橋本先生「アイリス国際司法書士事務所」WEBサイト: https://www.irisjs2021.com/
当事務所の無料法律相談会でおなじみ アイリス国際司法書士事務所 橋本 大輔 先生 のブログです。
令和6年4月1日から義務化された「相続登記」に関する話題を中心に、様々な角度から色々なお話をしてくださっています。

「まだ元気だから、認知症になってから考えればいい」
これは、生前対策を先送りにする際に、最も多く聞かれる言葉です。
しかし結論から言えば、認知症になってからでは、生前対策の選択肢はほとんど残っていません。判断能力が低下すると、遺言書の作成や不動産の処分、贈与といった行為は原則としてできなくなるからです。
この記事では、認知症後に"できなくなること"と、"今だからこそできる対策"を、司法書士の実務視点で解説します。
目次
1.「認知症になってから考えればいい」という誤解
2.なぜこの考え方が広まっているのか
3.認知症になると何ができなくなるのか
4.遺言書は認知症後に作れるのか
5.不動産・預貯金はどうなる?
6.成年後見制度という現実的な制約
7.実務で多い「もっと早く知っていれば」のケース
8.認知症になる前だからこそできる生前対策
9.よくある質問(FAQ)
10.まとめ
1. 「認知症になってから考えればいい」という誤解
多くの方が、生前対策を
「まだ先の話」
「その時になったら考えればいい」
と後回しにします。
しかし生前対策は、判断能力があることが前提です。
この前提が崩れると、できることは一気に制限されます。
2. なぜこの考え方が広まっているのか
この誤解が生まれやすい理由は次のとおりです。
・認知症の進行が徐々で実感しにくい
・家族が代わりに決められると思っている
・制度の違い(後見・信託)が分かりにくい
結果として、「その時考えればいい」と思ってしまいます。
3. 認知症になると何ができなくなるのか【要約ポイント】

判断能力が低下すると、原則として次のことができません。
・新しく遺言書を作る
・不動産を売却・贈与する
・預貯金を自由に動かす
・重要な契約を結ぶ
👉 これは家族であっても代わりにできないのが原則です。
4. 遺言書は認知症後に作れるのか
結論から言えば、ほとんどの場合できません。
遺言書は、
・内容を理解している
・自分の意思で決めている
ことが必要です。
認知症と診断されていると、後から無効になるリスクも高くなります。
5. 不動産・預貯金はどうなる?
認知症になると、次のような問題が起こります。
・不動産を売却できない
・空き家の管理だけが続く
・介護費用に充てられない
預貯金も、銀行が本人の判断能力を確認できない場合、自由に引き出せなくなることがあります。
6. 成年後見制度という現実的な制約
認知症後に残される選択肢は、多くの場合成年後見制度です。
成年後見制度の特徴
・家庭裁判所の管理下
・自由な財産処分は不可
・毎年の報告義務
👉 柔軟な対策ではなく、最後のセーフティネットと考えるべき制度です。
7. 実務で多い「もっと早く知っていれば」のケース
実務では、次のような声を多く聞きます。
「元気なうちに相談しておけば…」
「遺言だけでも作っておけば…」
「不動産の方針を決めておけば…」
👉 これらは、認知症になる前なら可能だったことです。
8. 認知症になる前だからこそできる生前対策【評価ポイント】
元気なうちであれば、次の選択肢があります。
・遺言書の作成
・任意後見契約
・家族信託
・財産管理委任契約
・家族との話し合い
👉 認知症対策は「早すぎる」ということはありません。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 認知症の初期でも遺言は書けますか?
A. 状況によりますが、慎重な判断が必要です。早めの対応が重要です。
Q. 家族がいれば後から何とかなりませんか?
A. 原則として家族でも自由にはできません。
Q. 何歳から考えるべきですか?
A. 判断能力に不安が出る前、60代前後から考える方が多いです。
10. まとめ【要約用】
認知症になってからでは生前対策はほぼできない
遺言・贈与・不動産処分は判断能力が前提
認知症後の選択肢は成年後見に限られがち
元気なうちの準備が最大の安心につながる
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「うちは家族仲が良いから、相続でもめるはずがない」
これは、生前対策のご相談で最も多く聞く言葉です。
しかし結論から言うと、家族が仲良しなほど、相続でもめるリスクは高くなる傾向があります。相続トラブルの原因は法律知識の不足ではなく、期待のズレや感情の行き違いにあるからです。(仲がいいからもめるのではなく、相続発生後、揉めないケースもありますが、一番大きいのが感情のもつれだと感じます。)
この記事では、なぜ"仲の良い家族"ほど相続トラブルが起きやすいのか、そしてそれを防ぐために生前に何をすべきかを、司法書士の実務経験をもとに解説します。
目次
1.「家族が仲良しなら大丈夫」という誤解
2.なぜこの誤解がとても危険なのか
3.相続トラブルの本当の原因は「感情」
4.仲が良い家族ほど起きやすい3つのズレ
5.実際に多い「仲良し家族」の相続トラブル例
6.遺言書があってももめる理由
7.生前にやっておくべき本当の対策
8.家族関係を壊さない生前対策の考え方
9.よくある質問(FAQ)
10.まとめ
1. 「家族が仲良しなら大丈夫」という誤解
相続の話になると、多くの方がこうおっしゃいます。
「兄弟仲はいいから問題ない」
「子どもたちは話し合える」
「今までもトラブルはなかった」
しかし、相続が初めて"大きなお金と不動産の話"になる場面である家庭は非常に多く、
それまで表に出てこなかった不満や思いが一気に噴き出します。
2. なぜこの誤解がとても危険なのか
「仲が良い」という理由で生前対策をしないと、次のような状態になります。
・親の意向を誰も正確に知らない(親の移行が独り歩きする)
・それぞれが「こうなるはず」と思っている(親の思惑と家族の思惑のずれ)
・お金の話を避けてきた
👉 この"あいまいさ"こそが、相続トラブルの最大原因です。
3. 相続トラブルの本当の原因は「感情」【要約ポイント】
相続トラブルの多くは、法律の問題ではありません。
・不公平だと感じた
・自分の貢献が評価されていない
・親の本音を知らされていなかった
👉 感情の問題は、法律だけでは解決できないのです。
4. 仲が良い家族ほど起きやすい3つのズレ
① 期待のズレ
「自分は長男だから多いはず」
「介護したから多くもらえると思っていた」
② 情報のズレ
親の考えを聞いていない
財産の全体像を知らない
③ 立場のズレ
同居していた子
県外に住んでいた子
👉 このズレが、相続時に一気に表面化します。
5. 実際に多い「仲良し家族」の相続トラブル例
【事例】
生前は兄弟仲が良く、親も「うちは大丈夫」と言っていた家庭。
相続発生後、不動産をどうするかで意見が対立。
住み続けたい兄
売却して分けたい弟
結果、話し合いはこじれ、数年間不動産が放置されてしまいました。
👉 生前に方向性を決めていれば、防げたケースです。
6. 遺言書があってももめる理由
遺言書があっても、次のような問題は残ります。
・なぜその分け方なのか分からない
・感情的に納得できない
・介護負担が考慮されていない
👉 遺言書は「結論」は示せても、「気持ちの調整」はできません。
7. 生前にやっておくべき本当の対策
実務で効果が高いのは、次の3点です。
① 親の考えを言葉にする
② 家族で共有する
③ 必要に応じて制度で形にする
これにより、
誤解
思い込み
不公平感
を大きく減らすことができます。
8. 家族関係を壊さない生前対策の考え方
生前対策は、
**「家族を疑うため」ではなく、「家族を守るため」**に行います。
・話し合いは早めに
・一度で決めなくていい
・いきなり本題でなく、今までの経緯や思い入れから話をする
👉 仲が良い家族ほど、生前対策の効果は大きくなります。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 本当に仲が良くてももめるのですか?
A. はい。実務上、最も多いのが「仲が良かった家族」です。
Q. 話し合いをすると逆にもめませんか?
A. 正しい進め方をすれば、むしろ安心材料になります。
Q. 何から始めればいいですか?
A. まずは財産と家族関係の整理からで十分です。
10. まとめ【要約用】
・家族仲が良い=相続でもめない、は誤解
・相続トラブルの原因は感情と期待のズレ
・遺言書だけでは解決できない
・生前の話し合いと整理が最大の予防策
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「とりあえず遺言書だけ書いておけば安心」
これは、生前対策について非常に多い誤解です。
結論から言えば、遺言書は相続対策の重要な手段ですが、万能ではありません。遺言書で対応できるのは、主に「亡くなった後の分け方」です。一方で、認知症になった後の財産管理や、生前の家族間トラブル、感情的な対立までは解決できません。
この記事では、遺言書の限界と、実務で本当に必要とされる生前対策の考え方を解説します。
目次
1.「遺言書さえあれば安心」という誤解
2.なぜ遺言書が"万能"だと思われがちなのか
3.遺言書でできること・できないこと【整理】
4.遺言書では防げない3つの現実的リスク
5.認知症になると遺言書はどうなるのか
6.相続人同士の感情対立はなぜ起きる?
7.実務で行われている本当の生前対策
8.遺言+αで考えるべき制度の選択肢
9.よくある質問(FAQ)
10.まとめ
1. 「遺言書さえあれば安心」という誤解
相続対策=遺言書、というイメージは非常に強く、
「まずは遺言を書きましょう」
という情報だけが一人歩きしている印象があります。
しかし実務では、遺言書を書いていたにもかかわらず、相続が円満に進まないケースを数多く見てきました。
原因は、遺言書に「できること」と「できないこと」があるからです。
2. なぜ遺言書が"万能"だと思われがちなのか
遺言書が万能だと思われやすい理由は次のとおりです。
・テレビや書籍で「遺言を書けば安心」と紹介されがち
・法律文書=強力というイメージ
・他の制度(後見・信託など)が分かりにくい
結果として、遺言書だけに期待しすぎてしまうのです。
3. 遺言書でできること・できないこと【要約ポイント】
まず、遺言書の役割を正しく整理しましょう。
遺言書でできること
・相続分の指定
・不動産や預貯金の分け方の指定
遺言書ではできないこと
・認知症後の財産管理
・生前の家族間トラブルの解消
・相続人同士の感情的な対立の調整
👉 遺言書は「亡くなった時(相続発生時)」の設計図であり、「生きている間」の問題には対応できません。
4. 遺言書では防げない3つの現実的リスク
① 認知症リスク
判断能力が低下すると、
・遺言の変更
・不動産の売却
・贈与
が一切できなくなります。
② 生前の不公平感
遺言の内容を知らされていない場合、
「なぜあの人だけ多いのか」
という不満が生前から蓄積されます。
③ 相続開始後の感情対立
遺言書があっても、
・解釈の違い
・納得感の欠如
により紛争になることがあります。
5. 認知症になると遺言書はどうなるのか
重要なポイントとして、
認知症になってから新たに遺言書を書くことはできません。
また、すでに書いた遺言書があっても、
・財産状況が変わった
・家族構成が変わった
場合、内容が実情に合わなくなることもあります。
👉 「遺言がある=安心」ではない理由です。
6. 相続人同士の感情対立はなぜ起きる?
相続トラブルの多くは、法律よりも感情が原因です。
・親の本音を知らない
・生前の説明がなかった
・介護負担への不満
遺言書は、こうした感情のズレを直接解決することはできません。
7. 実務で行われている本当の生前対策
実務では、次のような組み合わせ型の生前対策が取られます。
遺言書
+ 生前の話し合い
+ 必要に応じた他制度(任意後見・家族信託など)
これにより、
・生前
・認知症後
・相続発生後
すべての段階をカバーします。
8. 遺言+αで考えるべき制度の選択肢
・任意後見契約:判断能力低下に備える
・家族信託:財産管理を柔軟に行う
・財産管理委任契約:元気なうちのサポート
👉 遺言書は「最後の一手」、それまでの備えが重要です。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 遺言書があれば相続争いは起きませんか?
A. 起きることはあります。特に感情的対立は防げません。
Q. 公正証書遺言なら大丈夫ですか?
A. 無効リスクは低いですが、万能ではありません。
Q. 遺言以外は必ず必要ですか?
A. ご家族構成や財産内容によります。不要な場合もあります。
10. まとめ【要約用】
・遺言書は重要だが万能ではない
・できるのは「亡くなった後」の指定だけ
・認知症・生前トラブル・感情対立は防げない
・実務では遺言+他の生前対策を組み合わせる
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「うちは財産が少ないから、生前対策は必要ない」
これは、生前対策について最も多い誤解の一つです。
結論から言えば、生前対策の必要性は財産の金額ではなく、内容と家族関係で決まります。特に「不動産がある」「相続人が複数いる」「子どもが県外にいる」場合は、資産額に関係なく対策が必要になるケースが非常に多いのが実情です。
この記事では、なぜ"普通の家庭"ほど生前対策が重要なのかを、司法書士の実務視点から解説します。
目次
1.生前対策=お金持ち向け、という誤解
2.なぜこの誤解が広まったのか
3.生前対策が必要かどうかの正しい判断基準
4.【重要】不動産がある場合の落とし穴
5.相続人が複数いると何が起きるのか
6.子どもが県外にいる家庭の見落としがちなリスク
7.実務上「対策必須」と判断する典型ケース
8.今すぐやるべきこと・まだやらなくていいこと
9.よくある質問(FAQ)
10.まとめ
1. 生前対策=お金持ち向け、という誤解
生前対策という言葉から、
「資産家がやるもの」「相続税対策の話」
といったイメージを持たれる方は少なくありません。
しかし実務では、相続トラブルの多くは"ごく一般的な家庭"で起きています。
理由は単純で、金額よりも「分けにくさ」「管理のしにくさ」が問題になるからです。
※下のグラフを見ると、5000万円以下の遺産での事件数が約80%であることが解ります。

2. なぜこの誤解が広まったのか
この誤解が根強い理由は主に3つあります。
・メディアで「相続=相続税対策」と強調されがち
・生前対策=節税という誤ったイメージ
・専門家に相談するハードルの高さ
結果として、「財産が少ない=関係ない」と思い込まれてしまいます。
3. 生前対策が必要かどうかの正しい判断基準【要約ポイント】
生前対策が必要かどうかは、次の3点で判断します。
・不動産がある
・相続人が複数いる
・子どもが県外(遠方)に住んでいる
👉 このうち一つでも当てはまれば、対策の必要性は高いと考えてください。
4. 【重要】不動産がある場合の落とし穴
不動産は「分けられない財産」です。
現金と違い、相続人全員が納得する形で分割するのは簡単ではありません。
・誰が住むのか
・誰が管理するのか
・売却するのか
これを決めないまま相続が発生すると、共有名義のまま放置され、将来さらに問題が拡大します。
5. 相続人が複数いると何が起きるのか
相続人が2人以上いる場合、たとえ仲の良い家族でも
・期待している相続内容の違い(ギャップ)
・配偶者と子どもの立場の違い
・兄弟姉妹間の微妙な不公平感
が原因で、話し合いがまとまらないケースが珍しくありません。
6. 子どもが県外にいる家庭の見落としがちなリスク
子どもが県外にいる場合、
・相続手続きに頻繁に来られない
・親の状況を把握しづらい
・兄弟間で温度差が生まれやすい
といった問題が起こります。
これは財産額とは無関係のリスクです。
7. 実務上「対策必須」と判断する典型ケース
司法書士の実務で、特に注意が必要なのは次のケースです。
不動産が1つでもあり、相続人に兄弟姉妹がいる
この場合、生前対策をしないと、将来ほぼ確実に「調整が難しい相続」になります。
8. 今すぐやるべきこと・まだやらなくていいこと
今すぐやるべきこと
・財産の内容を把握する
・家族構成を書き出す
・「困りそうな点」を整理する
まだ決めなくていいこと
・遺言の具体的内容
・贈与の実行
・制度の最終選択
👉 準備するだけでも、生前対策は始まっています。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 財産が少なくても本当に必要ですか?
A. はい。不動産や相続人構成によっては、金額に関係なく必要です。
Q. 相談したら必ず手続きをしないといけませんか?
A. いいえ。多くの場合は「何をすべきか整理するだけ」で終わります。
Q. 何歳くらいから考えるべきですか?
A. 判断能力が十分あるうち、60代前後から考え始める方が多いです。
10. まとめ【要約用】
・生前対策はお金持ちだけのものではない
・判断基準は「財産額」ではなく「不動産・相続人・家族関係」
・不動産+相続人複数は対策必須ケース
・早めの整理が、将来の負担を大きく減らす
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相続法改正の影響は、「亡くなった後」よりも「元気なうち」にこそ現れます。相続登記や住所・氏名変更登記の義務化、遺言ルールの見直し、デジタル財産の増加など、2026年を見据えて確認すべき項目は多岐にわたります。本記事では、相続・登記・遺言・財産管理を一気に点検できる総合チェックリストとして整理します。
目次
1.なぜ「生前対策」が重要になっているのか
2.まず確認したい総合チェックリスト
3.「今すぐやること」と「後でいいこと」の整理
4.年代別(50代・60代・70代)の対策ポイント
5.司法書士に相談すべきタイミング
6.無料相談を上手に活用するコツ
7.まとめ|2026年に備える生前対策の考え方
1. なぜ「生前対策」が重要になっているのか
近年の相続法改正は、相続が始まってから対応するのでは間に合わない制度が増えています。
・相続登記・住所変更登記の義務化
・判断能力低下後ではできない手続きの増加
・家族構成や資産形態の複雑化
これらの制度は、元気なうちに整理しておくことを前提に設計されています。
2. まず確認したい総合チェックリスト
次の項目を順に確認してみてください。
・不動産の名義・住所・氏名は最新の状態か
・遺言書は現在の家族関係・財産内容に合っているか
・相続人の範囲や連絡先を把握できているか
・判断能力が低下した場合の備えがあるか
・専門家に一度も相談したことがない
一つでも不安があれば、生前対策を検討するサインといえます。
3. 「今すぐやること」と「後でいいこと」の整理
■今すぐやること
・不動産の名義・登記内容の確認
・古い遺言書の見直し
・家族関係・相続人関係の整理
■状況を見て進めること
・任意後見や家族信託の検討
・デジタル財産の管理方法整備
・将来の財産承継方法の設計
・すべてを一度に完璧にする必要はありません。
優先順位を付けることが重要です。
4. 年代別(50代・60代・70代)の対策ポイント
■50代
・資産の棚卸し
・不動産・名義の現状確認
・将来の相続を見据えた方向性整理
■60代
・遺言書の作成・見直し
・相続人間の認識共有
・判断能力低下への備え検討
■70代以降
・手続きの実行フェーズ
・書類・情報の集約
・専門家との継続的な関係構築
年代によって「やるべきこと」は異なります。
5. 司法書士に相談すべきタイミング
次のような場面は、司法書士に相談する良いタイミングです。
・相続登記や住所変更登記が必要と分かったとき
・遺言書を作るべきか迷っているとき
・家族構成や財産関係が複雑なとき
・将来、相続で家族が困らないか不安なとき
「何から手を付けるべきか分からない」状態こそ、相談の適期です。
6. 無料相談を活用するコツ
無料相談を有効に使うためには、次の点を意識しましょう。
・完璧に整理してから行こうとしない
・不安や疑問をそのまま伝える
・すぐ依頼するかどうかは後で判断する
相談は、問題を明確にするための場です。話すことで、やるべきことが自然と見えてきます。
7. まとめ|2026年に備える生前対策の考え方
相続法改正時代の生前対策で大切なのは、
・早めに気づくこと
・放置しないこと
・専門家を上手に使うこと
です。
「今できる整理」から一歩踏み出すことが、将来の相続トラブルを防ぐ最善の方法といえるでしょう。

預金通帳と印鑑があれば相続手続きができた時代は終わりました。現在は、ネット銀行やネット証券、暗号資産、サブスクリプションなど、目に見えない財産が相続の中心になりつつあります。本記事では、法改正と実務運用の変化を踏まえ、2025年以降の相続で特に注意すべきデジタル遺産・金融資産の整理ポイントを解説します。
目次
1.デジタル遺産とは何を指すのか
2.なぜ2025年以降に問題になりやすいのか
3.まず確認したいチェックリスト
4.法律上の扱いと実務のズレ
5.金融機関ごとの対応差と注意点
6.エンディングノートの限界
7.司法書士が関与できる整理方法
8.まとめ|「見えない財産」を放置しないために
1. デジタル遺産とは何を指すのか
デジタル遺産とは、主に次のようなものを指します。
・ネット銀行・ネット証券の口座
・暗号資産(仮想通貨)
・電子マネー・ポイント
・クラウド上のデータ
・サブスクリプション契約
・各種ID・パスワード
これらは、通帳や証書が存在しないため、
相続人が存在を把握できないまま放置されることがあります。
2. なぜ2025年以降に問題になりやすいのか
デジタル遺産が問題化しやすい理由には、次の背景があります。
・高齢者でもスマホ・ネット取引を使う時代になった
・資産管理が「紙」から「アプリ」へ移行している
・相続人が被相続人のIT環境を把握していない
その結果、
・相続財産の一部が見つからない
・手続きが途中で止まる
・相続税申告や遺産分割がやり直しになる
といった事態が、2025年以降増えています。
3. まず確認したいチェックリスト
次の項目に当てはまる場合、デジタル遺産の整理が必要です。
・ネット銀行・ネット証券を利用している
・IDやパスワードを家族が知らない
・スマホ1台で資産管理をしている
・暗号資産やポイントを保有している
・デジタル遺言を検討したことがある
特に、紙の資料がほとんど残っていない場合は要注意です。
4. 法律上の扱いと実務のズレ
法律上、預貯金や証券は相続財産になります。
しかし実務では、次のようなズレが生じます。
・ID・パスワードが分からないと存在自体が把握できない
・本人以外のログインは規約違反になる場合がある
・暗号資産は管理方法次第で引き出せなくなる
「相続できるはずの財産」が、
実際には手続き不能になるリスクがある点が特徴です。
5. 金融機関ごとの対応差と注意点
デジタル金融機関の相続対応は、統一されていません。
・書類提出で対応可能な金融機関
・専用の相続窓口があるところ
・手続きが長期化しやすいところ
また、
・ネット銀行は郵送対応が中心
・ネット証券は評価・解約に時間がかかる
など、相続人の負担が想像以上に大きくなることもあります。
6. エンディングノートの限界
デジタル遺産対策として、エンディングノートは有効ですが、限界もあります。
・法的効力がない
・情報が古くなりやすい
・紛失・未発見のリスクがある
そのため、
・エンディングノートは「補助的手段」
・法的手続きと組み合わせることが重要
という考え方が現実的です。
7. 司法書士が関与できる整理方法
司法書士が関与することで、次のような整理が可能です。
・相続財産調査の一環としてデジタル資産を洗い出す
・相続登記・遺産分割とあわせた全体設計
・遺言作成時の注意点整理
・他士業(税理士等)との連携
「どこまでが法的整理で、どこからが本人管理か」を分けて考えることで、
相続人の負担を大きく減らすことができます。
8. まとめ|「見えない財産」を放置しないために
デジタル遺産は、
・見えない
・分からない
・気づいたときには手遅れ
になりやすい財産です。
・今使っているサービスを整理する
・家族が把握できる形を作る
・相続登記・遺言と一体で考える
2025年以降の相続では、
「デジタルも含めて相続財産」という意識が欠かせません。

相続法の大きな改正から数年が経ちましたが、実際にトラブルとして表面化しているのは2025年に入ってからというケースが増えています。特に配偶者居住権や特別寄与料は、制度を正しく理解していないと相続手続きが複雑化しやすいポイントです。本記事では、遺言や遺産分割において見落とされがちな実務上の注意点をチェックリスト形式で解説します。
目次
1.2019年改正民法(相続法)のポイントを振り返る
2.なぜ「今」問題になっているのか
3.まず確認したいチェックリスト
4.配偶者居住権が"使われない理由"
5.特別寄与料請求が起きやすいケース
6.遺言で対策できること/できないこと
7.2025年型・遺言見直しの実務ポイント
8.まとめ|早めの見直しがトラブルを防ぐ
1. 2019年改正民法(相続法)のポイントを振り返る
2019年の相続法改正では、実務に大きな影響を与える制度がいくつか導入されました。
代表的なものとして次の制度があります。
・配偶者居住権
・特別寄与料
・遺言執行者の権限明確化
・預貯金の仮払い制度
これらは、高齢化社会で増える相続トラブルへの対応策として整備されたものです。
2. なぜ「今」問題になっているのか
改正当初は注目されていた制度も、
実際に使われる場面が増えたのはここ数年です。
理由としては、
・改正前に作成された遺言書がまだ多く使われている
・高齢の配偶者が残される相続が増えている
・介護や生活支援を担う家族構成が複雑化している
といった背景があります。
制度を知らずに相続が始まると、想定外の請求や対立が起こる可能性が出てきます。
3. まず確認したいチェックリスト
次の項目に当てはまる場合、遺言や遺産分割の見直しが必要かもしれません。
・遺言書を10年以上前に作成している
・配偶者が自宅に住み続けている、または住み続ける予定
・被相続人の介護をしていた家族がいる
・相続人ではない親族や第三者が生活を支えていた
・「昔作った遺言だから大丈夫」と思っている
4. 配偶者居住権が"使われない理由"
配偶者居住権は、配偶者が亡くなった後も
自宅に住み続けることを保障する制度です。
しかし、実務では次の理由から使われないことも多くあります。
・制度自体を知らない
・評価や登記が複雑に感じられる
・売却や活用が制限されることを懸念
・遺言で明確に定められていない
結果として、
・相続でもめたとき自宅を相続できず住み替えを迫られる
・他の相続人との調整が難航する
といった問題につながることがあります。
5. 特別寄与料請求が起きやすいケース
特別寄与料とは、
相続人以外の親族などが被相続人の生活や療養に特別な貢献をした場合に、金銭請求できる制度です。
請求が起きやすいのは、次のようなケースです。
・長年にわたり無償で介護をしていた(単に面会等だけではダメで、介護のおかげで本来かかる費用を抑えられていたなどの要件があります)
・同居して生活全般を支えていた
・事業や家業を手伝っていた
遺言や事前の話し合いがない場合、
相続開始後に突然請求がなされ、相続人同士の対立に発展することもあります。
6. 遺言で対策できること/できないこと
遺言書は非常に有効な手段ですが、万能ではありません。
遺言で対策できること
・配偶者居住権の設定
・特定の財産の承継先指定
・遺言執行者の指定
遺言だけでは不十分なこと
・特別寄与料請求の完全排除
・相続人間の感情的対立
・状況変化(再婚・介護状況の変化)への対応
そのため、遺言+生前の説明・整理が重要になります。
※遺留分の排除もできません。詳しくは専門家に相談しましょう。
7. 2025年型の遺言見直しポイント
2025年以降の相続を見据え、遺言は次の視点で見直すことが重要です。
・配偶者居住権を使うかどうかを明確にする
・介護や貢献への配慮をどう反映するか
・古い遺言が現状に合っているか確認する
・相続登記・住所変更義務化との整合性
「とりあえず作った遺言」は、
今の家族関係に合わないことも少なくありません。
8. まとめ|早めの見直しがトラブルを防ぐ
遺言や遺産分割ルールは、
相続が始まってからでは修正できないものがほとんどです。
・制度を知らないまま相続が始まるリスク
・古い遺言が新しい制度に対応していないリスク
・配慮不足が争いに発展するリスク
これらを防ぐためにも、
2025年は「遺言の見直し」を考える良いタイミングといえるでしょう。

相続登記義務化とあわせて見落とされがちなのが、「住所・氏名変更登記の義務化」です。2026年4月から本格施行されるこの制度は、相続が起きてからではなく、相続前の段階で大きな影響を及ぼします。本記事では、相続とどのように関係するのか、今のうちに確認すべきポイントをチェックリスト形式で解説します。
目次
1.住所・氏名変更登記の義務化とは
2.なぜ相続と深く関係するのか
3.まず確認したいチェックリスト
4.義務化の対象と罰則の考え方
5.ワンストップで整理する実務対応
6.まとめ|2026年を迎える前にやるべきこと
1. 住所・氏名変更登記の義務化とは
2026年4月から、不動産の登記名義人について
住所や氏名(名前)が変わった場合の変更登記が義務化されます。
これまで住所変更登記や氏名変更登記は、
・手続きは可能だが義務ではない
・放置していても罰則はない
という扱いでした。
しかし制度改正により、次のように変わります。
・住所・氏名の変更を知った日から 2年以内 に登記申請が必要
・正当な理由なく放置した場合、5万円以下の過料の可能性
「相続とは別の話」と思われがちですが、実は密接につながっています。
2. なぜ相続と深く関係するのか
住所・氏名変更登記の未了は、相続発生時に大きな障害になります。
よくあるのが次のようなケースです。
・被相続人の登記簿上の住所が、何十年も前のまま
・婚姻・離婚で氏名が変わっているが、登記は旧姓
・引っ越しを繰り返して履歴が追えない
この状態で相続が発生すると、
・相続登記の前提として住所・氏名の変更登記が必要
・住民票除票や戸籍の収集が困難
・手続きが長期化・高額化
という問題が起こります。
相続登記義務化と住所変更義務化は、実務上セットで考える必要があります。
※法務局の登記官が、本人かどうかの確認手法として、現状は「氏名」と「住所」で判断しています。現在、法務省で戸籍データや住所の管理を一元化したことにより、様々なデータと付け合せて、相続登記ができているかどうかの確認をしております。その中で、新たに登記権利者として不動産の名義人となる場合には、「住所」「氏名」に加え「読み仮名」「生年月日」「メールアドレス」を届け出るようになっています。これは、登記官が不動産名義人に連絡し意思確認をして、登記官の方で住所変更をするための仕組みです。
3. まず確認したいチェックリスト
次の項目に一つでも当てはまる場合、早めの対応がおすすめです。
・引っ越し後、不動産登記上の住所を変更していない
・婚姻・離婚で氏名が変わっている
・高齢の親名義の不動産がある
・将来相続する可能性が高い不動産がある
・登記簿の住所が現住所と一致していない
特に、高齢の親名義の不動産は要注意です。
相続が発生してからでは、本人確認書類の取得が難しくなることがあります。
4. 義務化の対象・罰則の考え方
義務化のポイントは次のとおりです。
対象:不動産の登記名義人
内容:住所または氏名に変更が生じた場合
期限:変更を知った日から2年以内
罰則:正当な理由なく未登記の場合、過料の可能性
なお、
・すぐに過料が科されるわけではない
・ただし「何もしていない状態」はリスクが高い
という点は、相続登記義務化と共通しています。
5. ワンストップで整理する実務対応
司法書士に相談する場合、次のような整理が可能です。
・登記簿の現状確認
・住所・氏名変更登記の要否判断※すでに現状変更が生じている場合には変更登記が必要になります。専門家にご相談ください。
・相続登記との同時申請
・将来の相続・売却を見据えた助言
・個別に手続きを進めるより、
まとめて整理する方が結果的に負担が軽くなるケースが多くあります。
6. まとめ|2026年を迎える前にやるべきこと
住所・氏名変更登記の義務化は、
相続が起きてからではなく「今」対応することが重要です。
・登記簿の住所・氏名が現状と一致しているか確認
・高齢の親名義の不動産を放置しない
・相続登記と一体で考える
2026年4月を迎える前に準備を進める
これは、将来の相続登記をスムーズにするための下準備でもあります。

2024年4月から相続登記が義務化され、「そのうちやればいい」という考えは通用しなくなりました。2025年以降は、過去の相続も含めて登記未了の不動産が問題になりやすくなります。本記事では、2027年3月末の猶予期限を見据え、今すぐ確認すべきポイントをチェックリスト形式でわかりやすく解説します。
目次
1.相続登記義務化とは何が変わったのか
2.義務化の対象になる「過去の相続」とは
3.まず確認したい相続登記チェックリスト
4.「正当な理由」が認められるケースとは
5.2025年に急増している相続登記の相談例
6.司法書士に依頼すべきケース/自分でできるケース
7.まとめ|2027年3月末までにやるべきこと
1. 相続登記義務化とは何が変わったのか
2024年4月1日から、不動産を相続した場合の相続登記が法律上の義務になりました。
これまでは「登記しなくても罰則はない」という状態でしたが、現在は次のように変わっています。
・不動産を相続したことを知った日から 3年以内 に登記申請が必要
・正当な理由なく放置した場合、10万円以下の過料の可能性
・2024年以前に発生した相続も対象(経過措置あり)
特に重要なのは、「昔の相続だから関係ない」という認識が誤りになった点です。
2. 義務化の対象になる「過去の相続」とは
相続登記義務化は、施行前の相続にもさかのぼって適用されます。
ただし、次のような経過措置があります。
・2024年4月1日より前に相続が発生している不動産
・上記の場合でも 2027年3月31日まで に登記すれば過料の対象外
つまり、
名義が祖父母・曾祖父母のままになっている不動産も、今後は整理が必要になります。
3. まず確認したい相続登記チェックリスト
以下に一つでも当てはまる場合、相続登記義務化への対応が必要です。
・相続した不動産が未登記のままになっている
・不動産の名義が祖父母・曾祖父母のまま
・相続人が全国に散らばっている、連絡が取りづらい
・遺産分割協議が終わっていない
・固定資産税だけを払い続けている
・「誰の名義かよく分からない土地」がある
これらは、2025年以降に特に相談が増えている典型例です。
4. 「正当な理由」が認められるケースとは
法律上、「正当な理由」がある場合には、すぐに過料の対象とはなりません。
実務上、考えられる例としては次のようなものがあります。
・相続人の範囲が確定していない
・遺産分割協議が長期化している
・相続人の一部と連絡が取れない
・相続財産の内容が不明確
ただし注意点として、
・正当な理由がある=何もしなくてよいわけではない
・将来的に登記する意思・準備が求められる
という点があります。
「とりあえず放置」は、正当な理由とは認められにくくなっています。
5. 2025年に急増している相続登記の相談例
2025年に入り、司法書士のもとには次のような相談が増えています。
「親が亡くなって数十年、今さら登記できるのか」
「兄弟の一人と連絡が取れない」
「売却予定だった土地が名義未整理で止まった」
「相続登記をしないと何が起きるのか分からない」
共通しているのは、
もっと早く手を付けていれば選択肢が多かったという点です。
6. 司法書士に依頼すべきケース/自分でできるケース
自分で対応しやすいケース
・相続人が少なく、関係が良好
・遺産分割がすでに終わっている
・不動産が1件のみで権利関係が単純
司法書士に依頼した方がよいケース
・数次相続(相続が何代も発生)
・相続人が多数・所在不明
・遺産分割が未了
・将来的な売却・活用を考えている
相続登記は「一度やり直す」ことが難しいため、
複雑な場合ほど最初の判断が重要になります。
7. まとめ|2027年3月末までにやるべきこと
相続登記義務化への対応は、次の流れで考えるのがおすすめです。
・不動産の名義と相続関係を確認する
・未登記があれば期限(2027年3月末)を意識する
・自分でできるか、専門家に任せるか判断する
・放置せず「動いている状態」を作る
相続登記は、将来の相続トラブルを防ぐ第一歩でもあります。

相続対策というと「節税」や「財産分けの工夫」といったイメージが先行しがちです。しかし本来の目的は「残された家族を守ること」にあります。相続は単なる財産の問題ではなく、人と人との生活や感情が深く関わる場面です。本記事では、相続対策を"家族を守る準備"として捉えることで見えてくる新しい視点をお伝えします。
目次
1.相続対策のイメージとその限界
2.なぜ「家族を守る準備」として考える必要があるのか
3.相続が家族関係に与える3つの影響
4."家族を守る準備"としての具体的な相続対策
5.実際の事例から学ぶ「家族を守る相続対策」
6.まとめ──相続対策は「未来の家族への贈り物」
1. 相続対策のイメージとその限界
「相続対策をしていますか?」と聞かれると、多くの方は税金を減らす工夫を思い浮かべます。確かに相続税の負担は大きなテーマですが、実際には税金がかからない家庭でも、相続で揉めるケースは少なくありません。
つまり、節税だけを目的にした相続対策は不十分であり、本質的には「家族が安心して暮らしを続けられるようにする準備」が欠かせないのです。
2. なぜ「家族を守る準備」として考える必要があるのか
相続は残された家族の生活に直結する出来事です。遺された財産が適切に分けられなかったり、手続きが進まなかったりすると、家族は余計な負担を背負うことになります。
「財産をどう分けるか」以上に大切なのは、**"その後も家族が支え合って暮らしていける環境を残すこと"**です。これこそが「家族を守る準備」としての相続対策の核心と言えるでしょう。
3. 相続が家族関係に与える3つの影響
(1)心の分断
「親が誰を大事に思っていたのか分からない」
「兄弟姉妹で意見が合わない」
こうした状況は、相続をきっかけに家族の絆を壊してしまうことがあります。
(2)経済的負担
相続税がかからない場合でも、遺産分割協議や登記費用、専門家費用がかかります。財産がすぐに使えないと、葬儀費用や生活費が工面できず、家計を圧迫することも。
(3)生活基盤の揺らぎ
「自宅を売るか残すか」で意見が割れる。
「誰が介護を担うのか」で争いが生じる。
こうした問題は、家族の生活基盤そのものを揺るがす原因になり得ます。
4. "家族を守る準備"としての具体的な相続対策
(1)遺言書による意思表示
遺言は「自分の想いを家族に残す手紙」のようなものです。財産の分け方を明確にし、争いを避けるための最もシンプルで有効な方法です。特に公正証書遺言であれば安心です。
(2)家族信託で生活の安定を確保
親が高齢になったとき、子どもが柔軟に財産を管理できるようにする仕組みが家族信託です。介護費用や施設費用に財産をスムーズに使えるため、生活の安定に直結します。
(3)生命保険を活用した生活費の保障
相続対策と同時に、残された配偶者の生活費を確保する手段として生命保険は有効です。現金が一時金として入ることで、安心して生活を継続できます。
(4)任意後見による安心のサポート体制
認知症などで判断能力を失った場合でも、あらかじめ信頼できる人に財産管理を任せられる制度です。家族が困らないよう、早めの準備が大切です。
5. 実際の事例から学ぶ「家族を守る相続対策」
事例1:遺言がなかったために兄弟間で対立したケース
高松市在住のあるご家庭では、父親が遺言を残さないまま亡くなりました。相続財産の中心は自宅。誰が住むか、どう分けるかで兄弟間に大きな溝が生まれ、結局調停に持ち込まれることになりました。家族関係は冷え込み、修復は困難になってしまいました。
事例2:家族信託で介護費用を確保できたケース
別のご家庭では、母親が早めに家族信託を設定。子が母の財産を管理し、介護施設の費用をスムーズに支払えました。母の生活は安定し、兄弟姉妹間での争いも起こらず、平穏な日々が続いています。
これらの対比は、「家族を守る準備」としての相続対策の有無が、いかに大きな差を生むかを物語っています。
6. まとめ──相続対策は「未来の家族への贈り物」
相続対策は「お金の問題を解決するための作業」ではなく、「未来の家族を守るための贈り物」です。
元気なうちに、家族の将来を見据えて準備しておくことで、残された方々は安心して日々を送れます。相続対策を"家族を守る準備"と捉え直すことが、最も大切な視点と言えるでしょう。

認知症は誰にでも起こり得る身近な問題です。もし判断能力を失ってしまったら、財産の管理や相続の準備はどうなるのでしょうか?本人の意思が反映できなくなり、家族が思わぬ困難に直面することも少なくありません。本記事では、認知症と相続の深い関わりをわかりやすく解説し、「元気なうちに備えること」の大切さをご紹介します。
目次
1.認知症と相続の意外な関係
2.判断能力が失われたら何ができなくなるのか
3.家族が直面する3つの現実的なリスク
4.認知症になる前にできる生前対策の具体例
5.実際の相談事例から学ぶ「備えの重要性」
6.まとめ──"想定外"を避けるために
1. 認知症と相続の意外な関係
日本では高齢化が急速に進み、65歳以上の5人に1人が認知症を発症する時代が目前に迫っています。香川県内でも「親が施設に入ったけれど財産の整理が進まない」「相続の話をしたいが本人に判断力がなくなってしまった」という声が増えています。
相続というと「亡くなったときに発生するもの」と思われがちですが、実は認知症の発症がその前に大きな壁として立ちはだかるのです。なぜなら、相続の準備に必要な手続きは「本人の意思表示」が前提になるからです。
2. 判断能力が失われたら何ができなくなるのか
一度判断能力が失われると、以下のようなことができなくなります。
遺言書の作成
有効な遺言書を残すには「意思能力」が必要です。認知症が進行して判断が難しくなれば、遺言を作ること自体が無効になる可能性があります。
不動産の売却や名義変更
施設費用や介護費用をまかなうために自宅を売りたい、という場面でも、本人の署名・捺印がなければ売却できません。
生前贈与や信託契約
子や孫に財産を譲りたいと考えても、契約の理解ができない状態では実行不可能です。
つまり「認知症になる前にしかできない手続き」が多く存在し、時間との戦いでもあるのです。
3. 家族が直面する3つの現実的なリスク
認知症と相続が重なると、家族には次のようなリスクが待ち受けています。
① 財産が"凍結"される
銀行口座が使えず、介護費用や生活費が出せない。
② 不動産が動かせない
売却も活用もできず、空き家が放置されるリスクが高まる。
③ 相続時に争いが起きやすい
「本人の意思が分からない」ことで、兄弟姉妹間の話し合いがまとまらず、争続へと発展することも少なくありません。
これらの問題は、家族に精神的・経済的な負担を大きく残すことになります。
4. 認知症になる前にできる生前対策の具体例
認知症と相続のリスクを回避するには、「元気なうちに準備する」しかありません。代表的な方法を3つご紹介します。
(1)遺言書の活用
公正証書遺言を作成しておけば、判断能力があるうちに「財産の分け方」を確実に残せます。後々、争いを避ける強力な武器になります。
(2)任意後見制度
将来、判断能力が低下したときに備えて「この人に財産管理を任せたい」と決めておく仕組みです。家族が安心してサポートできる体制を整えられます。
(3)家族信託
「親の財産を子が管理しつつ、親の生活費や介護費用に充てる」といった柔軟な仕組みです。相続登記義務化とも相性がよく、近年注目度が高まっています。
これらを組み合わせることで、認知症が進行しても財産が適切に管理され、家族が困らずに済むようになります。
5. 実際の相談事例から学ぶ「備えの重要性」
当事務所に寄せられたご相談の中に、次のようなケースがありました。
ケース1:遺言が間に合わなかった例
80代のお母様が認知症を発症。相続人である兄弟が話し合いを始めたが、遺言がなく意見がまとまらず、家庭裁判所での調停に発展。結果、時間も費用もかかってしまった。
ケース2:家族信託でスムーズに対応できた例
一方で、別のご家族は70代の段階で家族信託を締結。認知症発症後も子が代理して施設費用を支払い、不動産も活用できた。相続も事前に定めたルール通りに進み、争いは起きなかった。
この対比が示す通り、「準備の有無」がその後の家族の負担を大きく左右します。
6. まとめ──"想定外"を避けるために
認知症は誰にでも訪れる可能性があります。そして一度発症すれば、財産管理や相続の準備は一気に難しくなります。
「まだ元気だから大丈夫」と思っている今こそ、備えを始めるタイミングです。遺言・任意後見・家族信託といった制度を使いこなすことで、将来の"想定外"を防ぎ、家族を守ることができます。
生前対策は「家族への最大のプレゼント」と言っても過言ではありません。