亡保険の取り扱い

相続税対策としての死亡保険の取り扱い

相続が発生し、死亡保険金が受取人(相続人の一人)によって受け取られたときに、それは相続財産として遺産に含むものなのでしょうか。当然、相続人以外のどなたかに、死亡保険金の受取人とした場合には贈与税の対象に、また、亡くなった被相続人本人が受取人の場合には、相続財産として取り扱われることになります。

今回は、相続人の一人が受取人に指定されていた場合について、法律面と税制面の両面から解説していきます。


目次

1.死亡保険金は相続財産に含まれるのか

2.死亡保険金が相続財産に含まれる場合

3.死亡保険金の税制面での取り扱い

4.まとめ

相続税対策としての死亡保険の取り扱い

1.死亡保険金は相続財産に含まれるのか


保険契約に基づき受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又は、これを行使して取得した死亡保険金は、民法903条第1項に規定する遺贈又は、贈与に係る財産には原則的には当たりません

つまり、法律上、死亡保険金は、相続財産とはなりません。ですので、相続の生前対策として生命保険(死亡保険)が活用されるケースがあります。相続財産となりうる額の一部をを生命保険契約をすることで、目減りさせることができるためです。それでは、相続財産のほとんどを生命保険に切り替えても相続財産とはならないのかというと、そういうわけではありません。どのような基準があるのかを次の項目で解説をいたします。


2.死亡保険金が相続財産に含まれる場合


(最判平16.10.29)

「法律上、生命保険金は原則的には相続財産に該当しませんが、当該保険料が被相続人が生前に保険者に支払ったものであり、それにより保険金受取人である相続人に保険金請求権が発生することなどに鑑みると、保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし、到底是正することができないほどに著しいものであると評価すべき「特段の事情」が存する場合には、民法903条の類推適用により、当該保険金請求権を特別受益に準じて持戻しの対象となると解する。


この「特段の事情」の有無の判断は以下のような点などの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断する。」とあります。


それでは、判例で言っている特段の事情とはどういった内容なのでしょうか。


 ①保険金の額

 ➁保険金の額の遺産の総額に対する比率

 ③同居の有無

 ④被相続人の介護等に対する貢献の度合い


以上、4つの内容を考慮したうえで判断されます。

➁の比率については、明確な基準はないですが、平成17年の判例では、遺産総額のほぼ全額(99%超)を保険金が占めており、また、平成18年の判例では61%を保険金が占めていて、相続とみなされました。

他の要件も加味されますので、50%を超える場合には注意しておいた方がいいかもしれません。


3.死亡保険金の税制面での取り扱い


「被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。

この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、すべての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。


500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額


なお、相続人以外の人が取得した死亡保険金には、非課税の適用はありません。


(注1) 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。

(注2) 法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。」

(国税庁HPより引用)

相続税対策としての死亡保険の取り扱い

4.まとめ


死亡保険金は、法律上では原則、相続財産とはなりませんが、 

①保険金の額

➁保険金の額の遺産の総額に対する比率

③同居の有無、

④被相続人の介護等に対する貢献の度合い

といった内容を考慮して特別受益と認められる場合があります。

特別受益と認められた場合、その死亡保険金は相続財産に組み入れられてしまいます。

また、税法上は、死亡保険は「みなし相続財産」とされ、基礎控除を超える額は相続財産とされます。

詳しい内容につきましては、各専門家への相談をお勧めいたします。


アイリスでは、ワンストップでの相続のお悩みを解決する場として「相続法律・税務無料相談会」をご紹介しております。

法律のお悩みのみの場合につきましては、「アイリスDEいい相続」の無料相談会にて対応をいたします。ぜひ、この機会にご活用ください。


代位登記について

代位登記について

「代位登記」は他の人が変わって申請する登記のことですが、一定の要件が必要です。それでは、代位登記等について解説します。


目次

1.代位登記とは

2.代位登記ができる要件

3.実際の申請書記載

4.まとめ


1.代位登記とは

 代位登記とは、債権者、自己の債権を保全するために、民法423条の規定により、債務者の有する「登記申請権」を代位行使して登記㋓㋔申請することを言います。


「民法423条(債権者代位権の要件)


 第1項 債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。」


規定の表現は、債権者、債務者となっており、良くイメージできない方もいるかもしれませんので具体的に言いますと、


(事例1)AからBに売買によりBに余裕権が移転し、その後、Bがその所有権をCに売ったとします。この場合の住所は、A→Bの所有権移転をした後に、B→Cへの所有権移転登記をすることになります。しかし、Bが所有権移転登記を請求しない場合、Cは既に所有権を持っているのに、待つことしかできない状態になってしまいます。A→Bの登記請求権は、Bが持つ権利です。それをC(債権者)が、B(債務者)のもつAへの所有権移転請求権を代位行使するができます。


2.代位登記ができる要件

 民法の規定では、「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるとき」とあります。上記事例ですと、CはBに請求はできますが、Bの持つ請求権は直接行使できません。こうなると、CはBに対する請求権(被保全債権)を保全(履行してもらうようにすること)する必要がある訳です。この「請求権の保全」が、要件になります。


(いくつか事例を示します)


 ①賃借権について登記する旨の特約がない場合、被保全債権となるべき賃借権設定登記請求権を有しないため、所有権移転登記の代位はできない。


 ➁表題部所有者A、Aの債権者(当該不動産を買った人)Bがいる場合、BはAに代位して、Aの所有権保存登記を代位できる。被保全債権はBからAへの所有権移転登記請求権。


などが挙げられます。

3.実際の申請書記載

 (事例1)の申請書


登記の目的  所有権移転登記


原   因  年月日売買(A→Bの売買が発生した年月日)


権 利 者  (被代位者)B


代 位 者  C


代位原因   年月日売買の所有権移転登記請求権


義 務 者  A


添付情報   登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報


       代位原因証明情報 代理権限証明情報


となります。通常の申請書と異なる部分は、「被代位者・代位者」「代位原因」の記載と、添付書類に、「代位原因証明情報」があることです。事例のような売買の場合は契約書などがこれに当たります。


 この「代位原因証明情報」を添付しなくてもいいときがあります。


 それが、すでに登記簿上にある抵当権の抵当権者が請求権を代位行使する場合です。この場合でも、添付情報欄に「代位原因証明情報は、年月日受付〇号をもって本物件に抵当権設定登記済につき添付省略」の記載は必要です。


4.まとめ

 今回は、代位による登記のお話をしてきました。代位するには、要件が必要です。その要件は、「債権者は、自己の債権を保全するため必要があるとき」です。迷惑をかけられて登記ができない方の請求権を保全するために必要であるならば、代位による登記も可能となります。


 前に、離婚調停書正本(確定証明書付)を添付して、所有権移転登記を単独で申請する場合をご紹介しました。その際に、名義人の住所が変更になっているときも、住所変更登記を代位によりすることが可能です。ただし、登記原因証明情報(住民票)の添付は必要となります。


 代位の要件を充たしているかどうかにつきましては、専門家にご相談ください。

遺産となる財産が少なくても遺言書を作る意味

遺産となる財産が少なくても遺言書を作る意味

相続相談に来訪される方で、すでに遺言書作成する目的を明確に持っている方もいらっしゃいますし、相談内容に付随する形で、「遺言書の作成」を勧めても、「うちは財産少ないし、関係ないよ」とおっしゃる方もいます。

しかし、財産が少なくても遺言書を作らないという選択肢を選ぶということは、本当に正解なのでしょうか。


目次


1.遺言書作成の目的

2.財産が少ない方でも遺言書を作成する意義

3.まとめ

遺産となる財産が少なくても遺言書を作る意味

1.遺言書作成の目的


遺言書を作成しようとされる方には、何らかの目的があります。

例えば、相続発生後の遺産分割方法を指定することで、相続人間の争いごとを抑制したいと思って作る方もいらっしゃいます。

事業をしている方の場合は、個人資産が会社の財産と密接に関係あるような場合には、「事業継続」を視野に遺言書を作成するでしょう。

また、再婚歴のある方であれば、再婚後の家族と再婚前の相続人との間で遺産分割協議をする負担を軽減するために、作成されると思います。(遺言執行者により、遺言の内容は、すべての相続人に知らせなければならないため、その後の反応はわかりませんが、少なくとも遺産の帰属先は指定できるわけです。)


このように、遺言書を作成する目的を明確に持たれている方だけが、遺言書を作成することでいいのでしょうか?


遺産となる財産が少なくても遺言書を作る意味

2.財産が少ない方でも遺言書を作成する意義


財産が少ない方の場合でも、目的がはっきりしていれば遺言書作成をしている方は多いと思います。

しかし、遺言書作成の目的がない様なら、果たして作成しなくても問題はないのでしょうか?

そこで、財産が少なく、目的が現状ない方向けに、作成しないことで起こりうる問題点をお話したいと思います。


 


①財産別の遺産分割調停・審判の統計データ

(令和2年度家庭裁判所 遺産分割事件件数統計)


ご覧のように、財産が多い方は、専門家に相談の上、生前に相続対策される一環で遺言書を作成している場合が多いため、遺産分割調停・審判事件の割合が低いことが分かります。

一方で、1000万円以下の相続財産でもめるケースが多いことが見て取れます。

財産が少ないことは、遺言書を作成しない理由とはならないことがわかると思います。


➁未来のことは誰にも予測はできません


現状、家族関係が良くても、将来、どのようになるのかはわかりません

親の目線からの関係と、現状の子供間の実際の関係は見えていない可能性もあります。

人というのは、意外と細かいことを根に持っている場合があります。

「子供の時から、親父は弟ばかりひいきしてきた。」と、亡くなった後に吐露し始める方を見ました。ご存命の間は、本当の心情を隠されているかもしれません。

それでは、遺言書を書いたから、すべてうまくいくかというとそうではありません。

上記のような例ですと、子供時代から蓄積された感情がありますので、難しいと思いますが、少なくとも相続時点での財産の帰属先は決まります。

「遺留分」の問題にも発展する可能性がありますが、遺留分で主張できるのは法定相続分の2分の1です(例外もあります)。


(財産が少なくはないですが、事業継続にも影響します)

京都の老舗の造り酒屋さんで、相続が発生し、建物や工場は法人名義でしたが、敷地は父親の個人名義でした。

弟が継承することに反対だった兄が、遺産分割調停を申し立て、遺産分割審判までもつれ、結局半分ずつの持分で兄・弟で登記しました。

その後、兄は共有物分割請求をしましたが、現金がなかった弟は代償分割ができず、結局建物工場を解体して、敷地を第三者に売却して、換価分割を選択しました。

当然、事業は継続できなくなり、法人は解散となってしまいました。


この事例は、遺言書があってもだめだった可能性がありますが、遺留分が半分で済みことを考えると、もしかしたら、何とかなった可能性もあったのでは?と思ってしまいます。


3.まとめ


まとめると、財産の額にかかわらず、遺言書を書いておくメリットはあります。

できれば、早い段階で一つ作り上げ、その後の状況で内容を変更することはできます。

公正証書遺言では、費用が掛かるというのであれば、自筆で作成を続け、ある程度納得いく時期に来た時に、公正証書遺言を作成することで、費用は抑えることができます。


亡くなった後の家族関係を円満に保つためにも遺言書の作成をお勧めいたします。


成年後見制度の落とし穴

成年後見制度の落とし穴

認知症になった後の財産管理制度として、「成年後見制度」があります。

現在、成年後見制度をより使いやすい制度にすべく見直しを行っている最中ですが、家族を成年後見人にしたことで事件が発生しております。成年後見制度の成年後見人は、実質、本人に代わって解散管理をはじめ様々な権限が与えられます。専門家を指定した場合、報酬が発生するため、家族を成年後見人に指定して申請する方も多いかと思います。

今回はこの事件について解説したいと思います。


目次

1.事件の概要

2.問題が引き起こす連鎖反応

3.まとめ

成年後見制度の落とし穴

1.事件の概要


(令和6年2月27日テレビ静岡記事引用)


「成年後見人の立場を悪用して、認知症の母親の口座から現金 約890万円を引き出したとして42歳の派遣社員の男が逮捕されました。

業務上横領容疑で逮捕されたのは千葉県市川市に住む契約社員の男(42)で、認知症になった実の母親の成年後見人に選任されていた2020年7月から2021年11月までの間、自らが使用する目的で母親の口座から40回以上にわたって現金 計890万円を引き出した疑いです。

警察によると、男は累計の出金額が多額だったため2021年11月に成年後見人を解任されていて、その後、後見人に選任された弁護士が刑事告訴していました。

男は容疑を認めていて、警察が犯行の動機や金の使い道などを調べています。」(記事引用終わり)


記事を見る限り、成年後見人に選任された家族が、被成年後見人(本人)の口座の管理を任されているのも関わらず、自分で使用する目的で預金を使い込んだというものです。


2.問題が引き起こす連鎖反応


以前、他士業の方から、成年後見の申し出を出してほしいとの話をいただきましたが、断った経緯があります。

その理由として、成年後見人として指定者されていたのが、家族だったからです。

財産は比較的少ない方だったのですが、リーガル登録(成年後見人としての講習を受け、登録をしている)されている司法書士の先生にお願いするようにアドバイスしました。

財産の多い少ないの問題でなく、専門家でない成年後見人が選任された場合には、上記のようなことが発生しうるからです。ただし、成年後見人を選任するのは、あくまで家庭裁判所であり、指定していたからと言ってその方が選任されるわけではありません。その場合には、指定されていた家族からクレームの電話が来ます。決定内容に不服があれば、当然控訴なども考えられますが、この家庭裁判所の判断については、控訴等は受け付けてくれません。対象外になっているためです。


逆に、このようにクレームの電話が来るケースについては、「よからぬことを考えていたのでは?」と勘ぐってしまいます。

このように使い込みが発生した場合、家族であっても刑事事件として告訴されます。

そして、他に相続人がいた場合、問題はこれだけでは収まりません。

将来発生する相続で得られるはずだった財産について、民事訴訟を起こされる可能性もあります。こうなると家族間の関係は、修復不可能になるでしょう。


成年後見制度の落とし穴

3.まとめ


財産を管理する成年後見人は、報酬を支払ってでも専門家にするのか、それとも家族にすればいいのかという問題は付きまといます。

ただし、家族が鳴った場合でも、家庭裁判所で選任した後見監督人が選任される場合がありますので、結局報酬が発生する可能性もあります。

このような事件の発生を抑止する意味でも、専門家にお願いしたほうがいいのではと考えてしまいます。

一方で、財産管理の手法で、家族と専門家の成年後見人との間で意見の違いが発生する場合もあります。


いずれにしても、成年後見制度を利用する場合には、家族で話し合い、家族の中から指定者を選ぶ場合にも、慎重に判断すべきだと思います。


(ニュース)日本司法書士会連合会と日本郵便株式会社との「終活に関する広報等の連携に関する協定書」締結

(ニュース)日本司法書士会連合会と日本郵便株式会社との「終活に関する広報等の連携に関する協定書」締結

令和6年2月7日に日本郵便株式会社と「終活に関する広報等の連携に関する協定書」締結式を開催しました。

日本郵便株式会社では、「終活サポート」の窓口としてサービス提供をしています。過去に、どのような団体・法人・会社と協定しているのか少し調べてみました。


目次

1.日本郵便株式会社の提供する「終活日和」とは

2.実は知ってました

3.日本郵便株式会社が過去に協定を結んでいた先(調査)

4.まとめ


(ニュース)日本司法書士会連合会と日本郵便株式会社との「終活に関する広報等の連携に関する協定書」締結

1.日本郵便株式会社の提供する「終活日和」とは

2024年2月19日Impress Watchのニュース記事引用


郵便局で「郵便局の終活日和」提供開始

日本郵便は、全国の郵便局で顧客の終活をサポートするサービス「郵便局の終活日和」を2月16日から開始する。相談料は無料。

専用のコールセンター「生活相談ダイヤル」で顧客の相談に乗り、内容に応じて、終活関連の提携企業を紹介するサービス。'18年度から北海道と首都圏において試行された「終活紹介サービス」が好評だったことから、全国の郵便局で提供を開始する。

コールセンターに直接電話をかけることのほか、郵便局の社員がコールセンターへの電話をサポートすることもできる。

提携企業を紹介できるサービスは、相続手続の代行、介護施設や賃貸住宅へ入居時の身元保証、死後事務委任、葬儀場の案内、墓石等の紹介、介護施設の案内、入院後等の家財整理、空き家の解体など。自分史作成や思い出写真撮影サービスも紹介可能。

提携企業を紹介後、相談と見積りまでは無料。サービス提供は有料。」(引用終わり)

このサービスの一環として、日本司法書士会連合会との協定締結があったものと思われます。


2.実は知ってました


昨年の8月、協力先の先生が東京に行ったときに、北海道と東京で実施していた「終活紹介サービス」が全国展開する話を聞いてきました。そこで、地元郵便局に確認したのですが、まだサービス提供前なので、何とも言えないと回答されていました。

営業先のチャンネルの一つになればいいなとは思っていましたので、その後の情報については、アンテナを張っていました。

先日、その郵便局を訪れたときに、いよいよ具体的に動き出している話を聞いて、その内容やパンフレットをいただいてきたところでした。

(ニュース)日本司法書士会連合会と日本郵便株式会社との「終活に関する広報等の連携に関する協定書」締結

3.日本郵便株式会社が過去に協定を結んでいた先(調査)


上記記事に「'18年度から北海道と首都圏において試行された「終活紹介サービス」」という点で、その時の提携先が気になり調べてみました。


2018年9月20日@Press記事引用

「日本郵便株式会社との連携による終活紹介サービスの 試行開始に関するお知らせ

不動産取引にかかる事務効率化を推進する株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:本間英明、東証一部(証券コード:6093)、以下 EAJ)の子会社である株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン信託(東京都千代田区、代表取締役 今中 弘明/以下「EAJ信託」)と日本ATM株式会社(東京都港区、代表取締役社長 中野 裕/以下「ATMJ」)は、2018年10月10日より、日本郵便株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 横山 邦男/以下「日本郵便」)及び株式会社鎌倉新書(東京都中央区、代表取締役社長 相木 孝仁/以下「鎌倉新書」)と連携し、終活紹介サービスの試行を開始することをお知らせいたします。」(引用終わり)


以前の記事にも書きましたが、令和2年に東京司法書士会が日本司法書士会連合会に照会を出して問題となった会社が含まれていました。

なぜ問題になったのかと言いますと、当該会社は、日本郵便株式会社から預かった案件を個々の司法書士に会員として登録させて登録料を徴取し、登録した司法書士に案件を紹介していたからです。

これ、司法書士法の「不当誘致」で、問題となります。

その後、鎌倉新書をはじめとするWEB公告集客系の営業がありましたが、鎌倉新書の「いい相続」が、案件紹介の司法書士対象のサービスを停止していました。

令和4年に開業した後の話ですので、繋がりましたね。

この事件の後のWEB案件紹介は、「ポータルサイトに登録し、見た方が連絡先に電話等する方式」に様変わりしています。直接の顧客の紹介はまずいですからね。


4.まとめ


今回は、令和6年2月7日に日本司法書士会連合会と日本郵便株式会社との間で「終活に関する広報等の連携に関する協定書」締結したことを取り上げました。

その中で、2018年から日本郵便株式会社が提供する「終活紹介サポート」から、東京司法書士会で懲戒事案にもなった事件の全貌を知ることができました。

今後の、司法書士と郵便局との連携についても具体的に知りたいですね。

「遺産分割協議後に遺言書発見!どうすればいいのか?」

「遺産分割協議後に遺言書発見!どうすればいいのか?」

遺産分割協議をした後に遺言書を発見した場合、どうすればいいのでしょうか?「見なかったことにする」で済むのでしょうか?わかりやすく解説したいと思います。


目次

1.遺言書の効力

2.遺産分割協議後、遺言書が発見された場合

3.家庭裁判所で行う検認とは

4.遺言執行者とは

5.まとめ

1.遺言書の効力


遺言では「相続方法」を指定することができます。法定相続分以外の割合で遺産を分け与えたり、特定の遺産を特定の相続人や相続人以外の人へ受け継がせたりすること(遺贈)が可能になります。法律では「遺言によって指定された相続方法は法定相続に優先する」と規定されているためです。


「(遺言による相続分の指定)


民法 第九百二条 被相続人は、前二条の規定(法定相続・代襲相続について)にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。」


 つまり、遺言があると、法定相続分を超える相続や下回る相続も有効となります。遺言書を使うと、以下のような事項を指定できます。


①相続分の指定、➁遺産分割方法の指定、③遺贈、④寄付、➄遺産分割の禁止(5年以内)、⑥認知、⑦相続人の廃除、⑧保険金受取人の変更、⑨遺言執行者・遺言執行者を指定する人の指定。


 逆に、民法で定められている項目以外の事項を遺言書に書いても効力はありません。

2.遺産分割協議後、遺言書が発見された場合

法定相続した遺産を協議で帰属先を定めるのが、遺産分割協議です。この協議は、法定相続人全員の参加が要件です。しかし、協議の後に相続人お一人が遺言書を発見した場合、どうなるのでしょうか?


 もし、未開封の遺言書を相続人の一人が発見した場合、「見なかったことにする。」のはやめてください。民法で定められている相続人の「欠格」事由に該当する可能性があります。


 まずは、相続人全員に連絡をして、家庭裁判所での「検認」の手続きをしてください。


3.家庭裁判所で行う検認とは

「「検認」とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして,遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。 遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。」(裁判所HP引用)


 つまり、検認手続きでは、遺言の有効無効を判断するものではなく、遺言書の現状を公的機関で保管する手続きです。封がされている遺言書の場合、未開封のまま、家庭裁判所に持ち込んでください。家庭裁判所で開封された遺言書は、すぐにコピーがとられ裁判所で保管します。仮に開封したとしても、検認手続きはできますが、「過料」が発生しますのでご注意を。


4.遺言執行者とは 

 遺言執行者とは、遺言内容を実現する役割を負う人です。遺言者が遺言で指示したことが実現するように、財産目録の作成や預貯金の払い戻し、相続人への分配、不動産の名義変更、寄付などを行います。遺言執行者は民法で「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言執行に必要な一切の行為をする権限」が認められています。(民法1012条)


 遺言執行者は、遺言者が遺言内容に指定することもできますし、


 遺言執行者に弁護士や司法書士などの専門家を指定する場合もありますが、遺言執行者は、遺言者の遺言内容を実現するために相続人に代わって行うために、代理人ではなく本人という立場で執行することになります。2019年の法改正により、遺言執行者は単独で不動産の名義変更できるようになりました。


5.まとめ

 遺産分割協議と遺言書では、遺言書の効力の方が優先されます。そのため、相続人全員で遺産分割協議をした後に、相続人の一人が遺言書を発見した場合、速やかに相続人全員に連絡をして、家庭裁判所で検認の手続きを受けなければなりません。


 遺言内容を執行するには、遺言執行者が必要です。遺言執行者は、遺言書の指定があればその方、その方がすでに亡くなっていたり指定されていない場合には、遺言執行者の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。


令和6年2月21日「成年後見制度見直し」有識者らの研究会が報告案まとめる

令和6年2月21日「成年後見制度見直し」有識者らの研究会が報告案まとめる

認知症になった方の財産を管理するための「成年後見制度」ですが、現行の制度では問題点もあるため、改正の動きが出ているようです。

随分前から「スポット後見」などの要望があり、これらを現行制度に取り入れようとする話は聞いたことがあったのですが、動きがあったみたいです。


目次


1.成年後見制度(法定後見制度)とは

2.成年後見制度の何が問題なのか

3.令和6年1月法務省「成年後見制度の見直しに向けた検討」内容

4.まとめ

令和6年2月21日「成年後見制度見直し」有識者らの研究会が報告案まとめる

1.成年後見制度(法定後見制度)とは


「認知症、知的障害、精神障害などの理由で、ひとりで決めることが心配な方々は、財産管理(不動産や預貯金などの管理、遺産分割協議などの相続手続など)や身上保護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結、履行状況の確認など)などの法律行為をひとりで行うのがむずかしい場合があります。

また、自分に不利益な契約であることがよくわからないままに契約を結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれもあります。

このような、ひとりで決めることに不安のある方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、共に考え、地域全体で明るい未来を築いていく。それが成年後見制度です。」(厚生労働省HP引用)


2.成年後見制度の何が問題なのか


 包括的な問題として、多様性がうたわれている現状で、認知症発症後の制度が、「現行の成年後見制度」一択という状況になっていて、その成年後見制度が使いにくいものであることが挙げられます。どのような点が使いにくいのかというと、


①利用動機の課題

例えば、遺産分割協議に参加するために成年後見制度を利用した場合、遺産分割協議が終わっても、亡くなるまで成年後見人が就いた状態になってしまい、弁護士・司法書士が就任している場合、その分の報酬が発生してしまう点。

➁成年後見人の包括的な取消権・代理権

成年後見人(財産の処分等には、家庭裁判所の許可が必要)のこれらの権限により、本人の意思を必要以上に制限してしまうことがある点。


他にも、問題点が挙げられていましたが、主には上記の2点が、成年後見制度が使い辛い原因になっていると思います。

特に、①に関しては、遺産分割協議のためだけに親族を候補者として申請しても、成年後見人を選任する権限は家庭裁判所にあるため、専門家である弁護士・司法書士が選任される場合もあります。そうすると、報酬が亡くなるまで発生しますし、制度趣旨が「本人の財産の保護」ですので、ご家族の意向にマッチしないことも発生する可能性があります。

令和6年2月21日「成年後見制度見直し」有識者らの研究会が報告案まとめる

3.令和6年1月法務省「成年後見制度の見直しに向けた検討」内容

(画像 法務省HP引用)


2①➁の内容を含めて、大きく4つの項目について(他に検討事項もあります)、書かれています。私的には「法定後見制度における開始、終了等に関するルールの在り方」に、注目をしています。

他にも、私の老人ホームの施設長だったころの経験から、認知症と言っても、その症状は様々です。

軽度の者から重度のものまで様々です。かなり進んでいても、日によっては正常に戻る時があったりします。

おそらくこういった内容も含まれて来るとは思います。


4.まとめ


実務において、遺産分割協議の際に相続人の中に認知症の方がいた場合、成年後見制度を申請するかどうかで悩まれる方を数多く見てきました。

その原因というのが、今回の「主な検討テーマ」に含まれる内容です。今回の制度改正で、より使える成年後見制度になってほしいと思います。


令和6年3月1日より、戸籍の「広域制度」が始まりました。

令和6年3月1日より、戸籍の「広域制度」が始まりました。

従来は本籍地の市区町村でしか戸籍謄本等を取得できませんでしたが、広域交付制度の導入により、本籍地以外の市区町村でも戸籍謄本等を取得できるようになっています。広域制度について解説したいと思います。


目次

1.広域制度とは

2.広域制度を利用できる対象者

3.弁護士、司法書士などの「職務上請求」は広域制度で使えるか?

4.まとめ 

1.広域制度とは

 広域交付制度とは、本籍地以外の市区町村の窓口において、戸籍証明書や除籍証明書を請求できる制度です。事例として、高松市役所で、徳島市役所に本籍地のある戸籍を取得できるという制度です。


 2024年3月1日以降、改正戸籍法の施行によって新たに広域交付制度が導入されます(改正戸籍法120条の2、120条の3)。


 これが実現できた背景として、以前から法務省一元管理化に向けた取り組みをしており、各自治体の戸籍のデータを法務省でデータベース化することにより、各自治体から法務省データベースにアクセスすることにより、本籍地以外の自治体の窓口でも、戸籍を取得できるようになりました。


 データ化された戸籍を取り扱うことから、データ化されていない戸籍に関しましては、広域制度の対象外となります。広域制度で取り扱うことのできる文書は、戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本が対象となります。


2.広域制度を利用できる対象者

 広域交付制度を利用して戸籍謄本類を請求できるのは、以下のいずれかに該当する人です。


 ①本人


 ➁配偶者


 ③直系尊属(父母、祖父母など)


 ④直系卑属(子、孫など)


 なお、広域交付制度を利用した請求は、代理人によって行うことは認められていません。上記のいずれかに該当する人が、必ずご自身が市区町村役場の窓口に行って手続きを行う必要があります。


3.弁護士、司法書士などの「職務上請求」は広域制度で使えるか?

 「2.広域制度を利用できる対象者」として、司法書士、弁護士等は含まれておりません。つまり、弁護士や司法書士などに認められている「職務上請求」については、広域交付制度の利用は認められていません。そのため、相続人の調査などをご依頼される場合の弁護士、司法書士等による職務上請求は、通常の戸籍請求手続となり、本籍地が最寄りの市町村役場に無い場合には、郵送請求となります。


4.まとめ 

 相続が発生した場合、被相続人の戸籍等の文書が、すべてデータ化されている場合には、この広域制度で、最寄りの市町村役場で相続に必要な戸籍類を取得することが可能です。この点ではめりとは大きいと考えます。


 しかし、一部データ化できていない戸籍類がある場合には、通常の取得方法になります。ご本人で取得する場合及び、弁護士、司法書士等に依頼する場合には、郵送による手続きで取得することになります。


 詳しくは、最寄りの市町村役場の窓口、又は専門家にお問い合わせください。

生前贈与(権利証・登記識別情報を紛失した場合の手続き)

生前贈与(権利証・登記識別情報を紛失した場合の手続き)

相続とは異なり、生前贈与は売買同様に、添付書類として、「権利証又は登記識別情報」の提出を求められます。

このような場合、どのように手続きを進めていけばいいのでしょうか。解説していきたいと思います。


目次

1.権利証・登記識別情報の添付

2.権利証・登記識別情報を紛失した場合

3.手続き①事前通知

4.手続き➁本人確認

5.手続き③公証人の認証制度

6.まとめ

生前贈与(権利証・登記識別情報を紛失した場合の手続き)

1.権利証・登記識別情報の添付


相続では、登記簿上の名義人は、すでに亡くなっているため、当事者として手続きに参加できません。そして、相続は一般承継と呼ばれ、その権利等を相続人が全て承継するとされていますので、登記簿上の名義人の特定の資料を就ければ問題なく申請は受理されます。

しかし、生前贈与の場合、登記簿上の名義人の方は、存命です。

ですので、手続きの参加が必要になる点は、売買と同じです。つまり、登記簿上の名義人の方は、自身の意思表示(贈与すること)を証明するために、自身が保管している「権利証又は登記識別情報」及び「印鑑証明書」の提出を求められます。

司法書士が作成する委任状や登記原因証明情報への実印での押印も必要です。


2.権利証・登記識別情報を紛失した場合


 それでは、添付書類として「権利証又は登記識別情報」を紛失してしまった場合、生前贈与の申請はできなくなってしまうのでしょうか?


生前贈与(権利証・登記識別情報を紛失した場合の手続き)

3.手続き①事前通知


法務局から登記申請人に対し直接「登記申請についての意思確認の照会」を行う制度です。

権利証を添付せずに登記申請を行うと、数日後、法務局から売主である登記義務者に対して登記申請についての本人の意思を確認するための書面が郵送で通知されます。

法務局からの通知を受けた登記義務者は、一定期間内に「登記申請の内容について間違いのない旨の申出」を行う必要があります。(本当に贈与をしたかどうかの確認)

具体的には、法務局から送られてくる事前通知書に「この登記申請の内容は真実です」という回答欄がありますので、署名および実印で捺印をし法務局へ持参または郵送で送り返します。

指定の期間(後述)までに書類が法務局に到着することで、権利証がなくても不動産の売却手続き(受贈者への名義書換)を行うことが可能になります。

ちなみに、申出期間は、法務局が通知を発送した日から二週間以内と定められており、この期間内に法務局に登記義務者から申出がなければ、登記申請自体が却下されるか、または登記申請を取下することになりますので、指定の期日までに法務局へ返信が届くよう注意が必要です。

※親族間での贈与や抵当権抹消といった緊急性をあまり必要としない登記申請に、適しています。


4.手続き➁本人確認


登記の申請代理人である司法書士(資格者代理人)がご本人様と直接面談し、本人のパスポートや運転免許証等の身分証明書の提示を受けて本人であることを確認して、司法書士がその責任において本人確認をしたことを明らかにした上で、その内容を本人確認情報という書類を作成して、法務局に提供するというものです。

その本人確認情報が適正であれば、条件によっては事前通知を省略して登記が実行されます。

ただし、あくまで「登記を代理して申請する司法書士等」が本人確認をしなければなりませんので,本人確認だけを知り合いの司法書士等に依頼し,登記だけは別の司法書士に依頼するということはできません。

この司法書士による本人確認をすれば,前住所通知等様々な手間が省けるため,権利証を紛失している場合に一番多く使われている方法です。


※前住所通知は、前の所有権移転から3か月以内に再度所有権移転が発生した場合に実施されます。

※費用は別途発生します。ですので、金融機関から融資を受けての売買においては、よく使われる手続です。


5.手続き③公証人の認証制度


公証人の面前で、司法書士に対する登記申請委任状等にご署名・ご捺印いただき、公証人が間違いなく本人であることを確認し、その書類が真正なものであることの認証を受ける手続です。

公証人による認証を受けた登記委任状を添付し、法務局に登記申請を行います。

こちらの手続きは、数千円程度の認証手数料を支払うだけで済みますので、本人確認情報を作成する費用を抑えることができます。

ただし、公証人による本人確認は,印鑑証明書、ご実印,運転免許証等の身分証及び認証文を付ける委任状を持って、公証役場が空いている時間(平日)に公証役場へ直接行っていただく必要がございます。


6.まとめ


「権利証又は登記識別情報」を紛失しても、所有権移転登記(名義変更)はできます。

しかし、特に本人確認の手続きについてですが、他の手続きと異なり、公証役場や法務局が関与しません。

登記を任された司法書士が行うため、「地面士」による不正に用いられることがありますので、「本人であることが確認」できるまでは、登記の実行は致しません。

場合によっては、手続き自体もう一度やり直すこともあります。

そして、明らかに本人が確認できる場合を除き、事前に登記簿上の住所に訪問し、本人確認を行いますので、費用はそれなりにかかります。


アイリスでは、生前贈与などの相続対策のご相談をお待ちしております。


離婚等に伴う財産分与について(不動産名義変更とその他の手続き)

離婚等に伴う財産分与について(不動産名義変更とその他の手続き)

離婚又は婚姻の取り消しにより、一方が財産の分与を請求した時に、その財産の中に不動産が含まれる場合、「財産分与」を原因とする所有権移転登記(名義変更手続き)がされます。今回は、この「財産分与」について解説していきます。


目次

1.財産分与とは

2.財産分与に関する先例

3.離婚手続きの違いによる添付書類と原因日付

4.住宅ローン債務者の変更について(重要)

5.まとめ

1.財産分与とは

財産分与(ざいさんぶんよ)とは、法律上の用語であり、通常は離婚などの場面で使われます。これは、共有されている財産を分割することを指します。具体的には、配偶者間での財産分与は、離婚の際に共有財産を公平に分割することを指します。


財産分与は、公正な取り扱いを確保し、関係者間の紛争を最小限に抑えるための重要な手続きです。裁判所の判断に基づいて行われることもありますが、関係者間で協議によって行われることもあります。


 財産分与に関する財産の中に不動産がある場合、当該不動産の名義の変更手続きが必要となります。


2.財産分与に関する先例

 離婚又は婚姻の取り消しをした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができます。(民法749条、768条、771条)


 分与される財産に不動産が含まれる場合、「財産分与」を登記原因とする所有権移転登記ができる場合があります。


※登記原因とは、「売買」「贈与」「相続」といった、権利移転が発生した原因のことを指し、申請書類に記載する事項です。


 内縁解消をし、「被告は原告に対しA不動産につき、年月日財産分与を原因として所有権移転登記手続きをせよ」との判決製本を添付して所有権移転登記を申請する場合、登記原因を「財産分与」とすることができる。(先例 昭47.10.20民三559号)


※本来、「内縁解消」は対象ではなところ、判決文に記載されている内容が財産分与である場合には、財産分与を登記原因として使ってもよいという先例です。




有責配偶者が相手方に財産分与とは別に慰謝料として不動産を給付する場合の所有権移転登記の登記原因は、「代物弁済」である。(登研531号)


※財産分与とは、婚姻している期間に夫婦共同で作り上げた財産を分与することを言います。一方、離婚の慰謝料は、離婚に伴う精神的苦痛や損害の補償を目的として支払われる金銭です。支払う側が債務者となり、受け取る側が債権者となります。つまり、お金の貸し借りに似ていますよね。で、その債務を不動産というもので支払うということで、代物弁済という原因になります。


 この辺りの詳しい話は、必ず専門家にご相談ください。知り合いの法律に詳しい人では、誤った判断をするかもしれません。


3.離婚手続きの違いによる添付書類と原因日付

 まずは、司法書士に依頼する場合の添付書類から、各離婚の手続きの違いごとに必要書類をまとめていきます。


 ①協議離婚の場合


 (財産を分与する側)


  ㋐不動産の登記済権利証(または、登記識別情報通知)


  ㋑印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)


  ㋒印鑑(実印)


  ㋓固定資産評価証明書(紛失されている場合には、固定資産税評価証明書でも可)


  ㋔離婚の記載のある戸籍謄本


  ※財産分与する方の登記簿上の住所(氏名)が、印鑑証明書の住所(氏名)と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所(氏名)変更の登記が必要です。その際は、住所変更の経緯が分かる住民票(戸籍附票)、氏名変更が分かる戸籍謄本などが必要です。


 (財産を受ける側)


  ㋐住民票


  ㋑印鑑(認め印)


上記の他に、登記原因証明情報、および司法書士への委任状(権利者、義務者の双方)が必要ですが、どちらも司法書士が作成したものに署名押印をいただくのが通常です。


 もらう側も受け取る側も、名義変更に参加するため「共同申請」となります。


 ➁調停、審判、訴訟など裁判上の離婚の場合


 こちらは、裁判所の手続きにより決まるのですが、「単独申請(もらう側のみで登記手続きができる)」でできる場合と、協議離婚の場合のように「共同申請」でする場合とがあります。


 ポイントは、調停調書等に「申立人は、相手方に対し、離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録記載の不動産を譲渡することとし、本日付け財産分与を原因とする所有権移転登記手続きをする」というような記載がある場合には、「単独申請」でできます。理由としては、調停調書等の文言に分与する側の意思擬制が働くためです。


 しかし、この文言に「申立人と相手方は協力して所有権移転登記をする」というような記載の場合には単独申請ができず、協議離婚と同じ「共同申請」になってしまいます。文言に2人で手続きをしなさいと書いているためです。


  共同申請の場合には、協議離婚と同じ添付書類に加え、判決書正本(確定証明付)、調停調書(確定証明付) 、審判書(確定証明付) も必要です。


 (単独申請の場合の添付書類)財産を受け取る側だけのものになります。


  ㋐登記原因証明情報(調停調書、審判書、和解調書など)


  ㋑住民票


  ㋒認め印


  ㋓固定資産評価証明書(紛失されている場合には、固定資産税評価証明書でも可)


  ㋔離婚の記載のある戸籍謄本


  ※財産分与する方の登記簿上の住所が、調停調書記載の現住所と異なる場合、財産分与による所有権移転登記に先立ち、所有権登記名義人住所変更の登記が必要ですが、この住所変更の登記についても、分与する方の協力を得ずにおこなうことができます(代位による登記)。


4.住宅ローン債務者の変更について(重要)


 住宅ローンが残っている不動産を財産分与する場合、財産分与による所有権移転登記をしても、住宅ローンの債務者は変更されません。


 たとえば、夫が所有者で、かつ住宅ローン債務者である不動産を妻に財産分与し、それに伴う所有権移転登記をしたとします。この場合、所有者は妻となりますが、住宅ローン債務者は夫のままです。もしも、債務者の変更をするならば、借入先(銀行等)の承諾を得る必要がありますが、なかなか難しい場合も多いでしょう。


※債権者の承諾を得ていなくても、財産分与による所有権移転登記をしてしまうことは可能です。しかし、借入先に無断で名義変更をするのは、住宅ローン契約に違反する可能性が高いため注意が必要です。必ず、ローンの融資先の金融機関と話し合って決めるようにしてください。また、そこでは保証人の方も考慮する必要性が出てくるかもしれません。


4.まとめ

今回は「財産分与」による不動産の名義変更手続きと、融資を受けた住宅ローンの手続きについてお話をしてきました。離婚は当人同士の協議、調停・審判、裁判で片が付きます。特に協議書による場合には、今後の養育費等の取り決めをより実行してもらうために、「公正証書」によることをお勧めしております。


 不動産の所有権の名義の変更は、上記の書類があればできるのですが、当該不動産についている住宅ローンの債権を担保している抵当権の変更まで考慮する必要があります。


 財産分与による所有権移転の手続きをする前に、まずは、融資先の金融機関の担当者に相談をしてください。


 また、所有権の名義変更をする際に、現名義人の方がすでに別居されていて住所が異なる場合や、氏名が変更になっている場合には、所有権移転登記の前に、名義人の氏名・住所の変更登記が必要になります。


 詳しくは、専門家にご相談ください。


デジタル遺言制度が一歩前進

デジタル遺言制度が一歩前進

先日、「デジタル遺言制度」について、毎日新聞記事「遺言状もデジタルで 全文手書きの見直しを法制審に諮問へ」という記事を見つけましたのでご紹介いたします。


目次


1.デジタル遺言制度とは(令和6年2月13日 毎日新聞記事引用)

2.デジタル遺言で最も重要な点

3.まとめ

デジタル遺言制度が一歩前進

1.デジタル遺言制度とは(令和6年2月13日 毎日新聞記事引用)


「小泉龍司法相は13日の閣議後記者会見で、デジタル技術を活用して本人が遺言を作成できるようにする民法の見直しについて、15日に法制審議会(法相の諮問機関)に諮問すると明らかにした。現行は、遺言の全文を自書する必要があるが、デジタル化によって負担を軽減し、相続トラブルの防止につなげる狙い。小泉法相は「国民にとってより利用しやすいものにする必要がある」と述べた。

民法は、本人が遺言を作成する「自筆証書遺言」の場合、自ら全文と日付、氏名を手書きし、押印しなければならないと定める。

財産目録については2018年の民法改正で、パソコンでの作成・添付が認められたが、本文は対象とされていない。本人の真意に基づくことを担保するためだが、本文の全文手書きは作成時の負担が大きいとの指摘があった。

法制審では、パソコンをはじめとするデジタル機器を使った遺言書の作成方式が検討される。手書きと違って本人が書いた遺言と確認しづらくなるため、電子署名を活用したり、入力する様子を録音・録画したりする案も取り上げられる見込み。押印する必要性の検証やデジタル機器を使える範囲も議論されるとみられる。」(引用終わり)


今回の諮問で、具体的な案が浮上するかもしれませんね。


以前の日経新聞では、「法務省が年内に有識者らで構成する研究会を立ち上げ、2024年3月を目標に新制度の方向性を提言する。法相の諮問機関である法制審議会の議論を経て民法などの法改正をめざす。」(令和5年5月5日 日経新聞)」とありましたが、2024年3月って、法改正や制度の構築を考えると時間的に間に合いそうにはないですね。

デジタル遺言制度が一歩前進

2.デジタル遺言で最も重要な点


①フォーマットに沿って入力するので、形式的な理由で無効になることがない。

すでに、いろいろなサービスでフォームへの入力方式をとられていますが、今回のデジタル遺言制度も同様にフォーマットが用意されており、そこに入力する形で作成するみたいですので、自筆証書遺言のように自分なりの文章で書いたためにその内容が効力を生じないとはなり辛いと思います。

全くないとは、現段階ではどのような仕組みを使ってするのかがわかりませんので、あえて全くないとは言い切れません。


➁紛失がなく、ブロックチェーン技術を使えば、改ざん防止も可能。

デジタル空間で一番気になるのが、なりすましや改ざんといった不正行為のチェック機能だと思います。

そこは、どうもブロックチェーン技術を使うみたいですね。

ブロックチェーン技術とは、デジタル通貨ですでに実績のあるの技術ですね。改ざんがないことや所有者本人であることの証明をするための技術になります。


この2つの中でも、本人の特定を技術的にどのようにするのかが、一番重要になってくると思います。

第三者が勝手に作成・変更できるようでは、制度そのものが崩壊しますからね。

デジタル遺言制度が一歩前進

3.まとめ


デジタル技術を使った、「紙」媒体の法制度をデジタル化する流れは、もう止められないでしょうね。

会社の設立に関しても、電子証明書を獲得して、これを使うことで、印鑑の登録がない会社も出てきています。

私の周りでは、すごく少ないですが、すでに法制度として確立されています。

また、戸籍の取得も、各自治体管理から法務省一括管理となります。

こうなることで、最寄りの自治体窓口で、管轄外の戸籍も取得できるようになります。

相続に関連する手続きを円滑にするための施策は、今後も出てくると思います。期待したいところです。


備忘録)独立行政法人 住宅金融支援機構の抵当権抹消について

備忘録)独立行政法人 住宅金融支援機構の抵当権抹消について

昨年、一度、地元の金融機関からの依頼で「独立行政法人 住宅金融支援機構」の抵当権抹消登記の依頼があったのですが、県外から当該記事を見て問い合わせがあり、前回の抵当権抹消と少し異なる内容でしたので記録しておきたいと思います。


目次

1.令和5年に受けた住宅金融支援機構の抵当権抹消

2.今回、問い合わせがあった住宅金融支援機構の抵当権抹消

3.まとめ

1.令和5年に受けた住宅金融支援機構の抵当権抹消

(前提の状況)


 もともと、地元金融機関が3分の2、住宅金融支援機構の融資が3分の1であり、それぞれ独立した抵当権が2つある状態でした。抵当権抹消の対象は、地元金融機関の抵当権と住宅金融支援機構の抵当権、2つの抹消依頼でした。


 当然ですが、「解除証書」「委任状」は、地元金融機関のものと住宅金融支援機構のものの2種類ありました。その中の住宅金融支援機構の依頼主である方のお名前の肩書が「代理人」となっており、住宅金融支援機構の理事長の名前とも異なる方でしたので、代表者の名前と代表理事の肩書を申請データに入れ申請したところ、補正が入り、肩書「代理人」、氏名は解除証書と委任状に記載のある名前を記載するように指導がありました。


2.今回、問い合わせがあった住宅金融支援機構の抵当権抹消

 今回県外からの問い合わせは、住宅金融支援機構が100%融資し、その窓口(取扱店)が地元の金融機関といった構成になっていました。令和5年に受けた抵当権抹消とは少し条件が異なっています。つまり、本来であれば、抵当権者である「住宅金融支援機構」からの「解除証書」「委任状」となるはずが、取扱店の地元金融機関の代表印しかない「解除証書」と「委任状」だったという内容でした。


 私が連絡を差し上げたときには、管轄法務局に連絡した後だったそうですが、やはり抵当権者である住宅金融支援機構の押印がある「解除証書」と「委任状」でなければだめということだったそうです.


3.まとめ

 それでは、令和5年に私が抹消する前の抵当権の登記簿の記載は、以下の通りでした。

そして、私が住宅金融支援機構から預かった「解除証書」と「委任状」にあった記載については、以下の通りでした。(画像)

しかし、今回問い合わせがあった住宅金融支援機構の登記簿の記載は、上記と全く同じでしたが、「解除証書」「委任状」の記載は以下の通りでした。(画像)

こ取扱店の金融機関は抵当権者ではないので、これでは、登記は受け付けてもらえません。


 画像の記載では、取扱店である信用金庫の解除の意思はしていますが、抵当権者である住宅金融支援機構の解除の意思は、押印がないため表示されていません。


 この点が前回の申請の書類と大きく異なる点です。


 このように、抵当権の抹消にも、権利者の解除の意思表示がなければ登記申請の書類としては不適切です。「解除証書」「委任状」に記載されている名称とその代表の氏名、そして名称の法人の印鑑の押印により、解除の意思表示を確認します。ですので、住宅金融支援機構の押印がなければ、法務局側では、解除の意思表示とは見ていただけませんので注意が必要です。

相続登記義務化のポイント

相続登記義務化のポイント

令和6年4月1日に始まる「相続登記義務化」、すでにご存じの方も多いと思うのですが、法務局や司法書士会が、様々な場所で無料相談会を実施しています。

アイリスでも、随時無料相談を受け付けております。

義務化の影響として、相談件数は増加してきております。相談の内容として、相続登記義務化のポイントをお話したいと思います。


目次

1.相続登記義務化

2.相続登記義務化の罰則

3.相続登記義務化の対象範囲

4.まとめ

相続登記義務化のポイント

1.相続登記義務化

2024年(令和6年)4月1日に、相続登記が義務化されます。

不動産を相続したことを知ったときから、3年以内に相続登記をしなければ、「10万円以下の過料」が科せられます。

また、2026年4月までに、「住所や氏名の変更」があったときも、2年以内に変更登記をしなければ、「5万円以下の過料」を課せられます。(法務局2022年12月27日発表では、施行日は今後決定されます。)


というのが概要です。


改正前だと相続登記は義務ではありませんでした。

このため、相続登記が放置され何世代にもわたり相続が発生した場合、相続人の人数が増え特定するために相当の時間を費やす、もしくは特定できないといった状態が発生しています。

この状態になりますと、不動産を処分や管理しようと思っても、それができないといったことが発生してしまうことになります。

相続登記が実施できていない不動産について相続登記を推進するために今回の改正となりました。

自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記」となっています。

相続人に対する遺贈・相続させる旨の遺言がある場合でも同様に3年以内に相続登記をしなければ過料の対象となります。


2.相続登記義務化の罰則


正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。


3.相続登記義務化の対象範囲


相続相談で、すでに相続が発生しているものについてのご質問がよくありますのでご説明いたします。

結論から言いますと、「過去の発生した相続についても今回の改正は適用」になります。


「(附則案 経過措置)第五条六項 新不動産登記方第七六条の二の規定は、第二号施行期日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。(以下省略)」

「(附則 経過措置)第五条六項 施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は①自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日②施行日のいずれか遅い日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない」


つまり、相続登記義務化前に、すでに相続が発生し相続による名義変更の登記をしていない不動産についても、施行日(2024年4月1日)から3年以内に相続登記をする義務が発生することになります。


また、相続登記義務化の不動産の対象は、土地・建物です。

相続登記義務化のポイント

4.まとめ


相続登記の義務化については、罰則があり「最大10万円以下の過料」に科される可能性があります。

対象範囲は、土地・建物ともに相続が発生した場合、相続登記が必要です。

土地だけではないので、注意してください。

また、過去に発生している相続についても対象となります。

相続登記を放置している場合には、速やかに専門家に相談してください。

アイリスでは、随時、相続に関する無料相談会を実施しております。

要予約となりますので、下記電話番号に連絡してください。

【電話番号】 087-873-2653(平日9時から19時30分の間)☆土日祭日も可 

相続対策について詳しく解説

相続対策について詳しく解説

相続対策をしているのとしていないのでは、大きな差が出てくる場合があります。特に、相続対策をしていなかったばかりに、相続発生後に遺産分割協議がまとまらないであるとか、相続税が思った以上にかかって大変といったことがあるかもしれません。今回は、一般的な相続対策についてご紹介いたします。相続税対策にも通じる部分もありますが、法律と税法は、似て非なる部分がありますので、法律面について解説いたします。


目次

1.相続対策の必要性といつまでにすればいいのか

2.相続対策①生前贈与

3.相続対策➁生命保険

4.相続対策③公正証書遺言

5.相続対策④養子縁組

6.まとめ

相続対策について詳しく解説

1.相続対策の必要性といつまでにすればいいのか


相続対策をする必要性は、周りで起こっている相続の問題をみればよくわかると思います。

やったらいいのはわかっているけど、まだ早いよと思いの方も多いのではないでしょうか。

この後、解説する相続対策について、自身が動けるうちにしておいた方が良いものもあります。今元気でも、相続対策を思いったった時も元気であるとは限りませんからね。

客観的な指標で言いますと、「平均寿命」と「健康寿命」があります。

「平均寿命とは「0歳における平均余命」のことで、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳です。 

一方、健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっています。」(厚生労働省e-ヘルスネット記事引用)


どうでしょうか?意外と健康寿命の年齢が若いことに気づかれるかもしれません。


そうなんです。相続対策については、元気なうちに仕込んでおかないと、それ以上になりますと、気力的に持たないことが多いです。

無料相談会に参加された方たちの中にも、高齢になってから対策を考えて相談に来られる方も少なくないのですが、対策の手続きの話をすると「そんなに大変なら、やっぱりいいです。」となる方もいらっしゃいます。元気で、自身が動ける間に対策を始めることが大事です。


2.相続対策①生前贈与


生前贈与の効果は、亡くなった時点での個人財産を目減りさせておくことが目的です。

資産として現金が多い方は、現金での贈与でも構わないのですが、現金が少ない場合には、土地や建物、動産なども有効な手段です。

名義が記録としてきっちり残るものとして、土地、建物の不動産で、実際に生前贈与されている方もいらっしゃいます。

暦年贈与の110万円の控除額を念頭に入れ、税理士と相談をしながら「持分」形式で少しずつ所有権を子供又は孫に移転していく方法です。

今回は、対象ではありませんが、相続税対策として一般的だった「暦年贈与制度」は、組み戻し期間が、3年から7年へ、大幅に延長され、対策が遅れてしまいますと、せっかくした生前贈与が無駄になってしまうかもしれません。早めの対策が必要になってきます。


相続時精算課税制度の110万円の控除を使った手法もありますが、こちらは税務署への届出が必要となります。専門家と相談しながら、進めてください。


3.相続対策➁生命保険


こちらも、現預金が多い方向けの相続対策となります。

生命保険に加入することで、その額を相続財産から減少させることができます。

ただし、保険に加入すればいいだけではなく、ここで重要となるのは「受取人を本人以外にしておくこと」です。

受取人を「子供」にしておいた場合、法律上、その支払われる保険金は、「子供の財産」となります。

税法上では、保険金は「みなし相続財産」となり、500万円×法定相続人の数を超える者についてのみ、相続財産とみなされます。

それでは、資産が全て現預金だけで、全額生命保険にしておけば、相続財産0じゃないの?と考える方もいるかもしれませんが、裁判所の判例では、半分を超える金額については、認められないものもありますし、30%しか認めていないものもあります。

その額と、状況によると思うのですが、あまりにもたくさんの財産を保険に切り替えるのはお勧めできません。


4.相続対策③公正証書遺言


遺言でもめた場合、争点は遺言者の意思能力に及びます。

自筆証書遺言(仏壇から出てきた手書きの遺言書など)は、作成された年月日によっては、認知症が疑われた時期などに重なっている場合には、問題となるケースが多いです。

そこで、アイリスでも、できる限りおすすめ割いているのが「公正証書遺言」の活用です。

自筆証書遺言と異なり、遺言者は(予約を取って)公証役場に出向くか、公証人に来訪していただくかの形になり、どの場合でも、公証人が読み聞かせ、「2人の証人」がいることは要件となっています。この場合、本人の意思能力について、全くないとは言えませんが、争点になることは少ないです。

アイリスで行う公正証書遺言サポートでは、専門家の司法書士が承認の一人となりますので、仮に裁判になった場合でも、証人として証言することも可能です。

また、元気な間に第1回目の遺言書を作成しておくことで、後にやっぱり変えたいと思ったときにも、変更することは可能です。


5.相続対策④養子縁組


これは、法律上では「遺留分対策」、そして、税務上では「相続税対策」として有名です。

法定相続人を増やすことで、各法定相続人に割り当てる相続分を少なくする方法です。

ここでも、法律上と税法上の違いがあります。


法律上では、養子にした場合でも、法定相続人の数え方は、全員「子供」としてカウントされますが、税法上では、①被相続人に実の子供がいる場合「1人まで認められます」、➁被相続人に実の子供がいない場合「2人まで認められます」となります。


法定相続人の人数の影響は、以下の場合に影響します。


 ①相続税の基礎控除額

 ➁生命保険金の非課税限度額

 ③死亡退職金の非課税限度額

 ④相続税の総額の計算


税法上は、5人養子にして基礎控除額を増やそうとしても、実子がいる場合は1人のみ、いない場合は2人までしか認められませんので注意が必要です。

相続対策について詳しく解説

6.まとめ


まとめると、相続対策は健康寿命を考え、元気なうちから対策を始めること、そして、大部分の対策が、相続財産の目減り効果を利用したものですので、専門家に相談の上、きっちり対策を講じていくことが重要となります。

アイリスでは、随時、無料相談を受け付けております。

また、相続について法律・税務無料相談会を月1で実施しております。

相続対策は、遅れると遅れるほど、採れる対策の種類が減少してきますので、是非ご活用ください。


一件一申請情報主義の原則とその例外について

一件一申請情報主義の原則とその例外について

連件申請に規定がないことはすでに述べましたが、登記には「一申請情報申請」「同時申請」「連件申請」というものが存在しています。

一つの申請に複数の申請をする場合などの例外的な扱いの要件について解説したいと思います。


目次

1.一件一申請情報主義と位置情報申請の例外

2.一申請情報申請の要件

3.一申請情報申請の可否

 3-1.一つの申請情報によって申請することができる場合

 3-2.一申請情報申請が法定されている場合

 3-3.一つの申請情報によって申請ができない場合

4.まとめ

一件一申請情報主義の原則とその例外について

1.一件一申請情報主義と位置情報申請の例外

一つの申請で複数の申請を登記申請する場合として「一申請情報申請」「同時申請」「連件申請」があります。


 ①一申請情報申請

同一登記所管轄区域内の数個の不動産につき同一の申請情報で登記申請することが認められるもの。同一の申請書に複数の登記申請情報が記載できるものをいいます。


 ➁同時申請

同一の不動産に関して同時に数件の登記申請がされ、同一の受付番号が記載されるもの。申請書は別になりますが、同じ申請で複数の申請を同一順位で登記されるものです。


 ③連件申請

連続して数件の登記申請がされ、連続した受付番号が付されるもの。別々の申請書を一つの申請でおこなうものです。

一件一申請情報主義の原則とは、登記の申請は、1個の不動産ごとに、格別の申請情報を作成すべきであるという原則をいいます。しかし、申請人の負担軽減と登記事務の迅速処理のため、一定の場合に一の申請の申請情報によって申請することが認められています。


「不動産登記令4条(申請情報の作成及び提供)

申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。」とあります。


しかし、この規定は「一申請情報申請」(一つの申請書に一つの申請情報)について述べています。


2.一申請情報申請の要件


 登記の一申請情報申請をするには、原則として次の要件を充たさなければなりません。


 (一申請情報申請の要件)

 ①管轄登記所が同一であること

 ➁登記の目的が同一であること

 ③登記原因及びその日付が同一であること

 ④申請人が同一であること


一件一申請情報主義の原則とその例外について

3.一申請情報申請の可否


一の申請情報によって申請ができる場合、できない場合、そして一申請情報申請が法定されているケースについて、具体例を例示します。


3-1.一つの申請情報によって申請することができる場合


①共同(根)抵当権の設定・変更、更正、抹消(昭39.3.7民甲588号)

(所有者を異にする場合も同様に一つの申請情報で可能です)(明32.6.29民刑1191号)(昭41.4.21民甲1119号)(昭42.3.12民甲305号)

➁共有者AB(別住所)が、同一の住所に変更する場合(登研575号)


  ③仮登記及びこれに基づく本登記を解除を原因として、その抹消登記を申請する場合

  (登記の目的:〇番所有権本登記及び仮登記抹消 となります)(昭36.5.8民甲1053号)

  ④A所有の土地すべてをBに売却。その中に権利証がなく事前通知による申請をする場合(昭37.4.19民甲1173号)


などが挙げられます。


 3-2.一申請情報申請が法定されている場合


  ①信託による不動産の所有権移転の登記と信託の登記(不動産登記令5条2項)

  ➁受託者が信託財産である不動産を処分・受託者の固有財産・信託終了などした場合の所有権移転登記と信託登記の抹消登記(不動産登記令5条3項、不動産登記法104条1項)

  ③公売処分による登記の嘱託(不動産登記法115条)

  ④民事執行法の強制競売による売却、又は担保権の実行による売却に基づく所有権移転と、それに付随する各種の抹消登記の嘱託(民事執行法82条1項)

  ➄民事保全法の処分禁止の仮処分の登記と、保全借り登記の嘱託(民事保全法53条2項)

  ※法定のものについては、「信託登記」と「裁判所の嘱託登記」であることが分かります。


 3-3.一つの申請情報によって申請ができない場合


  ①所有者が異なる数個の不動産を、同時に取得した場合(明33.8.21民刑1176号)

  ➁未登記不動産及び既登記不動産を同一の登記原因(売買、贈与など)により取得した場合(明33.12.28民刑2044号)

  ③単有名義から共有名義への所有権移転登記と、当該共有者間で定めた共有物分割禁止の定めがされた場合の共有物分割禁止の定めの登記を申請する場合(昭49.12.27民三6686号)

  ④根抵当権の相続による債務者の変更登記と指定債務者の合意の登記


 などが挙げられます。


4.まとめ


今回は、一申請情報申請について解説してきました。それでは、他の「同時申請」や「連件申請」についてはどうなのかと言いますと、「同時申請」については、登記の順位番号を同一にしてほしいというものですが、登記簿中の甲区の所有権ではありえず、乙区の担保権(抵当権など)で、使われる場合が多いです。

この場合の表記は、「1番(あ)抵当権、一番(い)抵当権」と記載されます。

そして、「連件申請」ですが、その中身は別々の登記であり、受付番号も申請順に割り当てられますので、一申請情報申請とは異なります

別々に登記することもできるのですが、便宜1つの申請で行うものです。

しかし、連件申請には、明確な規定がありません。不動産売買の決済などでは、「①名義変更」「➁担保権抹消」「③所有権移転」「④担保権設定」の順序で連件申請をします。なぜなら、④担保権設定には、金融機関の融資が新しい所有者になされており、登記申請後に発行される受付番号を迅速に知らせなければならないためです。

このように実務上、連件で行う必要の者もあれば、数次相続で祖父の土地と父親の建物を子が相続する場合、連件でなくてもいいのですが、添付する書類に共通する資料が多い場合には連件で申請することもできます。

ただし、全く性質の異なる複数の登記申請を連件申請した場合、一方を却下される場合もありますので、注意が必要です。


令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記の連件申請)

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記の連件申請)

遺贈(相続人以外の方に遺言書で財産を贈与すること)発生時に被相続人の住所が異なる場合、数次相続発生の場合など、一つの相続に付随する登記があったり、複数の相続登記がある場合などに連件申請を行います。連件申請をする場合、共通する書類を1つの申請でできるのでよく使いますが、連件申請には要件はあるのでしょうか。お話をしたいと思います。


目次

1.連件申請とは

2.連件申請の要件

3.相続登記で連件申請が発生する場合

4.まとめ

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記の連件申請)

1.連件申請とは

連件申請とは、複数の登記手続きを同時に行う事を言います。

基本的に相続登記をする場合には相続による所有権の移転などを登記することになります。

遺言書で法定相続人以外の方に遺贈をする場合など登記簿上の住所が異なると、事前に住所変更の登記がある場合はそれを行ってから登記をする必要があります。

相続後に不動産を売却した場合には相続登記後に売却の登記もする必要が出てくることがあるのです。

このような場合に複数の登記申請を同時に行う事を連件申請と言います。


2.連件申請の要件


連件申請の規定は、おそらくありません。不動産登記令4条に規定には

「不動産登記令4条(申請情報の作成及び提供)

申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。」

と規定されており、これは、「一申請情報申請」(一つの申請書に複数の登記を記載する場合)についてに書かれたものです。

つまり、連件申請には明確な規定はありません。

連件申請についての規定がないのであれば、なんでも複数登記を1つの申請に連権で入れればいいじゃないかというと、そうではありません。

例えば、「氏名や住所の変更・更正登記」が挙げられます。「氏名や住所の変更・更正登記」を先順に位置付けて「所有権の移転登記」を行うわけです。

なぜなら、所有権を移転するには、登記名義人が義務者となり、印鑑証明書が必要となりますが、そこに記載される「住所」や「氏名」が変わっていた場合、いきなり所有権移転登記はできません。

却下事案となってしまいます。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記の連件申請)

3.相続登記で連件申請が発生する場合


相続関連の遺言書による遺贈の所有権移転についても、名義人の氏名又は住所が、登記簿上の氏名又は住所と異なる場合には、氏名又は住所の変更・更正登記をしなければ遺贈の所有権移転登記はできません。

 一方で、法定相続人間で遺産分割協議をして協議を基に相続登記を実施する場合には、登記名義人である被相続人の氏名及び住所と公的文書(除籍謄本、戸籍謄本、除票、戸籍の附票)から確認します。

ですので具体的な変更登記は不要となります。

2.で説明した通り、連件申請には具体的な規定がないため、3.の事例以外のケースでは、制限は少ないです。

例えば、祖父名義の土地と、父親名義の建物があった場合で、祖父も父親も死亡しているケース(祖父の次に父親が亡くなっているとします)では、連件申請できるのでしょうか?

結果から言えば、連件申請できます。連件申請のメリットは、共通する添付書類をまとめることができる点です。後順番の相続登記の添付書類の欄に、「前件添付」とすればいいからです。ただし、すべての書類が「前件添付」記載でできるわけではないので注意が必要です。


4.まとめ


連件申請には具体的な規定が存在していないので、基本出来ますが、事案によっては、その順番が重要になってくる場合がある点には注意が必要です。

また、連件申請のメリットである添付書類をまとめることができる点についてですが、それぞれの申請の内容を見て判断をする必要があります。

全く同じ書類をすべて前の申請の添付書類を参照してほしい場合には、後順番の添付書類の後に「(前件添付)」と記載します。

一方で、上記事例のように祖父の相続登記の書類の一部を父親の相続登記の資料として参照してほしい場合には、「(一部前件添付)」という記載になります。具体的には


(祖父の相続登記の添付情報の記載)

 登記原因証明情報(一部原本還付)

 住所証明情報(原本還付)

 代理権限証明情報


(父親の相続登記の添付情報の記載)

 登記原因証明情報(一部前件添付)

 住所証明情報(原本還付)

 ※祖父の相続も父親の相続も同じ相続人が引き受ける場合には(前件添付)

 代理権限証明情報


という記載になります。


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令和6年4月1日相続登記義務化(実印に関する話)

実印に関する話

先日、遺産分割協議書を作成し署名と実印による押印を実施したのですが、印鑑証明書と照合すると、明らかに印影がかけた状態のものがありました。他の書類も確認したのですが、すべて印影の丸枠のほとんどが出ていない状態でしたので、実印の現物を確認すると、完全に欠けている状態でした。このような場合、どのような対応をすればいいのか、実体験をもとにお話をいたします。


目次

1.登録する印鑑の印影の制限(香川県高松市役所)

2.印鑑がかけている場合の対応

3.まとめ

1.登録する印鑑の印影の制限(香川県高松市役所)

これは、私が香川県の高松市役所HPの内容と、今回の事案の問い合わせについての話をしたいと思います。


 香川県高松市役所での取り扱い


  まずは印鑑を登録できるのは、高松市に住民登録がある15歳以上の方


※意思能力のない方は、印鑑登録をすることができません。


  ※成年被後見人の方は、本人が窓口にお越しになり、法定代理人(成年後見人)が同行している場合に限り、申請することができます。


  そして、登録できる印鑑は一人1つです。


  住民票に旧姓(旧氏)併記を申請し、記載された方は、旧姓(旧氏)でも印鑑登録ができます。


  一方で、登録できない印鑑については、


  ①住民登録している氏名と異なるもの


➁職業、資格など、氏名以外の事項を表しているもの


③自己流のくずし文字、極端な図案化などで、本人の氏名を表してないもの


④印影の大きさが、一辺の長さ8ミリメートルの正方形に収まる小さなもの


➄印影の大きさが、一辺の長さ25ミリメートルの正方形に収まらない大きなもの


⑥ゴム印など変形しやすいもの


⑦輪郭がないもの又は30%以上欠損しているもの


⑧竜紋や唐草模様等を外郭としたもの


⑨押印すると文字が白くなるもの(逆さ彫り印)


⑩同一世帯内の方が既に登録しているもの


 ※⑦輪郭が仮に20%あれば登録できるのかと言いますと、高松市役所では、登録を控えていただくように話をしているようです。(問い合わせで確認)


2.印鑑がかけている場合の対応

 高松市への問い合わせで、輪郭部分がかなりかけた印鑑でしたので、かけた状態での登録はできないと言われました。そこで、印鑑屋に同行し、新たに印鑑を購入いただき、その足で市役所窓口に行き、買った印鑑を登録し印鑑証明書を取得しました。


 本人が行った場合、数十分で印鑑証明書まで発行されますが、本人以外の代理人の場合、


「登録者ご本人宛に郵送による照会をしますので、登録までに1週間程度かかります。


 窓口には、申請時と回答書持参時の2回、お越しいただくことになります。」とのことで、すぐに印鑑証明書を取得することはできません。注意が必要です。


3.まとめ

 相続で必要となる添付書類である遺産分割協議書には、実印で押印の上、印鑑証明書を添付します。もちろん、印影と実印が異なる場合には、相続登記はできません。


 ご高齢になられ、「もう必要ないだろう」と、実印がかけたままにされている方もいらっしゃるようですが、相続は、いつ発生するかわかりません。かけた実印を所有されている方は、今のうちに印鑑登録のやり直しをすることをお勧めいたします。

令和6年4月1日相続登記義務化(「相続登記しなくてもバレませんよね?」)

令和6年4月1日相続登記義務化(「相続登記しなくてもバレませんよね?」)

先日、とある方から質問を受けました。「相続登記をしなくてもバレませんよね?」。話を聞くと、ずいぶん長く相続登記を放置した不動産がある様子でした。専門家としては、相続登記はできるだけ早く済ましておかないと、時間の経過で相続関係が複雑になると、コストが跳ね上がるので、相続人が把握できている段階で相続登記をしましょうというのですが。本当にばれないんでしょうか?

目次

1.長期相続登記未了土地についての国土交通省及び法務局の対応

2.根拠となる法令等

3.いつから対応しているのか

4.通知書が届いたら

5.まとめ


1.長期相続登記未了土地についての国土交通省及び法務局の対応


「登記官は、起業者(土地収用法第8条第1項)その他の公共の利益となる事業を実施しようとする者からの求めに応じて調査した結果、当該事業を実施しようとする土地が「特定登記未了土地※」に該当し、かつ、所有権の登記名義人の死亡後政令で定められた期間超えて相続登記等がされていないと認めるときは、当該土地(「長期相続登記等未了土地※1」といいます。)の所有権の登記名義人となり得る者を探索しています(法第44条。所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和4年法律第38号)により、第40条から改正。)。

法第44条では、死亡後の期間を10年から30年とされていますが、令第13条では10年と定められています。」となっています。


※1特定登記未了土地とは

所有権に係る相続登記等がされていない土地であって、収用適格事業の実施その他の公共の利益となる事業の円滑な遂行を図るために、当該土地の所有権の登記名義人となり得る者を探索する必要があるものを言います(法2条4項)。

また、令和4年4月1日より、民間が行う事業のうち、法律上の根拠(土地区画整理法・都市再開発法等)のある事業であり、公共性の高いもの(土地区画整理事業・市街地再開発事業等)についても要望受け入れの対象となっています。

これらの土地で、長期相続登記がなされていない特定登記未了土地が存在した場合には、各法務局は入札を経て(司法書士が対応することが多い)、法定相続人の調査を実施し、法定相続人情報を作成して戸籍とともに納品する手順になっています。

法定相続人情報には作成番号が付されて法務局で保管されます。そして登記官は、職権で「所有権の登記名義人の死亡後長期間にわたり相続登記等がされていない土地である旨」の付記登記※2を行います。

法務局は調査対象区域の事前調査により同一登記名義人の土地を把握しており、同一登記名義人が所有(共有)する土地には全て付記登記がなされることになります。


※2長期相続登記未了土地である旨の付記登記


(画像)

令和6年4月1日相続登記義務化(「相続登記しなくてもバレませんよね?」)

この付記登記だけでは、法定相続人の方は認知できませんので、「通知書」が送付されることになります。

この通知書により、法務局の窓口に相談、法定相続情報を取得して、相続登記をすることになります。


2.根拠となる法令等


 法 :所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法

 令 :所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法施行令


 省令:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法等に規定する不動産登記法の特例に関する省令

 通達:所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法等の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについて(通達)


上記法令等により国土交通省及び法務省が対応をしております。


3.いつから対応しているのか


 法務省・法務局における所有者不明⼟地問題の解消に向けた取組として、⻑期相続登記未了⼟地の解消に向けた仕組みの創設を平成30年11⽉15⽇から施⾏されています。


4.通知書が届いたら


法務局から任意の相続人に対して「長期相続登記等がされていないことの通知」が届くことがあります。

この「長期相続登記等がされていないことの通知」が届いたら、その通知を持って管轄法務局へ行き、不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)やすでに調査により判明している法定相続人情報を閲覧することをお勧めします。

この法定相続人情報の閲覧には、通知に記載されている法定相続人情報の「作成番号」、運転免許証などの本人確認書類、閲覧手数料(450円)が必要となります。

また法定相続人情報があれば、本来相続登記で必要となる戸籍謄本を省略して相続登記をすることができます。

令和6年4月1日相続登記義務化(「相続登記しなくてもバレませんよね?」)

5.まとめ


このように、相続登記を放置していても、行政、民間で公共性の高い開発をする際には、長期相続登記未了土地が存在する場合には、相続人の調査が入り通知書が送付されます。

長い間、相続登記が放置されたことによって相続人が増え、今まで聞いたことがなかった親戚の名前が載っているかもしれません。

そのような場合には、お近くの司法書士事務所、または法務局へぜひご相談ください。

分かりやすく説明されることで気持ちも軽くなると思います。

令和6年4月1日相続登記義務化(法定単純承認とは)

法定単純承認とは

熟慮期間(相続開始を知った時から原則3ヵ月以内)に相続人が相続放棄または限定承認の手続きをしなかった場合や、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合などに、相続人が当然に相続を単純承認(被相続人の権利義務を無制限かつ無条件に承継)したものとみなされる制度となります。知らない間に、せっかく手続きをした相続放棄や限定承認が無駄になります。そうならないためにも、判例等の事例を解説いたします。


目次

1.法定単純承認とは

2.相続財産の処分とされた判例等

3.民法921条3号の問題とは

4.まとめ

1.法定単純承認とは

法定単純承認とは、熟慮期間(相続開始を知った時から原則3ヵ月以内)に相続人が相続放棄または限定承認の手続きをしなかった場合や、相続人が相続財産の全部または一部を処分した場合などに、相続人が当然に相続を単純承認(被相続人の権利義務を無制限かつ無条件に承継)したものとみなされる制度と、熟慮期間(相続開始を知った時から原則3ヵ月以内)を徒過した場合に「法定単純承認」により、単純承認(財産も債務もすべて引き受ける)したものとみなされます。


①相続財産の処分


「相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき。(民法921条1号本文)」


 「ただし、保存行為や短期賃貸借は除かれる。(民法921条1号但し書き)」


 ➁考慮機関の徒過


 「相続人が民法915条1項の考慮機関内に限定承認または放棄をしなかった場合、単純承認したものとみなされます。(民法921条2号)


そもそも➁のケースでは、考慮期間中に、相続放棄も限定承認もしなかった場合ですが、①のケースでは、すでに相続放棄や限定承認を認められていても、その効力を失う場合がありますので、相続財産の処分には、注意が必要です。

2.相続財産の処分とされた判例等

①処分とは、限定承認又は相続放棄をする以前の処分に限られ(大判昭5.4.26)、それ以後に処分したときは、民法921条3号の問題となります。(この点については3.で述べます)

 ➁相続人が相続財産である「金銭債権を取り立てこれを消費する行為」は、法定単純承認事由である「相続財産の一部を処分したとき」(民法921条1号本文)に該当する。(最判昭37.6.21)

 ③法定単純承認事由である「相続財産の処分」は、相続人が被相続人の「死亡の事実を知った後」か、「確実に死亡を予想しながら」したものでなければならない。(最判昭42.4.27)


 ④処分には、「法律的処分」だけでなく「事実的処分」も含む。


  放火は「処分」に含まれますが、失火・過失で滅失させた場合は含まれません。


 ➄保存行為。短期賃貸借は含まない。


  ㋐保存行為について、修繕・時効更新手続き等・不法登記の抹消請求が例として挙げられています。


  ㋑短期賃貸借は管理行為に該当するが、相続財産の管理人としての立場がある(民法918条)ので、その行為をもって単純承認とすることはできない。


 ⑥未成年である相続人の親権者が相続財産を処分した場合は該当する。


  未成年者=法定代理人(親権者)とみています。つまり、「処分」について法定代理人で見ているということになります。


 ⑦一部について処分があれば、他の相続財産についても放棄はできなくなります。


3.民法921条3号の問題とは

 「相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。 ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。」となっています。


 詳しく言いますと、相続人が限定承認または放棄をした後に、相続財産の一部を隠匿し、私に(自分勝手にほしいままに)消費し、悪意で財産目録に記載しなかったとき、原則として、単純承認したものとみなされてしまいます。


 相続人が限定承認をする場合に、債務の引き当てとなるべき財産を明確にするために作成する財産目録を作成しますが、現金や預金、動産、不動産といった積極財産だけでなく、消極財産(債務など)も記載しなかった場合にも民法921条3号の適用がありますので注意が必要です。(最判昭61.3.20)


4.まとめ


 基本、相続財産の処分は、限定承認または放棄を申請する前の話をしていますが、限定承認又は放棄を受けたのちも、処分する行為をしないようにしないと、法定単純承認となり、単純承認(財産も債務もすべて引き受ける)とみなされてしまいますので、相続財産について何もしないことが大事です。


 かつて、予備校講師の司法書士先生が話していた内容になるのですが、被相続人の「形見」を財産目録に記載していなかったために、限定承認が取り消されたと話をしていました。これくらいは、という気持ちにはなるかもしれませんが、それ相応のリスクを伴います。


 不明な点は、専門家に必ず相談するようにしましょう。

令和6年4月1日相続登記義務化(根抵当権の相続登記の申請)

令和6年4月1日相続登記義務化(根抵当権の相続登記の申請)

先日、収益物件の相続登記の際に、債務者を被相続人とする共同根抵当権が被相続人の個人債務者として設定されていました。当然土地・建物の相続登記はする必要がありますが、根抵当権の場合どのように対応をすればいいのでしょうか。解説していきます。


目次

1.根抵当権と抵当権の違い

2.相続発生後6ケ月以内にできる対応

3.相続発生後6か月経過後にできる対応

4.まとめ


1.根抵当権と抵当権の違い


(抵当権)

抵当権とは、住宅ローンで融資を行う金融機関が、借入を受ける人が購入する不動産などをローンの担保として設定する権利のことです。

担保となる不動産などは債務者が利用できますが、もしローンを返済できなくなった場合は、代わりに担保に設定された不動産を金融機関に差し押さえられます。

つまり、「借入金=抵当権で担保する債権」ということになります。

抵当権の債務者に相続が発生した場合には、相続による債務者の変更の登記が必要になります。


(根抵当権)

根抵当権とは抵当権の一種であり、複数回の貸付・借入を行う契約において利用されます。根抵当権では、担保となる目的物から貸付の限度額を定め、その範囲内で貸付・借入を行います。

抵当権は、一度の貸付・借入ごとに設定する必要があり、同じ債務者・債権者同士で契約を行う場合でも、その都度、抵当権を設定しなければなりません。

しかし、根抵当権であれば、貸付限度額の範囲で何度でも貸付・借入を行えます。カードローンの借り入れに似ています。

要は、借入金も担保されますが、それ以外に借りた借入金も担保でき、発生消滅を繰り返しても、根抵当権の効力は継続します。


抵当権の場合、借入金を全額返済した場合、抵当権はその担保権としての効力が無くなり抵当権を抹消することができます。

一方で、根抵当権の場合には、元本確定事由が発生しない限り、債務を全額返済しても根抵当権の効力は無くなりません。この点が一番抵当権と異なる部分です。勿論、債務者が債権者である金融機関等と話をして、根抵当権がもう必要なければ、「解除」により抹消することは可能です。

令和6年4月1日相続登記義務化(根抵当権の相続登記の申請)

2.相続発生後6ケ月以内にできる対応


(元本を確定させないための登記)

元本確定前の根抵当権の債務者が亡くなったときは、相続開始後6カ月以内に指定債務者の合意の登記をしないと担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。

金融機関と相談した上、指定債務者を選び登記するように指定があった場合、指定債務者の合意の登記をするためには、その前提として被相続人の相続人全員を債務者とする債務者の変更登記をしなければなりません。

つまり、①相続人全員の債務者変更登記、➁指定債務者の合意の登記、の2回の登記が必要となります。債務者の変更の登記となりますので、登録免許税は、共同根抵当権が設定されている物件の数×2回分×1000円となります。


 また、相続発生から合意までの間の各相続人が承継した債務を担保するためには、さらに③債権の範囲の変更登記も必要になります。


(事例)

 根抵当権者X銀行、債務者Yの根抵当権があり、Y所有の不動産があったとします。Yの相続人はA,Bで、Aが不動産を遺産分割協議で相続登記をしているものとします。


 ①相続人全員の債務者変更登記

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  変更後の事項 債務者(被相続人 甲) A B


 ➁指定債務者の合意の登記

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  指定債務者 A


 ③債務者及び債権の範囲の変更登記

 「登記権利者 X銀行

  登記義務者 A

  変更後の事項

  債務者 A

  債権の範囲 銀行取引 手形債権 小切手債権

        ○年○月○日債務引受(旧債務者B)にかかる債権

        ○年○月○日相続によるAの相続債務のうち変更前根抵当権の被担保債権の範囲に属するものにかかる債権


AがYの相続により承継した債務及びBが相続した債務を免責的に引き受けたものにかかる債務は根抵当権によって担保されませんので、特定債権として追加する必要があります。債務者をAとする変更登記は交替的変更となりますので、変更前に生じたXのAに対する債権の範囲に属するものにかかる債権も根抵当権によって担保されることになります。


 元本確定前の根抵当権において、債務者が変更した場合、新たな債務者の債権は担保するものの、今までの債権は外れてしまいますので、このような特定債権として、根抵当権の債権の範囲を変更することで、根抵当権の担保範囲に加えることができます。


3.相続発生後6か月経過後にできる対応


先にも書いた通り、元本確定前の根抵当権の債務者が亡くなったときは、相続開始後6カ月以内に指定債務者の合意の登記をしないと担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなされます。

元本が確定すると、その後は通常の抵当権のように相続時の債権を担保する抵当権と同じになりますが、極度額まで「利息」「遅延損害金」を担保することができます。当然、相続後に発生した債権については、当該根抵当権では担保できなくなってしまいます。そして、確定後の債務を全額返済すれば、根抵当権は効力を失います。


それでは、具体的にどうなるのかと言いますと、以前のブログの抵当権の債務者の相続と同じ手順で行うことになります。

金融機関から指定があると思うのですが、①遺産分割協議による相続登記を行う方法と、➁相続登記後に免責的債務引受による債務を承継する相続人の債務引受けの登記の2種類となります。


これらの登記は、元本が確定していないとできませんので、相続発生から6か月経過後に行うことができます。

令和6年4月1日相続登記義務化(根抵当権の相続登記の申請)

4.まとめ

以上が、根抵当権の債務者の相続による変更登記の内容です。

抵当権と比較すると、元本確定前の「指定債務者の合意の登記」が特殊ですね。

また、債権が発生消滅を繰り返しているので、相続発生時を基準に「債務者と債務の範囲の変更登記」も必ず考えなければなりません。

一方で、元本が確定してしまった場合、通常の抵当権と同じ扱いになっていることが分かります。

前回実務で、相続不動産に個人債務者の共同根抵当権が設定されており、相続人と金融機関との話し合いで、元本確定する方向で決まりましたので、6か月経過後に債務引受の遺産分割協議により登記原因証明情報を作成し登記を実行いたしました。

このように根抵当権の債務者の相続は、かなり複雑ですので、金融機関とご相談の上、専門家に相談することをお勧めいたします。

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令和6年4月1日相続登記義務化(抵当権の債務者の相続登記)

住宅ローンが残った状態で亡くなった場合の相続登記として、土地・建物の名義変更は当然なのですが、住宅ローンの借入金を担保している抵当権の債務者の変更登記も必要となります。この辺りについて解説したいと思います。

目次

1.抵当権とは

2.債務者の変更する2種類の登記

3.まとめ

1.抵当権とは

抵当権とは、住宅ローンで融資を行う金融機関が、借入を受ける人が購入する不動産などをローンの担保として設定する権利のことです。


担保となる不動産などは債務者が利用できますが、もしローンを返済できなくなった場合は、代わりに担保に設定された不動産を金融機関に差し押さえられます。


 つまり、「借入金=抵当権で担保する債権」ということになります。


 抵当権の債務者に相続が発生した場合には、相続による債務者の変更の登記が必要になります。この登記を実現するためには、2通りのやり方があります。ほとんどの場合、債権者である金融機関から指定があると思います。


2.債務者の変更する2種類の登記

①遺産分割協議による方法


 債権者(金融機関)の承諾を得て、遺産分割協議によって相続人の一人が債務を承継する、抵当権変更登記のやり方です。登記申請書は、1件で済みます。


具体的には、「債務は、相続人全員が法定相続分によって承継し、遺産分割協議の対象とはならない」とされていますが、これは債権者保護を考えてのことなので、債権者が承諾するのであれば、債務の遺産分割協議も有効にすることができます。


遺産分割協議の効果は相続開始時にさかのぼるため(民法第909条)、債務を引き受けた相続人は、被相続人の死亡日にさかのぼって債務を承継することになります。


抵当権変更登記申請のやり方ですが、「〇年〇月〇日相続」を原因として、1件の登記申請によって、債務者を特定の一人の相続人に変更できます。


「〇年〇月〇日相続」の日付は、被相続人の死亡日です。


「変更後の事項」は、「債務者」として、債務を承継することになった相続人の住所氏名を記載します。


登記申請の添付書類としては、報告形式の登記原因証明情報があれば、相続を証する戸籍謄本や遺産分割協議書の添付は必要ありません。


➁免責的債務引受による方法


 第1に、相続を原因として、債務者を共同相続人全員に変更する抵当権変更登記を行い、その次に、相続人の一人が免責的債務引受を行ったことによる抵当権変更登記を行うやり方です。登記申請書は、2件必要です。


1件目の抵当権変更登記申請で、「〇年〇月〇日 相続」を原因として、債務者を相続人全員(ここではABCの3人)に変更します。


2件目の抵当権変更登記申請で、「〇年〇月〇日 B及びCの債務引受」を原因として、債務者をAに変更します。この2件目の免責的債務引受については、債権法改正により、法務省より通達(令和2年3月31日付法務省民二第328号)が出ています。


 ※免責的債務引き受けをする場合には、次の4パターンが考えられます。ここでは(X債権者、Y債務者、Z引受人)とします。当然その債務の性質は、「他人が変わって履行することができる債務であること」です。住宅ローンのような金銭債務の場合は対象となります。さて、契約のパターンと、効力が生じる要件についてお話をいたします。その内容は、


(免責的債務引受契約の契約当事者と契約が有効になる要件)


 ①XYZの三者間の契約


  問題なく有効となります。


 ➁X(債権者)Z(引受人)間の契約


  (民法472条2項)により、Y(債務者)の意思に反しても可能です。ただし、X(債権者)からY(債務者)に対して「通知」した時に効力を生じます。


 ③Y(債務者)Z(引受人)間の契約


  (民法472条3項)により、X(債権者)の承諾があれば有効です。


 ④X(債権者)Y(債務者)間の契約


  Z(引受人)の意思に反してはできません。


債務を引き受ける契約はこれでいいのですが、実際に担保権(ここでは抵当権)を移転する場合の注意点は、


 ①引受人への担保権の移転


  債権者は、免責的債務引受によって債務者が免れる債務に設定された担保権(抵当権)を移転することができます。(民法472条の4第1項)ただし、当該担保権を設定した者が引受人以外の場合の者である場合には、その者の承諾(担保権移転の意思表示)を得なければならない。(民法472条の4第1項但書)


 ➁引受人に対する意思表示


  担保権の移転は、免責的債務引き受けを行うよりも前に又は同時に、引受人に対する意思表示によって行わなければならない。(民法472条の4第2項)


 ③保証人の承諾


  債務者の債務に付された保証債務を引受人の債務を担保するものとして移すためには、保証人の承諾を要する。(民法472条の4第3項)保証人の承諾は、書面又は電磁的記録でしなければならない。(民法472条の4第4、5項)


※令和2年の債権法改正の論点になります。詳しくは専門家にご相談ください。


3.まとめ

 このように、免責的債務引受けの場合、単純に債務を引き受けてもらうだけの契約をしてその内容を登記するだけ、とはなりません。相続が発生した場合、金融機関への相談及び専門家に相談を必ずするようにしてください。 


令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の対象範囲)

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の対象範囲)


相続登記義務化の施行日に近づくごとに、問い合わせが増えています。その中で、ご質問が多い「義務化の対象範囲」について、再度、解説をしたいと思います。


目次

1.相続登記義務化の発端

2.相続登記義務化の対象範囲

3.まとめ



1.相続登記義務化の発端


Q1.知りませんでした!不動産(土地・建物)の相続登記が義務化されるのはなぜですか?


 「相続登記がされないため、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明土地」が全国で増加し、周辺の環境悪化や公共工事の訴外など、社会問題になっています。この問題解決のため、令和3年に法律が改正され、これまで任意だった相続登記が義務化されることになりました。」(法務省パンフレット引用)


東日本大震災後の復興作業の際、土地の所有者を特定するために大変苦労したということがあったみたいです。

実際に、仙台などで各地の司法書士を臨時の公務員として雇い、相続人の調査を行い所有者を特定していったという話を聞きました。そのため、復興作業が大幅に遅れたそうです。この時問題になったのが、任意である相続登記の放置です。現在、所有者不明土地の面積は、九州と同じ面積だそうです。

これが原因となり、今回の相続登記義務化の流れになっています。


2.相続登記義務化の対象範囲


 Q2.相続登記の義務化とは、どういう内容ですか?


 「相続人は、不動産(土地・建物)を相続で取得できたことを知った日から3年以内に、相続登記をすることが法律上の義務になります。

  正当な理由がないのに相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

  遺産分割の話し合いで不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、登記をする必要があります。」(法務省パンフレット引用)


 Q3.義務化が始まるのはいつからですか?始まった後に、対応すれば大丈夫でしょうか?


 「「相続登記の義務化」は、令和6年4月1日から始まります。ただ、今から備えておくことが重要です。

  また、令和6年4月1日より以前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になります(3年間の猶予期間があります。)ので、要注意です。」(法務省パンフレット引用)


 これらの質問で、不動産の対象範囲が土地だけだと勘違いされている方が、意外に多いです。おそらく、相続登記義務化の発端となったのが「所有者不明土地問題」だからだと思いますが、相続登記義務化の対象範囲は、不動産(土地・建物)です。


質問内容にもあったのですが、義務化が始まってからやればいいというお話がありましたが、今元気な方でも、時間の経過により状況は変わってきます。

亡くなった場合には、さらに相続人が増えるケースや、認知症などになってしまい、遺産分割協議の際に成年後見人の申請が必要になったりする場合があります。

相続人の調査や成年後見人を就けるにも、それなりのコストが発生してしまいます。早めの対処が、「安心」をもたらしてくれます。

早めに相続の対応をするように心がけてください。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の対象範囲)

3.まとめ


「相続登記義務化」のキーワードを知っていても、その中身まで詳しく知っている方はなかなか見たことがありません。

アイリスでも、相続無料相談や相続法律・税務無料相談会、無料セミナーなどを通じて、啓蒙活動を実施しております。

身近の人や親せきの方で専門家以外の方は、専門家ではありません。

以前、ご相談を受けた際、かたくなに相続登記は土地だけでいいとおっしゃる方がいました。どうして、土地だけなのか聞いてみますと、「詳しいおじさんが、土地の名義だけ変更すれば義務は免れると言っていた。」とおっしゃっていました。そこで、法務局が出しているパンフレットを見せて、相続登記義務化の範囲が不動産(土地・建物)であることを伝えると、両方相続登記をしてくださいという話になりました。

このように、情報ソースを誤ると誤った判断のもとに行動してしまう恐れがありますので、必ず専門家への相談をするようにしてください。


令和6年4月1日相続登記義務化(名義人の住所の表記について)

先日、住民票の住所に「○〇方」という表記がありました。相続登記のような名義人を変更する場合、申請の際に住民票を添付するのですが、果たして住民票に記載されている表記すべてを名義人の住所として記載する必要があるのかについて解説したいと思います。


目次

1.住民票の表記

2.アパート・マンション・〇〇方

3.まとめ

1.住民票の表記

  最近、住所に関する質問や間違いが多いので、少し解説したいと思います。

「〇丁目」の表記ですが、「一丁目(漢数字)」「1丁目(アラビア数字)」のどちらで登記すればいいのでしょうか?この場合は、必ず漢数字になります。たまに、住民票上の住所は「1丁目」なのに間違っているとおっしゃる方がいらっしゃいますが、「××〇丁目」は固有名詞と解されている(例えば「錦町二丁目」)ので漢数字を使うようです。


 ここ何年かで町名がアラビア数字で表記されている住民票や印鑑証明書をたまに見かけることがありました。確かに、役所の文書の表記が正しいと思ってしまうのは、当然と言えば当然なのかもしれませんね。


2.アパート・マンション・〇〇方

 マンションの住民票の住所の表記は、少し特徴があります。住所の表記として、「〇番〇号××マンション101号」「〇番〇-101号××マンション」のように、「号」が来る位置が違ったり、マンション名があったりなかったり、部屋番号があったりなかったりしています。現に私の住まいも「〇番〇-101号××マンション」という表記になっています。


これがアパートと呼ばれる建物になりますと、「〇番〇号××アパート」という表記が一般的です。過去に登記した資料を確認すると、アパートの場合は確かにこのような表記になっています。


それでは、マンションやアパートの名義変更の際に登記すべき住所の表記はどのようなものになるのでしょうか。実務では、「~号」までは必ず登記しなければならず、それ以下は任意で登記できることになっています。ですので、「〇番〇-101号」なのに「〇番〇号」と登記することはできません。必ず部屋番号まで含めた〇―101号と登記しなければならないわけです。末尾のマンション名は登記してもしなくても構いません。


最後に、「○〇方」という表記の場合には、どのようにすればいいのかお話をしたいと思います。この「○〇方」ですが、役所への申し出によって表示することや表示しないことができます。そのため、住所としては必ず表記しなければならないものではありません。よって、登記も同じということになりますので、住民票に(住所)○〇方の場合、(住所)のみの表記で登記申請しても受理されます。


3.まとめ

 まとめますと、


 ①「〇丁目」の表記は、不動産登記を申請する場合は漢数字での表記となります。


 ➁「〇番〇号」までが不動産登記の住所表記しなければならない範囲となるため、アマパート、マンション名の表記は省略することができます。ただし、部屋番号が号の表記に含まれる場合には、部屋番号までが登記の際に表記しなければならない範囲となります。


 ③(住所)「〇〇方」の場合、「〇〇方」の表記は任意となります。


 住民票や印鑑証明書に記載されている住所を全部登記に反映しなければならないと思われている方もいますが、実は上記のように、省略することも可能な部分もあります。

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。すでに相続が発生している場合も対象になります。義務化されますので、罰則も規定されています。アイリスでは、「相続の不安」を少しでも軽減するために、セミナー、無料相談会を通じて情報を発信してまいります。


目次

1.相続登記義務化の概略

2.相続登記義務化の罰則

3.相続登記義務化の対象範囲

4.相続法律・税務無料相談会のご案内

5.生前対策についてのご相談


令和6年4月1日から相続登記が義務化されます

1.相続登記義務化の概略


2024年(令和6年)4月1日に、相続登記が義務化されます。不動産を相続したことを知ったときから、3年以内に相続登記をしなければ、「10万円以下の過料」が科せられます。

 また、2026年4月までに、「住所や氏名の変更」があったときも、2年以内に変更登記をしなければ、「5万円以下の過料」を課せられます。(法務局2022年12月27日発表では、施行日は今後決定されます。)

というのが概要です。


2.相続登記義務化の罰則


 先にも記載しましたが、法令で相続登記が義務化されましたので、「罰則」が存在します。

 罰則の内容は、「正当な理由なく相続登記を怠った場合、最大10万円の過料」が科せられます。過料を支払ったからと言って、相続登記の義務を免れるわけではありません。ご自身で相続調査を行い相続登記を行うか、専門家である司法書士に依頼するかの選択に迫られます。

司法書士に依頼する場合、10万円から15万円ほどの手数料がかかります。(相続による所有権移転登記に必要な登録免許税は、専門家に頼んでも、ご自身で登記を申請してもかかる必要な税金となります。手数料は登録免許税額を除いています。)

 早めに専門家に相談をして、義務化に備えるようにしてください。


3.相続登記義務化の対象範囲


すでに相続が発生している場合についてのご質問が多く寄せられていますが、過去の発生した相続も、この度の相続登記義務化の対象となります。

誤った情報を聞いて相談される方が多くいます。法律に詳しい親戚や近所の方は専門家ではありません。

必ず、専門家(司法書士等)や行政の無料相談会等をご活用いただき、正しい情報を得てください。

また、数代にわたり相続登記が実施されておらず、相続人がどなたかわからないケースもよく見ます。この場合、相続人の調査が広範囲にわたる場合には、専門家に必ず相談をして、相続人を特定するようにしましょう。費用は掛かりますが、自分で判断するのはかなり難しいです。

 なぜ相続人の特定が必要なのかと言いますと、「遺産分割協議」を行い、将来処分することも含めて、当該不動産を管理可能な相続人に所有権を移すために必要となります。遺産分割協議の要件は、相続人全員で協議することです。そのため、相続人が全員特定できていない遺産分割協議は無効となりますので、必ず専門家に相続人調査の依頼をしてください。

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます


4.相続法律・税務無料相談会のご案内


 アイリスでは、ワンストップで相続を解決するために、相続登記などの法律・相続税などの税務について、合同の無料相談会を月1(第三水曜日)に開催しております。

時間帯は3つで、すべて予約制となりますので、事前に電話でご予約ください


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法律無料相談会

相続無料相談会

令和6年4月1日から相続登記が義務化されます

5.生前対策についてのご相談


 アイリスでは、相続登記に関するご相談以外にも、相続の生前対策のご相談を受け付けております。こちらも予約制となっておりますので、電話で確認の上、アイリス国際司法書士・行政書士事務所まで来訪ください。


(生前対策として)


①遺言書作成サポート

➁家族信託

③生命保険活用の相続対策


などについて、ご案内させていただいております。


また、介護施設様、金融機関様でのセミナー開催も受け付けております。ぜひ、ご活用ください。

セミナー開催の場合、参加者には「相続登記義務化について」「生前の遺留分対策」についてのテキストをお渡ししております。


令和6年4月1日相続登記義務化(未帰還者に関する特別措置法)

令和6年4月1日相続登記義務化(未帰還者に関する特別措置法)

先日相続登記を受任し、戸籍を集める中で、とても悲しい記載がありました。それは、戦後外国から未帰還のため行政が、未帰還者に関する特別措置法に基づいて死亡宣告をしているというものでした。ちょうど戦後の混乱で日本国本土に帰還できなかった方に出す死亡宣告です。この内容について、お話をしたいと思います。


目次

1.満州国における戸籍の取り扱い

2.未帰還者に関する特別措置法の戦時死亡宣告(せんじしぼうせんこく)

3.まとめ



1.満州国における戸籍の取り扱い


満州国(または満洲国)は、かつて存在した国家で、1932年から1945年まで存在しました。

正式名称は「満洲帝国」で、日本によって中国東北部の満洲地域に建国されました。

第二次世界大戦が進む中、1945年の敗戦に伴い、満州国は崩壊し、溥儀は戦犯として起訴されました。中国東北部は再び中華民国(中華人民共和国の前身)の統治下に戻りました。

満州国に駐在した日本人は、本土に本籍地を置いたまま活動をしていた ため、「満州の戸籍」というのは実はないのです。 当時は、満州国の全権大使に出生を届けると、本土のその家の役場に通知がいき、その家 の戸籍に入る手続きが取られていました。

つまり、日本に置いていた本籍地で、満州国で生まれた方の戸籍も取得可能です。

実務上でも、特に問題なく戸籍を取得することができました。

戸籍には、「昭和〇年〇月〇日満洲国東安省東安市東安陸軍官舎〇の〇で出生父A届出同年〇月〇日在満洲国特命全権大使受附同月〇日送付入籍」と記載されていました。

令和6年4月1日相続登記義務化(未帰還者に関する特別措置法)

2.未帰還者に関する特別措置法の戦時死亡宣告(せんじしぼうせんこく)


「戦時死亡宣告(せんじしぼうせんこく)とは、未帰還者に関する特別措置法2条1項に基づき未帰還者(未帰還者留守家族等援護法2条1項に規定する未帰還者)について厚生労働大臣の請求により行われる失踪宣告(未帰還者に関する特別措置法2条3項参照)。

太平洋戦争終結後、旧満州など、海外に行ったまま日本に帰って来ない未帰還者の整理を進めるために設けられた制度。1959年に成立した未帰還者に関する特別措置法により、生死不明の未帰還者が戸籍上は死亡したものとして扱われることとされた。」(Wiki引用)

厚生労働大臣の請求により、戦地からの未帰還者に関しては、戸籍上死亡宣告をすることで、死亡みなしという取り扱いになっています。

「敗戦後に旧満州や中国、南方(東南アジアやオセアニア)などから引き揚げた軍人軍属と民間人は計約630万人にのぼり、混乱の中、消息不明の人が数多く残された。1959年、7年間以上生死不明の未帰還者に戦時死亡宣告ができる「未帰還者に関する特別措置法」が成立。厚生労働省社会・援護局によれば、2万583人が宣告を受けた。2012年3月末時点で336人が未帰還とされている。戦死した日本人は約310万人で、うち約240万人が外地で死亡した。」(Wiki引用)


帰還できなかった方で、死亡宣告を受けた方が数多くいることがわかりました。


3.まとめ


司法書士業務をしていると、このような場面に遭遇することは、少なくありません。

実務上では、死亡という扱いになり、相続人もいなければ、その方は当該相続には関係がなくなります。

しかし、何でしょうね、この複雑な気持ちになるのは・・・・。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記を急ぐ意味)

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記を急ぐ意味)

相続登記義務化を控えて、相談件数、ご依頼の件数が増加しております。そんな中で、相続登記を急ぐ意味がよく分からないという方がいらっしゃいました。被相続人の方や相続人の状況によっては一刻を争う事態であることも少なからずありますので、解説していきたいと思います。


目次

1.民法177条の意味

2.遺言・遺産分割協議と債権者の関係

3.まとめ

1.民法177条の意味


民法177条では


「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」と規定されています。


 つまり、正当な所有者であることを明示したいのであれば、不動産登記をしなければ第三者に対抗することはできないということです。商業登記(会社法人の登記)は、登記をすることは義務ですが、不動産登記については、現状では義務ではありません。その代わり、所有権を争う第三者が先に登記を具備してしまった場合、もう対抗する手段はないというわけですので、自己の権利主張のために登記を入れなさいというのが建前です。


 その結果、第三者をあまり意識する必要のない相続登記について放置しているケースが横行し、結果、東日本大震災の復興において、大きな妨げになったため、今回の相続登記義務化の流れができたと言われています。義務化になっても相続を知ってから3年以内に登記をすれば、罰則である過料はかかりません。それでは、3年間放置しておいても問題ないのかと言われると、実はそうではないケースも多く存在します。

2.遺言と債権者の関係

相続人の債権者(相続人の一人が借金をしている先)がおり、借金も相当額ある場合、債権者には債務を取り立てる正当な権利があります。その場合、代位登記で法定相続分にて相続登記を代位で行い、さらに債務者である相続人の持分を差し押さえることができてしまいます。

 特定財産承継遺言(民法1014条2項)、民法改正前に「相続させる旨の遺言」と呼ばれていた遺言です。従前はこの遺言をした場合、第三者が登記を入れた場合でも、遺言で指定されている相続人が所有権の全部を主張できていましたが、現在では変わっております。上記のような状況になった場合、仮に当該不動産全部の遺言指定がなされていたとしても、債権者の登記が先の場合、指定された相続人は債権者に対して、法定相続分の権利しか主張できません。つまり、取り戻すために債権者と交渉し、債務者である相続人の持分を取り戻すしか方法が亡くなります。先に指定相続人が相続登記をしておけば、債権者は代位で相続登記ができません。

 相続登記を急ぐ意味は、十分あります。


3.まとめ

このように、状況次第とはなりますが、相続登記を遅らせたために、正当な権利を持つ第三者により登記されてしまいますと、自身の法定相続分の持分の権利しか主張できなくなってしまいます。特定財産承継遺言がある場合には、司法書士に早めの相談をした方がいいと思います。

令和6年4月1日相続登記義務化(住民票除票・戸籍の附票が取得できない場合

令和6年4月1日相続登記義務化(住民票除票・戸籍の附票が取得できない場合)

相続登記に必要な書類の一つに、亡くなった不動産名義人の「住民票の除票の写し」又は「戸籍の附票」が必要です。

しかし、令和元年6月19日までは、「住民票の除票」の保存期間が、少女された日から5年間とされていたため、長年相続登記を放置した場合、取得できないケースも発生することがあります。

この場合の対処法として、どのようにすればいいのでしょうか。


目次

1.法定相続情報証明制度を申請する場合

2.相続登記に必要な場合

3.まとめ

令和6年4月1日相続登記義務化(住民票除票・戸籍の附票が取得できない場合)

1.法定相続情報証明制度を申請する場合

法定相続情報証明制度を利用する場合、戸籍全部事項証明書、除籍謄本、改正原戸籍謄本などを取得する必要があります。

多いときで10通を有に超える場合もあります。この戸籍の束をもって、各金融機関に名義変更や解約の手続きに持参するのは、非常に手間であるため、法定相続情報証明制度が、平成29年5月29日に実施されました。

 この法定相続情報証明制度で証明されるのは、原則「戸籍類」の法定相続関係の証明です。住所は任意での申請になりますが、申請人の本人確認として、住民票の写しが必要になってきますので、少なくとも申請人に関しては住民票が必要になります。

 任意で住所も法定相続情報証明に記載してもらうためには、それぞれ相続人の住民票、被相続人の除票が必要となります。

ここで注意しなければならないのは、申請人の本人確認のために提出する住民票を原本でかねてしまいますと、法務局に申請人の住民票を取得されてしまいますので、コピーに原本に相違ない旨を記載し署名押印したものも併せて提出する点です。

 先ほども書きましたように、法定相続情報証明制度で証明できる内容は、戸籍に記載されている法定相続情報がメインとなりますので、被相続人の除票や戸籍の附票がない場合、「最後の本籍」の項目で事足ります。


2.相続登記に必要な場合


それでは、相続登記の必要書類としての住民票の除票や戸籍の附票が取得できない場合どのようにすればいいのでしょうか?


登記官が不動産の所有者の名義の同一性を確認するために「氏名」「住所」で特定します。

つまり、被相続人の最後の住所と不動産名義の住所が一致しており、氏名も同じであれば同一人物との判断をしてもらえます。

しかし、住所が異なる場合には注意が必要です。最後の住所の一つ前の住所であれば、住民票の除票に「前住所の表記」で確認をすることができます。

しかし、それより前の住所が登記簿に記録されている場合、住民票の除票が使えません。その場合は、戸籍の附票を使って特定していきます。

しかし、令和元年6月20日以前に廃棄された場合、「除票」も「戸籍の附票」も取得はできません。この場合、以下の方法で登記官に同一性を認めていただく必要があります。


 ①権利証(登記済証)

権利証は、不動産に権利があることを証明する書類だからです。通常、相続登記では権利証を提出する必要はありません。

相続は、相続の発生という事実の発生によって登記申請をします。不動産の持ち主は死亡した被相続人なので意思確認をしたくてもできません。

ですので、不動産の持ち主の意思を確認する必要がなく、権利証を用意する必要がないのです。

権利証を提出不要にする代わりに、事実の発生を証明する戸籍謄本等を提出する必要があります。

被相続人の住所の移り変わりを証明することができない場合、権利証を提出して登記簿に書いてある人であると証明することができます。

被相続人の権利証を提出した場合、被相続人の住所の移り変わりを証明していませんが、権利者であると証明したことになります。


 ➁上申書

権利証は紛失しても再発行されません。通常は大切に保管して簡単に人目にさらしたりしないものですが、相続など大切な場面で見つけることができなくなることは多々あります。

被相続人が保管していた場合、保管場所を共有していない家族が見つけられなくなるのです。権利証が見つけられない場合、権利証を提出して権利者であることを証明することはできません。

権利証を提出することができない場合、相続人全員からの印鑑証明書付き上申書を提出します。

上申書は「不動産の所有者は被相続人に間違いありません」という法務局宛てのお願いです。相続人全員とは、遺産分割協議に参加するべき人全員です。

その財産を相続する人だけではありませんので、注意が必要です。

その財産を受け取らないけど他の財産を相続する人など遺産分割協議に参加するべき人全員から上申書を提出します。

遺産分割協議に参加するべき人全員が、実印で押印し印鑑証明書を添付します。印鑑証明書について期間制限はないので、古いものでも差し支えありません。


法務局によっては、上申書の他に不在住証明書や不在籍証明書が必要になります。固定資産税の納税証明書の提出が求められる場合があります。

固定資産税は、一般的に所有者が負担するものだからです。固定資産税を負担していた場合、所有者であったと認めてもらいやすくなります。

住所がつながらない場合などイレギュラーな場合の取り扱いは、管轄の法務局によって異なる場合があります。必ず、管轄法務局に確認をするようにしてください。


③被相続人の本籍と登記上の住所が一致する場合は住民票の除票は不要

 本籍地と登記上の住所が一致する場合、法務局は同一人物と認めてくれます。あらためて、住民票の除票を提出する必要はありません。


3.まとめ


このように、相続登記を長年放置した場合、相続登記に必要な書類がすでに廃棄されているケースが少なくありません。

令和6年4月1日から相続登記義務化が始まります。アイリスでは、予約制で、相続登記のご相談を無料で受け付けております。

また、月に一度「相続法律・税務無料相談会」を実施しております。相続登記、相続税についてお悩みの方は、是非ご活用ください。


令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の過料の要件)

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の過料の要件)


2024年4月1日より始まる相続登記義務化について、法務省よりその過料の運用方針が示されました。相続登記義務に違反した場合の過料の運用方法や、免れるための「正当な事由」について解説します。


目次

1.はじめに

2.相続登記義務化による過料の要件

3.相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン

4.①過料通知およびこれに先立つ催告

5.➁登記官による相続登記の義務化に違反したものの把握方法

6.③「正当な理由」があると認められる場合

7.まとめ


1.はじめに


 2024年4月1日より相続登記義務化がスタートします。

不動産を取得した相続人に、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請を義務化するものであり、正当な理由がないのに申請を怠ると10万円以下の過料の可能性があります。

今回の解説は、2023年3月23日、法務省が過料の運用方針を発表しましたので、その内容となります。


2.相続登記義務化による過料の要件


 相続登記義務化により、以下の2つの要件を満たす必要があります。


 ①「相続等により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならない。」

 ➁「遺産分割により不動産を取得した相続人についても、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請しなければならない。」


 ※①で法定相続分で登記を入れた共有状態で、その後遺産分割により当該相続人の一人に相続させ、移転登記をする場合でも、遺産分割から3年間以内にその登記をしなければならないということになります。


 正当な理由がないのに、①又は➁の申請を怠ったときは、10万円以下の過料の適用多少になります。


3.相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン


 2023年3月23日、法務省が、相続登記義務化に際して、予定している運用上の取扱い等を「相続登記の申請義務化に向けたマスタープラン」として発表されました。

 相続登記の申請義務化の運用方針の決定したものであり、以下の内容があります。


 ①過料通知およびこれに先立つ催告

 ➁登記官による相続登記の義務化に違反したものの把握方法

 ③「正当な理由」があると認められる場合


が定められています。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続登記義務化の過料の要件)

4.①過料通知およびこれに先立つ催告


 相続登記を怠っている者を登記官が把握し、まず、法務局から当該相続人に対し催告が(相続登記を促す手紙)なされます。これに応じて相続登記をした場合は、「過料事件」の裁判所への通知はされません。

 しかし、催告があっても相続登記をしなかった場合、法務局から裁判所へ過料事件の通知がなされます。そして、裁判所で要件に該当するか否かを判断して、過料を科する旨の裁判することになります。


5.➁登記官による相続登記の義務化に違反したものの把握方法


 登記官が登記審査の過程等で把握した情報により行うこととなります。


 ➁―1相続人が遺言書を添付して遺言内容に基づき特定の不動産の所有権の移転の登記を申請した場合において、当該遺言書に他の不動産の所有権に浮いても当該相続人に遺贈し、又は承継させる旨が記載されていたとき

 ➁―2相続人が遺産分割協議書を添付して協議の内容に基づき特定の不動産を所有権の移転の登記を申請した場合において、当該遺産分割協議書に他の不動産の所有権についても当該相続人が取得する旨の記載がされていたとき


 ※つまり、相続登記申請時に添付する「遺言書」「遺産分割協議書」に他の不動産の帰属先が記載されていた場合に、それを参考にして判断するということを言っています。


6.③「正当な理由」があると認められる場合


 ③―1数次相続が発生して相続人が極めて多数に上がり、かつ、戸籍関係書類の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合


 ③―2遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているために不動産の帰属主体が明らかにならない場合


 ③―3相続登記の申請義務を負う者自身に重病等の事情がある場合


 ③―4相続登記の申請義務を負う者がDV被害者等であり、その生命・身体に危害が及ぶ恐れがある状態にあって避難を余儀なくされている場合


 ③―5相続登記の申請義務を負う者が経済的に困窮しているために登記に要する費用を負担する能力がない場合


 ※正当な理由の判断について、これらの場合に限定されないということです。


7.まとめ


相続登記等により不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。

また、遺産分割により不動産を取得した相続人についても、遺産分割の日から3年以内に、相続登記を申請しなければなりません。

これらの義務を怠った場合には、10万円以下の過料の適用対象になります。

登記官の催告に応じて相続登記を申請すれば過料事件とはなりません。

相続登記の申請義務化は、2024年4月1日から施行されますので、正当な理由がない場合、早めの相続登記の申請をお願いいたします。

詳しくは司法書士までご相談ください。

アイリスでは、無料相談を随時受け付けております。まずは、ご予約をお願いいたします。


令和6年4月1日相続登記義務化

相続登記義務化

令和6年4月1日より始まる相続登記義務化ですが、「義務化」の文字で漠然と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、相続登記をすれば問題ありません。ただし、「義務化」により罰則である10万円以下の過料もあります。長年放置していた相続登記も義務化には含まれます。早めの対応をしていただくために解説をいたします。


目次

1.はじめに

2.改正前の相続登記について

3.相続登記義務化の内容について

4.相続人申告登記について

5.過去の相続については?

6.相続登記に係る実費

7.まとめ(司法書士への報酬等)

1.はじめに

 2024年(令和6年)4月1日に、相続登記が義務化されます。不動産を相続したことを知ったときから、3年以内に相続登記をしなければ、「10万円以下の過料」が科せられます。


 また、2026年4月までに、「住所や氏名の変更」があったときも、2年以内に変更登記をしなければ、「5万円以下の過料」を課せられます。(法務局2022年12月27日発表では、施行日は今後決定されます。)


というのが概要です。


2.改正前の相続登記について

 改正前だと相続登記は義務ではありませんでした。このため、相続登記が放置され何世代にもわたり相続が発生した場合、相続人の人数が増え特定するために相当の時間を費やす、もしくは特定できないといった状態が発生しています。この状態になりますと、不動産を処分や管理しようと思っても、それができないといったことが発生してしまうことになります。


3.相続登記義務化の内容について

 相続登記が実施できていない不動産について相続登記を推進するために今回の改正となりました。


 「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記」となっています。


  相続人に対する遺贈・相続させる旨の遺言がある場合でも同様に3年以内に相続登記をしなければ過料の対象となります。


  また、遺産分割協議がまとまっていなくても、法定相続分での登記が必要となりますが、この場合、法定相続分による相続登記を免れる方法がありますので、次に述べます。

4.相続人申告登記について

 「相続人申告登記」とは、登記官に対し、「所有権の登記名義人について相続が開始した旨」 もしくは「自らが当該所有権の登記名義人の相 続人である旨」を申し出ることにより、登記官 が職権で当該申し出をした者の氏名および住所 等を所有権の登記に付記する制度です。

 実際に、相続人申告登記をした場合の登記簿では、以下のように表示されることになります。

この制度は、相続人のうち一人が相続人申告登記をした場合であっても、その効果は他の相続人にまで及びません。よって、一人ずつ申し出をする必要があります。相続人のうちの一人が相続人申告登記をすれば、他の相続人についても、あわせて「申出がされたものとみなすべきでは」、と議論はされたようですが、詳細な戸籍謄本等の提出は求めず、申し出をした人の氏名、住所等を付記するにとどめる簡単な制度にするという制度趣旨から、個人単位での申出が必要になりました。ただし、他の相続人から委任を受け、代理人として代表者1名が全ての相続人全員分の申し出を行うことは可能です。この申し出につきましては、法務局に収める申請費用はかかりません。


 この申出により、相続を原因とする所有権移転登記を申請する義務を履行したものと見なされます。しかし、この状態のままでは、当該不動産を売買で処分することはできませんので、注意が必要です。最終的には、遺産分割協議を経て、当該不動産の所有者を確定させて後に相続登記をすることが必要になってきます。


5.過去の相続については?

 相続相談で、すでに相続が発生しているものについてのご質問がよくありますのでご説明いたします。


 結論から言いますと、「過去の発生した相続についても今回の改正は適用」になります。


「(附則案 経過措置)第五条六項 新不動産登記方第七六条の二の規定は、第二号施行期日前に所有権の登記名義人について相続の開始があった場合についても、適用する。(以下省略)」


「(附則 経過措置)第五条六項 施行日前に所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は①自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日②施行日のいずれか遅い日から3年以内に所有権の移転の登記を申請しなければならない」


 つまり、相続登記義務化前に、すでに相続が発生し相続による名義変更の登記をしていない不動産についても、施行日(2024年4月1日)から3年以内に相続登記をする義務が発生することになります。


6.相続登記に係る実費

 ①登録免許税


  登記する際に、不動産の評価額の1000分の4の収入印紙をが必要です。


 ➁登記情報閲覧


  システムから、現状の登記簿の内容を確認します。不動産の数×332円


 ③登記事項証明書


  登記完了後、取得して変更を確認します。不動産の数×600円


 ④戸籍謄本・住民票等


  役所に支払います。価格は役所により異なります。(金額は香川県高松市役所の場合)


※郵送で取得する場合、定額小為替で請求いたしますので、発行手数料1枚200円及び郵送費用(レターパック520円×2※1役所に対し)が必要となります。


 ➄公図、名寄帳


  相続対象の不動産に漏れがないかを確認するために取得することがあります。


  公図 1枚664円(システムから司法書士が取得)、名寄帳(役所で取得) 1通350円(高松市役所)


 ⑥評価証明書


  相続登記をするための登録免許税の計算のために評価額を使用します。


  評価証明書(役所で取得) 1通350円(高松市役所)

7.まとめ


 2024年4月1日から相続登記が義務化になり、相続登記を怠った者には、10万円以下の過料に処されます。遺産分割協議が長引くなどの理由がある場合には、「相続人申告登記制度」を利用して、3年以内の相続登記義務を回避することはできますが、そのままでは処分等ができないため最終的には遺産分割協議を経て(または法定相続分の共有で)相続登記をすることになります。

生前贈与(親から未成年者への贈与契約)

生前贈与(親から未成年者への贈与契約)

法上、未成年者は制限行為能力者という扱いになっております。未成年者へ生前贈与として不動産を贈与契約することは可能なのか?という点が問題になってくると思われます。贈与契約はどのようにすればいいのか、そして、不動産登記の際に未成年者を権利者として名義変更をすることができるのかについてお話をしていきたいと思います。


目次

1.未成年者への贈与契約はできるのか

2.贈与契約書は作成しなければならないのか

3.名義を変更する登記の際に必要な書類

4.まとめ


1.未成年者への贈与契約はできるのか

細かい点にはなるのですが、「贈与」と「贈与契約」は法律上別物です。

贈与とは、贈与者が一方的に財産を譲渡するものであり、受贈者の合意、承諾などは不要です。

これに対し、贈与契約とは、贈与者が贈与することを約束し、受贈者がこれに合意することによって成立します。

贈与契約には、受け取る側にも「意思表示」が必要となります。しかし、民法上未成年者は制限行為能力者なので親権者の同意が必要となります。

未成年者の意思表示については、親権者である法定代理人が同意することで贈与契約も可能になるということです。

2.贈与契約書は作成しなければならないのか

未成年者でも贈与契約はできることは先にもお話をしました。

贈与は、贈与者の「あげます」という意思表示に対し、受贈者の「もらいます」という意思表示が合致すれば成立する契約だからです。

最低限このことが理解できる年齢であれば、契約自体は成立します。

しかし、親権者の同意を得るか、親権者を代理として契約を結ばなければ後から親権者によって贈与契約が取り消される可能性があります

そのため、契約書を交わす際は、親権者の署名押印も要れた方がいいでしょう。未成年者が署名できるなら署名押印し、それに加えて親権者も署名押印します

 意思表示の合致だけでは、親権者代理人の意思がわかりません。

また、生前贈与の場合は、贈与者の死後、相続人間でトラブルが起こることや、税務署から本当に贈与がされたか、もしくは譲渡されたのが本当に贈与によるものかについて指摘を受ける可能性があるので、このようなリスクを回避するためにも、契約書を交わしておくことが大切です。


3.名義を変更する登記の際に必要な書類


さて、贈与契約書まで作成できましたら、次は登記の手続きが必要です。贈与を原因とする所有権移転登記を申請することになります。


通常の贈与による所有権移転登記の添付書類は


①贈与者(譲渡人)に必要な書類

  ㋐利証書(登記済証又は登記識別情報)

  ㋑印鑑証明書(有効期限3か月)

  ㋒固定資産税評価証明書等の評価額がわかる書類

  ㋓実印

  ㋔身分証明書(運転免許証・パスポート) 本人確認資料のため


以上が基本的な必要書類です。また住所変更・氏名変更がある方は、その変更登記が事前に必要となるため、住民票・戸籍の附票・戸籍謄本等が必要になります。また、事案によっては上記以外の書類等が必要になる場合があります。


②贈与を受けられる方に必要な書類

  ㋐住民票

  ㋑印鑑(認印でも可能です)

  ㋒身分証明書(運転免許証・パスポート) 本人確認資料のため


 未成年者に贈与する場合は、契約は未成年者の親権者だけでなく、未成年者自身が締結できますが、登記申請においては、親権者が未成年者に代わって申請する事が一般的です。

この場合通常の必要書類に加えて、以下の書類が必要となってきます。


➁贈与を受けられる方に必要な書類(受贈者が未成年である場合の追加資料)

  ㋓親権者と未成年者の親子関係が分かる戸籍謄本(有効期限3か月)

  ㋔親権者及び未成年者の本籍地入りの住民票


基本的に、親権者の戸籍謄本及び本籍地入りの住民票(家族全員)を取得すれば良いと思われます。なお上記㋓にも記載していますが、戸籍謄本には3か月以内の有効期限がありますので、ご注意ください。


4.まとめ


親から未成年の子への贈与をする場合、贈与を原因とする所有権移転登記をする場合、通常の贈与による所有権移転登記に必要な添付書類に加えて、親子関係がわかる戸籍謄本(3か月以内のもの)と親権者及び未成年者の本籍入りの住民票が必要になります。

また、重要な点としては、「贈与税」が発生する場合があるという点です。税金につきましては、税理士先生への相談が必要となります。

アイリスでは、ワンストップで法律上の問題と税務上の問題を解決すべく「法律・税務無料相談会」を定期的に開催しております。ぜひご活用ください。


令和6年4月1日相続登記義務化(相続放棄について)

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

相続放棄は、家庭裁判所の手続きを踏まなければ効力を生じません。相談会などで「他の相続人は皆、放棄したから私が相続することになります。」とおっしゃる方がいますが、単に相続人間の決め事なのか、家庭裁判所の手続きを経た相続放棄なのかわからない場合がよくあります。相続放棄の手続きなどについて、お話をしたいと思います。


目次

1.相続放棄をする場面

2.相続放棄の手続きと注意点

3.相続放棄手続きに必要な書類など

4.まとめ

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

1.相続放棄をする場面


 相続放棄は、ある財産や遺産を受け継ぐ権利を放棄することを指します。相続放棄を選択する理由はさまざまで、負債や相続税の問題、家族関係の複雑さなどが挙げられます。相続を放棄すれば、法的にはその財産を受け継ぐ資格(初めから相続人ではなかったことになる)を失います。


 ここでは、被相続人(亡くなった方)に多額の借金がある場合を考えていきます。

2.相続放棄の手続きと注意点


 亡くなった方に借金があった場合、相続を知ったときから3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることになります。


 相続放棄を進めていくうえで、第1に注意すべき点は、「被相続人の財産の処分をしないこと」です。被相続人の財産の処分をできるのは、相続人だけです。つまり、被相続人の財産を処分する行為は、自らが相続人であることを認める行為となります。財産の処分行為はいろいろあるのですが、「相続人間の遺産分割協議に参加して、署名押印をした場合」が該当します。この遺産分割協議で、財産をもらわなかったから、相続放棄をしたとおっしゃる方もいますが、それは相続放棄ではありません。それどころか、自らの法定相続分を処分しているわけですから、相続放棄はできない状態になってしまいます。相続放棄の手続きで得られる効果は、初めから相続人ではなかったことになるので、財産も負債も放棄したことになります。遺産分割協議で財産をもらわなかったとしても、借金の債権者にとっては関係のない話になるのです。以前、形見のロレックスの時計を財産目録に入れていなかったばかりに、相続放棄をできなくなったという事例を聞いたことがあります。遺産の処分行為については、特に注意が必要です。この場合、「みなし単純相続」とされてしまいます。


 第2に、相続放棄の申述期間である3か月を超過しないことです。借金が多き被相続人の場合には特に重要となります。相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に行う必要があります。


この期間を熟慮期間といいますが、熟慮期間については判例上(最判昭和59年4月27日)以下のとおり考えられています。


「原則として、相続人が相続開始の原因たる事実及びこれにより自己が法律上相続人となつた事実を知つた時から起算する。


ただし、相続人が、上記事実を知つた時から3か月以内に相続放棄をしなかつたのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があつて、相続人においてこのように信ずるについて相当な理由があると認められるときには、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算する。」とあります。


 つまり、自らが相続人であることと、その相続で自身に相続財産が存在していたことの認識の2点がそろったタイミングが起算点(相続放棄の3か月の計算の開始点)とされています。が、死亡から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄申述書を提出す他方が望ましいです。(安全のため)


 加えて、相続人の順位があります。第1順位 子供、第2順位 直系尊属(親)、第3順位 兄弟姉妹 となっております。先順位の相続人が全員相続放棄をした場合、字順位の相続人が相続放棄ができる期間は「先順位の相続人が相続放棄をしたために相続人をなった場合、その相続放棄をしてから3か月」となります。


 第3に、相続放棄した後も「相続財産を隠す」「相続財産を勝手に消費する」もしてはいけません。せっかく取得できた相続放棄も取り消される可能性があるためです。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

3.相続放棄手続きに必要な書類など

 家庭裁判所に相続放棄申述書を提出する場合の注意点。

 ①管轄の家庭裁判所:亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所

 ➁印紙、郵券:収入印紙800円、郵券とは切手のことです。裁判所ごとに異なります。高松家庭裁判所での相続放棄手続では、84円切手が2枚と、10円切手が1枚(合計178円分)が必要です。

 ③相続放棄申述受理証明書発行手数料の印紙:1通につき150円分必要です。

 ④配偶者や子が相続放棄する場合の必要書類


  (1)申述人の戸籍謄本


  (2)被相続人の住民票の除票(戸籍の附票)


  (3)被相続人の死亡の旨の記載のある戸籍謄本

  (4)※代襲相続人の場合 被代襲者(本来の相続人)の死亡の胸の記載のある戸籍謄本


 ※配偶者・子以外の相続人が相続放棄をする場合の書類につきましては専門家にご相談ください。


4.まとめ

 相続放棄の注意点や、相続放棄申述の手続きについて解説をしてきました。被相続人の借金が多い場合には、相続放棄申述の手続きを必ず相続発生から3か月以内にすることが必要です。よくわからない場合には、専門家にご相談ください。



変わる生前贈与(暦年贈与と相続時精算課税)

変わる生前贈与(暦年贈与と相続時精算課税)

相続税対策として一般的だった「暦年贈与」と「相続時精算課税」について、令和6年1月1日より、大きく変わるそうです。同じ「110万円」というキーワードでも、制度が全く異なってきます。令和6年1月1日より先日、セミナーで伺った内容についてまとめてみました。詳しい内容につきましては、税理士にご確認ください。アイリスでは、香川県内の方を対象に、相続税無料相談会へのご案内をしております。ぜひご利用ください。

目次

1.暦年贈与と相続時精算課税

2.令和6年1月1日以降何が変わったのか

3.同じ「110万円控除」だが、意味が異なる

4.まとめ

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

1.暦年贈与と相続時精算課税(令和5年12月31日までの取り扱い)


 暦年贈与(れきねんぞうよ)とは、年間贈与額から基礎控除額「110万円」を使い、相続発生時まで贈与を毎年重ねて総ぞ億財産を目減りさせていく相続税対策です。基本、贈与者、受贈者の要件はなく、誰でも使えます。現状では相続人への贈与について、相続発生前3年分の贈与は、相続財産に組み戻されます。


 相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)とは、60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫に財産を贈与した場合、贈与者の生涯において2500万円を特別控除として、相続発生時にこの2500万円を相続財産に全額組み込む仕組みの制度です。特徴として、この暦年贈与精算課税制度を選択した場合、税務署への届出が生じ、暦年贈与との併用は禁止されていますので、途中で暦年贈与に変更できなくなります。


 上記を見てわかるように、今までは圧倒的に暦年贈与の利用が一般的でした。なぜなら、暦年贈与制度は、毎年の控除額110万円は、組み戻される財産以外は控除されたままの状態となるためです。相続時精算課税は、2500万円の枠で使った額がそのまま組み戻されますので、暦年贈与制度の利用が多かったのもうなづけます。


2.令和6年1月1日以降何が変わったのか

ところが、令和6年1月1日より、暦年贈与・相続時精算課税の取り扱いが変わります。

 改正される内容は、以下の通りです。


①暦年贈与制度

 暦年贈与制度の内容自体は変わらないのですが、組み戻される期間が、現状の3年から7年に拡大いたします。何が問題なのかと言いますと、今まで相続税対策で、毎年少しづつ暦年贈与制度を使い、財産を目減りさせることで相続税っ対策としていたましたが、期間が拡大したことで贈与期間が短いと、対策した財産全てが相続財産に組み入れられてしまう点です。対策を始めてから7年以上かけないと、意味がなくなってしまうというわけです。


➁相続時精算課税

 (令和5年12月31日までに計算式)


  {(受贈財産の価額)-(特別控除額2500万円※生涯通算)}×税率


 (令和6年1月1日以降の計算式)


  {(受贈財産の価額)-(毎年基礎控除110万円)


            ―(特別控除額2500万円※生涯通算)}×税率

 新しい相続時精算課税制度を選択した場合、毎年の基礎控除110万円分が相続税対策として効力が出てくるというものになっています。


 ※ただし、現状ではその取扱いは明確ではありません。今後、通達等で取り扱いが明確になってくると思われますので、本制度をご利用の際は、税理士に事前に確認をするようにしてください。


3.同じ「110万円控除」だが、意味が異なる

 キーワードとして「110万円の基礎控除」とありますが、暦年贈与でも、相続時精算課税制度でも出てきます。単純に、110万円の基礎控除を使って相続税対策と言っても、どちらの制度のものか理解していないと、効果が出ないということも考えられます。


 セミナーの中で講師の方が言っていたのが、「同じ110万円の控除でも、7年以上生きないと使えない暦年贈与制度の110万円控除と、節税効果抜群の相続時精算課税制度の110万円控除」という表現をされていました。


 また、講師からの注意事項として、税務署は暦年贈与制度を廃止したいと考えており、相続時精算課税制度への移行を促している傾向が見受けられますが、今後、今の暦年贈与制度のように大きく変更される可能性もあり得るとのこと。ご存知の通り相続時精算課税制度は一端選択してしまうと、暦年贈与制度は利用できなくなりますので、慎重に判断をする必要があるとのことです。


4.まとめ


(まとめ画像)

認知症対策(任意後見契約と家族信託契約)

認知症対策(任意後見契約と家族信託契約)

認知症対策として、「任意後見契約」と「家族信託契約」があります。先の家族信託万能論の罠でも解説している通り、同じ「財産管理」であっても、その内容は大きく異なります。こんな筈ではなかったとならないために、比較解説していきます。

目次

1.はじめに

2.「任意後見制度」と「家族信託」の違い

3.結局どちらの制度がいいのか?

4.まとめ


1.はじめに

認知症対策として「任意後見制度」と「家族信託」という2つの制度があります。

「どちらの制度がいいの?」、認知症対策相談の時、相談者様からよく質問を受けます。どちらの制度も一長一短があります。

制度の内容を要理解せずに、表面的なメリットのみとらえて選択してしまうと、「こんなはずではなかった。」ということにもなりかねません。内容をよく理解した上で選択することが重要になります。

なぜなら、この2つの制度は、性質が異なるものだからです。ご家族の置かれた状況からどちらの制度を選択すればよいか見えてくると思います。それでは解説してまいります。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

2.「任意後見制度」と「家族信託」の違い

 (事例)母は既に亡くなっており、父親が最近少し物忘れが多くなってきており、長男夫婦と次男夫婦がいる事例で見ていきます。

このような事例で、長男が「財産管理」をしていきたい場合を考えていきます。

 ※父親に判断能力がまだあることが前提条件となります。すでに判断能力を失われている場合には、法定の成年後見制度を利用することになります。


 ※2つの制度共に詐欺被害などにあった場合の「取消権」がないので対応はできません。法定の成年後見制度にはありますので、ここでも選択の判断が分かれます。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

3.結局どちらの制度がいいのか?

事例から見ますと、父親に「身上監護まで必要」であるなら任意後見制度を利用し、必要なければ「家族信託」という選択になります。

しかし、家族信託のみで対応していたがために、父親の認知症が進み、要介護認定の申請手続きや、介護施設への入所契約など発生した場合、「法定の成年後見制度」を利用しなければならなくなります。

そこで、大きな財産については「家族信託」で財産管理をして、それ以外の財産と身上監護を「任意後見制度」を併用する方法もあります。

また、併用だとコスト面で大きくなるのであれば、どちらがいいのかの選択が必要となってきます。この場合は、ご家族でよく話し合ったうえで決めていただきます。


4.まとめ


 ①積極的な財産管理を行いたいのであれば「家族信託」

 ➁身上監護が必要なら「任意後見」

 ③裁判所の関与を避けたいのであれば、「家族信託」

 ④どちらの制度もご要望になじむのであれば、費用で比較する


「任意後見制度」も「家族信託」もどちらかを選択すれば完ぺきといった制度ではありません。

それぞれの制度の趣旨が異なるためです。どちらもご要望に馴染まない場合がありますので、制度をよく理解して決めなければなりません。

専門家と相談しながら進めていくのがいいと思います。


生前の相続対策(遺言書作成)

生前の相続対策(遺言書作成)

最近の相談者の年齢と希望するサービスの内容について、いろいろと考えることがあります。ライフステージごとに、できること・しなければならないことをまとめてみました。そして、遺言書を積極的に考える理由についても解説しています。

目次

1.早めの遺言書作成(健康年齢と認知症)

2.遺言書を作成する意味

3.相続財産が相続人に帰属するタイミング

 3-1.遺言書がある場合

 3-2.遺言書がない場合

4.遺産分割協議でもめてしまうことも

                                                                                                                      5.まとめ

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

1.早めの遺言書作成(健康年齢と認知症)


 早めに遺言書を作成することのメリット


遺言書は、健康な状態で作成することが望ましいです。一度病気になってしまうと、判断力が低下したり、医療処置によって精神状態が変化する可能性があります。早めに遺言書を作成することで、自分の望む財産分配方法を明確にし、遺言執行者の指名や葬儀の方法なども記載することができます。


 ご高齢の相談者様の中には、遺言書の手続きについて説明すると「そんなに大変なら、考えます。」と言って、相談を打ち切られる場合がよくありますが、健康で元気である間に、遺言書を作成することが重要になってきます。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

また、遺産分割に関するトラブルは、遺言書がない場合、法律上の相続人の割合に従って分割されますが、これが家族や親族間での紛争を引き起こすことがあります。早めに遺言書を作成することで、財産の帰属先が宙に浮くことを未然に防ぐことができます。相続人間の争いについては、遺言書があってもなくても、起こるときは起こりますし、起こらないときは起こりません。家族間のコミュニケーションや、相続発生後の手続きの煩雑さなどから見ても、遺言書があるおかげで、ずいぶん軽く済んだケースを多く見てきました。


※ご本人の状態により、使える法律行為や制度が異なる点にもご注意ください。特に認知症発症後は、法定後見制度一択になります。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

2.遺言書を作成する意味


 遺言書を作成することで、家族や親族間でのトラブルを防ぐこともできます。遺言書がない場合、相続財産は法定相続分に従って、それぞれの相続人の持ち分となりますが、不動産のように物理的に分けられないものも存在します。不動産を取得したがために、現金が手に入らず生活に困窮する相続人が発生したのでは、具合が悪いことになってしまいます。

 また、相続関係が複雑で、専門家に調査を依頼しなければわからないケースも何度も見てきました。

 そこで、遺言書を書いておくことで、相続財産の帰属先を相続発生時に決めることができます。


3.相続財産が相続人に帰属するタイミング

 3-1.遺言書がある場合


  遺言者(亡くなった方)の遺志に従って、財産の帰属先が決定します。


 3-2.遺言書がない場合

  相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を取りまとめることで、相続財産の帰属先が決まります。つまり、遺産分割協議がまとまるまでは、法定相続分での状態になってしまうということです。

※遺留分の問題があるから遺言書は進めないという方もいらっしゃるようですが、相続発生時の相続財産の帰属先は一端は決まる点がメリットだと考えますので、アイリスでは遺言書の作成についてお勧めをしております。


4.遺産分割協議でもめてしまうことも

 遺言書がなく亡くなられた被相続人の相続人全員で遺産分割協議をする場合、もめるケースがあります。一旦もめてしまうとなかなか遺産分割協議がまとまらなくなります。

 こうなった場合には、遺産分割調停を家庭裁判所に申し立てることになります。それでもまとまらない場合には、家庭裁判所による審判で遺産分割を決定することとなります。

 ここまで行ってしまいますと、家族関係は完全に悪くなってしまいます。一度悪くなった家族関係は、もう元には戻らないでしょう。このようなことからも、遺言書作成の意義は、とても大きいと考えます。


5.まとめ

 最後に、遺言書は遺言者の意志を尊重するものであるため、遺言者自身が最も納得できる内容を記載することが大切です。しかし、遺言書が法律に反する内容を含んでいる場合などは、遺言書は無効となることがあります。遺言書を作成する際には、法律に基づいた内容であるかどうか専門家に相談し、確認するようにしましょう。


アイリスからのご提案、健康年齢を考慮して「70歳を過ぎれば、遺言書の検討を」です。

相続土地国庫帰属制度の統計データ

相続土地国庫帰属制度の統計データ

法務省HPにて、令和5年12月28日に令和5年11月30日現在の「相続土地国庫帰属制度の統計」が出ていましたので、ご紹介いたします。令和5年4月27日に始まった制度ですが、負動産である土地を国に引き取ってもらい管理してもらう制度です。相続登記義務化と併せて、所有者不明土地発生の抑止のための制度となります。


目次

1.相続土地国庫帰属制度とは

2.令和5年11月30日現在の状況(速報値)

3.まとめ

1.相続土地国庫帰属制度とは


 2021年4月に成立した法律です。 相続又は遺贈によって土地の所有権を取得した者が、法務大臣の承認を受けて、その土地の所有権を手放して、国庫に帰属させることができる制度です。

 つまり、「相続した不要な土地の所有権を国に対して返すことができる制度」です。


 なんでもかんでも引き取ってくれるわけではなく、一定の要件があります。


 結論から言うと「抵当権等の設定や争いがなく、建物や樹木等がない更地」です。通常の管理や維持に必要以上の費用や労力を要する土地に関してはだめというわけです。


 それでは、具体的な該当してはいけない要件についてみていきましょう。


 ①建物がある土地


 ➁担保権又は使用収益及び収益を目的とする権利が設定されている土地


 ③通路など他人によって使用されている土地


 ④土壌汚染対策法に規定する特定有害物質で汚染されている土地


 ➄境界が明らかでない土地、その他所有権の存否、帰属や範囲に争いのある土地


 ⑥崖のある土地など、通常の管理にあたり過分の費用又は労力を要する土地


 ⑦工作物や樹木、車両が地上にある土地


 ⑧除去が必要なものが地下にある土地


 ⑨隣接する土地の所有者などと争訟をしなければ使えない土地


 ⑩その他、管理や処分をするにあたり過分の費用又は労力がかかる土地


 になります。建物や樹木、放置車などある場合、とりあえず撤去しなくてはいけません。


 上記10項目すべてに該当しなければ、晴れて本制度を利用することができるわけです。


2.令和5年11月30日現在の状況(速報値)

 ①申請件数 1349件


  (地目別)


    田・畑:522件


    宅地 :487件


    山林 :198件


    その他:142件


 ➁帰属件数 48件


  (種目別)


    宅地 :25件


    農用地:10件


    森林 : 2件


    その他:11件


③帰属土地が所在する都道府県

    北海道、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、


    富山県、福井県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、


    岡山県、広島県、徳島県、 香川県、愛媛県、佐賀県、熊本県、


    宮崎県、鹿児島県


 ④却下件数 0件


 ➄不承認件数 4件


 ⑥取下げ件数 92件


  ※ 取下げの原因の例


    ㋐自治体や国の機関による土地の有効活用が決定した


    ㋑隣接地所有者から土地の引き受けの申出があった


    ㋒農業委員会の調整等により農地として活用される見込みとなった


    ㋓審査の途中で却下、不承認相当であることが判明した


3.まとめ

制度発足から順調に推移しているように見えます。


 統計データから見えてくるのは、相続土地国庫帰属制度に申請しつつ、負動産の処分について、隣地所有者への処分や農業委員会の農地のあっせんなどにも登録をしておき、うまくいけば取下げをして、ダメなら審査を待っているように見えました。


 このように負動産の処分の選択肢が増えたことで、並行して処分方法を実施していくことが、早期の処分につながるものと考えます。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続対策の生命保険について)

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の生命保険について)

生命保険(契約者は亡くなった被相続人とする)は法律上では、相続財産を生命保険に切り替え、相続人の一人に受取人指定すれば、相続財産から外すことができます。一方、税務の面では、生命保険は「みなし相続財産」として取り扱われるため、控除枠(法定相続人×500万円)を除いた残りが相続財産となります。生命保険の活用は、比較的メジャーですので、注意点についてお話ししたいと思います。

目次

1.どんな生命保険が相続対策として活用できるのか

2.受取人は誰が一番いいのか

3.まとめ


1.どんな生命保険が相続対策として活用できるのか


 被相続人が保険金を支払っている契約者であり、保障の対象となる被保険者である場合、保険金の受取人が「妻」や「子」である(相続人)ときには、亡くなった場合にみなし相続財産の非課税枠を利用することができます。

 注意しないといけない点は、その生命保険の契約の内容です。若いころから入っている生命保険があると思われている方もいるかもしれませんが、多くの場合「定期付終身保険」の可能性があります。「定期付終身保険」とは、3000万円の保険金となっていても、100万円の終身保険(主契約)に2900万円の定期保険(特約)が組み合わされた保険で、一定の年齢を超えてから亡くなると主契約の100万円分しか受け取れない契約になっていて、非課税枠を十分に活用できない可能性があります。

 保険会社に現状の保険の契約内容を必ず確認しておくようにしましょう。

 これから契約をしようとしている方も、終身保険の金額と自身の推定相続人の数を把握して、税理士などの専門家と相談しながら進めるといいかもしれません。


2.受取人は誰が一番いいのか


 前提として「契約者」と「被保険者」が被相続人(夫)である場合のケースで考えていきます。※被保険者が妻(配偶者)の場合などにつきましては、複雑化しますので、税理士に確認をするようにしてください。


 ①配偶者(妻)を受取人とした場合

  配偶者は、必ず相続人にカウントされるため生命保険の非課税枠は当然使うことができます。しかし、相続税申告をする際に配偶者控除枠1億6千万円を使うことができるため有効活用できるかというと微妙かもしれません。


 ➁子供を受取人とした場合

  一番効果が出るケースです。


 ③孫を受取人とした場合

  子供が存命の場合、生命保険の非課税枠は利用できません。代襲相続や養子となっている場合では、非課税枠を利用できるケースもあります。

  厄介なのが、子供が存命で孫を受取人とした場合、相続税額2割が加えられて計算されるという仕組みが適用される場合があります。この辺につきましては、税理士にご相談ください。


3.まとめ


 生命保険を活用した相続対策を考える場合には、まずは、生命保険の契約内容について確認をすること。契約内容が主契約の終身保険の額ではなく、特約の額が多い場合には、相続税対策には効果が薄い場合があります。

 次に、受取人を誰にするのかという点。保険に加入する際に、妻が受取人でないことで文句を言うケースもあるようですので、なぜ妻(配偶者)にしないのかについては、専門家の税理士などを交えて、しっかりと事前に話し合いをしておく必要があると思います。



令和6年4月1日相続登記義務化(死亡保険金の取り扱い(法律・税務))

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料)死亡保険金の取り扱い(法律・税務))

相続が発生し、死亡保険金が受取人(相続人の一人)によって受け取られたときに、それは相続財産として遺産に含むものなのでしょうか。当然、相続人以外のどなたかに、死亡保険金の受取人とした場合には贈与税の対象に、また、亡くなった被相続人本人が受取人の場合には、相続財産として取り扱われることになります。今回は、相続人の一人が受取人に指定されていた場合について、法律面と税制面の両面から解説していきます。

目次

1.死亡保険金は相続財産に含まれるのか

2.死亡保険金が相続財産に含まれる場合

3.死亡保険金の税制面での取り扱い

4.まとめ


1.死亡保険金は相続財産に含まれるのか


 保険契約に基づき受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又は、これを行使して取得した死亡保険金は、民法903条第1項に規定する遺贈又は、贈与に係る財産には原則的には当たりません

 つまり、法律上、死亡保険金は、相続財産とはなりません。ですので、相続の生前対策として生命保険(死亡保険)が活用されるケースがあります。相続財産となりうる額の一部をを生命保険契約をすることで、目減りさせることができるためです。それでは、相続財産のほとんどを生命保険に切り替えても相続財産とはならないのかというと、そういうわけではありません。どのような基準があるのかを次の項目で解説をいたします。

令和6年4月1日相続登記義務化(相続分の修正(寄与分・特別寄与料))

2.死亡保険金が相続財産に含まれる場合


(最判平16.10.29)

「法律上、生命保険金は原則的には相続財産に該当しませんが、当該保険料が被相続人が生前に保険者に支払ったものであり、それにより保険金受取人である相続人に保険金請求権が発生することなどに鑑みると、保険金受取人である相続人とその他の相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし、到底是正することができないほどに著しいものであると評価すべき「特段の事情」が存する場合には、民法903条の類推適用により、当該保険金請求権を特別受益に準じて持戻しの対象となると解する。


 この「特段の事情」の有無の判断は以下のような点などの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断する。」とあります。


 それでは、判例で言っている特段の事情とはどういった内容なのでしょうか。


 ①保険金の額

 ➁保険金の額の遺産の総額に対する比率

 ③同居の有無

 ④被相続人の介護等に対する貢献の度合い


以上、4つの内容を考慮したうえで判断されます。➁の比率については、明確な基準はないですが、平成17年の判例では、遺産総額のほぼ全額(99%超)を保険金が占めており、また、平成18年の判例では61%を保険金が占めていて、相続とみなされました。

他の要件も加味されますので、50%を超える場合には注意しておいた方がいいかもしれません。


3.死亡保険金の税制面での取り扱い


「被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部または一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。

この死亡保険金の受取人が相続